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第22話 エーテル
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ラヴィポッドは、ユーエスとユウビの戦いを見ていた。
ストーンゴーレムの肩から顔を覗かせて。
「自分もドロドロになっちゃった……」
蒼黒水に溶けたユウビ。
斬られても傷一つ負わぬ水の体。
初めて見る不思議な魔術に興味を惹かれていた。
だが同時に不安や緊張、恐怖などの負の感情も抱く。
ユウビの魔術の見た目と性能、そして何より凄く強いと思っていたユーエスを押している事実。
危険がすぐそこまで迫っているような。
「あ」
ユーエスが空へ逃れた。
戦況が変わる。
これでユウビも戦い辛くなった。
そう思った矢先。
蒼黒の水溜まりから飛沫が起こった。
舞い上がる水は悪魔の踊り。
響く水音は地獄の旋律。
飛沫が霧状に広がり、生きた空が染められていく。
「……空に逃げてもダメなんだ」
ラヴィポッドの恐怖に反応したのか、ストーンゴーレムがじりじりと後ろに下がる。
「こ、こっそり逃げちゃおっかな……」
後ろめたさでチラリとユーエスの顔を窺うと、目が合ってしまった。
ギクッと肩が跳ねる。
何故かユーエスの笑顔から圧力を感じた。
ユーエスが暴風を展開し戦闘が激化したのを見計らって、これ幸いにとストーンゴーレムを振り返らせる。
「そーっとそーっと」
そしてこそこそと一歩踏み出そうとした時。
(チビ、聞こえる?)
離れた場所で戦っている筈の、ユーエスの声が聞こえた。
耳元で囁かれているような距離感。
どうやら風魔術で多少離れた位置での会話を可能にしているらしい。
「き、聞こえないです」
なんだか嫌な予感がして嘘を吐く。
(よし、聞こえてるね。力を貸して欲しい。僕の魔術はあいつと相性悪いんだ。たぶんあの魔術はマナで構成されたものを同じ魔術に変質させてるんだと思う)
「……」
(でも土元素なら実在の土が足元に幾らでもあるから、マナで構成されていない質量を持った攻撃ができる)
聞こえていないフリをしてダンマリを決め込むが、話は進んでいく。
(僕が風であいつの液化を封じるから、模擬戦でやってた土の弾を撃ちまくるやつお願い!)
ユーエスが頼みながらも、流星の如き速度で突きを繰り出す。
すると、ここでラヴィポッドが漸く口を開いた。
「や、やです!」
(ちょっ、今我儘言ってる場合じゃ)
ユーエスが突きを受け止められ、距離をとる。
「失敗しちゃったらあの人に殺されます!」
もしラヴィポッドの魔術で倒しきれなかったら。
ユウビは標的をラヴィポッドに変え、真っ先に狙ってくるかもしれない。
(その時は僕が守るから……!)
「ま、負けそうなのにですか!?」
必死に戦っているユーエスに、あまりにもデリカシーに欠けた言葉がぶつけられる。
(あー、え~?……)
これには思わずユーエスの顔も引き攣った。
眉がピクピクと動いている。
……それはちょうどユウビに剣を砕かれたところだった。
ユウビが接近したことで激しい格闘戦が始まる。
(お願いだから早く!)
「や!」
(ダルムさんに言いつけるよ!)
ごくり。
ラヴィポッドが唾を呑む。
「で、でも……」
あの鬼のような顔のおじさんが怒ったら。
どんな悪逆非道なお仕置きをするのだろう。
(怖いよ~。丸焼きにして食べられちゃったり?)
手足を括り付けて吊るされ、炙られる様がありありと浮かぶ。
それをダルムは執務机に座って見ているのだ。
ナイフとフォークを持ち、柄尻でリズミカルに机を叩きながら。
「ひぃぃぃぃ!」
今日一番の情けない悲鳴。
「丸焼きは……丸焼きだけは……」
ブルブルと震えながら手を合わせて祈る。
それだけはご勘弁をと。
(嫌なら早く!)
