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一章
拠点の機能(2)
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さて、いよいよ、プレイヤーの脱出ポッドの機能の中で、もっとも難解なもの。
製造装置の紹介に入ろう。
製造装置。
すべてのプレイヤーに与えられている、脱出ポッドに最初から設えられている設備の一つ。
一言で言ってしまえば、その機能はきわめて単純明快。
『プレイヤーが採取してきた資源を加工し、さまざまなものを作ってくれる装置』。
それさえ理解していれば、あとは製造装置の指示に従うだけで、普通にゲームを楽しむうえではなにも問題は起こらない。
だからこれからする話は、興味がある人だけ聞いてくれ。
気にならない人には、まったく気にならない部分だろうから。
なにせ今回は、まるまる全部製造装置についての話になる。
興味がない人にとっては、いっそ蛇足ですらある部分だ。
そう言う人は最後の最後まで聞き流してしまってくれ。
……気になるって?
俺も気になった。だから、前作でいろいろ検証したんだ。
気になるという人には、その検証結果を共有しようと思う。
よければ聞いてってくれ。
では、製造装置の機能に関して、少々ちがう方面から切り込んでみるとしよう。
*────
プレイヤーたちが乗っていたという「移民船」。
多機能な「脱出ポッド」、その中にある「圧縮ストレージ」。
いずれ使えるようになる「ポータル」。
同じくいずれ使えるようになる「圧縮バックパック」。
プレイヤーひとりひとりに紐付けられている「仮想端末」。
ホログラムで立ち上がる「仮想ウィンドウ」。
それらを考えると、このゲームの舞台となる世界の技術水準は、それなりに「近未来的な技術」であるという印象を持つ。
となると、惑星カレドに放り出されたプレイヤーたちの開拓も当然「近未来的なもの」になる、と考えるのが普通だ。
NASAやJAXAが開発しているような、全環境対応のスーツとか?
携帯可能な高出力のレーザーカッターとか?
完全自動採石場とか?
携帯可能な住居とか?
心で撃つ光線銃とか?
奥歯に仕込む加速装置とか?
そうした近未来技術を、プレイヤーたちも当然使えるのではと考える。
だが、疑問に思わなかっただろうか。
初期所有品のラインナップが、やけに原始的なものであったということに。
疑問に思わなかっただろうか。
俺が先ほど山岳地帯で花崗岩を探したいなどと言っていたことに。
そう。
要所要所に存在する明らかに近未来な技術を尻目に、この『ワンダリング・ワンダラーズ!!』というゲームの、ゲーム開始時のプレイヤーが位置する技術水準は。
極めて低いところから始まり。
これからかなり長い間、その低い水準を彷徨い続けることになるのである。
覚えているだろうか。
俺は以前『犬』について、こう紹介したことがある。
魔法もない、異能力もない、近未来技術はちょっとだけある、と。
そう、ちょっとだけ。
ちょっとだけなのだ。
まあ、あれだよ。
「圧縮バックパック」や「ポータル」といった「近未来技術」もいずれ登場するだろうけれど、それらはあくまで「快適なゲームプレイのための最低限の利便性」を確保するために、やや強引な理屈で用意されているものにすぎない。
本当のところこのゲームは、プレイヤーたちに「未開惑星サバイバル」をさせたいだけなんだ。
少なくとも、最初のうちは。
*────
おいおい、そんなところから始めろだなんて、
まさかプレイヤーは石器時代からやり直せとでもいうのか?
いやいや、もちろんそういうわけじゃない。
すべてのプレイヤーには、ゲームをはじめたばかりの時から、たとえクリエイティブなリアルスキルがなくてもそのプレイを快適にしてくれるような、心強い味方が与えられている。
それが、初期開始地点となる脱出ポットに搭載されている「製造装置」だ。
*────
製造装置。
この装置を一言で言えば「3Dプリンター」だ。
この製造装置は、同じく初期配備されている分析装置と連動している。
分析装置にこの星でプレイヤーが採取した資源を投入すると、その資源の元素含有量や、抽出可能な成分が、脱出ポッド内のデータバンクに蓄積される。
製造装置は、そのデータバンクにアクセスすることで、一度分析装置に投入された「現在プレイヤーが入手可能な資源」から生成可能な、無数の生成物を提案してくれる。
そして圧縮ストレージ内部に、その生成物を生成するに足る一定量の資源が存在すれば、製造装置が3Dプリンターでその生成物を実際に作成してくれるんだ。
製造装置が提案する生成物は、分析装置にいろいろなものを分析させれば分析させるほど、そして製造装置がさまざまなものを生成すれば生成するほど多様になる。
ゲーム的な言い方をすれば「レシピがアンロックされていく」というやつだ。
どうかな、なかなか楽しそうな、夢のような装置だろう。
えっ、たしかにすごいけど、ここまでにどこかおかしい場所があったか、って?
