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もふもふ襲来

order sheet 22

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 冒険者ギルドの書類整理を始めて半年。

 仕事自体には慣れてきたのですが、パソコンとスマホに慣れていた現代人な私は腱鞘炎に日々悩まされています。

 最初の二ヶ月は資料室に押し込まれた書類の仕訳で過ぎ去り、それはそれで気が狂いそうになりました。

 だって、本当に棚に書類は、紙もぐちゃぐちゃ、書かれている内容も時系列も場所も何も考えずに詰め込まれていて、とりあえず出して年代毎に大分類するだけで大仕事でした。

 そして年代毎の大分類が終わり、清書しながらの小分類です。今ここ。

 だからこその腱鞘炎です。

 私もそこまで綺麗な字という訳ではありませんが、他の方が全く読めない字という訳でもありませんから、書くのは良いのです。

 けれども、慣れない羽ペンとインクでの書き取りというのは、なかなかに疲れが溜まるものでして、判別不能な字が出てきた時にはそのストレスは倍増ですよ。

  魔物図鑑や植物図鑑などはギルド所有のものをお借りしているので、似た名前などで調べることは出来るのですが、人名や地名は調べられないので都度確認する為どうしても時間が掛かります。

 途中までは待ち針と端切れで付箋の代わりにしていたのですが、いつの間にか付箋が出来ていてびっくりしたりもしました。筆記具は羽ペンなのに、紙は羊皮紙じゃなかったので、糊の強度の問題だったからですかね?

 なんにせよ、便利になりました。

 ついでにキング○ム的なファイルも作って頂きました。

 背表紙と仕切りで資料の探しやすさも格段にアップしたはずです。

 こんな感じでギルドでのお仕事は黙々と進めております。基本、ボッチでのお仕事ですので、黙々と進める以外にありませんが。

 
 ***


 基本的に朝から夕方までが勤務となります。
 白の8時朝8時から赤の6時夜6時までです。
 10時間拘束なので、時間だけ聞くとなかなかハードですが、実際は昼休み2時間におやつ休憩まであるので、そこまででもないんですよ。
 寝泊まりも同じ建物なので、出退勤に時間もかかりませんし、職員は朝晩無料の食堂まであるのです。

 ボッチ仕事なので最初は時間が判らなかったのですが、受付のジーナさんとリュディさんというお二人がリズさんのお友達だそうで、お二人の休み時間に必ずお声をかけてくださるようリズさんに頼まれた、と気に掛けてくださいまして。
 色々とお話も聞けて、今では私も仲良くさせていただいてます。

 ジーナさんはトイプードル的な巻き毛の犬獣人、リュディさんは耳と尻尾が狐の短耳族ハーフです。

 今ではだいたい二人と一緒か、どちらかと他のギルド職員と休憩するようになりまして、休憩時間にはボッチではないのです。有難いですね。

 今は受付横の食堂で入れてもらったカルフェ(あまーいカフェオレです)と二人の持ち込みのクッキーでおやつ休憩。
 お菓子を二人が買ってきてくださるので、私は飲み物を買う担当です。

「サナ、ここの整理ってどの位で終わりそうなの?」
「うーん、今やっと1/3に手が届くところまできましたから、4・5ヶ月でしょうか?臨時職員は一年契約なので、なんとか終わるとは思いますが。」
「ここが一年で片付くとか信じられない。今でこそお茶出来るスペースが出来たけど、まだまだいっぱい積んであるし、前は暗くて汚かったし。」
「ほんと、リズから辺境伯家の方が来るって聞いたけど絶対続かないと思ったんだよね。」

 一応迷い人って事は隠してますが、辺境伯家後ろ盾の戸籍は隠せないので遠縁の端っこの血筋だけど、親兄弟がいないので小さい時に引き取ってもらい独り立ち前に仕事を紹介してもらった事にしているのです。

「何度も言いますが、私は端の端の血筋で辺境伯様がお優しいので名乗らせていただいてますが、ほぼ無関係ですからね。働かざる者食うべからずですよ。」

 そう言ってるんですが、お二人ともいつも苦笑で返してくるんですよね。
 こんなに庶民なのに何故信じていただけないのでしょうか?ほんと解せぬ。
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