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11話
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俺は商人のリョーガさんと冒険者のテレーナさんに連れられて、怪我で休養している人達の部屋へ向かう。
目的の部屋まで先導してきたテレーナさんが、ドアを叩いて中へ声をかけた。
コンコン
「マール、起きてる?」
「テレーナ?何でノックなんかしてるの?」
返ってきた声は、テレーナさんが呼びかけた相手で相違ないのだろう。
その相手は彼女がノックをしたことに疑問を持っているようなので、普段はしない間柄だと思われるが……割と元気そうな声だ。
軽症の人なのか?
そんな声に、テレーナさんが俺やリョーガさんのことを伝える。
「リョーガと……1人、この村の子を連れてきてるから。2人は見られても大丈夫な格好?」
「大丈夫だけど……リョーガさんはともかく、この村の子って?看病の手伝い?」
「それより良いことよ。とりあえず入るわ」
そう言うとテレーナさんはドアを開け、俺達を部屋へ招き入れた。
ガチャ
「どうぞ」
部屋の中に入ると……そこには2つのベッドを1人ずつ使っており、1人は座っていて、もう1人は横になっている。
怪我には休養が一番の薬だと言われているぐらいなので、極力動かないようにしているのだろう。
座っている人は右足首に添え木をした上で布を巻かれて固定され、横になっている人は右腕を同じように固定されていた。
どっちの人が骨に傷を負った人なのか……もしかして両方か?
そう思っていたところ、足を固定した女性がテレーナさんに尋ねる。
「その子が看病以上のことって……テレーナ、貴女その子に何をさせる気なの?」
顔を赤くして聞いてきたことから、その女性は俺が如何わしいことをさせるために連れてこられたと考えたらしい。
それに対し、テレーナさんはごく冷静に返答した。
「最終的にはどうなるかわからないけど、目的は別よ」
「最終的にはって……結局何のために連れてきたのよ」
「2人の怪我を治してもらうのよ。この子に」
「え?」
困惑している彼女を余所に、テレーナさんは俺に彼女達のことを紹介する。
「こっちの足を怪我してるのがマールで、あっちで横になってるのがフレイよ」
マールさんは茶髪でショートカットの、温和な顔つきの美女で主に弓を使うらしい。
角度的にまだ顔が見えていないフレイさんは魔法使いらしく、添え木で固定された腕を休めるためか仰向けで寝ているが……3人の中では最も巨大であろう胸が、形をほぼ崩さずそびえ立っていた。
デカさだけならサリーさんと同じぐらいだが、あの高さは出せないはずだ。
そんな彼女がグリッとこちらに顔を向ける。
「……」
おぉ、訝しんでいる表情もあってか気が強そうに見える美女だ。
髪は結構長いな、背中の中ほどまではあるかもしれない。
そんな彼女が身を起こして口を開く。
「その子に治せるの?」
俺に疑いの眼差しを向けつつ、テレーナさんにそう聞いたフレイさん。
あちらからすると都合が良すぎるタイミングなので、疑わざるを得ないのだろう。
だが、聞かれたテレーナさんは堂々と言葉を返す。
「少なくとも、馬の怪我を治すところはこの目で見たわ。それに……報酬は後払いでいいって言うし、この村ぐらいの規模で子供が詐欺なんてできないでしょ?」
すぐにバレるだろうし、すぐに捕まるだろうからな。
ただまぁ、このぐらい疑って掛からないとやって行けないのがこの世界なのだろう。
仲間であるテレーナさんの証言と報酬の後払いで詐欺ではなさそうだと判断したのか、フレイさんは多少警戒レベルを下げたようで俺に名前を聞いてきた。
「アンタ、名前は?」
「ジオです」
「ふーん……」
名乗った俺に視線をなぞらせると、彼女はマールさんに目を向ける。
「マール、先に治してもらいなさいよ」
「えっ、私?」
「ええ。杖を持ってないから魔法じゃ無さそうだし、どんな感じで治すのかわからないと不安じゃない?」
