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異世界のもの程難解なものは無いと思う
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「はぁ…………」
俺はとてもとても長いため息を吐いていた。まぁ原因はあの試験なんだろうけど……うん。それ以外無い。
遡ること数時間前、俺は試験を受けていた。はっきり言って自信なんてある訳無かった。当たり前だ。期間が1ヶ月しか無かったんだから。そう思いながら試験を受けた。予感は見事に当たった。髪にはこう書いてあった。
『1問 貴方の得意属性の魔法の最上位にあたる魔術式を書きなさい。』
知るか!!!もしテスト中じゃなければきっとこう言ってたことだろう。そもそも得意属性ってなんなの!?俺そんなの知らないよ!?そもそも魔法とか使えるの?俺の頭の中では常にこんな感情で渦巻いていた。これじゃもうテストどこじゃない。まぁとりあえず分からないので一途の希望をかけて本に書いてあった滅魔魔法の最上位を書いておいた。実際滅魔魔法なんて知らないし使えるかすら怪しい。だけどそれ以外は出来てる……はずなんだ。そう…問題はここから…実技なんだよ…。剣術の流派なんて無いし魔法とか使えるかすら怪しいし。そんなことを考えていたら。
「蒼野悠斗。こちらに来なさい」
「はい!」
考える時間すら無しに剣術の実技になってしまった。
もうダメだろ…これ。剣道でどうにかなる訳ない!
優勝なんてした事ないのに!いくら道場で勝てても大会でてない剣術でどうにかなる訳ない!なんで大会出ないのかって?そりゃ勝てる気がしないからだよ。他の人は出てていい成績残してたらしいけど俺なんかが出来るわけないよ。
「さ、かかってこい。これから審査を始める!」
「は、はい!行きます!」
とりあえず構えを取った。どうすればいいんだろうか。ここは面を打つべきか…それとも小手か。けどこれ剣道じゃないんだよね?つまり面とか打ったところでどうにもならない。……それなら…刀を使って最もいい一撃を入れられるまで少し様子を伺うのが良さそうだ。
「どうした?来ないのか?このままでは不合格だぞ?」
「そうですね。ご忠告ありがとうございます」
「君が来ないならこちらからいく…ぞ!」
「っ!(どんだけ力押しなんだ!こんなの攻め入れる訳ないでしょ!でも…隙がある。そういう事か…誘ってるのか…こんな感じのことしてくる人いたな…じゃあ…隙があるならその隙をでかくすればいいんだ)今だ!そりゃ!」
「!!(こいつ。隙をわざと作ってることを理解してこの手か!?)」
「試験官さん。降参して下さい」
「!!あ、あぁ。降参だ。蒼野悠斗。『剣術部門実技』合格とする」
「良かった……」
「(こいつ…力任せな事を利用していなしたってのか?それなりに早くやったはずなんだかな?それよりその後の方が驚きだ。あいついなしてから斬るまでのモーションが早すぎる。それにそれだけ早ければ俺を斬ってもおかしくなかった。だがそれもピタリと止まっていた。とんでもない奴だな)さて、蒼野悠斗。次は魔術部門の実技審査だ。俺の後ろにある扉から行くといい」
「はい!ありがとうございました!」
そう言うと俺は頭を下げた。そして扉を開けると。5人1組のグループのようになっていた。
「お?こいつで最後か。じゃ、早速魔術部門の実技審査を始めよう。自分の好きな魔法を撃ってあの的に当てる簡単な試験だ。じや、早速始めようか。ウロノ。早速撃ってくれ」
「はい。『雷鳴よ空を切り対象を滅せよ』ショックボルト!」
「!?(え?厨二病?いや異世界だからあれが当たり前なのか?え?俺もあれ言わなきゃだめなの?あ、そもそも出るかすら分からないからいっか)」
