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ムー大陸編
32ムー大陸豆知識
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アルハザードが訓練を開始してから三日が経った。その間、昼前は神谷がギターの練習、アルハザードは邪神相手に精神を島の住人のものに合わせる練習をして過ごし、午後からはアルハザードは訓練に出かけ、神谷はラ・ム一に呼ばれてギターを弾いたり、王や他の黄金人たちと話をする機会を得た。
ラ・ム一との会話で少し分かったことがあった。
・この国には元々黄金人とそれに仕える白色人だけが住んでいた。
・赤色人と青色人が住むようになったのは、国を守る兵士として赤色人、雑用係として赤色人を必要としたため、近隣の国から呼んで住まわせている。
・精神力増幅機で生体ェネルギーを吸い上げるため、元々住んでいた白色人の末裔以外は定期的に自国の人間と人れ代わる。
・王は代々ラ・ム一を名乗っていて、現王はニ五代目であること。
・現王の王になる前の名前はチャーゴグガゴグマンチャウグガゴグチャウバナガンガマウグであること(これは一回聞いただけで忘れてしまった)。
・この国では月の満ち欠けを基準とした暦、現代の日本でいう旧暦を使用している(この国の天文に関する知識はかなりのもので、日食や月食についても正確に把握しているようだった。とはいっても、神谷が天文学の詳しい知識を持ち合わせていないので、あくまでも神谷の主観である)
・神谷たちが国の外で会った車に乗れる人間の選抜方法について訊いてみたが「そのうちに分かるだろう」とだけ答えられた。
・この国の黄金人は中世ヨーロッパの貴族のような存在で、働くことはなく、周りの国々からの貢物と青色人、赤色人の労働による産物で生活が成り立っている。
・この国の乗り物は飛行船と車だけで、この島の住民はこの島と周辺の海だけが世界の全てと思っているため、船を造って島の外に出ようとは思っていない(海産物は海辺の漁で捕れるものに限られている)。
・ヒラニプラの神を熱心に信仰しているが、歴代の王もそれに次ぐ存在だと思っている(神はウルフシュレーゲルスタインハウゼンべルガードルフフォラルテンワレンゲウィッセンハフトシャフェルスウェッセンシャフェワレンウォ一ルゲプフレゲウントゾルグファルチヒカイトべシュツヱンフォンアングライフェンドゥルヒイーラウプゲーリグフェンデウェルヒフォラルテルンツォルフタオセントヤーレスフォランデ一ェルシェイネンワンデルェステールデンェンシュデラウムシフゲブラウヒフリフトアルスザインウァシュプルンクフォンクラフトゲスタルトザインランゲファールトヒンツウィッシェンステイナルチグラウムアウフデアズーへンアッハディェステルンウェルヒゲハープトべウォーンバルプラネテンクレーゼドレーェンジヒウントウォヒンデアノイラッセウォンウェルスタンディグメンシュリックカイトコンテフォルツプランツェンウントジフェルフロイェンアンレべンスラングリフフロイデウントルーエミツニヒツアインフルヒトフオアアングライフエンフォンアンデラーインテリゲントゲシヨプスフオンヒンツウイッシエンステルナルトグラウメンという冗談のような長い名前の人の姿をした創造主であり、唯一無二の存在である)
・曜日の感覚がないため、神を礼拝するのは満月の日の夜と決まっている。
などであるが、人の名前がやたらと長いのはこの異常に長い名前の神の存在故かもしれない。(とてもではないが、紙に書いても正確に読むことさえできない。ラ・ム一は王位についてからおよそ三百年間、満月のたびにこの名前を呼んでいるために暗記しているのだそうだ)
「大分コツが掴めてきたよ」
アルハザードが部屋に戻って、紅茶を飲みながら言った。三日でコツを掴めることが早いのか遅いのかは分からない。
「僕もラ・ム一から少しだけどこの島のことを聞いたよ」
「そのようだね。但し、肝心なことは教えもらっていないね」
「肝心なこと?」
「たとえば、あの車に乗っていた者は何をしに行ったのか、とかね」
「何をしに行ったのかな」
「そんなこと教えてくれるはずがないだろ。自分で確かめるしかないんだよ」
アルハザード空になったカップをテーブルに置くと、カップごとテーブルが消失した。
「今日は夜に少し散策の続きをしようかな」
アルハザードが横になった。訓練の後は少し横になることが習慣になりつつある。
この魔人にとっても、訓練は精神的な負荷が大きいようだ。
「何か前とは違ったものが見られるのかな」
「そのようだね、夕食の後はまたワインでも飲みながら、ゆっくり時間をつぶすことにしよう」
その前に邪神にギターを聴かせるサービスをすることは言うまでもない。
「そろそろ出かけるとしようか」
二人で赤ワインをボトル一本ずつ飲んだ時、アルハザードが立ち上がった。
神谷の腕時計の針は夜の十一時を指していた。この国の住民は皆早寝早起きらしく、十時を過ぎると王宮の中は閑散として廊下を歩いている者は誰もいない。
「この国の人たちはみんなこんなに健康的な生活をしているのかな」
「健康的な生活というよりも、生体エネルギーを吸われて、早く寝てしまうんじゃないかな」
「それじゃあ、この前の黒い玉を作っている人たちも、きっと元気な方なんだろうね」
「そうだろうね、じゃなければ夜遅くにあんなに動き回って作業はできないだろうね」
部屋を出て、通路を通り階段を降りてからしばらく歩き「ここだね」と言ってアルハザードが壁に手を当てるといつものように穴が開いた。