余裕のなくなったユーエスの声。
ラヴィポッドがハッと我に返る。
「えーと、えーっと……」
漸くやる気になったが何を頼まれたのか頭から飛んでしまっていた。
早くしないと。
急かされたことで余計に慌ててしまい、全然思い出せず。
「……てぇーーーーっ!!」
とりあえず。
投げやりに号令を掛けた。
ラヴィポッドがビシッとユウビを指す。
それに応じるフレイムゴーレム。
攻撃手段として火を選択したのは、丸焼きのイメージの所為かもしれない。
両手の炎を一つに合わせ、最大出力の火炎を放った。
突如として日が暮れたのか。
夕焼けのように赤々と色づいた視界に、そんな錯覚をしてしまう。
息を吸えば喉が焼けてしまいそうな、熱が支配する世界。
灼熱が広範囲の瘴気を掻き消しながらユウビに襲い掛かる。
「そうじゃないっ!」
ユーエスはその場から離れ、思わずといった様子で叫ぶ。
マナで構成された火魔術ではユウビには届かない。
蒼黒水で無力化されてしまうだけだ。
熱気だけで周囲の水を蒸発させる程の破滅的な威力なら届くのかもしれないが。
それが出来ないから、土魔術を頼んだのに。
「……何のつもりだ?」
ユウビが眉根を寄せる。
効果がないとわかりきっている攻撃を何故してくるのか、と。
「ラヴィポッドが子どもだから」と油断を誘って奇襲を掛けられるのは一度のみ。
その貴重な機会をみすみす逃したのだ。
疑問に思って当然。
蒼黒水の籠手を纏った腕を振るう。
飛び出した水が広がって火炎の表面を覆っていき蒼黒水に染めようとして、
──弾き返された。
「っ!?」
「え?」
「おお!」
蒼黒水が火魔術を染めるでもなく。
火魔術によって発生した熱に蒼黒水が焼かれるわけでもなく。
ただ魔術同士がぶつかり合ったような反応に、ユウビは戸惑いを隠せない。
予想外の結果にユーエスも驚き。
ラヴィポッドはフレイムゴーレムの活躍に目を輝かせた。
ユウビの目前まで火炎が迫る。
蒼黒水となって逃げようにも、火炎は蒼黒水を捉えていた。
ならば水に変化するのは愚策。
無防備な姿を晒すだけだろう。
高威力の魔術で応戦したいが、既に火炎との距離が近すぎて間に合うかどうか。
ユウビは時間が許す限り手にマナを込める。
そうして作り出した蒼黒球を、火炎に押し付けた。
腕が火炎に侵され、皮膚が焼けていく。
痛みと熱で腕の感覚すら覚束ない。
それでもユウビは手を引かなかった。
やがて火炎とぶつかっていた蒼黒球が割れ、濁流が飛び出した。
濁流が火炎を割って進む。
濁流を縁取るように逸れた火炎の渦がユウビの周囲を通り過ぎていった。
「よ、避けてっ!」
ラヴィポッドの指示で、濁流直撃コースにいたフレイムゴーレムがヒラリと横にずれて回避。
止まることのない強力な二つの魔術は片や大地を抉り、片や焦土を作り出す。
少しして火炎と濁流が消えると、刹那の夕焼けはモノクロの世界へと戻る。
ラヴィポッドはフレイムゴーレムの無事にホッと一息。
そして視線を移すと。
ユウビが、彼を避けるようにできた焦土の内側に佇んでいた。
片腕がだらりと垂れ下がっている。
肘から先は蒼黒水の籠手を纏っていたため軽傷で済んでいる。
しかし二の腕から肩にかけて重度の火傷を負っており、皮膚が焼け爛れていた。
「し、失敗しちゃった……」
ラヴィポッドが青褪める。
黒い煙が立ち上る中、ゆらゆらと歪む景色に立っている様は宛ら幽鬼。
妄執に囚われた亡霊に見えた。
「ま、守ってくださいね! 約束なんですからっ!」
「はいはい」
ユーエスは呆れ混じりに苦笑して手をひらひらさせる。
その間、ユウビを注視したまま。
倒れてくれれば良いが、それはないだろうと感じていた。
やはりというべきか、ユウビが動き出す。
「……」
腕を力なく前に伸ばす。
すると腕からボトボトと蒼黒水が落ち、水溜りが瘴気の木へと伸びていった。
水が木に触れると、木が僅かに揺れてカサカサと葉が擦れる。
瘴気の木から、汚染地帯に漂うものより濃密な紫色の霧が発生。
霧が軟体生物のように怪しく蠢き、やがて弾ける。
そして。
──強力な瘴気が解き放たれた。