「ふむ…次」
「はい。『炎よ我が手に集い球形をなせ!』ファイアーボール!」
「……(うん。もうこれが当たり前なんだね)」
「次の人行こうか」
「はい。『風よ切り刻め!』ウィンドカッター!」
「よし。次の人行こう」
「はい!『降り注げ!』ロックシャワー!」
「よし。次だ」
「……(俺ほんとに魔法なんて打てんのかな?打てる自信ないんだけど)」
「アオノユウト!」
「は、はい!」
「君の番だ。やらないのなら不合格にするぞ?」
「すいません!今やります。(なんかのライトノベルで読んだな…確か…魔法はイメージだって…よし…やってみようか!えっと…手に集めるイメージ……イメージ……)」
その瞬間手に小さな玉ができた。それを見た他の生徒は笑っていたし。試験管の顔は見えなかったが何となく呆れられてる気がした。
「(……なんか馬鹿にされてる…そりゃあ当たり前かもしれないけど、もっとイメージするんだ…もっと手に集まるイメージ……)」
そうしていると手にいくつもの小さい魔力球が出来た。
「(集約…集約……)よし!出来た。……(え?詠唱…しなくていいか!さ、手を前に向けて……)」
前に向けた瞬間、轟音と直径10メートルはありそうな爆発痕が出来た。
「よ、よし。それじゃあ今日の試験は終わりだ。後日結果は届くだろうから。今日は帰って大丈夫だ。お疲れ様」
……と、まぁ試験の結果が散々だった訳なんだ。うん。もっと実技の練習すれば良かった。って後悔しても後の祭りか。はぁ……父さんにあった時なんて言えばいいんだろ…
試験を受け終わった悠斗は色々と物思いに耽っていた。その頃別の場所では………
「何なんだ彼は!この一問目は火や風などが出れば御の字だと思っていたが、彼は滅魔魔法を書いて見せた。だがこの紙に仕込んだ魔法では突出するものは無いと出ている。だがこの紙の通り滅魔魔法を使えることにもなっている。だとしたら滅魔魔法と同等のレベルで他の魔法が使えるとでも言うのか?そうだとしたらとんでもない大物だぞ!?」
「更に実技においては剣術は素晴らしいの一言に尽きるぞ」
「同じく魔術審査についてもただの魔力の塊にも関わらず計測器にヒビが入っていました。そう考えると彼は首席でよろしいかと」
「あぁそれがいいだろう。だが…蒼野悠斗…か。この街を発展させた者と同じ苗字だな…まさかな」
「では蒼野悠斗は首席合格とします。以上で終了します」
そうして悠斗は首席合格を果たした。だが悠斗自身は知る由もなく牛串をやけ食いしてたりするのであった…。
俺はとてもとても長いため息を吐いていた。まぁ原因はあの試験なんだろうけど……うん。それ以外無い。
遡ること数時間前、俺は試験を受けていた。はっきり言って自信なんてある訳無かった。当たり前だ。期間が1ヶ月しか無かったんだから。そう思いながら試験を受けた。予感は見事に当たった。髪にはこう書いてあった。
『1問 貴方の得意属性の魔法の最上位にあたる魔術式を書きなさい。』
知るか!!!もしテスト中じゃなければきっとこう言ってたことだろう。そもそも得意属性ってなんなの!?俺そんなの知らないよ!?そもそも魔法とか使えるの?俺の頭の中では常にこんな感情で渦巻いていた。これじゃもうテストどこじゃない。まぁとりあえず分からないので一途の希望をかけて本に書いてあった滅魔魔法の最上位を書いておいた。実際滅魔魔法なんて知らないし使えるかすら怪しい。だけどそれ以外は出来てる……はずなんだ。そう…問題はここから…実技なんだよ…。剣術の流派なんて無いし魔法とか使えるかすら怪しいし。そんなことを考えていたら。
「蒼野悠斗。こちらに来なさい」
「はい!」
考える時間すら無しに剣術の実技になってしまった。
もうダメだろ…これ。剣道でどうにかなる訳ない!
