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【二】
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家に帰った惣右衛門は、迎えに出たお豊に言った。
「今日はすごいものを見たぞ・・・・」
「凄いもの・・・何でございますの?また大猪でも出たのでございますか?」
「ははっ、そんなものじゃない・・・逸物だよ」
「まあっ・・・イヤらしいっ、昼間っからそんなこと・・・」
「いや、昼間でもなんでもいいのだ、一尺三寸はある化け物みたいな逸物だよ!」
「・・・馬鹿馬鹿しいっ、そんなものがある訳がないじゃございませんか、お前さんったら、また人を担いで・・・・」
「いや、天地神明に誓って本当の事だぞ・・・」
惣右衛門は、雨宿りの家で会った男の事を妻に話して聞かせた。
「お前は、俺の道具が小さいなどと内心不満に思っているだろうが、大き過ぎるのもまた物の役に立たないものだぞ、あははっ」
「・・・やだっ、お前さんっ・・・・私はそんなこと・・・それにしても、まだ信じられないですわ、一尺もあるモノなんて・・・」
お豊は、惣右衛門の話を聞いて、ちょっと顔を赤らめ、まだ信じられないような表情を浮かべた。
「本当の事だ・・・そうそう、そこに花瓶があろう、丁度そんな大きさだったな」
惣右衛門は、床の間に花を活けていた花瓶を指さして言った。
細長い白い花瓶に山百合が活けてあるその高さは、丁度一尺より少し大きいくらいだった。
「・・・ええっ!・・・まさか・・・」
お豊の目は、その大きな白く細長い花瓶に釘付けとなった。
そのほっそりした胴は、丁度男根を想像させる。
惣右衛門が風呂へ行った後も、一人座敷に座ったお豊は呆けたように花瓶を眺めていた・・・。
・・・翌朝、お豊の姿が見えなくなった。
惣右衛門は驚いて家の中を探して歩いた、使用人達も総出でお豊の行方を捜し回った。
もしや夜中に井戸に落ちたのではと、井戸から便所の中まで探したが、お豊は見つからなかった。
昨夜お豊は惣右衛門の隣に寝ていたので、賊の仕業とは考えられない。
また人攫いとしても、三十路の人妻を選んで攫うなどとはちょっと考え難い・・・当時横行した人攫いはたいてい子供を狙うものである。
使用人たちは神隠しではないかと言った。
この時代、人が急にいなくなると、それは「神隠し」・・・つまり天狗の仕業とされた。
天狗に掴まれ、逆さになって空宙を飛んでいる女を見たという話も伝わっている。
江戸では、少年がある日天狗に攫われ、天狗の給仕をしながら各国を巡り歩いた、などという話が巷で流行したこともある。
惣右衛門は、使用人に代官所に妻の失踪を届けに行かせる準備をさせた。
「昨日、妻になにか変わった様子は無かったか?」
惣右衛門は、念のため飯焚き男から小作人まで、全員に聞いてみた。
女中の一人が口を開いた。
「・・・そう言えば、奥様は昨日の夕刻、座敷に一人でお座りになって、花瓶を手に取って膝に当て、なにか考え事をされている様子でございました・・・」
それを聞いて、惣右衛門はドキリとした・・・。
「・・・花瓶を?・・・お豊が・・・」
彼はハッと気付いた。
「・・・まて、代官所への届け出は少し見合わせよう、私に心当たりがあるので、それを確かめてからでも遅くない・・・」
惣右衛門は、その日の昼頃から一人で出かけた。
彼が向かった先は、昨日の男の家である・・・まさかとは思うが、それしか考えられないのだ。
惣右衛門が戸口で案内を乞うと、昨日の男が出て来て言った。
「これは、昨日の雨宿りのお方・・・今日は一体どうされました」
「いえ、昨日雨宿りをさせて頂いたお礼に参りました・・・」
男は惣右衛門を家に入れたが、その顔は昨日より青く表情も暗く沈んで見えた。
四方山話が一通り済んだ後、惣右衛門は男に聞いてみた。