そうだな、ここまでの説明では、まだそこには気づきようがないか。
じゃあ、試しに一度、使ってみるとしようか。
*────
さて、この装置を実際に使ってみると、「概ね現実準拠」なこの仮想世界の理に照らして明らかにおかしいと感じられる部分がある。
とあるものが明らかに無視されていると感じられるのだ。
いったいなにが無視されているのか。
結論から言えば。
それは『加工に必要とされる触媒一般、ならびに加工に必要とされるすべてのエネルギー』。
言い換えればこうも言える。
製造装置を使ってものを作る際、プレイヤーがするべきことは、生成物を十分取り出せるだけの資源を集めてくること、ただそれだけである。
……どういうことか。
具体例を挙げてみてみよう。
たとえば、とあるプレイヤーが一本の「鉄の棒」を作りたいと考えたとする。
「ヘイ、ファブリケーター。敵と戦うための鉄の棒を作ってくれ。
『なるほど。ほかならぬ君の頼みだ、もちろんいいとも。
そういえば、君がかつて手に入れた鉄鉱石、あれは実に質がいいものだった。
あれと同じものが、握りこぶし10個ほど欲しいな。
全部で10kg程度の鉄鉱石があれば、君が望むような鉄の棒を作るに足る鉄が賄えるんだ。
……おっと、言い忘れていた。
それなりに硬くしたいなら、石炭でも木炭でもいいが、少しでいいから炭も頼むよ。
鉄の棒を硬くするためには、炭素含有量も重要だからね。
「おいおい、鉄鉱石を10個、それに炭だって?少しはおまけしてくれよ。
まあ、鉄の棒一本分となると、鉄鉱石もたくさん必要になるよな。
……よし、これで鉄鉱石10個だ。鉄の含有量もばっちりだろう。それと炭もだ。
オッケー、ファブリケーター。約束通り、これで鉄の棒を作ってくれ。
『了解だ。……よし、鉄の棒を作ったぞ。仕上がりはどうだ。
「ああ、いい出来だ。苦労して資源を掻き集めてきた甲斐があったな……。
鉄鉱石に含まれる鉄の量は、確かに鉄の棒一本を生成するのに十分だった。
鉄の棒に含まれる数%の炭素もちゃんと用意した。
特におかしなことはところはない。
……本当に?
いやいや、いやいやいや。
鉄鉱石から、鉄を作る。それは確かに可能だ。
十分な鉄鉱石も用意したのかもしれない。
だが鉄鉱石から鉄を作るまでには、鉄鉱石の原料処理とか、コークス処理とか、銑鉄の精錬とか、製鋼処理とかいろいろあるだろう。
それらの工程はどこに行ったんだ。
そしてそれらの工程に必要な触媒や、費やされるエネルギーは、いったいどこから持ってくるんだ。
そんな疑問を知ってか知らずか。
製造装置先生は次のように言ってくれる。
『これまで分析装置が分析したもののうち、これこれの資源が、これだけの量あれば、あとは私が完成品を作ってやる。大丈夫だ、私を信じろ』
『そのために必要なエネルギーは太陽光パネルの方からもらう。だから気にするな』
『だがあまりにも精密な技術加工はまだ厳しい。最初はロクなものが作れないが許してくれ』
足りないものはいったいどこから?
