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訓練、訓練、また訓練。
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「もうちょいだ、頑張れスラ吉!」
くう、重いよー!疲れたよー!コーチの鬼ー!
まあ心の中で散々文句を言ったところでノルマが減るわけじゃないんだけどさ。
普通に跳ぶのなんか全然平気なのに、体の中に重い石を抱えてしかもコーチの頭上に掲げられた剣まで何度も何度も跳ぶ事がこんなに辛いなんて。
あたしは精神を統一し、体をぷるぷるっと揺らして解してから、力を振り絞ってジャンプした。
おりゃあ!
ああ……結構頑張ったと思ったのに、コーチが持つ合格ラインの剣には僅かに届かなかった……。
ゴブリンの巣から、アルマさん達が拠点とする街に戻ってきてから一週間。あたしは毎日毎日みんなからの特訓ノルマを地道に地道にこなしていた。
なんせ街の人たちに姿を見られるわけにもいかないわけで、アルマさんの懐に隠れてこっそりお宿に連れてきてもらってからは、この部屋の中でいい子にしてるしかない。自然特訓は捗ったけど、コーチも特訓は徐々に難度を増していた。
最初はコーチの胸あたりにあった合格ラインは、一週間で頭上に達していた。重い石を抱えたまま100回をこなすのは、意外とつらい。最初は良くっても最後は跳ぶ力もでないんだもの。
コーチには「スタミナがねーからだ」って怒られるけど、ホント、きついんだもの……。
失意と共に転がるように力なく着地したあたしに、無情にもコーチの檄が飛ぶ。
「何やってんだスラ吉!そんなんじゃ立派な漢になれねーぞ!ほらあと2回、剣の上まで跳ばねーとノーカンだからな!」
くうう~、もう限界だよう、第一別に立派な漢になりたくないし。
思わずへにゃっと弾力が無くなっちゃって、床に長々とくっついたら。
「もうダメだ、って思ってからが勝負なんだぞスラ吉!闘ってる時に諦めてみろ、確実に殺られるんだからな!」
うう……分かってるけど。
「あのチビっこいスライム助けた時のあの気持ちを思い出せ!お前なら出来る!」
チビちゃん達かあ……元気かな。
そうか、あの子達を助けた時の一生懸命な、必死な気持ちか。
集中して気持ちを高める。
あたしの中に、フツフツと闘志のような熱いものが込み上がって来た。……うん、いける気がする!!
どおおりゃあああ!!!!
「よっしゃあ!よくやったスラ吉、それだ!そのガッツだ!」
ああ本当ねコーチ、もうダメだって思っても力ってまだ残ってるものなのね。暑苦しいけど、実は結構鍛えるのが上手かったりするコーチのおかげで、あたしのジャンプ力はこの一週間でかなりの伸びを見せていた。
「よし99ー!次で最後だ、いけスラ吉!」
うん、あたし頑張る!
心の中で決意のガッツポーズを決めた時だった。
「ただいまー」
アルマさん!!!
「あ、特訓してたんだ」
うわあああ!
よしよし、ってナデナデしてくれた!
嬉しい、すっごい嬉しい!パワー、完全回復したんじゃない、これ!?
「ラストだスラ吉!」
任せて!
そうして跳んだジャンプは、羽根が生えたみたいに軽かった。
「すげえな、スラ吉!またジャンプ力上がったんじゃねえか!?」
コーチからグリグリっと揉まれて下がったテンションは、アルマさんがご褒美にまたナデナデしてくれた事でガッツリ持ち直した。
えへへ、嬉しいな……!もう100回くらい跳べちゃいそうだよ。
ニコニコとあたしを撫でていたアルマさんが、「あ」と何かを思い出したみたいに呟いた。急に立ち上がって部屋を見回すアルマさん。
「はい、集合ー!」
なあに?急にどうしたの?
くう、重いよー!疲れたよー!コーチの鬼ー!
まあ心の中で散々文句を言ったところでノルマが減るわけじゃないんだけどさ。
普通に跳ぶのなんか全然平気なのに、体の中に重い石を抱えてしかもコーチの頭上に掲げられた剣まで何度も何度も跳ぶ事がこんなに辛いなんて。
あたしは精神を統一し、体をぷるぷるっと揺らして解してから、力を振り絞ってジャンプした。
おりゃあ!
ああ……結構頑張ったと思ったのに、コーチが持つ合格ラインの剣には僅かに届かなかった……。
ゴブリンの巣から、アルマさん達が拠点とする街に戻ってきてから一週間。あたしは毎日毎日みんなからの特訓ノルマを地道に地道にこなしていた。
なんせ街の人たちに姿を見られるわけにもいかないわけで、アルマさんの懐に隠れてこっそりお宿に連れてきてもらってからは、この部屋の中でいい子にしてるしかない。自然特訓は捗ったけど、コーチも特訓は徐々に難度を増していた。
最初はコーチの胸あたりにあった合格ラインは、一週間で頭上に達していた。重い石を抱えたまま100回をこなすのは、意外とつらい。最初は良くっても最後は跳ぶ力もでないんだもの。
コーチには「スタミナがねーからだ」って怒られるけど、ホント、きついんだもの……。
失意と共に転がるように力なく着地したあたしに、無情にもコーチの檄が飛ぶ。
「何やってんだスラ吉!そんなんじゃ立派な漢になれねーぞ!ほらあと2回、剣の上まで跳ばねーとノーカンだからな!」
くうう~、もう限界だよう、第一別に立派な漢になりたくないし。
思わずへにゃっと弾力が無くなっちゃって、床に長々とくっついたら。
「もうダメだ、って思ってからが勝負なんだぞスラ吉!闘ってる時に諦めてみろ、確実に殺られるんだからな!」
うう……分かってるけど。
「あのチビっこいスライム助けた時のあの気持ちを思い出せ!お前なら出来る!」
チビちゃん達かあ……元気かな。
そうか、あの子達を助けた時の一生懸命な、必死な気持ちか。
集中して気持ちを高める。
あたしの中に、フツフツと闘志のような熱いものが込み上がって来た。……うん、いける気がする!!
どおおりゃあああ!!!!
「よっしゃあ!よくやったスラ吉、それだ!そのガッツだ!」
ああ本当ねコーチ、もうダメだって思っても力ってまだ残ってるものなのね。暑苦しいけど、実は結構鍛えるのが上手かったりするコーチのおかげで、あたしのジャンプ力はこの一週間でかなりの伸びを見せていた。
「よし99ー!次で最後だ、いけスラ吉!」
うん、あたし頑張る!
心の中で決意のガッツポーズを決めた時だった。
「ただいまー」
アルマさん!!!
「あ、特訓してたんだ」
うわあああ!
よしよし、ってナデナデしてくれた!
嬉しい、すっごい嬉しい!パワー、完全回復したんじゃない、これ!?
「ラストだスラ吉!」
任せて!
そうして跳んだジャンプは、羽根が生えたみたいに軽かった。
「すげえな、スラ吉!またジャンプ力上がったんじゃねえか!?」
コーチからグリグリっと揉まれて下がったテンションは、アルマさんがご褒美にまたナデナデしてくれた事でガッツリ持ち直した。
えへへ、嬉しいな……!もう100回くらい跳べちゃいそうだよ。
ニコニコとあたしを撫でていたアルマさんが、「あ」と何かを思い出したみたいに呟いた。急に立ち上がって部屋を見回すアルマさん。
「はい、集合ー!」
なあに?急にどうしたの?
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