27 / 66
27.モヤモヤ
しおりを挟むシーン・・・・・・。俺、今絶賛落ち込み中です。
店長にぎゅっとしがみついて離れる気配のなかったコンは、結局店長が風呂に入れることになった。俺はというと、先に一人で風呂に入ることになり、石けんを泡立てながらさっきのことを考えている。
手も繋いだし、頭も撫でさせてくれて可愛い反応を見せてくれたコンにめちゃくちゃ拒絶されたことが精神的に来ている。マジでショックだ。
髪を洗いながら、頭の中ではコンの自分を睨む顔が何度も繰り返される。拒絶、『嫌』という色が、目の奥にはっきりと見えた。
こんな感じなんだな・・・・・・。今、普通や整った顔の人に嫌悪感を抱かれるみんなの気持ちがわかった気がした。表面上は繕える。が、傷は自分が思っているよりも深くて、ズブズブと時差を経て心を侵食してくるようだ。ふと、前にいた世界での自分の地位を思い出した。地味顔で、特徴が目が細いこととノッポであることしかなく、特に人に認知してもらえないという悲しい過去だ。でも、嫌われてはいなかった気がする。
確かに俺は地味で、印象に残らない顔をしている。が、両親には愛情をかけて育ててもらったし、少ないなりにも友達はいた。キャストのシノは、両親に捨てられこの店の先代に拾われたという。きっと見た目が気持ち悪かったからじゃないかな、と笑って言っていたけど、俺にとっては信じられないことだった。
地味な顔である俺だが、幸いなことにこの世界では整った方に入っており、そのため周りからも優しくされている自覚はある。だから、ぽやぽやと生活できていたのだ。
顔のせいで嫌われ嫌な思いをしてきた人たちに共感していると思っていた。だが、それは自分の勝手な思い込みだったのだ。勝手に相手の気持ちを想像して、勝手に悲しくなって、で、そんな顔をしたらみんな『ありがとう』と感謝してくれた。
今初めて、自分の客への関わり方に嫌悪感を抱いた。最低だ、俺・・・・・・
気がつくと、頭は泡でいっぱいになっていた。手を止めることなく思考をしていたため、髪が泡立ちまくっていたのである。泡のアフロになっていた。
「何やってんだ・・・・・・」
溜息を吐きながら湯で泡を洗い流す。勢いよく頭に湯が当たり泡の塊を流していったが、心の中のもやもやは洗い流すことができなかった。
20
お気に入りに追加
362
あなたにおすすめの小説
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
可愛い男の子が実はタチだった件について。
桜子あんこ
BL
イケメンで女にモテる男、裕也(ゆうや)と可愛くて男にモテる、凛(りん)が付き合い始め、裕也は自分が抱く側かと思っていた。
可愛いS攻め×快楽に弱い男前受け
俺が総受けって何かの間違いですよね?
彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。
17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。
ここで俺は青春と愛情を感じてみたい!
ひっそりと平和な日常を送ります。
待って!俺ってモブだよね…??
女神様が言ってた話では…
このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!?
俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!!
平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣)
女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね?
モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
双子攻略が難解すぎてもうやりたくない
はー
BL
※監禁、調教、ストーカーなどの表現があります。
22歳で死んでしまった俺はどうやら乙女ゲームの世界にストーカーとして転生したらしい。
脱ストーカーして少し遠くから傍観していたはずなのにこの双子は何で絡んでくるんだ!!
ストーカーされてた双子×ストーカー辞めたストーカー(転生者)の話
⭐︎登場人物⭐︎
元ストーカーくん(転生者)佐藤翔
主人公 一宮桜
攻略対象1 東雲春馬
攻略対象2 早乙女夏樹
攻略対象3 如月雪成(双子兄)
攻略対象4 如月雪 (双子弟)
元ストーカーくんの兄 佐藤明
勇者の股間触ったらエライことになった
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。
町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。
オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる