上 下
35 / 47
第1サーバーDESSQ

第34話 レトファリック一行作戦会議、FONUMEES SKILL BALL使用

しおりを挟む
「鯱千。危険だ。一旦作戦をきちんと考えた方がいい。妙だ。ビリヤードでこんな力を加える必要はない。」

5人が道具の操作を確認して、作戦を考え始めた。

レトファリックは目立つ役割を担おうとはしなかったが周りの声もありビリヤードでプレイヤー担当となった。

「僕ら、田芽助、峯未雨は妨害、補佐が基本でいいんですよね。」

峰未雨もこれに同調した。

「ビリヤード中級者のレトファリックと鯱千。この二人以外はレナリアの妨害。別に変える所はないんじゃないの。」

「いいか。命を賭ける条件があるという事は普通にビリヤードやってても勝てないって事だ。squiの計算処理能力を利用すると思っていたがこれは予想外だ。」

「多分大きな力を加える必要があるゲームなんだよ。ゲームが始まってから臨機応変に対応するしかなくない。」

「ボールには判明しているFONUMEESが操作画面にも描かれてるんだ。FONUMEESの絵が描かれた手球とダイヤの3とクラブの7はタップ出来る。ビリヤードと絡めたゲームになるはず。作戦を練り直そう。」

レトファリックらの一時的な作戦会議は終わり、squiにゲーム開始の合図を出した。

NPCのレナリアともう一度向き合い、対戦相手として礼儀正しく会釈した。

「準備はできましたかー。命賭けないんだからビリヤードで遊ぶだけ。そんなに怯える必要はないと思いますよー。」

「レナリア、せめてもの情けだが、君を人として見るため敬意を払う。準備はできた。squi始めてくれ。」

〔かしこまりました。挑戦者サイドレトファリック、峰未雨、鯱千、六衛田芽助NONUMEESGAMEサイドオートビット・レナリア共に準備完了。ゲームを開始致します。〕
〔A BIRIYARD-LIKE GAME USING FONUMEES SKILL BALL  START〕

〔挑戦者サイドが先攻となります。まずは道具を選び、白い手球を所定の位置に配置後、トランプの小さい数字から順番にボールを狙って下さい。〕

「んじゃまずは、私が手本を見せる。パーティー唯一の上級者のプレイングをよく見とくように。このキューはこうやって台に水平になる姿勢を取ります。そんで狙うのはあのスペードの1ね。それ以外のボールに当てたらお手付き。だけど、スペードの1のボールを使って他のボールを落とすのはあり。最初だから難しいけど、こうやって一つの穴に絞って当てる位置を決めれば落とせたりする。」

鯱千はその後沈黙して集中してボールを突いた。

(まずは端にあるダイヤの9かスペードの10を狙うべき。最初だからボールを分散させて、手球がスペードの1から離れればラッキー。この中で一番ビリヤードの経験があるって事は意外と素養あるのか私。今度峰未雨に教えよう。)

鯱千は落ち着いて手球を突いた。しかし、スペードの1にボールが勢いよく当たりその場の近くに止まってしまった。

「おいおい。これじゃ対戦相手のレナリアにチャンスを与えるだけじゃねえか。やはり4人で交互に行うのが、蟠りがなくて良さそうだ。峰未雨頼む。順番通り俺が次に打つ。」

隣の田芽助はゲームボードに不正、不穏な動きが無いか調べていた。

「公平にしてチーム間での喧嘩を防ぐのは自分もいいと思います。複数人での対戦の場合限定の条件があるなら仲間割れを起こすスキルやギミックがありそうです。しかし、Yobaseさん今のボールの動きは変ですね。手球に加えた力がスペードの1に押し殺されました。手球が当たったのに全ての球は微動だにしてません。」

「ああ、明らかに普通じゃない。命を賭けなくて正解だった。」

オートビット・レナリアが、異変に気付いた彼らを見て微笑みを浮かべた。

「ビリヤード本気で遊んでくれて嬉しいー。人間は命を賭けないと負けても言い訳するかなって思ってたー。」

〔オートビット・レナリア様が後攻になります。挑戦者サイドの1ターン目が終了したため、先攻と同じくお好きな道具を選び、白い手球を配置後スペードの1を狙って下さい。以降は、情報を抑え得点とターン数を表示致します。〕

「じゃあ遊びは終わりね。かっこいいこの銃を使おーっと。FONUMEES BALL squi。」

〔A BIRIYARD-LIKE GAME USING FONUMEES SKILL BALL〕
追加のルール説明を致します。

・ゲーム中、トランプに該当するFONUMEESがこのゲームに準えたスキルを使用できます。挑戦者側のFONUMEESは基本的に相手のターン中のみ使用する事ができます。自チームの専用スキルをメニュー画面に表示致しましたので、ご確認下さい。

手球を所定の位置に配置後、オートビット・レナリア所持FONUMEES squiの能力を現在のゲームに適用致します。〕

ゲームボードにトランプのダイヤのKINGのマークが現れsquiの今回のゲーム専用の能力が明かされた。

〔オートビット・レナリア所持FONUMEES ダイヤのKING squiの一部演算能力を今回のゲーム専用スキルとして使用。能力 自分のターン中、通信可能な道具にsqui自体の演算能力の一部を伝達し制御する。また、一時的な演算能力の可視化が使用できます。相手のターン中にはゲームボードを活用して防衛します。〕

「驚いた?ゲームマスターが思慮された大事なゲームなんだから何の意味も無くボールにトランプのマークを描くはずがないと思うのが普通ですよねー。FPSゲームをする前に操作の全てを教えてもらえない。ルール説明が不十分なのは本来私の役目だからだよー。squiの演算能力なら一部でも20得点は確実。」