フレイムゴーレムの熱が周辺の瘴気を掻き消していたが、その均衡が崩れる。
ラヴィポッドとユーエスの行動範囲が紫色の瘴気に押されて狭まっていった。
「っと。なんかやばそうだね」
フレイムゴーレムの側に来たユーエス。
文明が滅びる瞬間に立ち会っているような、不吉な光景を目にして冷や汗をかく。
「あばばば」
ラヴィポッドに至っては泡を吹いて気絶しそうになっている。
瘴気は広がるだけに止まらず、あちこちで凝縮し人型を作っていった。
人型が色づき徐々に輪郭が鮮明になる。
それは鎧のような外骨格を持つ。
道中で出会った、ストーンゴーレムが反応できない程の速度を持つ怪人だった。
「やれ、フォールン」
ユウビの冷徹な声をきっかけに、無数の怪人──フォールンが一斉に襲い掛かった。
ラヴィポッド目掛けて。
「ひぃぃ!」
殺気を一身に浴びて身が竦む。
「っ、この数はきっついな……」
ユーエスが悪態を吐きながらも前に出た。
風と水魔術で加速しフォールンの腹に膝をめり込ませる。
マナによる身体強化がなければ膝の方が折れているであろう。
外骨格の硬度に顔をしかめ、フォールンの腕を掴むと、風魔術を乗せて投げつけた。
フォールンの硬い外骨格同士がぶつかり合い、砕けて落ちていく。
「雑魚じゃないってのがなあ」
雑兵のように出現したが、一体一体が脅威。
ユーエスだからこそ複数体を同時に相手出来るが、普通の人間ではそうはいかないだろう。
前に翳した片手を支え、水流を放つ。
太い水流が幾条にも枝分かれし、それぞれがフォールンを捉えて押し流す。
フォールンを運ぶ水流が軌道を変えてぶつかり合い、フォールン同士を叩きつけて砕いた。
倒した後も水流は動き続け、フォールンの数を着実に減らしていく。
だがいつまでもは続かない。
水流が、蒼黒に染まっていく。
「くっ!」
フォールンの殲滅に気を取られすぎた。
水魔術を使えば、敵のテリトリーを広げてしまうというのに。
「あの娘を」
手元まで染まった水流からユウビが現れる。
「どうするつもりだ」
声を荒げてはいない。
だがその静かな音の中に、確かな怒気が含まれていた。
「っ!」
首を狙ってきた腕。
咄嗟に蒼黒水対策の暴風を展開し、ギリギリのところで掴んで止めた。
ユウビは片腕が使えない。
今蒼黒水の籠手を纏っている腕も、ユーエスの突きを受け止めた際に負傷している。
しかしそれを全く感じさせぬ程に力が籠っていた。
鬩ぎ合う両者の腕が震える。
「なに? チビに化け物嗾けてんのそっちだよね」
「お前と決着をつけるまで大人しくしてもらうだけだ。答えろ」
「……どうもしないけど」
ユーエスは手を放しユウビを無視して瘴気の木へと突っ込む。
事情は知らないがラヴィポッドに危害を加えるつもりがないらしい。
ラヴィポッドの心配をしなくて済むのならこの戦いにおけるユウビの弱点、瘴気の木を狙う。
狙いに気づいたユウビが舌打ちをして水に紛れた。
ユーエスの魔術だった水流に乗って追いかける。
今も増え続けているフォールン。
ユーエスは瘴気の木の側で発生した個体に阻まれ、数体を倒したところでユウビに追いつかれた。
「お前を降す理由が増えた」
水流の勢いそのままに繰り出されたユウビの蹴りを避ける。
瘴気の木をユウビに背負わせるよう回り込みつつ手に暴風を展開。
可視化された若葉色の風が収束し、剣を模っていく。
「戦う理由の数で勝ち負け決める? 僕も結構ある、よ」
剣を薙ぎ風の斬撃を飛ばす。
ユウビの背を狙った斬撃。
それをユウビは振り返り様に裏拳で弾く。
籠手に触れた瞬間、斬撃は蒼黒に染まって落ちた。
「……口の減らない奴だ」
それから。
ユーエスは飛び回り、角度を変えて瘴気の木へ剣を振るった。
ユウビに受け止められ、剣が染められる。
その度に新たな剣を構成し、飛び込んでくるフォールンを両断しながらも攻め続けた。
(このままじゃ、勝てない。思い出せ……)
エデンエイヴァに辿り着くため戦ったあの時。
死線を超え、無意識に至った境地。
内に眠る何か大きな力を動かしていた。
朧気だった意識の中に残る記憶と感覚。
(思い出せ……!)
確実性のない勝ち筋。
掴んだ指の隙間から零れてしまいそうな、微かな希望。
そんなものに縋らなければ覆せない実力差を、これまでの戦いで痛いほど感じていた。
(出来なきゃ、死ぬだけだ……!)
風の剣を作り直すのは何度目か。
フォールンの腹を貫き、その足首を持ってユウビに叩きつけた。
「っ」
ユウビが濁流を放ち、フォールンの体を押し返す。
フォールンの体が千切れて吹き飛び、ユーエスは手元に残った足を投げつけた。
「……少しは手段を選んだらどうだ?」
ユウビがフォールンの足を撥ね除け、苦い顔をする。
「余裕ないかな。必死なんだ」
ユーエスはフォールンを武器に戦う。
瘴気の木を狙い続け隙を探る。
しかし何度打ち合ってもその時は来ず、大きな力を引き出すことも出来ぬままマナを消耗していった。
(こいつは、僕が殺らないと……)
ユーエスの知る限り、人族で自身と並ぶ実力を持つものは八人。
ユーエスのようにどこかの陣営に所属している者もいれば、気の向くままに過ごしている者もいる。
ドリサへの助勢は期待できない。
いつか彼ら彼女らが倒してくれるとしても、ここで負ければドリサは瘴気に呑まれてしまうかもしれない。
ドリサの街が紫に染まり、やがて残ったモノクロの世界に倒れる見知った顔。
最悪の未来が脳裏を過る。
(させない。思い出せ……)
エデンエイヴァを目指し、最後に戦った大蛇。
立ち塞がる絶望に抗った、在りし日の己を。
(……違う。縋るな)
仄かな可能性に縋り、自らが招いた結末。
もう見ることの出来なくなった顔を。
もう聞くことの出来なくなった声を。
思い出す度に自信の甘さを悔い、恥じた。
それなのに。
今も、かつての己に縋っているのだと気づく。
(今、こいつを超えるんだろ……!)
ユーエスの体を縁取るよう水色の光が薄らと浮かぶ。
マナのようでマナではない、大きな力。
その断片に、触れた。
全ての魔術を再展開する。
内なる力を制御しているというよりも、力があって肉体があるような。
逆転した感覚。
全能感が精神を高揚させた。
暴風は風刃の竜巻へ。
その風域を侵した者は風の守護者に切り刻まれるだろう。
無知にも飛び込んだフォールンの体に幾つもの深い裂傷が刻まれ血飛沫があがる。
力を完全に引き出せているわけではない。
にもかかわらず魔術の出力が飛躍的に上がっていた。
ユーエスの変化に目を見張っていたユウビ。
僅かな戸惑いの時が過ぎると、結ばれていた口に力が入った。
それは確かな怒りの発露。
「人間風情がエーテルを使うなッ!」
漂っていた瘴気がユウビの体に雪崩れ込む。
瘴気を体に取り込めばタダでは済まない。
汚染地帯の環境と変異した動植物を見れば明らかだろう。
だが今のユウビの体は魔術そのもの。
体内に取り込んだ瘴気を無理矢理蒼黒に染めていく。
本来ユウビの魔術はマナに作用するものであり、瘴気を染められるかは賭けだった。
しかし、だからこそ体内に取り込んだ。
リスクも大きいが、自身のマナの影響が最も強く及ぶ領域へ。
「がはっ!」
取り込んだ瘴気の影響か、血を吐き出す。
腕の傷口からも血液が噴き出し、力が抜けた。
蹌踉ける足に力を入れて踏みしめる。
瘴気を変換し、内で膨大なマナを獲得できればそれで良かった。
しかし完全に染めきることは出来ず。
蒼黒水が瘴気を染めるように、瘴気もまた蒼黒水を侵食し始めた。
体内で何かが蠢いて手当たり次第に食い破っているような。
肉が内側から引き裂かれるにも等しい痛みが全身を巡る。
「痛みなど、恨みで染めろ……」
例え肉体が朽ち果てようとも。
「……許すものか」
その意志が侵食されることはない。
「欲念に溺れ、血で歪んだ虚構の生命」
喰らい合っていたマナと瘴気が混ざる。
「その咎さえ忘却の彼方へ葬った忌むべき者共……」
破壊と再生。
マナも瘴気も絶え。
