21 / 75
巨大ナメクジはひたすらエグかった
しおりを挟む
「たっ、助け……何か、こっちに来るっ」
可哀想に、譲はもう腰が抜けたようになっている。
まぁな、プルプルはしてないが、グニャグニャしてるしドロドロしてるし、あげくにヌメヌメしてるからな。こりゃしょうがないか。
「打撃は効きにくいわ。斬撃と氷系は普通に効くし、弱点は炎ね」
ミランダ姐さんの的確なアドバイスに、キャッシュちゃんが若干嫌な顔を見せたのが印象的だ。
キャッシュちゃんの得物は双剣。
防御を捨てて、右手にも左手にも短めの片手剣を持っている。スピードと手数で勝負するスタイルなだけに、自ずと敵との距離感は狭まるわけで。
あの巨大なヌメヌメと近距離で攻防とか、俺でも嫌だわ。
ゲームでは魔力温存のために容赦なく斬撃オンリーで倒してたけど、嫌がってたなんて気付かなかったんだ。
許してくれ、キャッシュちゃん。
「ここは任せてくれ!」
詫びの気持ちをこめて高らかに宣言し、ファイアを連続して放つ。
さすがにデカいだけあって、まだ低レベルな俺のひょろひょろファイアじゃ、3発でやっと仕留められるくらいだ。
息絶えるまでに巨大ナメクジは激しくのたうち回り、粘液やら酸っぽい液やらを撒き散らして何とも言えない異臭を放ち、最後には断末魔とも言える叫び声をあげ……動かなくなった頃には、軽く吐きたくなるおぞましさだった。
遠距離攻撃ならまだしも、肉弾戦でこれはキツい。今後もこの巨大ナメクジは俺のファイアでなんとかするしかないだろう。
キャッシュちゃんも巨大ナメクジの断末魔が怖かったのか、青い顔で遠巻きにしてるし、譲は……あれ? 譲は?
さっきいた筈の場所に姿が見えず、慌てて草を掻き分ければ、採取バッグを抱き締めたまま横たわる、華奢な体を発見した。
……あ、気絶していらっしゃる。
譲にあの巨大ナメクジの悶絶ぶりはキツ過ぎたか。可哀想に相当怖かったらしく、頬は涙でぐしゃぐしゃだ。
それにしても元の世界にいた時は、こんな気絶する程怖がったりしてなかったと思うんだけどなぁ。
デカくて視覚的にエグさが増してるのが悪いのか、それとも体が女になったから余計に怖がるようになってしまったのか。気になるところではあるが、本人気絶してるしな。
若干気になる点を残しながらも、俺は採取作業に戻る事にした。
キャッシュちゃんと一緒に川魚に挑んでいるうちに、やっと巨大ナメクジに削られた気力が回復してきたのを感じる。
さすが俺の天使。ほぼしゃべってくれなくても、真剣に獲物を狙ってる姿を見てるだけでも、めきめきと癒されるよなぁ。
可哀想に、譲はもう腰が抜けたようになっている。
まぁな、プルプルはしてないが、グニャグニャしてるしドロドロしてるし、あげくにヌメヌメしてるからな。こりゃしょうがないか。
「打撃は効きにくいわ。斬撃と氷系は普通に効くし、弱点は炎ね」
ミランダ姐さんの的確なアドバイスに、キャッシュちゃんが若干嫌な顔を見せたのが印象的だ。
キャッシュちゃんの得物は双剣。
防御を捨てて、右手にも左手にも短めの片手剣を持っている。スピードと手数で勝負するスタイルなだけに、自ずと敵との距離感は狭まるわけで。
あの巨大なヌメヌメと近距離で攻防とか、俺でも嫌だわ。
ゲームでは魔力温存のために容赦なく斬撃オンリーで倒してたけど、嫌がってたなんて気付かなかったんだ。
許してくれ、キャッシュちゃん。
「ここは任せてくれ!」
詫びの気持ちをこめて高らかに宣言し、ファイアを連続して放つ。
さすがにデカいだけあって、まだ低レベルな俺のひょろひょろファイアじゃ、3発でやっと仕留められるくらいだ。
息絶えるまでに巨大ナメクジは激しくのたうち回り、粘液やら酸っぽい液やらを撒き散らして何とも言えない異臭を放ち、最後には断末魔とも言える叫び声をあげ……動かなくなった頃には、軽く吐きたくなるおぞましさだった。
遠距離攻撃ならまだしも、肉弾戦でこれはキツい。今後もこの巨大ナメクジは俺のファイアでなんとかするしかないだろう。
キャッシュちゃんも巨大ナメクジの断末魔が怖かったのか、青い顔で遠巻きにしてるし、譲は……あれ? 譲は?