その答えは「プレイヤーには見えないところ」。
すなわち、仮想世界の虚構から、だ。
*────
実際問題。
もしも必要な加工手順を現実のそれに合わせてしまったならば、
プレイヤーたちはこの星の森を焼き、山を崩し、露天掘りで大地を抉り、
製造に必要なエネルギーも現実のそれに合わせるならば、
河川を歪めダムを造り、海洋の上に巨大な石油生産プラントを建て、
いずれこの惑星の上に一大工業地帯を作り出さねばならなくなるだろう。
だが、『犬』はそういうゲームではないらしい。
このゲームは文明破滅シミュレーターではないし。
惑星資源消滅シミュレーターでもないし、
効率的でオートメイションな工業地帯を作り出すシミュレーターでもない。
あくまで非力な人間が、未開の惑星の多種多様な自然環境を、
緊張感を維持しつつもそこそこ快適に探索するのが主題のゲームだ。
そのために、製造装置という「ゲーム的な機能」の裏側で、
そのあたりのエネルギー保存則が明らかに無視されている。
ゆえにこの装置は「近未来的」なのではなく「非現実的」なのだ。
ものによっては――前作で代表的なのがポータル設置装置だが――貴金属を筆頭とする希少な資源が大量に必要とされることがある。
要求される資源の種類が数十種類、数十トンに及ぶこともある。
そうした場合は、たとえば鉱山のような、地形の一部を変えてしまうような資源採取が必要になることもある。
それでも、この星が現実の地球のようなペースで破壊されていくことはない。
なぜなら、本来加工に必要なさまざまなものがひっそりと免除されているからだ。
資源の総消費量が緩やかになるように、そうして見えないブレーキが掛けられているのだ。
……まぁ、仮に現実と同じペースで資源を採取したとしても、このゲームのサービス終了までにこの星の資源を掘り尽くせるとは到底思えないが。
*────
こうした製造装置の非現実的な部分を踏まえたうえで注意したいのが、製造装置は「素材の嵩増し」自体は決して行ってくれないということだ。
製造装置の領分について、幾つか例を見てみよう。
100mlの川の水から、101mlの飲料水を作り出すことはできない。
生成物に含まれる水分子の総量自体は誤魔化すことができないわけだ。
100mlの川の水から、80mlのぶどうジュースを作り出すこともできない。
ぶどうジュースに含まれるもろもろのぶどう成分は自分で用意しなければならないわけだ。
10cm四方の石塊から、縦5cm横20cmの石塊を削り出したりもできない。
ただしこの場合は、素材となる石を半分に割って接着して作るのはどうかと提案してくれる。
プレイヤーが用意した素材を加工する、という事実は変わらないわけだな。
だが一方で、100mlの冷たい水を用意するだけで、100mlの熱湯を作り出すことはできる。
100mlの食塩水を用意するだけで、100mlの水といくらかの塩化ナトリウムを取り出すこともできる。
これは、ちょっと熱力学を考えれば明らかにおかしいとわかるだろう。
脱出ポッドに設えられた「性能不明の太陽光パネル」は、このおかしさを少しでも誤魔化すためのカモフラージュなのだ。
また、加工に要するエネルギーを無視するという点にはいくつか例外もある。
たとえば酸化アルミニウムを含む岩石から純粋なアルミニウムを取り出すといった、本来ならば極めて大きなエネルギーを必要とする加工作業については、現実の加工手順に一部準じることがある。
「生成物を十分取り出せるだけの資源」があっても、実際には取り出せないことがありうる。
この例外は特に鉱物系に多かったのだが……とにかく、完全に無視できるものばかりではない。
製造物に含まれる元素の質量分を、ただいろんな化合物から掻き集めてくればいいというわけではないのだ。
そういう例外については、その都度製造装置先生の言うことに従えばいい。
今はできないとか、これこれがあれば今ならできるとか、その都度言ってくれるだろう。
*────
結論。
製造装置先生はすごい。
プレイヤーたちはひっかかりを覚えることなく、製造装置の恩恵に預かればよい。
製造装置が「できる」と言ったらできるのだ。
製造装置が「できない」と言ったらできないのだ。
この「概ね現実準拠」な世界においても、それが「おかしい」とか「現実的じゃない」などと考える必要はない。
ちなみに。
製造装置が「できない」と言うのは、「製造装置ではできない」という意味である。
あとは……言わなくても、わかるよな?