異質な力がユウビに宿る。
蒼黒の力が湧きあがり、止めどなく溢れ出した。
暴風にも抗う重い蒼黒水が地面を染めていく。
手を握り、感触を確かめる。
「……人間への侮蔑を持って、このスティグマを振るおう」
限界を破った二人。
それぞれの信念が交錯し。
戦況が加速する。
ストーンゴーレムの肩から顔を覗かせて。
「自分もドロドロになっちゃった……」
蒼黒水に溶けたユウビ。
斬られても傷一つ負わぬ水の体。
初めて見る不思議な魔術に興味を惹かれていた。
だが同時に不安や緊張、恐怖などの負の感情も抱く。
ユウビの魔術の見た目と性能、そして何より凄く強いと思っていたユーエスを押している事実。
危険がすぐそこまで迫っているような。
「あ」
ユーエスが空へ逃れた。
戦況が変わる。
これでユウビも戦い辛くなった。
そう思った矢先。
蒼黒の水溜まりから飛沫が起こった。
舞い上がる水は悪魔の踊り。
響く水音は地獄の旋律。
飛沫が霧状に広がり、生きた空が染められていく。
「……空に逃げてもダメなんだ」
ラヴィポッドの恐怖に反応したのか、ストーンゴーレムがじりじりと後ろに下がる。
「こ、こっそり逃げちゃおっかな……」
後ろめたさでチラリとユーエスの顔を窺うと、目が合ってしまった。
ギクッと肩が跳ねる。
何故かユーエスの笑顔から圧力を感じた。
ユーエスが暴風を展開し戦闘が激化したのを見計らって、これ幸いにとストーンゴーレムを振り返らせる。
「そーっとそーっと」
そしてこそこそと一歩踏み出そうとした時。
(チビ、聞こえる?)
離れた場所で戦っている筈の、ユーエスの声が聞こえた。
耳元で囁かれているような距離感。
どうやら風魔術で多少離れた位置での会話を可能にしているらしい。
「き、聞こえないです」
なんだか嫌な予感がして嘘を吐く。
(よし、聞こえてるね。力を貸して欲しい。僕の魔術はあいつと相性悪いんだ。たぶんあの魔術はマナで構成されたものを同じ魔術に変質させてるんだと思う)
「……」
(でも土元素なら実在の土が足元に幾らでもあるから、マナで構成されていない質量を持った攻撃ができる)
聞こえていないフリをしてダンマリを決め込むが、話は進んでいく。
(僕が風であいつの液化を封じるから、模擬戦でやってた土の弾を撃ちまくるやつお願い!)
ユーエスが頼みながらも、流星の如き速度で突きを繰り出す。
すると、ここでラヴィポッドが漸く口を開いた。
「や、やです!」
(ちょっ、今我儘言ってる場合じゃ)
ユーエスが突きを受け止められ、距離をとる。
「失敗しちゃったらあの人に殺されます!」
もしラヴィポッドの魔術で倒しきれなかったら。
ユウビは標的をラヴィポッドに変え、真っ先に狙ってくるかもしれない。
(その時は僕が守るから……!)
「ま、負けそうなのにですか!?」
必死に戦っているユーエスに、あまりにもデリカシーに欠けた言葉がぶつけられる。
(あー、え~?……)
これには思わずユーエスの顔も引き攣った。
眉がピクピクと動いている。
……それはちょうどユウビに剣を砕かれたところだった。
ユウビが接近したことで激しい格闘戦が始まる。
(お願いだから早く!)
「や!」
(ダルムさんに言いつけるよ!)
ごくり。
ラヴィポッドが唾を呑む。
「で、でも……」
あの鬼のような顔のおじさんが怒ったら。
どんな悪逆非道なお仕置きをするのだろう。
(怖いよ~。丸焼きにして食べられちゃったり?)
手足を括り付けて吊るされ、炙られる様がありありと浮かぶ。
それをダルムは執務机に座って見ているのだ。
ナイフとフォークを持ち、柄尻でリズミカルに机を叩きながら。
「ひぃぃぃぃ!」
今日一番の情けない悲鳴。
「丸焼きは……丸焼きだけは……」
ブルブルと震えながら手を合わせて祈る。
それだけはご勘弁をと。
(嫌なら早く!)
