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「ちくしょう!」
ゴブリンの巣から帰る道すがら、さっきから、剣士の吠えるような叫びだけが何度も何度も空に響く。
剣士はとっても怒っていた。
Bランクさんにも怒っちゃいたみたいだけど、怒りの矛先は主に自分自身みたいだ。
「止められなかった……何にも、できなかった……ちくしょう!」
あの女の人をBランクさんが刺した時も、あたしが斬られるんじゃないかって時も、全然間に合わなかった事が剣士にとっては凄く凄く悔しくて、我慢できない事だったみたい。
「悔しいのはみんな一緒だよ、僕だって」
そういってアルマさんが拳を小さく握りしめる。そうだよ、武闘家やリーナさんだって悔しそうだし、あたしだって。
同意の証に、あたしはアルマさんの懐からジャンプして飛び出した。
「スラちゃん?」
「どうした」
あたしが突然出てきたもんだから、さっきから呪文みたいにブツブツ「ちくしょう」を繰り返してた剣士までがびっくりしたみたいに立ち止まる。
自分もおんなじ気持ちだって分かって欲しくて、あたしは一生懸命に軽いジャンプを繰り返した。
「何か伝えたいみたいね」
「……さっき、アルマ、みんな悔しいって言った」
武闘家がポツリと言ってくれた言葉に、あたしはまたも一生懸命跳ねて反応する。
「もしかしてスラちゃんも、悔しいの?」
そうだよリーナさん!
悔しいに決まってるじゃん!
そりゃあたしなんかさ、元々そんなに役に立てるとも思っちゃいなかったけど、あたしのせいでBランクさんにみんながなんか責められたんだか忠告されたんだか分からないこと言われたし。
剣の上でいいように弄ばれたし。
今思うと猛烈に悔しいし、自分が情けない。
Bランクさんは皆に、あたしをこれからも連れ歩くなら、他の人にとやかく言わせないくらい強くなれって言ってたけど、よく考えたら逆じゃない。
皆と一緒にいるのも納得だって分かるくらい、あたしが強くなるべきなんだよ。
そう思ったら、俄然闘志が湧いて来た。
「うわっ跳んだ!?」
「超回転してる!」
そう、今のあたしの武器はまだまだ少ない。まずは跳ぶこと。いわゆる体当たりだけど、回転をかけて威力を増すこともできる。
つぎに、スピン。
「なんだ?今度はその場で回り始めたけど」
「ねえちょっと、若干地面が抉れてない?」
その場で高速回転する事で、弱々の敵からなら身を守れるのがこの技だ。
そして、パンチ。
がむしゃらにパンチを繰り出して見せると、みんなの顔が若干強張った。
「な、何かなこれ」
「分かるわけねーだろ、なんか急にキモい動きになった!」
剣士、おまえは後でシメる。まだへっぽこパンチだけど、そのうち岩をも砕く筈なんだから!
しかしパンチは若干不評だからこのくらいにしといてやろう。
お次は溶解。
あたしはそこらの土をひとかけ体に取り込んで、一瞬で消化して見せた。
「今度は土、食べたね」
「お腹すいたのかな」
最後に、今日会得した水鉄砲。
剣士に向かって勢いよく水を吐き出す。
「うわあ、もう!なんなんだよお前、いったい何がしたいんだよ、さっきから!」
あのね、剣士。
これが、今のあたしの手持ちの武器の全部なの。まだまだ弱いあたしだけど、これを一生懸命鍛えて鍛えて、誰もがびっくりするくらい、強くてかっこいいスライムになるから!
ゴブリンの巣から帰る道すがら、さっきから、剣士の吠えるような叫びだけが何度も何度も空に響く。
剣士はとっても怒っていた。
Bランクさんにも怒っちゃいたみたいだけど、怒りの矛先は主に自分自身みたいだ。
「止められなかった……何にも、できなかった……ちくしょう!」
あの女の人をBランクさんが刺した時も、あたしが斬られるんじゃないかって時も、全然間に合わなかった事が剣士にとっては凄く凄く悔しくて、我慢できない事だったみたい。
「悔しいのはみんな一緒だよ、僕だって」
そういってアルマさんが拳を小さく握りしめる。そうだよ、武闘家やリーナさんだって悔しそうだし、あたしだって。
同意の証に、あたしはアルマさんの懐からジャンプして飛び出した。
「スラちゃん?」
「どうした」
あたしが突然出てきたもんだから、さっきから呪文みたいにブツブツ「ちくしょう」を繰り返してた剣士までがびっくりしたみたいに立ち止まる。
自分もおんなじ気持ちだって分かって欲しくて、あたしは一生懸命に軽いジャンプを繰り返した。
「何か伝えたいみたいね」
「……さっき、アルマ、みんな悔しいって言った」
武闘家がポツリと言ってくれた言葉に、あたしはまたも一生懸命跳ねて反応する。
「もしかしてスラちゃんも、悔しいの?」
そうだよリーナさん!
悔しいに決まってるじゃん!
そりゃあたしなんかさ、元々そんなに役に立てるとも思っちゃいなかったけど、あたしのせいでBランクさんにみんながなんか責められたんだか忠告されたんだか分からないこと言われたし。
剣の上でいいように弄ばれたし。
今思うと猛烈に悔しいし、自分が情けない。
Bランクさんは皆に、あたしをこれからも連れ歩くなら、他の人にとやかく言わせないくらい強くなれって言ってたけど、よく考えたら逆じゃない。
皆と一緒にいるのも納得だって分かるくらい、あたしが強くなるべきなんだよ。
そう思ったら、俄然闘志が湧いて来た。
「うわっ跳んだ!?」
「超回転してる!」
そう、今のあたしの武器はまだまだ少ない。まずは跳ぶこと。いわゆる体当たりだけど、回転をかけて威力を増すこともできる。
つぎに、スピン。
「なんだ?今度はその場で回り始めたけど」
「ねえちょっと、若干地面が抉れてない?」
その場で高速回転する事で、弱々の敵からなら身を守れるのがこの技だ。
そして、パンチ。
がむしゃらにパンチを繰り出して見せると、みんなの顔が若干強張った。
「な、何かなこれ」
「分かるわけねーだろ、なんか急にキモい動きになった!」
剣士、おまえは後でシメる。まだへっぽこパンチだけど、そのうち岩をも砕く筈なんだから!
しかしパンチは若干不評だからこのくらいにしといてやろう。
お次は溶解。
あたしはそこらの土をひとかけ体に取り込んで、一瞬で消化して見せた。
「今度は土、食べたね」
「お腹すいたのかな」
最後に、今日会得した水鉄砲。
剣士に向かって勢いよく水を吐き出す。
「うわあ、もう!なんなんだよお前、いったい何がしたいんだよ、さっきから!」
あのね、剣士。
これが、今のあたしの手持ちの武器の全部なの。まだまだ弱いあたしだけど、これを一生懸命鍛えて鍛えて、誰もがびっくりするくらい、強くてかっこいいスライムになるから!
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