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第十一話 何かが起こりそうな「お泊り」の夜! ~夜の闇に消えてゆく歳の差カップル達~
しおりを挟む少年達が残酷な真実を知った日から数日が経った。
あの夜、自分達を巻き込んだ戦争の真実を知り、すっかり落ち込んでいた少年達も次第に明るさを取り戻していった。
彼らは、自分達30人もの「客分」を受け入れてくれている村のエルフの女性達の負担を可能な限り軽減しようと、自ら率先して森に出て木の実を取ってきたり、皆で新たな畑を開墾し始めた。
〇〇歳前後の少年達と、ヒト族で言うと30代くらいに当たる成熟したエルフの女達という非常にアンバランスな年齢構成の男女とびきり奇妙な共同生活。
・・・共同作業の中で少年達は次第に村のエルフの女性達と親しくなり、一体感を持ち始めた。
まるで親子のようなヒト族の少年とエルフ女性の暮らし、そこにはシセラのある思惑が働いていることを少年達はまだ知らない。
・・・いつものように笑いが絶えない賑やかな夕食を終えると、族長のシセラが突然、不思議な事を言い出した。
「みんな、いつもこの殺風景な集会所で寝起きしてもらっているけど、ずいぶんと不便でしょう?・・・そろそろ村の人達の家にお世話になるのもいいと思うの・・・村の女の人達とも、もうすっかり仲良くなっているし、彼女達も是非みんなを自分の家に受け入れたいって・・・そう言っているのよ!」
大勢でこの村にやってきて以来、この広い建物の一角に手製のベッドを作り、寄宿舎で暮らすように共同生活をしていた少年達。
彼らはそれで全く不自由を感じていなかったが、村の人達の方からそう提案してくれたのはとても嬉しい事だった。
〇〇歳の少年達はやはりどこかで「家庭」の温もりを欲していたのである。
「・・・で、でも、それは村の人達にご迷惑では・・・」
皆を代表してセリオンとマグリスが遠慮してそう言うと、シセラは笑って答える。
「いやだわ、若いのに遠慮なんかしなくていいのよ、これは村人が全員で決めたことなんだから!是非そうして欲しいってこっからお願いしているの!・・・それにみんなもそれぞれ仲良くなった村人がいるでょう?ウフフッ♥」
・・・シセラの笑みに30人の少年達はちょっぴりドキリとする・・・。
彼女の言う通り、30人の少年達はそれぞれ村人達の中に特に親しくなったエルフ女性がいたのであった。
それはまるで30組のペアを作るように見事に・・・母子のようにも見える少年と熟女の「カップル」が出来上がっていたのである。
無論それは完全にプラトニックな関係ではあったが、互いに特別に親しい「意中の人」が決まっていたのである。
「・・・・善は急げって言うから、今夜からみんな村人たちの家に分散して「お泊り」しましょうかっ♥」
あまりに唐突なシセラの言葉に、少年達が互いに顔を見合わせドギマギする・・・その大半がヒト族で言えば30代程度の容姿の美貌のエルフ熟女、それもこの度の戦争で夫を失った未亡人が多いのだ。
そこに「お泊り」に行くという事は、彼らに何かの「予感」を感じさせてしまうのである。
戸惑いと嬉しさがない交ぜになった、やや興奮気味の表情でざわつく少年達の中にあって、二人だけはどことなく困った表情を浮かべていた。
・・・少年達のリーダー格、セリオンとマグリスである。
この二人だけは、リーダーとしての責任感から皆のまとめ役の仕事に忙殺され、村のエルフの女性とも特に親しくなれず、この高揚感からすっかり取り残されてしまったのである。
そんな二人の表情をニッコリと眺めていたシセラがセリオンの側に寄ってきて、彼の耳元で小声でささやく。
「・・・ねっ、セリオン君は・・・私とじゃイヤかしら?・・・こ、こんなオバサンで良かったら今夜一緒に・・・」
「えっ?あっ・・・シ、シセラさんが僕とっ・・・もっ、もちろん喜んでっ!アハハハッ!」
顔を真っ赤になって照れ笑いを見せる初心なセリオン。
一方、族長のシセラを補佐し、村に戻ってからは少年達の「世話係り」として活躍しているぽっちゃりグラマーのゾラも、マグリスに大きな胸を擦り付けるように体を密着させ、彼の耳元で小声で甘く囁く。
「ねぇ、マグリス君は・・・私でいい?・・・私はマグリス君が・・・いいなぁ♥」
「ハ、ハイッ!ゾラさんっ・・・お、お願いしますっ・・・ぼぼぼぼ僕もっ、ゾラさんがいいですっ!」
何事にも物怖じしない性格のマグリスも、ひそかに恋心を抱いていた美しいゾラに猛アタックされ、ガチガチに緊張して上ずった返事を返す。
・・・これで少年達全員の「パートナー」が決定した!
皆は夕食の片づけが終わると、それぞれ村人達の家へと散っていった。
マグリスもすっかり鼻の下を伸ばし、照れ笑いを浮かべながらゾラに手を引かれ集会所を去ってゆく。
・・・〇〇歳のマグリスとヒト族で言えば28歳程度のゾラの、ちょっとアンバランスな歳の差カップル!
二人が不自然に体を密着させながら、既に闇に包まれた村の道を歩いてゆくのを見送っているセリオンの肩に、シセラの柔らかい手がかかる。
「・・・ねっ、セリオン君?私達ももう休みましょう?この集会所の奥が私の居室なの・・・」
「あっ・・・は、はいっ・・・シセラさんっ・・・」
プルプルと小刻みに震えているセリオンの手を取って、ヒト族の年齢で言えば30代半ばのオトナの色香漂うシセラが自室のある建物の奥の廊下へと彼を誘う。
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