余裕のなくなったユーエスの声。
ラヴィポッドがハッと我に返る。
「えーと、えーっと……」
漸くやる気になったが何を頼まれたのか頭から飛んでしまっていた。
早くしないと。
急かされたことで余計に慌ててしまい、全然思い出せず。
「……てぇーーーーっ!!」
とりあえず。
投げやりに号令を掛けた。
ラヴィポッドがビシッとユウビを指す。
それに応じるフレイムゴーレム。
攻撃手段として火を選択したのは、丸焼きのイメージの所為かもしれない。
両手の炎を一つに合わせ、最大出力の火炎を放った。
突如として日が暮れたのか。
夕焼けのように赤々と色づいた視界に、そんな錯覚をしてしまう。
息を吸えば喉が焼けてしまいそうな、熱が支配する世界。
灼熱が広範囲の瘴気を掻き消しながらユウビに襲い掛かる。
「そうじゃないっ!」
ユーエスはその場から離れ、思わずといった様子で叫ぶ。
マナで構成された火魔術ではユウビには届かない。
蒼黒水で無力化されてしまうだけだ。
熱気だけで周囲の水を蒸発させる程の破滅的な威力なら届くのかもしれないが。
それが出来ないから、土魔術を頼んだのに。
「……何のつもりだ?」
ユウビが眉根を寄せる。
効果がないとわかりきっている攻撃を何故してくるのか、と。
「ラヴィポッドが子どもだから」と油断を誘って奇襲を掛けられるのは一度のみ。
その貴重な機会をみすみす逃したのだ。
疑問に思って当然。
蒼黒水の籠手を纏った腕を振るう。
飛び出した水が広がって火炎の表面を覆っていき蒼黒水に染めようとして、
──弾き返された。
「っ!?」
「え?」
「おお!」
蒼黒水が火魔術を染めるでもなく。
火魔術によって発生した熱に蒼黒水が焼かれるわけでもなく。
ただ魔術同士がぶつかり合ったような反応に、ユウビは戸惑いを隠せない。
予想外の結果にユーエスも驚き。
ラヴィポッドはフレイムゴーレムの活躍に目を輝かせた。
ユウビの目前まで火炎が迫る。
蒼黒水となって逃げようにも、火炎は蒼黒水を捉えていた。
ならば水に変化するのは愚策。
無防備な姿を晒すだけだろう。
高威力の魔術で応戦したいが、既に火炎との距離が近すぎて間に合うかどうか。
ユウビは時間が許す限り手にマナを込める。
そうして作り出した蒼黒球を、火炎に押し付けた。
腕が火炎に侵され、皮膚が焼けていく。
痛みと熱で腕の感覚すら覚束ない。
それでもユウビは手を引かなかった。
やがて火炎とぶつかっていた蒼黒球が割れ、濁流が飛び出した。
濁流が火炎を割って進む。
濁流を縁取るように逸れた火炎の渦がユウビの周囲を通り過ぎていった。
「よ、避けてっ!」
ラヴィポッドの指示で、濁流直撃コースにいたフレイムゴーレムがヒラリと横にずれて回避。
止まることのない強力な二つの魔術は片や大地を抉り、片や焦土を作り出す。
少しして火炎と濁流が消えると、刹那の夕焼けはモノクロの世界へと戻る。
ラヴィポッドはフレイムゴーレムの無事にホッと一息。
そして視線を移すと。
ユウビが、彼を避けるようにできた焦土の内側に佇んでいた。
片腕がだらりと垂れ下がっている。
肘から先は蒼黒水の籠手を纏っていたため軽傷で済んでいる。
しかし二の腕から肩にかけて重度の火傷を負っており、皮膚が焼け爛れていた。
「し、失敗しちゃった……」
ラヴィポッドが青褪める。
黒い煙が立ち上る中、ゆらゆらと歪む景色に立っている様は宛ら幽鬼。
妄執に囚われた亡霊に見えた。
「ま、守ってくださいね! 約束なんですからっ!」
「はいはい」
ユーエスは呆れ混じりに苦笑して手をひらひらさせる。
その間、ユウビを注視したまま。
倒れてくれれば良いが、それはないだろうと感じていた。
やはりというべきか、ユウビが動き出す。
「……」
腕を力なく前に伸ばす。
すると腕からボトボトと蒼黒水が落ち、水溜りが瘴気の木へと伸びていった。
水が木に触れると、木が僅かに揺れてカサカサと葉が擦れる。
瘴気の木から、汚染地帯に漂うものより濃密な紫色の霧が発生。
霧が軟体生物のように怪しく蠢き、やがて弾ける。
そして。
──強力な瘴気が解き放たれた。
フレイムゴーレムの熱が周辺の瘴気を掻き消していたが、その均衡が崩れる。
