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救出

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視界が開けて真っ先に目に飛び込んできたのは、今にもゴブリンに連れ去られそうな女戦士。

そして、その足元には今にも息絶えそうな軽鎧の人がズタボロになって転がっていた。マントで顔が隠れてて、男の子か女の子かは分からない。


「た…助けて…!」


こっちに気付いたらしい女戦士が、ゴブリン達に抵抗しながら必死に助けを求めてくる。

彼女の後ろにはそそり立つような崖と、ぽっかりと口を開けた横穴。そこからわらわらとゴブリン達が湧いて出ていた。

うわあ……何匹いるの、これ。

まだまだ出てくる。

まだまだ、まだまだ……。


状況は思っていたよりもずっと深刻だった。


すうっと息を吸い込んで、魔術師さんが何か呪文みたいなのを唱える。地に倒れ伏していた軽鎧の人の体がキラキラと光って傷が癒されていくのが分かって、あたしは少しだけ安堵した。

多分、命の心配はないだろう。良かった、あの子を助けられなかったらきっと魔術師さんは自分を責めて悲しむもの。


「下がってろ!」


目の前に、突然剣士が飛び出してきた。


「ギィッ!!」

「グギャッッ!!」


耳障りな声をあげながら、ゴブリンがバタバタと倒れていく。とっさに魔術師さんはひらりと後ろに飛び退いたけど、結構な数のゴブリンに狙われてたみたい。

やっぱり魔術師は呪文の詠唱に少し時間がかかるから、その分狙われやすいのかも知れない。

魔術師さん、どうか、どうか、気をつけてね。

ローブの合わせから戦況を見てみれば…剣士と武道家が、悪鬼のような表情でゴブリンを屠っていた。

二人がゴブリンを倒しながら、一直線に女戦士の方へ進んでいく。その間にもたくさんのゴブリン達の手によって、女戦士は今にも洞窟内に運び込まれてしまいそうだった。

彼女を中心に団子状になっているゴブリンに剣士が斬りかかり、その背後を武闘家が守る形で進んでいるのは、多分あの女戦士をまず助けようって事なんだろう。

ゴブリンの組織力にも驚いたけど、これだけの数のゴブリン達を一点突破とはいえ斬り伏せて進んでいく剣士達の凄さにも、あたしはただ驚いていた。


「今だ、リーナ!」

「任せて!」


ゴブリンの数が手薄になった場所に、頭上からシーフのリーナさんがひらりと飛び降りる。

凄い!
いつの間に上に!?

木の枝からかな。颯爽と現れたリーナさんが、ゴブリン達から女戦士をもぎ取った!

その瞬間に剣士がリーナさんの腕を思いっきり引張って、女戦士もろともゴブリンの輪から引っこ抜いた時には、さすがのあたしだってうっかり飛び上がりそうなくらい興奮したよ!
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