優勝なんてした事ないのに!いくら道場で勝てても大会でてない剣術でどうにかなる訳ない!なんで大会出ないのかって?そりゃ勝てる気がしないからだよ。他の人は出てていい成績残してたらしいけど俺なんかが出来るわけないよ。
「さ、かかってこい。これから審査を始める!」
「は、はい!行きます!」
とりあえず構えを取った。どうすればいいんだろうか。ここは面を打つべきか…それとも小手か。けどこれ剣道じゃないんだよね?つまり面とか打ったところでどうにもならない。……それなら…刀を使って最もいい一撃を入れられるまで少し様子を伺うのが良さそうだ。
「どうした?来ないのか?このままでは不合格だぞ?」
「そうですね。ご忠告ありがとうございます」
「君が来ないならこちらからいく…ぞ!」
「っ!(どんだけ力押しなんだ!こんなの攻め入れる訳ないでしょ!でも…隙がある。そういう事か…誘ってるのか…こんな感じのことしてくる人いたな…じゃあ…隙があるならその隙をでかくすればいいんだ)今だ!そりゃ!」
「!!(こいつ。隙をわざと作ってることを理解してこの手か!?)」
「試験官さん。降参して下さい」
「!!あ、あぁ。降参だ。蒼野悠斗。『剣術部門実技』合格とする」
「良かった……」
「(こいつ…力任せな事を利用していなしたってのか?それなりに早くやったはずなんだかな?それよりその後の方が驚きだ。あいついなしてから斬るまでのモーションが早すぎる。それにそれだけ早ければ俺を斬ってもおかしくなかった。だがそれもピタリと止まっていた。とんでもない奴だな)さて、蒼野悠斗。次は魔術部門の実技審査だ。俺の後ろにある扉から行くといい」
「はい!ありがとうございました!」
そう言うと俺は頭を下げた。そして扉を開けると。5人1組のグループのようになっていた。
「お?こいつで最後か。じゃ、早速魔術部門の実技審査を始めよう。自分の好きな魔法を撃ってあの的に当てる簡単な試験だ。じや、早速始めようか。ウロノ。早速撃ってくれ」
「はい。『雷鳴よ空を切り対象を滅せよ』ショックボルト!」
「!?(え?厨二病?いや異世界だからあれが当たり前なのか?え?俺もあれ言わなきゃだめなの?あ、そもそも出るかすら分からないからいっか)」
「ふむ…次」
「はい。『炎よ我が手に集い球形をなせ!』ファイアーボール!」
「……(うん。もうこれが当たり前なんだね)」
「次の人行こうか」
「はい。『風よ切り刻め!』ウィンドカッター!」
「よし。次の人行こう」
「はい!『降り注げ!』ロックシャワー!」
「よし。次だ」
「……(俺ほんとに魔法なんて打てんのかな?打てる自信ないんだけど)」
「アオノユウト!」
「は、はい!」
「君の番だ。やらないのなら不合格にするぞ?」
「すいません!今やります。(なんかのライトノベルで読んだな…確か…魔法はイメージだって…よし…やってみようか!えっと…手に集めるイメージ……イメージ……)」
その瞬間手に小さな玉ができた。それを見た他の生徒は笑っていたし。試験管の顔は見えなかったが何となく呆れられてる気がした。
「(……なんか馬鹿にされてる…そりゃあ当たり前かもしれないけど、もっとイメージするんだ…もっと手に集まるイメージ……)」
そうしていると手にいくつもの小さい魔力球が出来た。
「(集約…集約……)よし!出来た。……(え?詠唱…しなくていいか!さ、手を前に向けて……)」
前に向けた瞬間、轟音と直径10メートルはありそうな爆発痕が出来た。
「よ、よし。それじゃあ今日の試験は終わりだ。後日結果は届くだろうから。今日は帰って大丈夫だ。お疲れ様」
……と、まぁ試験の結果が散々だった訳なんだ。うん。もっと実技の練習すれば良かった。って後悔しても後の祭りか。はぁ……父さんにあった時なんて言えばいいんだろ…
試験を受け終わった悠斗は色々と物思いに耽っていた。その頃別の場所では………
「何なんだ彼は!この一問目は火や風などが出れば御の字だと思っていたが、彼は滅魔魔法を書いて見せた。だがこの紙に仕込んだ魔法では突出するものは無いと出ている。だがこの紙の通り滅魔魔法を使えることにもなっている。だとしたら滅魔魔法と同等のレベルで他の魔法が使えるとでも言うのか?そうだとしたらとんでもない大物だぞ!?」
「更に実技においては剣術は素晴らしいの一言に尽きるぞ」
「同じく魔術審査についてもただの魔力の塊にも関わらず計測器にヒビが入っていました。そう考えると彼は首席でよろしいかと」
「あぁそれがいいだろう。だが…蒼野悠斗…か。この街を発展させた者と同じ苗字だな…まさかな」
「では蒼野悠斗は首席合格とします。以上で終了します」
そうして悠斗は首席合格を果たした。だが悠斗自身は知る由もなく牛串をやけ食いしてたりするのであった…。
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