ラヴィポッドとユーエスの行動範囲が紫色の瘴気に押されて狭まっていった。
「っと。なんかやばそうだね」
フレイムゴーレムの側に来たユーエス。
文明が滅びる瞬間に立ち会っているような、不吉な光景を目にして冷や汗をかく。
「あばばば」
ラヴィポッドに至っては泡を吹いて気絶しそうになっている。
瘴気は広がるだけに止まらず、あちこちで凝縮し人型を作っていった。
人型が色づき徐々に輪郭が鮮明になる。
それは鎧のような外骨格を持つ。
道中で出会った、ストーンゴーレムが反応できない程の速度を持つ怪人だった。
「やれ、フォールン」
ユウビの冷徹な声をきっかけに、無数の怪人──フォールンが一斉に襲い掛かった。
ラヴィポッド目掛けて。
「ひぃぃ!」
殺気を一身に浴びて身が竦む。
「っ、この数はきっついな……」
ユーエスが悪態を吐きながらも前に出た。
風と水魔術で加速しフォールンの腹に膝をめり込ませる。
マナによる身体強化がなければ膝の方が折れているであろう。
外骨格の硬度に顔をしかめ、フォールンの腕を掴むと、風魔術を乗せて投げつけた。
フォールンの硬い外骨格同士がぶつかり合い、砕けて落ちていく。
「雑魚じゃないってのがなあ」
雑兵のように出現したが、一体一体が脅威。
ユーエスだからこそ複数体を同時に相手出来るが、普通の人間ではそうはいかないだろう。
前に翳した片手を支え、水流を放つ。
太い水流が幾条にも枝分かれし、それぞれがフォールンを捉えて押し流す。
フォールンを運ぶ水流が軌道を変えてぶつかり合い、フォールン同士を叩きつけて砕いた。
倒した後も水流は動き続け、フォールンの数を着実に減らしていく。
だがいつまでもは続かない。
水流が、蒼黒に染まっていく。
「くっ!」
フォールンの殲滅に気を取られすぎた。
水魔術を使えば、敵のテリトリーを広げてしまうというのに。
「あの娘を」
手元まで染まった水流からユウビが現れる。
「どうするつもりだ」
声を荒げてはいない。
だがその静かな音の中に、確かな怒気が含まれていた。
「っ!」
首を狙ってきた腕。
咄嗟に蒼黒水対策の暴風を展開し、ギリギリのところで掴んで止めた。
ユウビは片腕が使えない。
今蒼黒水の籠手を纏っている腕も、ユーエスの突きを受け止めた際に負傷している。
しかしそれを全く感じさせぬ程に力が籠っていた。
鬩ぎ合う両者の腕が震える。
「なに? チビに化け物嗾けてんのそっちだよね」
「お前と決着をつけるまで大人しくしてもらうだけだ。答えろ」
「……どうもしないけど」
ユーエスは手を放しユウビを無視して瘴気の木へと突っ込む。
事情は知らないがラヴィポッドに危害を加えるつもりがないらしい。
ラヴィポッドの心配をしなくて済むのならこの戦いにおけるユウビの弱点、瘴気の木を狙う。
狙いに気づいたユウビが舌打ちをして水に紛れた。
ユーエスの魔術だった水流に乗って追いかける。
今も増え続けているフォールン。
ユーエスは瘴気の木の側で発生した個体に阻まれ、数体を倒したところでユウビに追いつかれた。
「お前を降す理由が増えた」
水流の勢いそのままに繰り出されたユウビの蹴りを避ける。
瘴気の木をユウビに背負わせるよう回り込みつつ手に暴風を展開。
可視化された若葉色の風が収束し、剣を模っていく。
「戦う理由の数で勝ち負け決める? 僕も結構ある、よ」
剣を薙ぎ風の斬撃を飛ばす。
ユウビの背を狙った斬撃。
それをユウビは振り返り様に裏拳で弾く。
籠手に触れた瞬間、斬撃は蒼黒に染まって落ちた。
「……口の減らない奴だ」
それから。
ユーエスは飛び回り、角度を変えて瘴気の木へ剣を振るった。
ユウビに受け止められ、剣が染められる。
その度に新たな剣を構成し、飛び込んでくるフォールンを両断しながらも攻め続けた。
(このままじゃ、勝てない。思い出せ……)
エデンエイヴァに辿り着くため戦ったあの時。
死線を超え、無意識に至った境地。
内に眠る何か大きな力を動かしていた。
朧気だった意識の中に残る記憶と感覚。
(思い出せ……!)
確実性のない勝ち筋。
掴んだ指の隙間から零れてしまいそうな、微かな希望。
そんなものに縋らなければ覆せない実力差を、これまでの戦いで痛いほど感じていた。
(出来なきゃ、死ぬだけだ……!)