本当に恐ろしいのは、物理法則を無視してものをつくりだす製造装置ではなく、
物理法則に服従したうえでものをつくりだす人間なのかもしれない。
*──
さて、いま紹介させてもらった製造装置だが、言うまでもなくプレイヤーの生命線だ。
この装置を用いることで、プレイヤーは道具をつくり出すことができる。
石製や鉄製の装備も、加工難度を無視して簡単に作り出すことができる。
資源を加工した簡易食料や、飲料水の精製なんかもできる。
ゲーム開始時点の脱出ポッドには、人間が生命活動を維持し続けるのに十分な、およそ2週間分の携帯食料と飲料水が備えられている。
だが、それも遠からず尽きる。
プレイヤーがこの世界でまず最初に試みるべきことは、製造装置で水と食料を持続的に用意できるようにすること。
そのために周囲の資源サンプルを採取し、分析装置にかけ、より効率的・持続可能な供給経路を見つけ出すことなのだ。
その点今回俺たちが着陸したセドナには、資源採取に関しては比較的悩みが生じにくい地形環境であると言える。
衛星写真で見えただけでも、森がある。河川がある。山岳がある。
それはすなわち、木材がある、植物資源がある、水がある、石材と鉱物があるということだ。
それだけあれば、製造装置はひと通りの原始的な道具類を容易く揃えてくれるだろう。
サバイバルにしてはぬるいんじゃないかって?
そうかもしれない。
少なくともこのセドナに着陸することができた俺たちはそう言える。
だがこれが、たとえば砂漠のど真ん中であるとか、見渡す限りの草原であるとかだとこうはいかない。
飲料水の生成一つとっても、たとえば多量の植物からわずかに絞り出すような形を取らねばならない可能性もある。
基本的な資源一つの採取に赴くだけで生命の危険に晒されるような地形もあるだろう。
草原地帯や荒野など、それこそ「使えるものがほとんどない」を味わうことになりかねない。
そういう高難度の地形が初期開始地点に選ばれることはそうそうないだろうけど、その可能性を想定するなら、そのあたりは甘めに見積もっておくのが賢明だろう。
*────
ところで。
あまりにも製造装置先生が偉大すぎて、この「道具を作り出す」プロセスには、プレイヤーの工夫が介在する余地があまりにも少ないように感じるかもしれない。
あまりにも「作業ゲーム」的であると感じられるかもしれない。
このゲームでは今後、プレイヤーはただ、製造装置が指定する資源を、まるで労働者のように集め続けることになるのだろうか?
そんなことはない。
製造装置もまた、分析装置がそうであるのと同様に、この世界のすべてを知る万能の装置ではない。
製造装置が材料として使用できるのは、あくまでプレイヤーが分析装置に投入したことのある資源だけだ。
そしてその資源には、この世界が一つの惑星をシミュレートしている以上、純度や適正というものが無数無限に存在する。
たとえば鉄の棒をつくるために、鉄鉱石を使うと言ったが。
鉄鉱石にも、磁鉄鉱や赤鉄鉱といった種類があるだろう?
それぞれの種類の鉱石にも、含有量や純度というものがあるだろう?
それらを使わなくても、非効率に甘んじるならば、鉄は作り出せるだろう?
プレイヤーは、この未開の星をほぼ無限に開拓しながら、
より効率的で、より適した資源を探し続けることができる。
そしてより品質がよく、より性能の高い生成物を求め続けることができる。
それは鉄に限らず、製造装置で作られるすべての生成物について言えることなのだ。
そのあたりの山岳地帯で赤鉄鉱が採取出来た。
じゃあもう鉄資源は安泰だ。
プレイヤーはそう考えてもいいし、より純度の高い資源を求め続けてもいい。
より適した資源なら、より少ない量から、より優れた品質の道具を、製造装置は作り出してくれる。
その道具の「性質」や「品質」も、使用した資源に依存するのだ。
俺がここに来るまでの道中で、花崗岩はいいものだ云々言っていたのはそれだ。
砂岩や泥岩、頁岩で作った道具より、花崗岩で作った道具の方が頼りになるのは自明だろう。
耐久度も高いし、切れ味もいい。つどの研磨の必要も少ない。
そういう適した資源の見極め、あるいは資源の使い方、組み合わせ方により、製造装置が作ってくれる道具の性質は無限に変化する。
そこに、プレイヤーが介在する余地が存在するのだ。
俺は生産ガチ勢じゃないけれど、それがとても楽しいことだということはわかる。
*────
さて、製造装置のヤバさとすごさと楽しさの紹介を最後として。
以上で、すべてのプレイヤーに初期開始地点として与えられている脱出ポッドの持つ機能の全容の紹介ができたと思う。
脱出ポッドの移動・拡張可能性など、まだまだ話していないこともあるが、それはまたおいおい話そう。
とにかく、ここまでの説明で。
この世界における「拠点」がいかに重要な役割を持つのかは十分に理解してもらえたはずだ。
脱出ポッドのないプレイヤーなんて、ただの原始人ですわ。
それが先ほどまでのわたくしですわよ。
お冗談も大概にして頂きたいものですわね。
製造装置の紹介に入ろう。
製造装置。
すべてのプレイヤーに与えられている、脱出ポッドに最初から設えられている設備の一つ。
一言で言ってしまえば、その機能はきわめて単純明快。
『プレイヤーが採取してきた資源を加工し、さまざまなものを作ってくれる装置』。
それさえ理解していれば、あとは製造装置の指示に従うだけで、普通にゲームを楽しむうえではなにも問題は起こらない。
だからこれからする話は、興味がある人だけ聞いてくれ。
気にならない人には、まったく気にならない部分だろうから。
なにせ今回は、まるまる全部製造装置についての話になる。
興味がない人にとっては、いっそ蛇足ですらある部分だ。
そう言う人は最後の最後まで聞き流してしまってくれ。
……気になるって?