「それは私もそうなんだけど……まぁ、歩きづらいのは色々と困るからやってもらおうかな」
マールさんがそう言うと、テレーナさんが俺を見る。
「他の怪我も治してもらって良いかしら?」
馬の怪我を治した様子から、魔石さえあれば難なく治せるとわかったからだろう。
実際何の苦労もないので、俺はそれを快諾する。
「いいですよ。使う魔石が増えれば報酬も増えることになりますから」
「じゃあ……」
俺の答えに頷くと、テレーナさんはリョーガさんへ目を向けた。
「ん?何?」
「手足以外の怪我も治してもらうから」
「うん」
「いや、うんじゃなくて……服を脱ぐことになるでしょ」
「あっ、そうか!」
言外に出て行けと言われたことに気づいたリョーガさんは、慌てて外に出ようとして俺に言う。
「じゃあ、僕はまた店を開いてるよ。終わったら報酬を受け取りに来てね」
「はい」
俺が了承の言葉で応えると、彼は部屋のドアを締めて去って行った。
「じゃあ、早速……」
ガバっ
リョーガさんが去ると、マールさんは寝間着らしきワンピースを一気に脱ぎ去る。
ブラ代わりに巻かれた布と紐パンのみの姿になった彼女には新しい痣がいくつもあり、魔物による投石が雨のように行われたであろうことが見て取れる。
だからこそテレーナさんは他の傷もと言い出し、マールさんも治せるのならばと躊躇なく脱いだのだろう。
「酷いもんでしょ?盾を持ってたテレーナがある程度は引き受けてくれたんだけど、それでもこのザマよ」
「こんなにってことは、魔物は相当多かったんですね」
「10や20どころじゃなかったわね。ゴブリンが多かったけどオークも居たし、フレイの腕にぶつけた奴なんか絶対特殊な個体よあれ」
「そうなんですか?」
俺のその疑問に、被害を受けた本人であるフレイさんが答えた。
「飛んできた石の速さもそうだけど、何か紐みたいなものを使って石を飛ばしてきたのよ」
あら、投石紐か。
そのまんまな名前だが……石を包む部分とその両端から伸びる紐で出来ていて、紐の両端を握って石をセットし、その状態で振り回して遠心力を付けてから紐の片方を開放して石を飛ばす道具だ。
距離にもよるがそんな物を使え、偶然かもしれないが当てられるとなると……確かに特殊な個体ではあるのだろう。
「偶然腕で防げたんだけど、腕がそこになかったら顔に当たってたわ」
「それは良かった……で、いいんですかね?」
「良いわよ。死んでたかもしれないし、それでなくても目が潰されていたかもしれないんだから」
スッ、ペタペタペタ……
彼女はそう言うとベッドから降り、マールさんの傍に陣取った。
「さ、どんな感じか見せてもらいましょうか」
ニヤリとして言う彼女に、俺は「最善を尽くします」とだけ答える。
人を治すのは初めてだし。
その答えに、先に施術する予定のマールさんが若干不安そうな顔をした。
治療が始まって魔石が肌に触れ、その周囲が修復のために蠢く様子を気味悪がっていた彼女だが……その直後に驚きながらも笑顔になった。
無事に治療できたようだ。
「えっ、凄い!痛みは消えたし、腫れと痣も消えてる!」
ベッドから降りて立ち上がり、足の具合を確かめるようにピョンピョンと飛び跳ねるマールさん。
相応に胸も揺れており、休養を取るからか緩めに巻いていたらしいブラ代わりの布が緩んできていた。
すぐに解け落ちるほどではなく、本人も気づいて手で押さえたので胸が露出することはないと思ったのだが……彼女は胸を見ていた俺の視線にも気づいており、少し考えるとその手を離して胸を開放した。
「はい♪」
「おお」
ぷるん、とでも聞こえてきそうに弾む胸にそんな声を上げる俺。
サリーさんとリーナさんで幾分慣れているとは言え、趣の違いがあれば新鮮さを感じて楽しめるからな。
そんな俺にマールさんは微笑み、胸を揺らしながら言ってくる。
「フレイとテレーナの治療も終わったら……好きにしていいよ♪」
嬉しい申し出だし施術対象にテレーナさんが加わるのはいいのだが、報酬は魔石で貰いたいので欲に流されるわけにはいかない。
「いえ、報酬は決まってますから……」