レトファリックらは対処が全く出来ず焦っていた。

しかし、この焦りは想定していた状況だからこその反応だった。

「よ、容赦ない、レナリアさん。けど思っていたより種明かしが早いな。いいのか。君がスキルを使えばルールが公になり、こっちの所持してるFONUMEESの能力も推測できる。使えるFONUMEESは一つか。一ターンごとか。次のターンまでにはルールの全貌を教えてもらえそうだ。」

レトファリックが田芽助と相槌を交わして、挑戦者側の使うスキルを決断した。

「FONUMEES BALL モルホデフタ、様、師匠、お願いします。」

〔Yobase所持FONUMEES ダイヤの3 モルホデフタの寄生及び意識に干渉し指示する能力を今回のゲーム専用スキルとして使用。能力 ゲームボードに置かれた相手の手球以外の一つのボールに寄生し操作。また、メニュー画面より、対戦で使う道具やボール等の無生物のアイテムにモンスターの重量比を基にしてボールを重くする事ができる。一度だけ、動作はしないがメニューから無生物のアイテムを選択して寄生する事ができる。〕

「不動と言われる師匠なら、squiの完璧な演算だろうとボールは動かない。」

メニュー画面にA BIRIYARD-LIKE GAME USING FONUMEES SKILL BALL専用のモルホデフタの操作画面が表示された。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

NPCが俺の嫁~リアルに連れ帰る為に攻略す~

ゆる弥
SF
親友に誘われたVRMMOゲーム現天獄《げんてんごく》というゲームの中で俺は運命の人を見つける。 それは現地人(NPC)だった。 その子にいい所を見せるべく活躍し、そして最終目標はゲームクリアの報酬による願い事をなんでも一つ叶えてくれるというもの。 「人が作ったVR空間のNPCと結婚なんて出来るわけねーだろ!?」 「誰が不可能だと決めたんだ!? 俺はネムさんと結婚すると決めた!」 こんなヤバいやつの話。

鉄錆の女王機兵

荻原数馬
SF
戦車と一体化した四肢無き女王と、荒野に生きる鉄騎士の物語。 荒廃した世界。 暴走したDNA、ミュータントの跳梁跋扈する荒野。 恐るべき異形の化け物の前に、命は無残に散る。 ミュータントに攫われた少女は 闇の中で、赤く光る無数の目に囲まれ 絶望の中で食われ死ぬ定めにあった。 奇跡か、あるいはさらなる絶望の罠か。 死に場所を求めた男によって助け出されたが 美しき四肢は無残に食いちぎられた後である。 慈悲無き世界で二人に迫る、甘美なる死の誘惑。 その先に求めた生、災厄の箱に残ったものは 戦車と一体化し、戦い続ける宿命。 愛だけが、か細い未来を照らし出す。

ヒトの世界にて

ぽぽたむ
SF
「Astronaut Peace Hope Seek……それが貴方(お主)の名前なのよ?(なんじゃろ?)」 西暦2132年、人々は道徳のタガが外れた戦争をしていた。 その時代の技術を全て集めたロボットが作られたがそのロボットは戦争に出ること無く封印された。 そのロボットが目覚めると世界は中世時代の様なファンタジーの世界になっており…… SFとファンタジー、その他諸々をごった煮にした冒険物語になります。 ありきたりだけどあまりに混ぜすぎた世界観でのお話です。 どうぞお楽しみ下さい。

超一流ヴィランの俺様だが貴様らがどうしてもというならヒーローになってやらんこともない!

阿弥陀乃トンマージ
SF
 若くして広大な銀河にその名を轟かす、超一流のヴィランの青年、ジンライ。  漆黒のパワードスーツに身を包み、幾つもの堅固な宇宙要塞を陥落させ、数多の屈強な種族を倒してきた、そのヴィランに課せられた新たな任務の目的地は、太陽系第三番惑星、地球。  広い銀河においては単なる辺境の惑星に過ぎないと思われた星を訪れた時、青年の数奇な運命が動き出す……。  一癖も二癖もある、常識外れのニューヒーロー、ここに誕生!

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

無頼少年記 ~最強の戦闘民族の末裔、父親に植えつけられた神話のドラゴンをなんとかしたいので、冒険者ギルドに就職する~

ANGELUS
SF
 世界で最強と名高い戦闘民族の末裔―――流川澄男は、かつて復讐者であった。  復讐のために集めた仲間たちとともに、その怨敵を討ち滅ぼした澄男は次なる目標のため、新たな人生を送る決意を固め、世界へ進出する。  その足掛かりとして任務請負機関ヴェナンディグラム北支部に所属し、任務請負人という職業に就職した彼だったが、ひょんなことから支部のエースたちと出会う。  名をレク・ホーラン、その相棒ブルー・ペグランタン。  復讐のため、一度は闇に身を投じた少年。その闇は仲間の力で終焉を迎えた。それでも彼の人生は終わらない。一度は闇に生きると決めた彼だったが、大切なもの、守るべきものが新たにできたことで、新しい目標を据えた第二の人生が幕を開ける。  手前の大事なものは死んでも守り切る。彼が幼少から思い描いていた、真なる``英雄``となるために―――。  流川澄男とその仲間たちの世界進出、そして世界中で出会うこととなる人々と織りなす、元復讐者が真なる英雄へ返り咲く物語。

もうダメだ。俺の人生詰んでいる。

静馬⭐︎GTR
SF
 『私小説』と、『機動兵士』的小説がゴッチャになっている小説です。百話完結だけは、約束できます。     (アメブロ「なつかしゲームブック館」にて投稿されております)

入れ替われるイメクラ

廣瀬純一
SF
男女の体が入れ替わるイメクラの話

処理中です...