俺も気になった。だから、前作でいろいろ検証したんだ。
気になるという人には、その検証結果を共有しようと思う。
よければ聞いてってくれ。
では、製造装置の機能に関して、少々ちがう方面から切り込んでみるとしよう。
*────
プレイヤーたちが乗っていたという「移民船」。
多機能な「脱出ポッド」、その中にある「圧縮ストレージ」。
いずれ使えるようになる「ポータル」。
同じくいずれ使えるようになる「圧縮バックパック」。
プレイヤーひとりひとりに紐付けられている「仮想端末」。
ホログラムで立ち上がる「仮想ウィンドウ」。
それらを考えると、このゲームの舞台となる世界の技術水準は、それなりに「近未来的な技術」であるという印象を持つ。
となると、惑星カレドに放り出されたプレイヤーたちの開拓も当然「近未来的なもの」になる、と考えるのが普通だ。
NASAやJAXAが開発しているような、全環境対応のスーツとか?
携帯可能な高出力のレーザーカッターとか?
完全自動採石場とか?
携帯可能な住居とか?
心で撃つ光線銃とか?
奥歯に仕込む加速装置とか?
そうした近未来技術を、プレイヤーたちも当然使えるのではと考える。
だが、疑問に思わなかっただろうか。
初期所有品のラインナップが、やけに原始的なものであったということに。
疑問に思わなかっただろうか。
俺が先ほど山岳地帯で花崗岩を探したいなどと言っていたことに。
そう。
要所要所に存在する明らかに近未来な技術を尻目に、この『ワンダリング・ワンダラーズ!!』というゲームの、ゲーム開始時のプレイヤーが位置する技術水準は。
極めて低いところから始まり。
これからかなり長い間、その低い水準を彷徨い続けることになるのである。
覚えているだろうか。
俺は以前『犬』について、こう紹介したことがある。
魔法もない、異能力もない、近未来技術はちょっとだけある、と。
そう、ちょっとだけ。
ちょっとだけなのだ。
まあ、あれだよ。
「圧縮バックパック」や「ポータル」といった「近未来技術」もいずれ登場するだろうけれど、それらはあくまで「快適なゲームプレイのための最低限の利便性」を確保するために、やや強引な理屈で用意されているものにすぎない。
本当のところこのゲームは、プレイヤーたちに「未開惑星サバイバル」をさせたいだけなんだ。
少なくとも、最初のうちは。
*────
おいおい、そんなところから始めろだなんて、
まさかプレイヤーは石器時代からやり直せとでもいうのか?
いやいや、もちろんそういうわけじゃない。
すべてのプレイヤーには、ゲームをはじめたばかりの時から、たとえクリエイティブなリアルスキルがなくてもそのプレイを快適にしてくれるような、心強い味方が与えられている。
それが、初期開始地点となる脱出ポットに搭載されている「製造装置」だ。
*────
製造装置。
この装置を一言で言えば「3Dプリンター」だ。
この製造装置は、同じく初期配備されている分析装置と連動している。
分析装置にこの星でプレイヤーが採取した資源を投入すると、その資源の元素含有量や、抽出可能な成分が、脱出ポッド内のデータバンクに蓄積される。
製造装置は、そのデータバンクにアクセスすることで、一度分析装置に投入された「現在プレイヤーが入手可能な資源」から生成可能な、無数の生成物を提案してくれる。
そして圧縮ストレージ内部に、その生成物を生成するに足る一定量の資源が存在すれば、製造装置が3Dプリンターでその生成物を実際に作成してくれるんだ。
製造装置が提案する生成物は、分析装置にいろいろなものを分析させれば分析させるほど、そして製造装置がさまざまなものを生成すれば生成するほど多様になる。
ゲーム的な言い方をすれば「レシピがアンロックされていく」というやつだ。
どうかな、なかなか楽しそうな、夢のような装置だろう。
えっ、たしかにすごいけど、ここまでにどこかおかしい場所があったか、って?
