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49.ナナミに懐いたコンの話
しおりを挟む「ナナミく~ん、お昼寝しよう~・・・って、ああ!!」
モモがルンルンとスキップしながら一階の団欒スペースに鎮座するソファに近づく。そこにはナナミが寛ぐように座っていて、時々やってもらうように膝枕をしてもらおうと思っていたのだった。
だが、モモはナナミの座っているソファを覗いて固まった。なんと、彼の傍らには既にコンが陣取っていたからだ。腕置きとは反対側にちょこんと存在し、まさにモモがしてもらいたかった膝枕をしてもらっている。すぅすぅと聞こえる穏やかな寝息が恨めしい。
こ、こいつ・・・・・・
コンがナナミとユキと共にどこかへ出掛けて帰ってきてから、驚くことにコンのナナミに対する態度が変わった。いや、変わったどころか今では懐いていつもべったりとくっついている。それまでは店長のくっつき虫だったくせに、今度はみんなのナナミを独り占めしているのだ!店長にくっついている分には良かったものを・・・・・・。
そして、彼は相変わらず他のキャストに対する態度は生意気であった。少しマシになったといえばなったが、まだまだ素直さが足りない。見習いの子たちも困っているが、コンはユキの言うことだけはまぁ聞くようになった。少しずつ店に馴染んできたといえるだろう。
モモに対する態度がずば抜けて悪いような気がするのは、ただの気のせいか。
ただ、客に対する態度だけは目を見張るほど成長したと言わざるを得ない。今までは声をかけられただけですぐに突っかかり、暴言を吐いて客を怒らせていたが、最近では柔らかく賢い対応ができているような気がする。進歩したと言えば進歩したのだが・・・・・・
「もー、僕もナナミくんに膝枕してもらいたかったのにー・・・」
「ごめんね。今日は仕事が多かったから疲れてるらしくて」
むぅ~と口を膨らませながら仕方ないかと引き下がろうとした瞬間、ナナミに撫でられているコンが薄めを開けてこちらを見た。目が合った瞬間、にま、と勝ち誇ったように笑った。
『こっっの、クソガキ・・・・・・!!』
コンが起きていることに気づいていないナナミに密告したくなったが、こちらがムキになることは彼の思うつぼだろう。モモは心の中で毒づきながらも、次は絶対にナナミの膝を勝ち取ると決意したのだった。
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