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【譲視点】オレ……今、女なんだ
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「ちょっと待ってろ、今考えてる」
そう言ってから、ずーっと陸は難しい顔で地べたを睨んだままだ。
こうなると長いんだよな……。
でも、しゃーねーか。いくらここが陸がやってたゲームの世界みたいだっつっても、陸だってなんでも知ってるわけじゃねーだろうし。
だいたい、なんだってこんな事になっちまったんだか。
直立不動で足元ばっかり見てる陸を眺めてたらちょっとだけ落ち着いてきて、オレはようやっと冷静にこれまでの状況を振り返ろうと思えてきた。
あの時は確か……ムカッ腹がたって、陸の腹に軽く一発お見舞いしてたんだよな。
その瞬間に、爆発!? みてえなデッケエ音が聴こえて、目の前が真っ白になって……気がついたら、目の前にいた筈の陸が、なんか知らねえヤツになってたんだ。
ありゃあほんと、ビックリした。
いっつも見下ろしてた黒い髪も、ちょっと低めの鼻も、フチなしメガネも。どっこもかすりもしねえイケメンがジロジロこっちを見てくるんだから、そりゃパニックになるわ。
春の空みてえな、ありえない青い髪してるし、顔色も病気かっつうくらい白いし、目の色なんか赤だぞ?
変なマントみたいな服着てるしよ。しかもオレよりデケエときた。
実際はオレがちっこくなってたワケだが、あれは衝撃だった。なんせ見上げる事なんか滅多にねえし。
さっきの爆発っぽいのも、陸がいきなりいないのも、この得体の知れねえヤツがなんかしたせいなんじゃねえかと思って問い詰めたあげく「俺が陸だよ」なんて言われた日にゃ、マジでぶん殴ろうかと思ったってのに。
…………まさか、ほんとに『そう』で、しかも自分が『女』になってるなんてな。
また、泣きたくなってきた。
くそ、なんなんだよ。オレ、こんな簡単にちょいちょい泣くキャラじゃねえだろ。さっきも陸を困らせたばっかなのに、こんな道の真ん中で泣きたくなんかねえ。ちくしょう、陸なんか平気な顔してるじゃねえか。
両手をぐっと握りこんで、泣かねえように必死で堪える。
この体になってから、なんか変だ。
さっき陸に胸をつかまれた時だって、びっくりしただけだったってのに、急に恥ずかしさが込み上げてきて、ボロ泣きするのを止められなかった。
あんなの、別に。
……ちくしょう、なんで。恥ずかしいって気持ちが湧いて来るんだよ……!
「そこの可愛いお嬢ちゃん、ちょっと見て行かんかね」
自分でもワケがわかんねえ感情に内心ジタバタしてたら、なんか知らねえばあちゃんに、イキナリ話しかけられた。
露店っていうのか? 色んな花を並べて売ってるみてえだ。
「可愛い顔して、眉間に皺寄せてしかめっ面しちゃいかんよ」
「え……」
びっくり、した。
だってばあちゃん、オレの顔見てニコニコしてる。
「え、オレ?」
笑って頷くばあちゃんに、「怖くねえの?」と聞こうとして、気が付いた。
そっか、オレ……今、女なんだ。
「ああ、そうやって笑った方が可愛いよ。どれ、これをあげよう。今度来たときにゃ何か買ってくれると嬉しいけどねえ」
ばあちゃんが、オレの手にキレイなピンクの花を握らせてくれる。金払うって言っても「いいからいいから」って……顔、シワシワにして笑うんだ。
どうしよう、すげえ、嬉しいかも……。
「あ、ありがと……」
言い慣れなくてあんま声出なかったけど、それでもばあちゃんは「いい子だねえ」って笑ってくれて……オレは、またちょっと泣きたくなった。
そう言ってから、ずーっと陸は難しい顔で地べたを睨んだままだ。
こうなると長いんだよな……。
でも、しゃーねーか。いくらここが陸がやってたゲームの世界みたいだっつっても、陸だってなんでも知ってるわけじゃねーだろうし。
だいたい、なんだってこんな事になっちまったんだか。
直立不動で足元ばっかり見てる陸を眺めてたらちょっとだけ落ち着いてきて、オレはようやっと冷静にこれまでの状況を振り返ろうと思えてきた。
あの時は確か……ムカッ腹がたって、陸の腹に軽く一発お見舞いしてたんだよな。
その瞬間に、爆発!? みてえなデッケエ音が聴こえて、目の前が真っ白になって……気がついたら、目の前にいた筈の陸が、なんか知らねえヤツになってたんだ。
ありゃあほんと、ビックリした。
いっつも見下ろしてた黒い髪も、ちょっと低めの鼻も、フチなしメガネも。どっこもかすりもしねえイケメンがジロジロこっちを見てくるんだから、そりゃパニックになるわ。
春の空みてえな、ありえない青い髪してるし、顔色も病気かっつうくらい白いし、目の色なんか赤だぞ?
変なマントみたいな服着てるしよ。しかもオレよりデケエときた。
実際はオレがちっこくなってたワケだが、あれは衝撃だった。なんせ見上げる事なんか滅多にねえし。
さっきの爆発っぽいのも、陸がいきなりいないのも、この得体の知れねえヤツがなんかしたせいなんじゃねえかと思って問い詰めたあげく「俺が陸だよ」なんて言われた日にゃ、マジでぶん殴ろうかと思ったってのに。
…………まさか、ほんとに『そう』で、しかも自分が『女』になってるなんてな。
また、泣きたくなってきた。
くそ、なんなんだよ。オレ、こんな簡単にちょいちょい泣くキャラじゃねえだろ。さっきも陸を困らせたばっかなのに、こんな道の真ん中で泣きたくなんかねえ。ちくしょう、陸なんか平気な顔してるじゃねえか。
両手をぐっと握りこんで、泣かねえように必死で堪える。
この体になってから、なんか変だ。
さっき陸に胸をつかまれた時だって、びっくりしただけだったってのに、急に恥ずかしさが込み上げてきて、ボロ泣きするのを止められなかった。
あんなの、別に。
……ちくしょう、なんで。恥ずかしいって気持ちが湧いて来るんだよ……!
「そこの可愛いお嬢ちゃん、ちょっと見て行かんかね」
自分でもワケがわかんねえ感情に内心ジタバタしてたら、なんか知らねえばあちゃんに、イキナリ話しかけられた。
露店っていうのか? 色んな花を並べて売ってるみてえだ。
「可愛い顔して、眉間に皺寄せてしかめっ面しちゃいかんよ」
「え……」
びっくり、した。
だってばあちゃん、オレの顔見てニコニコしてる。
「え、オレ?」
笑って頷くばあちゃんに、「怖くねえの?」と聞こうとして、気が付いた。
そっか、オレ……今、女なんだ。
「ああ、そうやって笑った方が可愛いよ。どれ、これをあげよう。今度来たときにゃ何か買ってくれると嬉しいけどねえ」
ばあちゃんが、オレの手にキレイなピンクの花を握らせてくれる。金払うって言っても「いいからいいから」って……顔、シワシワにして笑うんだ。
どうしよう、すげえ、嬉しいかも……。
「あ、ありがと……」
言い慣れなくてあんま声出なかったけど、それでもばあちゃんは「いい子だねえ」って笑ってくれて……オレは、またちょっと泣きたくなった。
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