そう返すと、後ろから大きくも柔らかいものが押し付けられる。
いつの間にか背後に回り込んでいたフレイさんだ。
いやまぁ、マールさんの胸を見ていた間だろうけど。
彼女はそのまま俺の耳元に口を寄せてきた。
「マールを治してるときに言ってたけど、報酬は使った魔石を20倍にして支払ってもらうんでしょ?」
「は、はぁ。そうですが……」
「安すぎよ。マール1人で3個ぐらいしか使ってないじゃない。怪我の度合いもあるだろうから全員同じ数とはならないでしょうけど、それでも報酬が小型の魔石数十個じゃ全く釣り合ってないわ」
「そうですかねぇ……まぁ、俺はそれでもいいんですが」
「良くはないわね。アンタ、今後も格安で怪我の治療を引き受ける気?」
「不味いですか?」
「不味いわね。治癒魔法で高い治療費取ってる連中から確実に恨みを買うわよ」
聞けば治癒魔法が使える人は少ないらしく、軽い怪我程度でも結構な金を取るそうだ。
高度な治癒魔法が使える人は更に少ないようで、そういった人はいろんな権力者や組織に囲われているので頼むこと自体が難しいとのこと。
瞬時に傷を癒やす魔法薬もあるそうだが非常に高価であり、自然な治癒能力を少し強めるぐらいの薬なら一般人にも何とか手が出せる程度らしい。
そんな業界で怪我を格安で治すとなると、間違いなく目をつけられてしまうだろう。
「それは面倒ですね」
「でしょう?中には治療費代わりで身体を要求するやつも居るし、治療の一環だからって言って関係ない場所まで触ってくるやつも居るし。そんな連中が客取られて逆恨みしないと思う?」
「……するでしょうね」
自分達が悪どいことをしているくせに、それを回避できる良い手段を用意した人を批判する奴は存在するからな。
だが……
「だからと言って、普通の治療費に合わせるためにそういうことをというのは……その人達と同じなのでは?」
「自分からってことなら話は違うわよ。お金と身体を天秤に掛けて、お金を選んだってだけなんだから」
「そんなものですか?」
「そんなものよ。安すぎる分の埋め合わせをするだけだし、報酬が減るわけでもないんだし。くれるって言うのだから遠慮なく貰っておけばいいわ」
フレイさんの言葉にマールさんが近寄ってくる。
「そういうこと。だから遠慮なく、ね♪」
ゆさゆさ……
「そういうことなら……」
「待った」
両手で揺すられるマールさんの胸に手が伸びるも、その柔らかさを感じる前にテレーナさんに止められた。
彼女はこういうことを許容しないタイプだったのか?と思ったが……そういうわけではなかったようで、
「全員の治療を終えてからよ。その後なら飽きるまで付き合うわ」
と言いながら服を脱ぎだし、全裸になった。
それに合わせてマールさんとフレイさんも全裸になり、俺は股間を硬くしながら怪我の治療を再開した。
目的の部屋まで先導してきたテレーナさんが、ドアを叩いて中へ声をかけた。
コンコン
「マール、起きてる?」
「テレーナ?何でノックなんかしてるの?」
返ってきた声は、テレーナさんが呼びかけた相手で相違ないのだろう。
その相手は彼女がノックをしたことに疑問を持っているようなので、普段はしない間柄だと思われるが……割と元気そうな声だ。
軽症の人なのか?
そんな声に、テレーナさんが俺やリョーガさんのことを伝える。
「リョーガと……1人、この村の子を連れてきてるから。2人は見られても大丈夫な格好?」
「大丈夫だけど……リョーガさんはともかく、この村の子って?看病の手伝い?」
「それより良いことよ。とりあえず入るわ」
そう言うとテレーナさんはドアを開け、俺達を部屋へ招き入れた。
ガチャ
「どうぞ」
部屋の中に入ると……そこには2つのベッドを1人ずつ使っており、1人は座っていて、もう1人は横になっている。
怪我には休養が一番の薬だと言われているぐらいなので、極力動かないようにしているのだろう。
座っている人は右足首に添え木をした上で布を巻かれて固定され、横になっている人は右腕を同じように固定されていた。
どっちの人が骨に傷を負った人なのか……もしかして両方か?