「あなたは、今日はどうもご様子が優れないようですが・・・何かあったのでございますか?もし差し支えなければおっしゃって頂けませんか」
「・・・分かりますか・・・その事でございますが、実は今朝方、無残にも悲しいことがございました、それが私の顔に出ておりますか・・・・聞いてくださいますか・・・」
男は、暗い表情で語り始めた。
・・・昨日の夜中近くだという、男の家の戸を叩くものがあった。
「ごめんくださいまし・・・ごめんくださいまし・・・夜分申し訳ございません」
女の声だった。男は家の中から声をかけた。
「どちらのお方ですかな、こんな夜中に・・・・」
「わたくしは旅の者ですが、急に癪が差し込みまして大変難儀しております・・・どうか一晩泊めて頂くわけには参りませんでしょうか・・・」
「男の一人所帯であるので、夜中に女性を泊めるのは・・・」と最初、男は断ったが、女の声はいかにも苦しそうである。
男は結局、相手が病人の、それも女であるので同情して家に上げ、布団に寝かせ白湯などを与えた。
見れば、三十前後の醜くもない女である。
旅の者だと言っていたが、その装いが長旅の装束とは思われず、荷物も持っていないのを男は不審に思った。
「痛みの具合はいかがですか・・・この近所には医者も居ないのだが、明日になったら隣村の医者を呼んで参りましょう」
「ご親切に有り難うございます・・・おかげさまで痛みは随分収まって参りました」
女は癪の痛みが去って人心地ついたのか、血色の良い顔をこちらに向けた。
男がドキリとするような艶めかしい表情だった。
男が女の枕元に置いてあった湯飲みを片付けようとすると、女はいきなり男に飛びついて乗りかかった。
「ああっ、な、なにをされますっ・・・」
女は突如豹変し、妖しい笑みを浮かべて言った。
「あなたの逸物って並外れて抜群なんでしょ・・・見せなさいよ・・・」
女の言葉に男は動転した。
「な、なんでそんなことを・・・おまえは一体・・・・」
女は笑って言った。
「あなたのモノが尋常じゃない大きさだってことは、その辺の馬子や街道の荷物持ち持ちでも知ってることさ・・・さあ、私で試してみなさいな・・・」
男は、自分の秘密を知っているこの女は鬼女か妖怪か・・・そんな魔性の者ではないかと思った。
魅入られたように動けない男の着物の裾をたくし上げ、女は男の逸物を露わにする。
「す、凄い・・・こんな凄いもの、初めて見たわ・・・」
女は嬉しそうに叫んで、男の巨大なものを手でさすり、舌で嘗め回し始めた。
巨大な男根に狂喜乱舞して、抱き付くように逸物に刺激を与える女・・・その妖艶な表情はまさに魔性の者に思えた。
「・・・ほらっ、段々と・・・怒張してきたじゃないっ・・・ああっ、こんなに硬くなって!」
生まれて初めて経験する女の感触に男も淫心を抑え切れず、ついには女にされるがままになった。
1尺三寸(約40センチ)の陽物がさらに膨張し、まるで杭のように硬くそそり勃つ。
女は、巨大な男の逸物にタップリと唾液をまぶしてゆっくりと跨る。
「うふふっ、大丈夫だから・・・わたしに任せて・・・」
・・・ズルズルと男の大蛇のような巨大な陽物は女の女陰に収まった。
「ああっ・・・キツいっ、大きいっ、こんなの初めてっ・・・・」
さすがに挿入出来たのは男の逸物の半分ほどだったが、男は初めての女との雲雨の交わりに夢中になった。
「ぐううっ、凄いっ・・・凄いわっ、あなたのモノっ!」
女は、狂ったように泣き叫びながら男の上で腰を振った。
二人は、明け方まで何度も交わった。
明け六つ(午前六時)、明り取りの窓から細い日の光が差し込み、一番鶏の鳴き声が裏庭から聞こえてきた。
男が疲れ切ってまどろんでいると、女はまるで女房のように甲斐甲斐しく立ち働き、朝飯の用意を始めた。
男は、その女の尻を夢のように眺めていた・・・・。
女が、繋いでいる飼い馬に秣を与えようとしたその時である。
・・・ヒヒイイインッ!
普段は非常に大人しい牝馬が突然大きく嘶いて、女を後ろ脚で蹴り上げた。
声も立てずにもんどり打った女の首に、クルッと後ろを向いた馬が激しい唸り声を上げて食らいつき、あっという間に女を咬み殺してしまった。
一瞬の出来事だった。
男はあっ・・・と叫んで駆けつけたが、血まみれになった女は既に息絶えていた。
「畜生にも嫉妬という感情があるのでしょうか・・・牝馬は自分の男を奪った女を許さなかったのでしょう・・・・無残なことです」
・・・・男はそこまで話すと、涙を流した。
「死んだ女は一体何処の者かも判りませんので、裏の山の石碑の側に埋葬してまいりました。私もこのような因果な身の上、そして私に関わった女も死んでしまう・・・これも何かの因縁でしょう、私はこれから寺へ行き、頭を丸めて仏にすがって生きようと決心いたしました・・・」
男はそう言ってうなだれた。
惣右衛門は妻の出奔、そして突然の死にただ茫然とした・・・・。
しかし男の前で、それは自分の妻だとはとても言えず、男を慰めて立ち別れたという。
「今日はすごいものを見たぞ・・・・」
「凄いもの・・・何でございますの?また大猪でも出たのでございますか?」
「ははっ、そんなものじゃない・・・逸物だよ」
「まあっ・・・イヤらしいっ、昼間っからそんなこと・・・」
「いや、昼間でもなんでもいいのだ、一尺三寸はある化け物みたいな逸物だよ!」
「・・・馬鹿馬鹿しいっ、そんなものがある訳がないじゃございませんか、お前さんったら、また人を担いで・・・・」
「いや、天地神明に誓って本当の事だぞ・・・」
惣右衛門は、雨宿りの家で会った男の事を妻に話して聞かせた。
「お前は、俺の道具が小さいなどと内心不満に思っているだろうが、大き過ぎるのもまた物の役に立たないものだぞ、あははっ」
「・・・やだっ、お前さんっ・・・・私はそんなこと・・・それにしても、まだ信じられないですわ、一尺もあるモノなんて・・・」
お豊は、惣右衛門の話を聞いて、ちょっと顔を赤らめ、まだ信じられないような表情を浮かべた。
「本当の事だ・・・そうそう、そこに花瓶があろう、丁度そんな大きさだったな」
惣右衛門は、床の間に花を活けていた花瓶を指さして言った。
細長い白い花瓶に山百合が活けてあるその高さは、丁度一尺より少し大きいくらいだった。
「・・・ええっ!・・・まさか・・・」
お豊の目は、その大きな白く細長い花瓶に釘付けとなった。
そのほっそりした胴は、丁度男根を想像させる。
惣右衛門が風呂へ行った後も、一人座敷に座ったお豊は呆けたように花瓶を眺めていた・・・。
・・・翌朝、お豊の姿が見えなくなった。
惣右衛門は驚いて家の中を探して歩いた、使用人達も総出でお豊の行方を捜し回った。
もしや夜中に井戸に落ちたのではと、井戸から便所の中まで探したが、お豊は見つからなかった。
昨夜お豊は惣右衛門の隣に寝ていたので、賊の仕業とは考えられない。
また人攫いとしても、三十路の人妻を選んで攫うなどとはちょっと考え難い・・・当時横行した人攫いはたいてい子供を狙うものである。
使用人たちは神隠しではないかと言った。
この時代、人が急にいなくなると、それは「神隠し」・・・つまり天狗の仕業とされた。
天狗に掴まれ、逆さになって空宙を飛んでいる女を見たという話も伝わっている。
江戸では、少年がある日天狗に攫われ、天狗の給仕をしながら各国を巡り歩いた、などという話が巷で流行したこともある。
惣右衛門は、使用人に代官所に妻の失踪を届けに行かせる準備をさせた。
「昨日、妻になにか変わった様子は無かったか?」
惣右衛門は、念のため飯焚き男から小作人まで、全員に聞いてみた。
女中の一人が口を開いた。
「・・・そう言えば、奥様は昨日の夕刻、座敷に一人でお座りになって、花瓶を手に取って膝に当て、なにか考え事をされている様子でございました・・・」
それを聞いて、惣右衛門はドキリとした・・・。
「・・・花瓶を?・・・お豊が・・・」
彼はハッと気付いた。
「・・・まて、代官所への届け出は少し見合わせよう、私に心当たりがあるので、それを確かめてからでも遅くない・・・」
惣右衛門は、その日の昼頃から一人で出かけた。
彼が向かった先は、昨日の男の家である・・・まさかとは思うが、それしか考えられないのだ。
惣右衛門が戸口で案内を乞うと、昨日の男が出て来て言った。
「これは、昨日の雨宿りのお方・・・今日は一体どうされました」
「いえ、昨日雨宿りをさせて頂いたお礼に参りました・・・」
男は惣右衛門を家に入れたが、その顔は昨日より青く表情も暗く沈んで見えた。
四方山話が一通り済んだ後、惣右衛門は男に聞いてみた。
「あなたは、今日はどうもご様子が優れないようですが・・・何かあったのでございますか?もし差し支えなければおっしゃって頂けませんか」
