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社の主

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不思議ねぇ。

お社の前で雅人おにーさんと聡がパンパンって手を叩いて頭を下げたら、お守りからおっきな力がわあってお社の方へ吸い込まれていくの。

白龍様がお守りに込めてた力がキラキラと光ってどんどんお社に吸い込まれていって、お守りがからっぽになったかなって時だった。

ビカビカビカッってスゴイ光がお社から放たれた。

もうねぇ、カミナリが落ちたかって思うくらいのすっごい光よ。あたしはもう眩しくて、何度も目をパチパチと瞬かせた。


「うわぁ……」


目を開けたらね、なんかもう言葉が出なかったよ。

だってね、すごいの。

とっても綺麗な男の人と、とっても綺麗な女の人が、優しい顔で笑ってるんだもの。こんなに綺麗な人見たことないよ。ほら、雅人おにーさんだって聡だってぽかーんって口を開けたままみとれてるもの。


「あのお方の尊き力を届けてくれたのだな、ありがとう人の子よ」


お日様みたいにあったかい声。女の人がしゃべってるの?

雅人おにーさん達は真っ赤になって、うまく言葉がでないみたい。この綺麗なお姉さんって誰なのかしら。

雅人おにーさん達があわあわしてるのも、その綺麗なお姉さんはニコニコと笑ってみている。とっても優しい人みたい。だって、霊力だってふわふわ柔らかくってまるで綿あめみたいだもの。白龍様と似た霊力なのに、こんなに優しい感じがするなんてとっても不思議。


「お姉さん、だあれ?」


雅人おにーさん達おしゃべり出来なくなっちゃったし、仕方なく自分で聞いてみたら、「コラ!」って後ろから頭を軽く小突かれた。

振り返ると、あの白い人が片膝をついたまま、あたしに顔だけで何かを一生懸命に訴えている。

でもゴメン。ゆうべ初めて会ったばっかりの人が言いたいことなんて、あたし全然わかんないよ……。困っちゃって首を傾げたら、白い人はがっくりとうなだれてしまった。


「これ、蘇芳。この子らはあのお方の遣いの者ぞ。礼を失してはならぬ」


今度は綺麗な男の人が喋った!

女の人に比べてなんだかちょっと怖い人よ? だって霊力が白い人の荒々しい霊力をもっともっとずっと大きく、濃ゆくした感じなの。今はニコニコ笑ってるけど、怒らせちゃいけない人だって本能で分かる。ほら、スオウって呼ばれた白い人だって急にシュンとしちゃったもの。

でもね、なんでかちょっと懐かしい感じもするの。お母さんみたいな草の匂いとお日様の匂いがするからかなぁ。

そういえば綺麗な男の人にはあたしとおんなじ狐耳がある!!! もしかしてお仲間なの?

そう思ったらすっごく嬉しくなった。
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