そう思っていたところ、足を固定した女性がテレーナさんに尋ねる。
「その子が看病以上のことって……テレーナ、貴女その子に何をさせる気なの?」
顔を赤くして聞いてきたことから、その女性は俺が如何わしいことをさせるために連れてこられたと考えたらしい。
それに対し、テレーナさんはごく冷静に返答した。
「最終的にはどうなるかわからないけど、目的は別よ」
「最終的にはって……結局何のために連れてきたのよ」
「2人の怪我を治してもらうのよ。この子に」
「え?」
困惑している彼女を余所に、テレーナさんは俺に彼女達のことを紹介する。
「こっちの足を怪我してるのがマールで、あっちで横になってるのがフレイよ」
マールさんは茶髪でショートカットの、温和な顔つきの美女で主に弓を使うらしい。
角度的にまだ顔が見えていないフレイさんは魔法使いらしく、添え木で固定された腕を休めるためか仰向けで寝ているが……3人の中では最も巨大であろう胸が、形をほぼ崩さずそびえ立っていた。
デカさだけならサリーさんと同じぐらいだが、あの高さは出せないはずだ。
そんな彼女がグリッとこちらに顔を向ける。
「……」
おぉ、訝しんでいる表情もあってか気が強そうに見える美女だ。
髪は結構長いな、背中の中ほどまではあるかもしれない。
そんな彼女が身を起こして口を開く。
「その子に治せるの?」
俺に疑いの眼差しを向けつつ、テレーナさんにそう聞いたフレイさん。
あちらからすると都合が良すぎるタイミングなので、疑わざるを得ないのだろう。
だが、聞かれたテレーナさんは堂々と言葉を返す。
「少なくとも、馬の怪我を治すところはこの目で見たわ。それに……報酬は後払いでいいって言うし、この村ぐらいの規模で子供が詐欺なんてできないでしょ?」
すぐにバレるだろうし、すぐに捕まるだろうからな。
ただまぁ、このぐらい疑って掛からないとやって行けないのがこの世界なのだろう。
仲間であるテレーナさんの証言と報酬の後払いで詐欺ではなさそうだと判断したのか、フレイさんは多少警戒レベルを下げたようで俺に名前を聞いてきた。
「アンタ、名前は?」
「ジオです」
「ふーん……」
名乗った俺に視線をなぞらせると、彼女はマールさんに目を向ける。
「マール、先に治してもらいなさいよ」
「えっ、私?」
「ええ。杖を持ってないから魔法じゃ無さそうだし、どんな感じで治すのかわからないと不安じゃない?」
「それは私もそうなんだけど……まぁ、歩きづらいのは色々と困るからやってもらおうかな」
マールさんがそう言うと、テレーナさんが俺を見る。
「他の怪我も治してもらって良いかしら?」
馬の怪我を治した様子から、魔石さえあれば難なく治せるとわかったからだろう。
実際何の苦労もないので、俺はそれを快諾する。
「いいですよ。使う魔石が増えれば報酬も増えることになりますから」
「じゃあ……」
俺の答えに頷くと、テレーナさんはリョーガさんへ目を向けた。
「ん?何?」
「手足以外の怪我も治してもらうから」
「うん」
「いや、うんじゃなくて……服を脱ぐことになるでしょ」
「あっ、そうか!」
言外に出て行けと言われたことに気づいたリョーガさんは、慌てて外に出ようとして俺に言う。
「じゃあ、僕はまた店を開いてるよ。終わったら報酬を受け取りに来てね」
「はい」
俺が了承の言葉で応えると、彼は部屋のドアを締めて去って行った。
「じゃあ、早速……」
ガバっ
リョーガさんが去ると、マールさんは寝間着らしきワンピースを一気に脱ぎ去る。
ブラ代わりに巻かれた布と紐パンのみの姿になった彼女には新しい痣がいくつもあり、魔物による投石が雨のように行われたであろうことが見て取れる。
だからこそテレーナさんは他の傷もと言い出し、マールさんも治せるのならばと躊躇なく脱いだのだろう。
「酷いもんでしょ?盾を持ってたテレーナがある程度は引き受けてくれたんだけど、それでもこのザマよ」
「こんなにってことは、魔物は相当多かったんですね」
「10や20どころじゃなかったわね。ゴブリンが多かったけどオークも居たし、フレイの腕にぶつけた奴なんか絶対特殊な個体よあれ」
「そうなんですか?」
俺のその疑問に、被害を受けた本人であるフレイさんが答えた。
「飛んできた石の速さもそうだけど、何か紐みたいなものを使って石を飛ばしてきたのよ」
あら、投石紐か。
そのまんまな名前だが……石を包む部分とその両端から伸びる紐で出来ていて、紐の両端を握って石をセットし、その状態で振り回して遠心力を付けてから紐の片方を開放して石を飛ばす道具だ。
距離にもよるがそんな物を使え、偶然かもしれないが当てられるとなると……確かに特殊な個体ではあるのだろう。