さっきいた筈の場所に姿が見えず、慌てて草を掻き分ければ、採取バッグを抱き締めたまま横たわる、華奢な体を発見した。
……あ、気絶していらっしゃる。
譲にあの巨大ナメクジの悶絶ぶりはキツ過ぎたか。可哀想に相当怖かったらしく、頬は涙でぐしゃぐしゃだ。
それにしても元の世界にいた時は、こんな気絶する程怖がったりしてなかったと思うんだけどなぁ。
デカくて視覚的にエグさが増してるのが悪いのか、それとも体が女になったから余計に怖がるようになってしまったのか。気になるところではあるが、本人気絶してるしな。
若干気になる点を残しながらも、俺は採取作業に戻る事にした。
キャッシュちゃんと一緒に川魚に挑んでいるうちに、やっと巨大ナメクジに削られた気力が回復してきたのを感じる。
さすが俺の天使。ほぼしゃべってくれなくても、真剣に獲物を狙ってる姿を見てるだけでも、めきめきと癒されるよなぁ。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
黒髪の聖女は薬師を装う
暇野無学
ファンタジー
天下無敵の聖女様(多分)でも治癒魔法は極力使いません。知られたら面倒なので隠して薬師になったのに、ポーションの効き目が有りすぎていきなり大騒ぎになっちまった。予定外の事ばかりで異世界転移は波瀾万丈の予感。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
追放?俺にとっては解放だ!~自惚れ勇者パーティに付き合いきれなくなった俺、捨てられた女神を助けてジョブ【楽園創造者】を授かり人生を謳歌する~
和成ソウイチ
ファンタジー
(全77話完結)【あなたの楽園、タダで創ります! 追放先はこちらへ】
「スカウトはダサい。男はつまらん。つーことでラクター、お前はクビな」
――その言葉を待ってたよ勇者スカル。じゃあな。
勇者のパワハラに愛想を尽かしていたスカウトのラクターは、クビ宣告を幸いに勇者パーティを出て行く。
かつては憧れていた勇者。だからこそここまで我慢してきたが、今はむしろ、追放されて心が晴れやかだった。
彼はスカルに仕える前から――いや、生まれた瞬間から決めていたことがあった。
一生懸命に生きる奴をリスペクトしよう。
実はラクターは転生者だった。生前、同じようにボロ布のようにこき使われていた幼馴染の同僚を失って以来、一生懸命に生きていても報われない奴の力になりたいと考え続けていた彼。だが、転生者であるにも関わらずラクターにはまだ、特別な力はなかった。
ところが、追放された直後にとある女神を救ったことでラクターの人生は一変する。
どうやら勇者パーティのせいで女神でありながら奴隷として売り飛ばされたらしい。
解放した女神が憑依したことにより、ラクターはジョブ【楽園創造者】に目覚める。
その能力は、文字通り理想とする空間を自由に創造できるチートなものだった。
しばらくひとりで暮らしたかったラクターは、ふと気付く。
――一生懸命生きてるのは、何も人間だけじゃないよな?
こうして人里離れた森の中で動植物たちのために【楽園創造者】の力を使い、彼らと共存生活を始めたラクター。
そこで彼は、神獣の忘れ形見の人狼少女や御神木の大精霊たちと出逢い、楽園を大きくしていく。
さらには、とある事件をきっかけに理不尽に追放された人々のために無料で楽園を創る活動を開始する。
やがてラクターは彼を慕う大勢の仲間たちとともに、自分たちだけの楽園で人生を謳歌するのだった。
一方、ラクターを追放し、さらには彼と敵対したことをきっかけに、スカルを始めとした勇者パーティは急速に衰退していく。
(他サイトでも投稿中)
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる