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21話
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「ま、詳しい話は"お風呂"の後にしましょうか。このままじゃ湯上がりじゃなくても風邪をひくかもしれないし……"この世界"で病気になるのは危険だってわかるでしょ?」
「まぁ……医療技術のレベルって意味ですよね?」
「そうよ。さ、入りましょ」
そんなわけで、転生者であることがバレた俺は同じく転生者であるアニスエラの言葉で入浴を共にすることにし、彼女のメイドさんであるメリーさんに大人しく脱がされる事となった。
その後、メリーさんも裸になって2人は俺を浴室へ連れ込む。
逃げる気はないとわかっていながらも、彼女達は自らの身体で前後から俺を洗い出し、逃さないという固い意志と女体の魅惑的な柔らかさを俺に示した。
で、1人が自分の身体を洗っている間にもう1人が俺に抱き着いているという形で洗体を終え、浴槽のお湯に並んで浸かる。
「ハアァァァ……久しぶりだけどこれはいいわぁ♪」
「ええ。これが小さい魔石を数個しか使わないのでしたら、入れ物さえ用意できれば毎日でも湯浴みをできますね。それにその他の洗い物にも……」
「あぁ、そうね。でも汚れによってはお湯だと落ちにくくなる物もあるから気をつけないといけないけど」
「ああ……」
アニスエラの言葉で察したメリーさんは、その内容から口にしなかったが……まぁ、血液による汚れだろう。
そんな話をしている2人は俺の左右に陣取っている。
同じ方向を向いてであれば7、8人は足を伸ばして入れる広さがあるのに、彼女達は俺にピッタリと密着し、更にはそれぞれの太ももに俺の手を挟み込んでいた。
そんな彼女達が一息つくと、アニスエラが俺に転生の件で質問してくる。
「で、とりあえず聞くんだけど……アンタは前世で何歳だったの?」
「……聞く必要あります?それ」
周囲に聞き込みをされるとか、もしくは女の勘で俺の女性関係に気づかれれば、精神的に成人している俺が未成年のリーナさんらに手を出したことがバレる。
まぁ、俺の硬くなったモノへの反応を見る限りはアニスエラだって相応の歳なのだろうし、そうなると彼女も未成年の俺に手を出そうとしていたわけだから強くは責められないはずだが。
とはいえ知られて気不味いのは確かなので、聞き返すことではぐらかそうとすると……
「まぁ、それは別にいいか。アンタの態度からそこそこ大人なのはわかるし」
と俺の質問にそう返し、アッサリと別の質問に変えてきた。
「じゃあ……"この世界"がどういう所かわかってる?」
「世界?んー……冒険者がいるし魔法もあるから、西洋風のファンタジーな世界なんじゃないですか?」
「あー、わかってないのかぁ……まぁ、仕方ないんでしょうけどね」
「仕方ないって?」
アニスエラの反応にそう聞き返すと、彼女は予想外の答えを返してきた。
「この世界、とある女性向けゲームの世界なのよ」
「えっ!?マジ……ですか?」
「大マジよ。ここは……」
彼女の説明によると、王都の学園に転入する女性主人公が攻略対象の男性陣と交流を持って成長し合い、その交流を邪魔しようとする者達と戦ったりする育成シミュレーションなのだそうだ。
「で、私が身体を使ってでもアンタを今回の戦力に、もっと言えば今後も力を貸してもらおうとしてるのは……そのゲームの中での私の立ち位置のせいなのよ」
「えーっと……そこは仮にでも惚れたからとか言っておいたほうがいいところなんじゃないんですか?」
「リョーガさんに聞いた限り、力があっても積極的に自分を売り込むつもりがない。つまり面倒事を嫌ってるわけでしょ?その上、精神的に大人みたいだし……なら嘘で惚れたって言った程度じゃ動かせないと思ったからね」
「そうなると、その立ち位置というのには俺を動かせる事情があるってことですか?」
「もう1つ別の要素もあるんだけど……まぁ、嘘で惚れたって言うよりは。一応言っておくと、別にアンタが好みじゃないわけじゃないわよ?」
「あ、はい」
その俺の反応に、アニスエラはジト目で覗き込むようにこちらを見てくる。
「……」
「……何か?」
「何でもないわ。で、話を戻すけど……この世界の歴史がそのゲーム通りに進むのなら、私は悲惨な目に遭ってしまうのよ」
「悲惨な目って?」
俺がそう聞き返すと、彼女は湯面に視線を落として説明する。
「えっと……簡単に言うと、私はそのゲームの中で悪役なのよ。それで、最終的には国外へ追放されることになるの」
「はあ」
うーん……確かに可愛そうではあるが、悲惨と言うほどだろうか?
いやまぁ、ゲーム内ではそれだけの事をやったからなのだろうが、前世の記憶を取り戻した彼女からすると他人がやった事でその罪を着せられる感覚なのかもしれない。
だが国外追放がどのぐらい辛いのか、その辺りの感覚は人それぞれかもしれないが……俺は言語が通じないぐらいか?と考えていた。
そう思っていたことが顔に出ていたのか、俺の反応を確認するためにこちらを見たアニスエラは追加情報を出してくる。
「ただ追放されるだけじゃないのよ。追放が決まるのは王都なんだけど、そこを出発してからは輸送を請け負った冒険者達に犯されまくるし、国境を越えた辺りで最後にって盛大に輪姦される上、そこでやたら強いオークの集団に襲われて行方不明ってことになるの……魔物の集団に犯されてるイラスト付きでね」
あら、そんな事になるのか。
「それなら確かに悲惨ではありますが……女性向けでそこまで描写されてるゲームって」
そう言うと彼女の顔は少々の赤みを増した。
「まぁ……年齢制限のあるゲームだったしね。主人公目線だとそういうシーンは男の裸が多いんだけど……悪役だと私だけじゃなく皆そういう目に遭うのよ」
「敵が悲惨な目に遭うってところに満足する感覚はなくもないんですが、女性向けで女性のそういうシーンなんて需要はあるんですか?」
「まぁ、男がそのゲームをやらないってわけでもないし、何と言うか……ただ殴る蹴るじゃ男がやられるのと同じでしょ?そこで女特有の悲惨な目に遭わせることで酷さを強調して、プレイヤーをより満足させようとしてたってことなんじゃない?」
「なるほど……」
男がそういう目に遭う作品もあるのだろうが、彼女の言うゲームは女性向けであり、攻略対象の男が……というのはメーカー側からするとリスクが高いのかな?
俺にそういう趣味はないのでよくわからないが。
とにかく、彼女はその結末を迎えたくないから俺を味方に、と考えているのはわかった。
ただ……
「それを回避したいのはわかりましたが、俺が協力しなくても主人公に関わらなければ回避できるんじゃないですか?」
「しようとは思ってるけど……前世の事を思い出したときにはもう家の都合で結婚相手を探しに行くって事まで決まってたのよ。今から怪我でもして遅らせることぐらいはできたとしても、それは主人公が卒業するまで遅らせないといけないから相当な大怪我じゃないと……」
「ああ、主人公に会わないためとなるとそうなりますね」
「でもそんな怪我したら後遺症が残る可能性だって高いでしょ?流石にそれは困るし、なんならその主人公が私を治しに来るかもしれないわ」
「え?なんで主人公が?」
「よくある設定だけど……その主人公は治癒能力なんかがある"聖女"ってスキルに目覚めて、それがきっかけで学園に入学してくるのよ」
あぁ、こういう特殊能力はまとめて"スキル"って表現でいいのか。
「治癒能力を持ってるのはわかりましたけど、その主人公がわざわざ貴女の家にまで来ますかね?」
その問いにアニスエラは軽く溜め息をつく。
「ハァ。普通にキャラとして登場する存在に私が転生してるのよ?だとしたら……主人公だって誰かが転生してるのかもしれないでしょ?」
「まぁ、可能性はありますね」
「で、主人公に転生した奴がこの世界のことを知っていたら……」
その先を察した俺は言葉を引き継ぐ。
「ゲーム通りに事を進めたくなる、と?」
「そういうこと。世界の危機に立ち向かう、なんて話はないし、多少は危ない目に遭うけど攻略対象に助けてもらえるのがわかってるからね」
「それのために治しに来るってことは……貴女は重要なキャラなんですね」
「悪い意味で、だけどね。つまり、何らかの形で学園への入学を回避しようとしても主人公が無理矢理シナリオに合わせようとするかもしれないから、何処かへ逃げても追われることになりそうなのよ」
「転生者ではない可能性もありそうですけど」
「その可能性に賭けてゲーム通りに進むのが嫌だから……私はここに来ているの」
「ん?どういう事ですか?この村に何かあるんですか?」
そう聞いてみると……彼女は少し言いづらそうに答える。
「それは……ここが存在しないはずの村だからよ」
「えっ」
聞けば、ゲームのスタート時点で彼女はすでに王都の学園へ通っており、それ以前の事はあまり描かれていないそうだ。
ただ、過去の記録としてこの村が魔物の集団に襲われ、男は殺され女は連れ去られるということがあったらしく……彼女の住む村も襲われそうなところを家が所属する派閥に支援してもらって借りを作っており、その影響で彼女は上からの指示に逆らえないというキャラだったようだ。
そういった同情の余地があることに加えて顔やスタイルの良さもあり、その上で性的なシーンがあったので一部の男性プレイヤーからは人気があったらしい。
「ちなみに、予定通りならもっと大きくなるわ」
その言葉がどこのことを言っているのか、それを察した俺は視線を下げる。
現時点でも浮いているように見えるぐらいにはあるが……もっとデカくなるのか。
「で、話を戻すと……この村が魔物に襲われるのを防ぎたくてもうちの戦力じゃ難しい。かと言ってこの村の人を避難させても復興に派閥の援助を受けることになって結局はその影響を受けるでしょうから……ゴーレムを作るスキルなんてものを持ってるアンタに賭けようと思って来たのよ」
「それがここに来られた理由ですか」
「ええ。魔物の襲撃を防げれば村は無事だし、そうなると派閥に借りを作ることもない。主人公がシナリオを修正しようにも、理由もなく村を滅ぼすことはできないでしょ?」
「でも、それは魔物の襲撃を防げた場合の話ですよね?ゲームで村が滅ぼされてたんなら、俺は村を守れなかったんじゃないですか?」
「そこよ!」
ギュッ
「う」
そう言いながら、彼女は俺のモノを握ってきた。
「そこって……俺の股間に何かあるんですか?」
「え?いや、これは別に関係ないわ。重要なのは……"ジオ"って子供はゲームで生き延びてるんだけど、その子にゴーレムを作るスキルなんてないのよ」
「え、そうなんですか?」
「ええ。なんとなく魔物のいる方向がわかるっぽいことは語られてたけど、スキルかどうかはわかってなかったわ」
「うーん……」
モノを握ったのはただの勢いらしいが、それは一旦置いておく。
それにしても、一体どういうことだ?
魔物のいる方向がわかるってのは魔石の位置を察知できる能力だろうけど……あ、もしかして。
「それがゴーレムを作るスキルの一部だとは気づいていなかったのかもしれませんね」
「え?どういうこと?」
聞かれた俺はゴーレムを作るスキルの一部として、魔石の位置を察知できることを説明する。
それを聞いたアニスエラは……モノを握る手に力を込めた。
「なるほど、そういうことだったのね。なら……それを把握できているアンタは魔物の襲撃を防げるかもしれないわよね?」
「それは……このスキルにハッキリと目覚めたときにゴブリンを4体倒したぐらいなんで、大きな集団となると不安ですね。貴女は何か特殊な力をお持ちでないんですか?」
「私に魔物の襲撃を防ぐ力なんてまだないわよ」
「あぁ……ん?」
その返答に一瞬ガッカリするが、気になった部分がある。
「どうかした?」
「いや……魔物の襲撃を防ぐ力がまだないってどういう事ですか?」
「あぁ……ゲームで出てくるときにはもう使えてたからいつなのかはわからないんだけど、身体能力を強化できるスキルを使えるようになるのよ」
「へぇ、それがあれば魔物と戦えるんですか?」
「まぁね。制限はあっても最終的にはかなり力が強くなるし、丈夫になったりするから……しぶとく生き残って、終盤まで主人公の邪魔するからプレイヤーに嫌われるのよね……」
そう言って後半から気落ちした表情になるアニスエラ。
うーむ。
自分のためでもあるとは言え、この村の人達を助けようとしてくれてるわけだよな。
両親を始め、関係を持った女性や世話になった人も居るわけだし、アニスエラが可哀想だとも思うので……ここはやるだけやってみるか。
「わかりました。やれるだけやってみましょう」
「いいの!?」
俺の言葉に驚きつつも、嬉しそうな顔をするアニスエラ。
「危なくなったら逃げて村の人を避難させますけどね」
その場合、シナリオを変えたいというアニスエラの目的は二の次だと言う意味だが……彼女は頷いた。
「構わないわ。村人が無事なだけでもシナリオは変わるかもしれないし……」
ザパァッ
そう言うと彼女はお湯の中で身体を動かし、伸ばしていた俺の脚に跨ってくる。
握られていたモノは位置を調整され、アニスエラの入口に添えられた。
ぬっ……
先端がほんの少し潜り込んだ形になると、彼女は両手で俺の両肩をガシッと掴む。
行動の意図はわかるのだが、俺は自分の都合でもあるので止めようとする。
「いや、いいですってこんな事しなくても」
「言い出したのこっちだし、危ない目に遭うんだから……村に居る間は私を好きにしていいわ」
それに続き、今まで口を閉ざしていたメリーさんも同様のことを言ってきた。
「ならば私もお好きなように」
「え、貴女も?」
そう聞き返すとアニスエラが答えた。
「ああ、予定通りに進むとメリーも巻き添えなのよ」
コクリ
彼女の言葉を肯定するように頷くメリーさん。
「それは……貴女だけ逃げることはできないんですか?」
「私がアニス様の従者であることは周知の事です。今逃げても今後アニス様がお話通りに事を起こせば……私も何らかの関与を疑われて追われる身になるでしょう。王族まで関わることになるそうですし、余程の事がなければ逃げ切れはしません」
「いや、彼女の言う事が事実だとは限りませんよ?」
そう返したところ、メリーさんはハッキリと首を横に振った。
「いえ、事実でしょう。詳しくは言えませんが……まだ知らないはずの事をご存知でしたので」
「はぁ、そうなんですか……」
詳しい話が出てこない以上、それですんなりと納得はできないが……まぁ、本人が納得しているのなら俺がどうこう言うことじゃないか。
そんな感じで無理矢理納得したところ、脚に跨るアニスエラがズィっとその身を寄せてきた。
むにゅり
スリッ、スリッ……
ヌッ、ヌッ、ヌッ……
今後も成長予定らしい豊かな胸は潰すかのように押し付けられ、生える予定は不明の股間で俺の硬くなっていたモノの先端を小刻みに出し入れする。
ザバッ、むにゅ
それを援護するようにメリーさんが膝立ちになり、お湯から上げたばかりの胸を顔の横から押し当ててきた。
「……ね?♡」
「しましょう?♡」
そう誘ってくる彼女達に俺は……待ったを掛ける。
「待った待った!ほら、帰りが遅くなると不味いでしょう?」
彼女達は村長宅に泊まるわけだし、よほど短時間で終わらない限りは色々と疑われてしまうだろう。
もちろん、俺はそこまで早くはないし。
俺がそう言うと彼女達は顔を見合わせ、頷き合って言葉を返してきた。
「大丈夫よ。ここに泊まることは言ってあるから♪」
「ですので……時間は気にせず、お好きなだけどうぞ♡」
「え?」
ずにゅ
え?
「まぁ……医療技術のレベルって意味ですよね?」
「そうよ。さ、入りましょ」
そんなわけで、転生者であることがバレた俺は同じく転生者であるアニスエラの言葉で入浴を共にすることにし、彼女のメイドさんであるメリーさんに大人しく脱がされる事となった。
その後、メリーさんも裸になって2人は俺を浴室へ連れ込む。
逃げる気はないとわかっていながらも、彼女達は自らの身体で前後から俺を洗い出し、逃さないという固い意志と女体の魅惑的な柔らかさを俺に示した。
で、1人が自分の身体を洗っている間にもう1人が俺に抱き着いているという形で洗体を終え、浴槽のお湯に並んで浸かる。
「ハアァァァ……久しぶりだけどこれはいいわぁ♪」
「ええ。これが小さい魔石を数個しか使わないのでしたら、入れ物さえ用意できれば毎日でも湯浴みをできますね。それにその他の洗い物にも……」
「あぁ、そうね。でも汚れによってはお湯だと落ちにくくなる物もあるから気をつけないといけないけど」
「ああ……」
アニスエラの言葉で察したメリーさんは、その内容から口にしなかったが……まぁ、血液による汚れだろう。
そんな話をしている2人は俺の左右に陣取っている。
同じ方向を向いてであれば7、8人は足を伸ばして入れる広さがあるのに、彼女達は俺にピッタリと密着し、更にはそれぞれの太ももに俺の手を挟み込んでいた。
そんな彼女達が一息つくと、アニスエラが俺に転生の件で質問してくる。
「で、とりあえず聞くんだけど……アンタは前世で何歳だったの?」
「……聞く必要あります?それ」
周囲に聞き込みをされるとか、もしくは女の勘で俺の女性関係に気づかれれば、精神的に成人している俺が未成年のリーナさんらに手を出したことがバレる。
まぁ、俺の硬くなったモノへの反応を見る限りはアニスエラだって相応の歳なのだろうし、そうなると彼女も未成年の俺に手を出そうとしていたわけだから強くは責められないはずだが。
とはいえ知られて気不味いのは確かなので、聞き返すことではぐらかそうとすると……
「まぁ、それは別にいいか。アンタの態度からそこそこ大人なのはわかるし」
と俺の質問にそう返し、アッサリと別の質問に変えてきた。
「じゃあ……"この世界"がどういう所かわかってる?」
「世界?んー……冒険者がいるし魔法もあるから、西洋風のファンタジーな世界なんじゃないですか?」
「あー、わかってないのかぁ……まぁ、仕方ないんでしょうけどね」
「仕方ないって?」
アニスエラの反応にそう聞き返すと、彼女は予想外の答えを返してきた。
「この世界、とある女性向けゲームの世界なのよ」
「えっ!?マジ……ですか?」
「大マジよ。ここは……」
彼女の説明によると、王都の学園に転入する女性主人公が攻略対象の男性陣と交流を持って成長し合い、その交流を邪魔しようとする者達と戦ったりする育成シミュレーションなのだそうだ。
「で、私が身体を使ってでもアンタを今回の戦力に、もっと言えば今後も力を貸してもらおうとしてるのは……そのゲームの中での私の立ち位置のせいなのよ」
「えーっと……そこは仮にでも惚れたからとか言っておいたほうがいいところなんじゃないんですか?」
「リョーガさんに聞いた限り、力があっても積極的に自分を売り込むつもりがない。つまり面倒事を嫌ってるわけでしょ?その上、精神的に大人みたいだし……なら嘘で惚れたって言った程度じゃ動かせないと思ったからね」
「そうなると、その立ち位置というのには俺を動かせる事情があるってことですか?」
「もう1つ別の要素もあるんだけど……まぁ、嘘で惚れたって言うよりは。一応言っておくと、別にアンタが好みじゃないわけじゃないわよ?」
「あ、はい」
その俺の反応に、アニスエラはジト目で覗き込むようにこちらを見てくる。
「……」
「……何か?」
「何でもないわ。で、話を戻すけど……この世界の歴史がそのゲーム通りに進むのなら、私は悲惨な目に遭ってしまうのよ」
「悲惨な目って?」
俺がそう聞き返すと、彼女は湯面に視線を落として説明する。
「えっと……簡単に言うと、私はそのゲームの中で悪役なのよ。それで、最終的には国外へ追放されることになるの」
「はあ」
うーん……確かに可愛そうではあるが、悲惨と言うほどだろうか?
いやまぁ、ゲーム内ではそれだけの事をやったからなのだろうが、前世の記憶を取り戻した彼女からすると他人がやった事でその罪を着せられる感覚なのかもしれない。
だが国外追放がどのぐらい辛いのか、その辺りの感覚は人それぞれかもしれないが……俺は言語が通じないぐらいか?と考えていた。
そう思っていたことが顔に出ていたのか、俺の反応を確認するためにこちらを見たアニスエラは追加情報を出してくる。
「ただ追放されるだけじゃないのよ。追放が決まるのは王都なんだけど、そこを出発してからは輸送を請け負った冒険者達に犯されまくるし、国境を越えた辺りで最後にって盛大に輪姦される上、そこでやたら強いオークの集団に襲われて行方不明ってことになるの……魔物の集団に犯されてるイラスト付きでね」
あら、そんな事になるのか。
「それなら確かに悲惨ではありますが……女性向けでそこまで描写されてるゲームって」
そう言うと彼女の顔は少々の赤みを増した。
「まぁ……年齢制限のあるゲームだったしね。主人公目線だとそういうシーンは男の裸が多いんだけど……悪役だと私だけじゃなく皆そういう目に遭うのよ」
「敵が悲惨な目に遭うってところに満足する感覚はなくもないんですが、女性向けで女性のそういうシーンなんて需要はあるんですか?」
「まぁ、男がそのゲームをやらないってわけでもないし、何と言うか……ただ殴る蹴るじゃ男がやられるのと同じでしょ?そこで女特有の悲惨な目に遭わせることで酷さを強調して、プレイヤーをより満足させようとしてたってことなんじゃない?」
「なるほど……」
男がそういう目に遭う作品もあるのだろうが、彼女の言うゲームは女性向けであり、攻略対象の男が……というのはメーカー側からするとリスクが高いのかな?
俺にそういう趣味はないのでよくわからないが。
とにかく、彼女はその結末を迎えたくないから俺を味方に、と考えているのはわかった。
ただ……
「それを回避したいのはわかりましたが、俺が協力しなくても主人公に関わらなければ回避できるんじゃないですか?」
「しようとは思ってるけど……前世の事を思い出したときにはもう家の都合で結婚相手を探しに行くって事まで決まってたのよ。今から怪我でもして遅らせることぐらいはできたとしても、それは主人公が卒業するまで遅らせないといけないから相当な大怪我じゃないと……」
「ああ、主人公に会わないためとなるとそうなりますね」
「でもそんな怪我したら後遺症が残る可能性だって高いでしょ?流石にそれは困るし、なんならその主人公が私を治しに来るかもしれないわ」
「え?なんで主人公が?」
「よくある設定だけど……その主人公は治癒能力なんかがある"聖女"ってスキルに目覚めて、それがきっかけで学園に入学してくるのよ」
あぁ、こういう特殊能力はまとめて"スキル"って表現でいいのか。
「治癒能力を持ってるのはわかりましたけど、その主人公がわざわざ貴女の家にまで来ますかね?」
その問いにアニスエラは軽く溜め息をつく。
「ハァ。普通にキャラとして登場する存在に私が転生してるのよ?だとしたら……主人公だって誰かが転生してるのかもしれないでしょ?」
「まぁ、可能性はありますね」
「で、主人公に転生した奴がこの世界のことを知っていたら……」
その先を察した俺は言葉を引き継ぐ。
「ゲーム通りに事を進めたくなる、と?」
「そういうこと。世界の危機に立ち向かう、なんて話はないし、多少は危ない目に遭うけど攻略対象に助けてもらえるのがわかってるからね」
「それのために治しに来るってことは……貴女は重要なキャラなんですね」
「悪い意味で、だけどね。つまり、何らかの形で学園への入学を回避しようとしても主人公が無理矢理シナリオに合わせようとするかもしれないから、何処かへ逃げても追われることになりそうなのよ」
「転生者ではない可能性もありそうですけど」
「その可能性に賭けてゲーム通りに進むのが嫌だから……私はここに来ているの」
「ん?どういう事ですか?この村に何かあるんですか?」
そう聞いてみると……彼女は少し言いづらそうに答える。
「それは……ここが存在しないはずの村だからよ」
「えっ」
聞けば、ゲームのスタート時点で彼女はすでに王都の学園へ通っており、それ以前の事はあまり描かれていないそうだ。
ただ、過去の記録としてこの村が魔物の集団に襲われ、男は殺され女は連れ去られるということがあったらしく……彼女の住む村も襲われそうなところを家が所属する派閥に支援してもらって借りを作っており、その影響で彼女は上からの指示に逆らえないというキャラだったようだ。
そういった同情の余地があることに加えて顔やスタイルの良さもあり、その上で性的なシーンがあったので一部の男性プレイヤーからは人気があったらしい。
「ちなみに、予定通りならもっと大きくなるわ」
その言葉がどこのことを言っているのか、それを察した俺は視線を下げる。
現時点でも浮いているように見えるぐらいにはあるが……もっとデカくなるのか。
「で、話を戻すと……この村が魔物に襲われるのを防ぎたくてもうちの戦力じゃ難しい。かと言ってこの村の人を避難させても復興に派閥の援助を受けることになって結局はその影響を受けるでしょうから……ゴーレムを作るスキルなんてものを持ってるアンタに賭けようと思って来たのよ」
「それがここに来られた理由ですか」
「ええ。魔物の襲撃を防げれば村は無事だし、そうなると派閥に借りを作ることもない。主人公がシナリオを修正しようにも、理由もなく村を滅ぼすことはできないでしょ?」
「でも、それは魔物の襲撃を防げた場合の話ですよね?ゲームで村が滅ぼされてたんなら、俺は村を守れなかったんじゃないですか?」
「そこよ!」
ギュッ
「う」
そう言いながら、彼女は俺のモノを握ってきた。
「そこって……俺の股間に何かあるんですか?」
「え?いや、これは別に関係ないわ。重要なのは……"ジオ"って子供はゲームで生き延びてるんだけど、その子にゴーレムを作るスキルなんてないのよ」
「え、そうなんですか?」
「ええ。なんとなく魔物のいる方向がわかるっぽいことは語られてたけど、スキルかどうかはわかってなかったわ」
「うーん……」
モノを握ったのはただの勢いらしいが、それは一旦置いておく。
それにしても、一体どういうことだ?
魔物のいる方向がわかるってのは魔石の位置を察知できる能力だろうけど……あ、もしかして。
「それがゴーレムを作るスキルの一部だとは気づいていなかったのかもしれませんね」
「え?どういうこと?」
聞かれた俺はゴーレムを作るスキルの一部として、魔石の位置を察知できることを説明する。
それを聞いたアニスエラは……モノを握る手に力を込めた。
「なるほど、そういうことだったのね。なら……それを把握できているアンタは魔物の襲撃を防げるかもしれないわよね?」
「それは……このスキルにハッキリと目覚めたときにゴブリンを4体倒したぐらいなんで、大きな集団となると不安ですね。貴女は何か特殊な力をお持ちでないんですか?」
「私に魔物の襲撃を防ぐ力なんてまだないわよ」
「あぁ……ん?」
その返答に一瞬ガッカリするが、気になった部分がある。
「どうかした?」
「いや……魔物の襲撃を防ぐ力がまだないってどういう事ですか?」
「あぁ……ゲームで出てくるときにはもう使えてたからいつなのかはわからないんだけど、身体能力を強化できるスキルを使えるようになるのよ」
「へぇ、それがあれば魔物と戦えるんですか?」
「まぁね。制限はあっても最終的にはかなり力が強くなるし、丈夫になったりするから……しぶとく生き残って、終盤まで主人公の邪魔するからプレイヤーに嫌われるのよね……」
そう言って後半から気落ちした表情になるアニスエラ。
うーむ。
自分のためでもあるとは言え、この村の人達を助けようとしてくれてるわけだよな。
両親を始め、関係を持った女性や世話になった人も居るわけだし、アニスエラが可哀想だとも思うので……ここはやるだけやってみるか。
「わかりました。やれるだけやってみましょう」
「いいの!?」
俺の言葉に驚きつつも、嬉しそうな顔をするアニスエラ。
「危なくなったら逃げて村の人を避難させますけどね」
その場合、シナリオを変えたいというアニスエラの目的は二の次だと言う意味だが……彼女は頷いた。
「構わないわ。村人が無事なだけでもシナリオは変わるかもしれないし……」
ザパァッ
そう言うと彼女はお湯の中で身体を動かし、伸ばしていた俺の脚に跨ってくる。
握られていたモノは位置を調整され、アニスエラの入口に添えられた。
ぬっ……
先端がほんの少し潜り込んだ形になると、彼女は両手で俺の両肩をガシッと掴む。
行動の意図はわかるのだが、俺は自分の都合でもあるので止めようとする。
「いや、いいですってこんな事しなくても」
「言い出したのこっちだし、危ない目に遭うんだから……村に居る間は私を好きにしていいわ」
それに続き、今まで口を閉ざしていたメリーさんも同様のことを言ってきた。
「ならば私もお好きなように」
「え、貴女も?」
そう聞き返すとアニスエラが答えた。
「ああ、予定通りに進むとメリーも巻き添えなのよ」
コクリ
彼女の言葉を肯定するように頷くメリーさん。
「それは……貴女だけ逃げることはできないんですか?」
「私がアニス様の従者であることは周知の事です。今逃げても今後アニス様がお話通りに事を起こせば……私も何らかの関与を疑われて追われる身になるでしょう。王族まで関わることになるそうですし、余程の事がなければ逃げ切れはしません」
「いや、彼女の言う事が事実だとは限りませんよ?」
そう返したところ、メリーさんはハッキリと首を横に振った。
「いえ、事実でしょう。詳しくは言えませんが……まだ知らないはずの事をご存知でしたので」
「はぁ、そうなんですか……」
詳しい話が出てこない以上、それですんなりと納得はできないが……まぁ、本人が納得しているのなら俺がどうこう言うことじゃないか。
そんな感じで無理矢理納得したところ、脚に跨るアニスエラがズィっとその身を寄せてきた。
むにゅり
スリッ、スリッ……
ヌッ、ヌッ、ヌッ……
今後も成長予定らしい豊かな胸は潰すかのように押し付けられ、生える予定は不明の股間で俺の硬くなっていたモノの先端を小刻みに出し入れする。
ザバッ、むにゅ
それを援護するようにメリーさんが膝立ちになり、お湯から上げたばかりの胸を顔の横から押し当ててきた。
「……ね?♡」
「しましょう?♡」
そう誘ってくる彼女達に俺は……待ったを掛ける。
「待った待った!ほら、帰りが遅くなると不味いでしょう?」
彼女達は村長宅に泊まるわけだし、よほど短時間で終わらない限りは色々と疑われてしまうだろう。
もちろん、俺はそこまで早くはないし。
俺がそう言うと彼女達は顔を見合わせ、頷き合って言葉を返してきた。
「大丈夫よ。ここに泊まることは言ってあるから♪」
「ですので……時間は気にせず、お好きなだけどうぞ♡」
「え?」
ずにゅ
え?
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最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
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間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
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召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
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スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
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この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
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修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
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しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
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