「・・・分かりますか・・・その事でございますが、実は今朝方、無残にも悲しいことがございました、それが私の顔に出ておりますか・・・・聞いてくださいますか・・・」
男は、暗い表情で語り始めた。
・・・昨日の夜中近くだという、男の家の戸を叩くものがあった。
「ごめんくださいまし・・・ごめんくださいまし・・・夜分申し訳ございません」
女の声だった。男は家の中から声をかけた。
「どちらのお方ですかな、こんな夜中に・・・・」
「わたくしは旅の者ですが、急に癪が差し込みまして大変難儀しております・・・どうか一晩泊めて頂くわけには参りませんでしょうか・・・」
「男の一人所帯であるので、夜中に女性を泊めるのは・・・」と最初、男は断ったが、女の声はいかにも苦しそうである。
男は結局、相手が病人の、それも女であるので同情して家に上げ、布団に寝かせ白湯などを与えた。
見れば、三十前後の醜くもない女である。
旅の者だと言っていたが、その装いが長旅の装束とは思われず、荷物も持っていないのを男は不審に思った。
「痛みの具合はいかがですか・・・この近所には医者も居ないのだが、明日になったら隣村の医者を呼んで参りましょう」
「ご親切に有り難うございます・・・おかげさまで痛みは随分収まって参りました」
女は癪の痛みが去って人心地ついたのか、血色の良い顔をこちらに向けた。
男がドキリとするような艶めかしい表情だった。
男が女の枕元に置いてあった湯飲みを片付けようとすると、女はいきなり男に飛びついて乗りかかった。
「ああっ、な、なにをされますっ・・・」
女は突如豹変し、妖しい笑みを浮かべて言った。
「あなたの逸物って並外れて抜群なんでしょ・・・見せなさいよ・・・」
女の言葉に男は動転した。
「な、なんでそんなことを・・・おまえは一体・・・・」
女は笑って言った。
「あなたのモノが尋常じゃない大きさだってことは、その辺の馬子や街道の荷物持ち持ちでも知ってることさ・・・さあ、私で試してみなさいな・・・」
男は、自分の秘密を知っているこの女は鬼女か妖怪か・・・そんな魔性の者ではないかと思った。
魅入られたように動けない男の着物の裾をたくし上げ、女は男の逸物を露わにする。
「す、凄い・・・こんな凄いもの、初めて見たわ・・・」
女は嬉しそうに叫んで、男の巨大なものを手でさすり、舌で嘗め回し始めた。
巨大な男根に狂喜乱舞して、抱き付くように逸物に刺激を与える女・・・その妖艶な表情はまさに魔性の者に思えた。
「・・・ほらっ、段々と・・・怒張してきたじゃないっ・・・ああっ、こんなに硬くなって!」
生まれて初めて経験する女の感触に男も淫心を抑え切れず、ついには女にされるがままになった。
1尺三寸(約40センチ)の陽物がさらに膨張し、まるで杭のように硬くそそり勃つ。
女は、巨大な男の逸物にタップリと唾液をまぶしてゆっくりと跨る。
「うふふっ、大丈夫だから・・・わたしに任せて・・・」
・・・ズルズルと男の大蛇のような巨大な陽物は女の女陰に収まった。
「ああっ・・・キツいっ、大きいっ、こんなの初めてっ・・・・」
さすがに挿入出来たのは男の逸物の半分ほどだったが、男は初めての女との雲雨の交わりに夢中になった。
「ぐううっ、凄いっ・・・凄いわっ、あなたのモノっ!」
女は、狂ったように泣き叫びながら男の上で腰を振った。
二人は、明け方まで何度も交わった。
明け六つ(午前六時)、明り取りの窓から細い日の光が差し込み、一番鶏の鳴き声が裏庭から聞こえてきた。
男が疲れ切ってまどろんでいると、女はまるで女房のように甲斐甲斐しく立ち働き、朝飯の用意を始めた。
男は、その女の尻を夢のように眺めていた・・・・。
女が、繋いでいる飼い馬に秣を与えようとしたその時である。
・・・ヒヒイイインッ!
普段は非常に大人しい牝馬が突然大きく嘶いて、女を後ろ脚で蹴り上げた。
声も立てずにもんどり打った女の首に、クルッと後ろを向いた馬が激しい唸り声を上げて食らいつき、あっという間に女を咬み殺してしまった。
一瞬の出来事だった。
男はあっ・・・と叫んで駆けつけたが、血まみれになった女は既に息絶えていた。
「畜生にも嫉妬という感情があるのでしょうか・・・牝馬は自分の男を奪った女を許さなかったのでしょう・・・・無残なことです」
・・・・男はそこまで話すと、涙を流した。
「死んだ女は一体何処の者かも判りませんので、裏の山の石碑の側に埋葬してまいりました。私もこのような因果な身の上、そして私に関わった女も死んでしまう・・・これも何かの因縁でしょう、私はこれから寺へ行き、頭を丸めて仏にすがって生きようと決心いたしました・・・」
男はそう言ってうなだれた。
惣右衛門は妻の出奔、そして突然の死にただ茫然とした・・・・。
しかし男の前で、それは自分の妻だとはとても言えず、男を慰めて立ち別れたという。
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