そうだな、ここまでの説明では、まだそこには気づきようがないか。
じゃあ、試しに一度、使ってみるとしようか。
*────
さて、この装置を実際に使ってみると、「概ね現実準拠」なこの仮想世界の理に照らして明らかにおかしいと感じられる部分がある。
とあるものが明らかに無視されていると感じられるのだ。
いったいなにが無視されているのか。
結論から言えば。
それは『加工に必要とされる触媒一般、ならびに加工に必要とされるすべてのエネルギー』。
言い換えればこうも言える。
製造装置を使ってものを作る際、プレイヤーがするべきことは、生成物を十分取り出せるだけの資源を集めてくること、ただそれだけである。
……どういうことか。
具体例を挙げてみてみよう。
たとえば、とあるプレイヤーが一本の「鉄の棒」を作りたいと考えたとする。
「ヘイ、ファブリケーター。敵と戦うための鉄の棒を作ってくれ。
『なるほど。ほかならぬ君の頼みだ、もちろんいいとも。
そういえば、君がかつて手に入れた鉄鉱石、あれは実に質がいいものだった。
あれと同じものが、握りこぶし10個ほど欲しいな。
全部で10kg程度の鉄鉱石があれば、君が望むような鉄の棒を作るに足る鉄が賄えるんだ。
……おっと、言い忘れていた。
それなりに硬くしたいなら、石炭でも木炭でもいいが、少しでいいから炭も頼むよ。
鉄の棒を硬くするためには、炭素含有量も重要だからね。
「おいおい、鉄鉱石を10個、それに炭だって?少しはおまけしてくれよ。
まあ、鉄の棒一本分となると、鉄鉱石もたくさん必要になるよな。
……よし、これで鉄鉱石10個だ。鉄の含有量もばっちりだろう。それと炭もだ。
オッケー、ファブリケーター。約束通り、これで鉄の棒を作ってくれ。
『了解だ。……よし、鉄の棒を作ったぞ。仕上がりはどうだ。
「ああ、いい出来だ。苦労して資源を掻き集めてきた甲斐があったな……。
鉄鉱石に含まれる鉄の量は、確かに鉄の棒一本を生成するのに十分だった。
鉄の棒に含まれる数%の炭素もちゃんと用意した。
特におかしなことはところはない。
……本当に?
いやいや、いやいやいや。
鉄鉱石から、鉄を作る。それは確かに可能だ。
十分な鉄鉱石も用意したのかもしれない。
だが鉄鉱石から鉄を作るまでには、鉄鉱石の原料処理とか、コークス処理とか、銑鉄の精錬とか、製鋼処理とかいろいろあるだろう。
それらの工程はどこに行ったんだ。
そしてそれらの工程に必要な触媒や、費やされるエネルギーは、いったいどこから持ってくるんだ。
そんな疑問を知ってか知らずか。
製造装置先生は次のように言ってくれる。
『これまで分析装置が分析したもののうち、これこれの資源が、これだけの量あれば、あとは私が完成品を作ってやる。大丈夫だ、私を信じろ』
『そのために必要なエネルギーは太陽光パネルの方からもらう。だから気にするな』
『だがあまりにも精密な技術加工はまだ厳しい。最初はロクなものが作れないが許してくれ』
足りないものはいったいどこから?