風の剣を作り直すのは何度目か。
フォールンの腹を貫き、その足首を持ってユウビに叩きつけた。
「っ」
ユウビが濁流を放ち、フォールンの体を押し返す。
フォールンの体が千切れて吹き飛び、ユーエスは手元に残った足を投げつけた。
「……少しは手段を選んだらどうだ?」
ユウビがフォールンの足を撥ね除け、苦い顔をする。
「余裕ないかな。必死なんだ」
ユーエスはフォールンを武器に戦う。
瘴気の木を狙い続け隙を探る。
しかし何度打ち合ってもその時は来ず、大きな力を引き出すことも出来ぬままマナを消耗していった。
(こいつは、僕が殺らないと……)
ユーエスの知る限り、人族で自身と並ぶ実力を持つものは八人。
ユーエスのようにどこかの陣営に所属している者もいれば、気の向くままに過ごしている者もいる。
ドリサへの助勢は期待できない。
いつか彼ら彼女らが倒してくれるとしても、ここで負ければドリサは瘴気に呑まれてしまうかもしれない。
ドリサの街が紫に染まり、やがて残ったモノクロの世界に倒れる見知った顔。
最悪の未来が脳裏を過る。
(させない。思い出せ……)
エデンエイヴァを目指し、最後に戦った大蛇。
立ち塞がる絶望に抗った、在りし日の己を。
(……違う。縋るな)
仄かな可能性に縋り、自らが招いた結末。
もう見ることの出来なくなった顔を。
もう聞くことの出来なくなった声を。
思い出す度に自信の甘さを悔い、恥じた。
それなのに。
今も、かつての己に縋っているのだと気づく。
(今、こいつを超えるんだろ……!)
ユーエスの体を縁取るよう水色の光が薄らと浮かぶ。
マナのようでマナではない、大きな力。
その断片に、触れた。
全ての魔術を再展開する。
内なる力を制御しているというよりも、力があって肉体があるような。
逆転した感覚。
全能感が精神を高揚させた。
暴風は風刃の竜巻へ。
その風域を侵した者は風の守護者に切り刻まれるだろう。
無知にも飛び込んだフォールンの体に幾つもの深い裂傷が刻まれ血飛沫があがる。
力を完全に引き出せているわけではない。
にもかかわらず魔術の出力が飛躍的に上がっていた。
ユーエスの変化に目を見張っていたユウビ。
僅かな戸惑いの時が過ぎると、結ばれていた口に力が入った。
それは確かな怒りの発露。
「人間風情がエーテルを使うなッ!」
漂っていた瘴気がユウビの体に雪崩れ込む。
瘴気を体に取り込めばタダでは済まない。
汚染地帯の環境と変異した動植物を見れば明らかだろう。
だが今のユウビの体は魔術そのもの。
体内に取り込んだ瘴気を無理矢理蒼黒に染めていく。
本来ユウビの魔術はマナに作用するものであり、瘴気を染められるかは賭けだった。
しかし、だからこそ体内に取り込んだ。
リスクも大きいが、自身のマナの影響が最も強く及ぶ領域へ。
「がはっ!」
取り込んだ瘴気の影響か、血を吐き出す。
腕の傷口からも血液が噴き出し、力が抜けた。
蹌踉ける足に力を入れて踏みしめる。
瘴気を変換し、内で膨大なマナを獲得できればそれで良かった。
しかし完全に染めきることは出来ず。
蒼黒水が瘴気を染めるように、瘴気もまた蒼黒水を侵食し始めた。
体内で何かが蠢いて手当たり次第に食い破っているような。
肉が内側から引き裂かれるにも等しい痛みが全身を巡る。
「痛みなど、恨みで染めろ……」
例え肉体が朽ち果てようとも。
「……許すものか」
その意志が侵食されることはない。
「欲念に溺れ、血で歪んだ虚構の生命」
喰らい合っていたマナと瘴気が混ざる。
「その咎さえ忘却の彼方へ葬った忌むべき者共……」
破壊と再生。
マナも瘴気も絶え。
異質な力がユウビに宿る。
蒼黒の力が湧きあがり、止めどなく溢れ出した。
暴風にも抗う重い蒼黒水が地面を染めていく。
手を握り、感触を確かめる。
「……人間への侮蔑を持って、このスティグマを振るおう」
限界を破った二人。
それぞれの信念が交錯し。
戦況が加速する。
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