「偶然腕で防げたんだけど、腕がそこになかったら顔に当たってたわ」
「それは良かった……で、いいんですかね?」
「良いわよ。死んでたかもしれないし、それでなくても目が潰されていたかもしれないんだから」
スッ、ペタペタペタ……
彼女はそう言うとベッドから降り、マールさんの傍に陣取った。
「さ、どんな感じか見せてもらいましょうか」
ニヤリとして言う彼女に、俺は「最善を尽くします」とだけ答える。
人を治すのは初めてだし。
その答えに、先に施術する予定のマールさんが若干不安そうな顔をした。
治療が始まって魔石が肌に触れ、その周囲が修復のために蠢く様子を気味悪がっていた彼女だが……その直後に驚きながらも笑顔になった。
無事に治療できたようだ。
「えっ、凄い!痛みは消えたし、腫れと痣も消えてる!」
ベッドから降りて立ち上がり、足の具合を確かめるようにピョンピョンと飛び跳ねるマールさん。
相応に胸も揺れており、休養を取るからか緩めに巻いていたらしいブラ代わりの布が緩んできていた。
すぐに解け落ちるほどではなく、本人も気づいて手で押さえたので胸が露出することはないと思ったのだが……彼女は胸を見ていた俺の視線にも気づいており、少し考えるとその手を離して胸を開放した。
「はい♪」
「おお」
ぷるん、とでも聞こえてきそうに弾む胸にそんな声を上げる俺。
サリーさんとリーナさんで幾分慣れているとは言え、趣の違いがあれば新鮮さを感じて楽しめるからな。
そんな俺にマールさんは微笑み、胸を揺らしながら言ってくる。
「フレイとテレーナの治療も終わったら……好きにしていいよ♪」
嬉しい申し出だし施術対象にテレーナさんが加わるのはいいのだが、報酬は魔石で貰いたいので欲に流されるわけにはいかない。
「いえ、報酬は決まってますから……」
そう返すと、後ろから大きくも柔らかいものが押し付けられる。
いつの間にか背後に回り込んでいたフレイさんだ。
いやまぁ、マールさんの胸を見ていた間だろうけど。
彼女はそのまま俺の耳元に口を寄せてきた。
「マールを治してるときに言ってたけど、報酬は使った魔石を20倍にして支払ってもらうんでしょ?」
「は、はぁ。そうですが……」
「安すぎよ。マール1人で3個ぐらいしか使ってないじゃない。怪我の度合いもあるだろうから全員同じ数とはならないでしょうけど、それでも報酬が小型の魔石数十個じゃ全く釣り合ってないわ」
「そうですかねぇ……まぁ、俺はそれでもいいんですが」
「良くはないわね。アンタ、今後も格安で怪我の治療を引き受ける気?」
「不味いですか?」
「不味いわね。治癒魔法で高い治療費取ってる連中から確実に恨みを買うわよ」
聞けば治癒魔法が使える人は少ないらしく、軽い怪我程度でも結構な金を取るそうだ。
高度な治癒魔法が使える人は更に少ないようで、そういった人はいろんな権力者や組織に囲われているので頼むこと自体が難しいとのこと。
瞬時に傷を癒やす魔法薬もあるそうだが非常に高価であり、自然な治癒能力を少し強めるぐらいの薬なら一般人にも何とか手が出せる程度らしい。
そんな業界で怪我を格安で治すとなると、間違いなく目をつけられてしまうだろう。
「それは面倒ですね」
「でしょう?中には治療費代わりで身体を要求するやつも居るし、治療の一環だからって言って関係ない場所まで触ってくるやつも居るし。そんな連中が客取られて逆恨みしないと思う?」
「……するでしょうね」
自分達が悪どいことをしているくせに、それを回避できる良い手段を用意した人を批判する奴は存在するからな。
だが……
「だからと言って、普通の治療費に合わせるためにそういうことをというのは……その人達と同じなのでは?」
「自分からってことなら話は違うわよ。お金と身体を天秤に掛けて、お金を選んだってだけなんだから」
「そんなものですか?」
「そんなものよ。安すぎる分の埋め合わせをするだけだし、報酬が減るわけでもないんだし。くれるって言うのだから遠慮なく貰っておけばいいわ」
フレイさんの言葉にマールさんが近寄ってくる。
「そういうこと。だから遠慮なく、ね♪」
ゆさゆさ……
「そういうことなら……」
「待った」
両手で揺すられるマールさんの胸に手が伸びるも、その柔らかさを感じる前にテレーナさんに止められた。
彼女はこういうことを許容しないタイプだったのか?と思ったが……そういうわけではなかったようで、
「全員の治療を終えてからよ。その後なら飽きるまで付き合うわ」
と言いながら服を脱ぎだし、全裸になった。
それに合わせてマールさんとフレイさんも全裸になり、俺は股間を硬くしながら怪我の治療を再開した。
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