中は先日黒い玉を製造していた部屋だった。また二人の姿は互いにのみ見える透明になった。
部屋の隅をみると先日の五倍くらいの量の黒い袋があった。
「すこし黙って見ていることにしよう」
アルハザードの言葉通り、静かにたたずんで状況を見ることにした。
ラ・ム一との会話で少し分かったことがあった。
・この国には元々黄金人とそれに仕える白色人だけが住んでいた。
・赤色人と青色人が住むようになったのは、国を守る兵士として赤色人、雑用係として赤色人を必要としたため、近隣の国から呼んで住まわせている。
・精神力増幅機で生体ェネルギーを吸い上げるため、元々住んでいた白色人の末裔以外は定期的に自国の人間と人れ代わる。
・王は代々ラ・ム一を名乗っていて、現王はニ五代目であること。
・現王の王になる前の名前はチャーゴグガゴグマンチャウグガゴグチャウバナガンガマウグであること(これは一回聞いただけで忘れてしまった)。
・この国では月の満ち欠けを基準とした暦、現代の日本でいう旧暦を使用している(この国の天文に関する知識はかなりのもので、日食や月食についても正確に把握しているようだった。とはいっても、神谷が天文学の詳しい知識を持ち合わせていないので、あくまでも神谷の主観である)
・神谷たちが国の外で会った車に乗れる人間の選抜方法について訊いてみたが「そのうちに分かるだろう」とだけ答えられた。
・この国の黄金人は中世ヨーロッパの貴族のような存在で、働くことはなく、周りの国々からの貢物と青色人、赤色人の労働による産物で生活が成り立っている。
・この国の乗り物は飛行船と車だけで、この島の住民はこの島と周辺の海だけが世界の全てと思っているため、船を造って島の外に出ようとは思っていない(海産物は海辺の漁で捕れるものに限られている)。
・ヒラニプラの神を熱心に信仰しているが、歴代の王もそれに次ぐ存在だと思っている(神はウルフシュレーゲルスタインハウゼンべルガードルフフォラルテンワレンゲウィッセンハフトシャフェルスウェッセンシャフェワレンウォ一ルゲプフレゲウントゾルグファルチヒカイトべシュツヱンフォンアングライフェンドゥルヒイーラウプゲーリグフェンデウェルヒフォラルテルンツォルフタオセントヤーレスフォランデ一ェルシェイネンワンデルェステールデンェンシュデラウムシフゲブラウヒフリフトアルスザインウァシュプルンクフォンクラフトゲスタルトザインランゲファールトヒンツウィッシェンステイナルチグラウムアウフデアズーへンアッハディェステルンウェルヒゲハープトべウォーンバルプラネテンクレーゼドレーェンジヒウントウォヒンデアノイラッセウォンウェルスタンディグメンシュリックカイトコンテフォルツプランツェンウントジフェルフロイェンアンレべンスラングリフフロイデウントルーエミツニヒツアインフルヒトフオアアングライフエンフォンアンデラーインテリゲントゲシヨプスフオンヒンツウイッシエンステルナルトグラウメンという冗談のような長い名前の人の姿をした創造主であり、唯一無二の存在である)
・曜日の感覚がないため、神を礼拝するのは満月の日の夜と決まっている。
などであるが、人の名前がやたらと長いのはこの異常に長い名前の神の存在故かもしれない。(とてもではないが、紙に書いても正確に読むことさえできない。ラ・ム一は王位についてからおよそ三百年間、満月のたびにこの名前を呼んでいるために暗記しているのだそうだ)
「大分コツが掴めてきたよ」
アルハザードが部屋に戻って、紅茶を飲みながら言った。三日でコツを掴めることが早いのか遅いのかは分からない。
「僕もラ・ム一から少しだけどこの島のことを聞いたよ」
「そのようだね。但し、肝心なことは教えもらっていないね」
「肝心なこと?」
「たとえば、あの車に乗っていた者は何をしに行ったのか、とかね」
「何をしに行ったのかな」
「そんなこと教えてくれるはずがないだろ。自分で確かめるしかないんだよ」
アルハザード空になったカップをテーブルに置くと、カップごとテーブルが消失した。
「今日は夜に少し散策の続きをしようかな」
アルハザードが横になった。訓練の後は少し横になることが習慣になりつつある。
この魔人にとっても、訓練は精神的な負荷が大きいようだ。
「何か前とは違ったものが見られるのかな」
「そのようだね、夕食の後はまたワインでも飲みながら、ゆっくり時間をつぶすことにしよう」
その前に邪神にギターを聴かせるサービスをすることは言うまでもない。
「そろそろ出かけるとしようか」
二人で赤ワインをボトル一本ずつ飲んだ時、アルハザードが立ち上がった。
神谷の腕時計の針は夜の十一時を指していた。この国の住民は皆早寝早起きらしく、十時を過ぎると王宮の中は閑散として廊下を歩いている者は誰もいない。
「この国の人たちはみんなこんなに健康的な生活をしているのかな」
「健康的な生活というよりも、生体エネルギーを吸われて、早く寝てしまうんじゃないかな」
「それじゃあ、この前の黒い玉を作っている人たちも、きっと元気な方なんだろうね」
「そうだろうね、じゃなければ夜遅くにあんなに動き回って作業はできないだろうね」
部屋を出て、通路を通り階段を降りてからしばらく歩き「ここだね」と言ってアルハザードが壁に手を当てるといつものように穴が開いた。
中は先日黒い玉を製造していた部屋だった。また二人の姿は互いにのみ見える透明になった。
部屋の隅をみると先日の五倍くらいの量の黒い袋があった。
「すこし黙って見ていることにしよう」
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