その答えは「プレイヤーには見えないところ」。
すなわち、仮想世界の虚構から、だ。
*────
実際問題。
もしも必要な加工手順を現実のそれに合わせてしまったならば、
プレイヤーたちはこの星の森を焼き、山を崩し、露天掘りで大地を抉り、
製造に必要なエネルギーも現実のそれに合わせるならば、
河川を歪めダムを造り、海洋の上に巨大な石油生産プラントを建て、
いずれこの惑星の上に一大工業地帯を作り出さねばならなくなるだろう。
だが、『犬』はそういうゲームではないらしい。
このゲームは文明破滅シミュレーターではないし。
惑星資源消滅シミュレーターでもないし、
効率的でオートメイションな工業地帯を作り出すシミュレーターでもない。
あくまで非力な人間が、未開の惑星の多種多様な自然環境を、
緊張感を維持しつつもそこそこ快適に探索するのが主題のゲームだ。
そのために、製造装置という「ゲーム的な機能」の裏側で、
そのあたりのエネルギー保存則が明らかに無視されている。
ゆえにこの装置は「近未来的」なのではなく「非現実的」なのだ。
ものによっては――前作で代表的なのがポータル設置装置だが――貴金属を筆頭とする希少な資源が大量に必要とされることがある。
要求される資源の種類が数十種類、数十トンに及ぶこともある。
そうした場合は、たとえば鉱山のような、地形の一部を変えてしまうような資源採取が必要になることもある。
それでも、この星が現実の地球のようなペースで破壊されていくことはない。
なぜなら、本来加工に必要なさまざまなものがひっそりと免除されているからだ。
資源の総消費量が緩やかになるように、そうして見えないブレーキが掛けられているのだ。
……まぁ、仮に現実と同じペースで資源を採取したとしても、このゲームのサービス終了までにこの星の資源を掘り尽くせるとは到底思えないが。
*────
こうした製造装置の非現実的な部分を踏まえたうえで注意したいのが、製造装置は「素材の嵩増し」自体は決して行ってくれないということだ。
製造装置の領分について、幾つか例を見てみよう。
100mlの川の水から、101mlの飲料水を作り出すことはできない。
生成物に含まれる水分子の総量自体は誤魔化すことができないわけだ。
100mlの川の水から、80mlのぶどうジュースを作り出すこともできない。
ぶどうジュースに含まれるもろもろのぶどう成分は自分で用意しなければならないわけだ。
10cm四方の石塊から、縦5cm横20cmの石塊を削り出したりもできない。
ただしこの場合は、素材となる石を半分に割って接着して作るのはどうかと提案してくれる。
プレイヤーが用意した素材を加工する、という事実は変わらないわけだな。
だが一方で、100mlの冷たい水を用意するだけで、100mlの熱湯を作り出すことはできる。
100mlの食塩水を用意するだけで、100mlの水といくらかの塩化ナトリウムを取り出すこともできる。
これは、ちょっと熱力学を考えれば明らかにおかしいとわかるだろう。
脱出ポッドに設えられた「性能不明の太陽光パネル」は、このおかしさを少しでも誤魔化すためのカモフラージュなのだ。
また、加工に要するエネルギーを無視するという点にはいくつか例外もある。
たとえば酸化アルミニウムを含む岩石から純粋なアルミニウムを取り出すといった、本来ならば極めて大きなエネルギーを必要とする加工作業については、現実の加工手順に一部準じることがある。
「生成物を十分取り出せるだけの資源」があっても、実際には取り出せないことがありうる。
この例外は特に鉱物系に多かったのだが……とにかく、完全に無視できるものばかりではない。
製造物に含まれる元素の質量分を、ただいろんな化合物から掻き集めてくればいいというわけではないのだ。
そういう例外については、その都度製造装置先生の言うことに従えばいい。
今はできないとか、これこれがあれば今ならできるとか、その都度言ってくれるだろう。
*────
結論。
製造装置先生はすごい。
プレイヤーたちはひっかかりを覚えることなく、製造装置の恩恵に預かればよい。
製造装置が「できる」と言ったらできるのだ。
製造装置が「できない」と言ったらできないのだ。
この「概ね現実準拠」な世界においても、それが「おかしい」とか「現実的じゃない」などと考える必要はない。
ちなみに。
製造装置が「できない」と言うのは、「製造装置ではできない」という意味である。
あとは……言わなくても、わかるよな?
本当に恐ろしいのは、物理法則を無視してものをつくりだす製造装置ではなく、
物理法則に服従したうえでものをつくりだす人間なのかもしれない。
*──
さて、いま紹介させてもらった製造装置だが、言うまでもなくプレイヤーの生命線だ。
この装置を用いることで、プレイヤーは道具をつくり出すことができる。
石製や鉄製の装備も、加工難度を無視して簡単に作り出すことができる。
資源を加工した簡易食料や、飲料水の精製なんかもできる。
ゲーム開始時点の脱出ポッドには、人間が生命活動を維持し続けるのに十分な、およそ2週間分の携帯食料と飲料水が備えられている。
だが、それも遠からず尽きる。
プレイヤーがこの世界でまず最初に試みるべきことは、製造装置で水と食料を持続的に用意できるようにすること。
そのために周囲の資源サンプルを採取し、分析装置にかけ、より効率的・持続可能な供給経路を見つけ出すことなのだ。
その点今回俺たちが着陸したセドナには、資源採取に関しては比較的悩みが生じにくい地形環境であると言える。
衛星写真で見えただけでも、森がある。河川がある。山岳がある。
それはすなわち、木材がある、植物資源がある、水がある、石材と鉱物があるということだ。
それだけあれば、製造装置はひと通りの原始的な道具類を容易く揃えてくれるだろう。
サバイバルにしてはぬるいんじゃないかって?
そうかもしれない。
少なくともこのセドナに着陸することができた俺たちはそう言える。
だがこれが、たとえば砂漠のど真ん中であるとか、見渡す限りの草原であるとかだとこうはいかない。
飲料水の生成一つとっても、たとえば多量の植物からわずかに絞り出すような形を取らねばならない可能性もある。
基本的な資源一つの採取に赴くだけで生命の危険に晒されるような地形もあるだろう。
草原地帯や荒野など、それこそ「使えるものがほとんどない」を味わうことになりかねない。
そういう高難度の地形が初期開始地点に選ばれることはそうそうないだろうけど、その可能性を想定するなら、そのあたりは甘めに見積もっておくのが賢明だろう。
*────
ところで。
あまりにも製造装置先生が偉大すぎて、この「道具を作り出す」プロセスには、プレイヤーの工夫が介在する余地があまりにも少ないように感じるかもしれない。
あまりにも「作業ゲーム」的であると感じられるかもしれない。
このゲームでは今後、プレイヤーはただ、製造装置が指定する資源を、まるで労働者のように集め続けることになるのだろうか?
そんなことはない。
製造装置もまた、分析装置がそうであるのと同様に、この世界のすべてを知る万能の装置ではない。
製造装置が材料として使用できるのは、あくまでプレイヤーが分析装置に投入したことのある資源だけだ。
そしてその資源には、この世界が一つの惑星をシミュレートしている以上、純度や適正というものが無数無限に存在する。
たとえば鉄の棒をつくるために、鉄鉱石を使うと言ったが。
鉄鉱石にも、磁鉄鉱や赤鉄鉱といった種類があるだろう?
それぞれの種類の鉱石にも、含有量や純度というものがあるだろう?
それらを使わなくても、非効率に甘んじるならば、鉄は作り出せるだろう?
プレイヤーは、この未開の星をほぼ無限に開拓しながら、
より効率的で、より適した資源を探し続けることができる。
そしてより品質がよく、より性能の高い生成物を求め続けることができる。
それは鉄に限らず、製造装置で作られるすべての生成物について言えることなのだ。
そのあたりの山岳地帯で赤鉄鉱が採取出来た。
じゃあもう鉄資源は安泰だ。
プレイヤーはそう考えてもいいし、より純度の高い資源を求め続けてもいい。
より適した資源なら、より少ない量から、より優れた品質の道具を、製造装置は作り出してくれる。
その道具の「性質」や「品質」も、使用した資源に依存するのだ。
俺がここに来るまでの道中で、花崗岩はいいものだ云々言っていたのはそれだ。
砂岩や泥岩、頁岩で作った道具より、花崗岩で作った道具の方が頼りになるのは自明だろう。
耐久度も高いし、切れ味もいい。つどの研磨の必要も少ない。
そういう適した資源の見極め、あるいは資源の使い方、組み合わせ方により、製造装置が作ってくれる道具の性質は無限に変化する。
そこに、プレイヤーが介在する余地が存在するのだ。
俺は生産ガチ勢じゃないけれど、それがとても楽しいことだということはわかる。
*────
さて、製造装置のヤバさとすごさと楽しさの紹介を最後として。
以上で、すべてのプレイヤーに初期開始地点として与えられている脱出ポッドの持つ機能の全容の紹介ができたと思う。
脱出ポッドの移動・拡張可能性など、まだまだ話していないこともあるが、それはまたおいおい話そう。
とにかく、ここまでの説明で。
この世界における「拠点」がいかに重要な役割を持つのかは十分に理解してもらえたはずだ。
脱出ポッドのないプレイヤーなんて、ただの原始人ですわ。
それが先ほどまでのわたくしですわよ。
お冗談も大概にして頂きたいものですわね。
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