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ジュリアン
シェンと。
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「ジュリアン、時間だよ」
リアンが部屋に入ってきた。
「どう?…俺?」
「ん?いや、普通に可愛い俺のジュリアンだけど」
リアンが笑って俺を見た。
俺が唇を尖らせるとジュリアンがくすくす笑う。
「ルークは?」
「ずーっとイライラしてる。来賓に挨拶もほどほどに奥に引っ込んじゃった…ジュリアンは娘じゃないのにね。誰かにやるのが余程嫌なんだね。口ではシェンのこと応援してるくせに」
リアンのその言葉に俺はびっくりした。まさかルークが。俺のことは好きなんだろうけどそこまでだとは思わなかったから感激してしまった。
「うっ…」
「ちょっ、ジュリアン泣くの早い!…ほら、みんな待ってるよ、いこう」
リアンが俺の手を繋いでくれる。もうすっかり全快したリアンはすっかり良くなっていて、元気にルークの護衛騎士の職に戻った。
俺はというと。
これからシェンと永遠の愛を誓うのだ。
部屋を出て、一歩、また一歩進んでいく度にシェンへ続く距離が近くなると思うと、この歩みがとても愛しい。
実は昨日からシェンに会ってない。今、どんな顔をして待ってくれてるのかな?何を思ってるのかな?
◆◆◆◆◆シェン目線
「な、何でお前らまで来てるんだ!?レアル!?ランバート!ちょっ、アンドレアっ!?」
目を剥いて来賓席に座る彼らを見て口をパクパクしている。これは声にはなってないが、アンドレア達にはきちんと伝わっている。
「気にすんな。お前は自分の心配をしろ」
アンドレアが口パクで祭壇の前に立ってジュリアンを待つ俺に言った。
「ったく、神の前にバンパイアと堕天使座ってるってどういうことだよ…」
シェンが独り言をつぶやいた。
「ま、気にしないで?俺だってもう天使じゃないしね、なのにここにいるっていいのかな?」
この式はレアルが采配を取る。そしてシェンの前ににこにこ笑って立っているのだ。これはジュリアンのたっての願いだったらしい。
色んなことがあったし、俺もジュリアンも、がんばった…。それが今日、やっと。
結婚はゴールじゃない。これから歩んでいくのだからこれからも二人で絆を深くしていくつもりだ。
「シェン、幸せになってね」
「…ありがとう、レアル」
昔愛した人に言われるのは、くすぐったくて何とも言えない気持ちだ。だけど、親友になった今では素直に何よりも嬉しい。
わあっ、という歓声と共に部屋の扉が開いた。
白い、グリン王国の礼装に身を包んだジュリアンが現れた。
…めっちゃ可愛い…。ヤバい、いつも以上にときめいてしまって俺は呆然とした。
リアンに連れられてゆっくりと俺に向かって歩いてくるジュリアンのかわいらしいこと。俯いてるその睫毛一本一本まで撫でたい。うわ、キスしたい。
「シェン、顔がヤバくなってるよ…」
レアルに指摘されて俺は慌てて真顔に戻した。
今日、ジュリアンは公私共に俺のものになる。
ジュリアンがとうとう俺の目の前に来た。
リアンが部屋に入ってきた。
「どう?…俺?」
「ん?いや、普通に可愛い俺のジュリアンだけど」
リアンが笑って俺を見た。
俺が唇を尖らせるとジュリアンがくすくす笑う。
「ルークは?」
「ずーっとイライラしてる。来賓に挨拶もほどほどに奥に引っ込んじゃった…ジュリアンは娘じゃないのにね。誰かにやるのが余程嫌なんだね。口ではシェンのこと応援してるくせに」
リアンのその言葉に俺はびっくりした。まさかルークが。俺のことは好きなんだろうけどそこまでだとは思わなかったから感激してしまった。
「うっ…」
「ちょっ、ジュリアン泣くの早い!…ほら、みんな待ってるよ、いこう」
リアンが俺の手を繋いでくれる。もうすっかり全快したリアンはすっかり良くなっていて、元気にルークの護衛騎士の職に戻った。
俺はというと。
これからシェンと永遠の愛を誓うのだ。
部屋を出て、一歩、また一歩進んでいく度にシェンへ続く距離が近くなると思うと、この歩みがとても愛しい。
実は昨日からシェンに会ってない。今、どんな顔をして待ってくれてるのかな?何を思ってるのかな?
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「な、何でお前らまで来てるんだ!?レアル!?ランバート!ちょっ、アンドレアっ!?」
目を剥いて来賓席に座る彼らを見て口をパクパクしている。これは声にはなってないが、アンドレア達にはきちんと伝わっている。
「気にすんな。お前は自分の心配をしろ」
アンドレアが口パクで祭壇の前に立ってジュリアンを待つ俺に言った。
「ったく、神の前にバンパイアと堕天使座ってるってどういうことだよ…」
シェンが独り言をつぶやいた。
「ま、気にしないで?俺だってもう天使じゃないしね、なのにここにいるっていいのかな?」
この式はレアルが采配を取る。そしてシェンの前ににこにこ笑って立っているのだ。これはジュリアンのたっての願いだったらしい。
色んなことがあったし、俺もジュリアンも、がんばった…。それが今日、やっと。
結婚はゴールじゃない。これから歩んでいくのだからこれからも二人で絆を深くしていくつもりだ。
「シェン、幸せになってね」
「…ありがとう、レアル」
昔愛した人に言われるのは、くすぐったくて何とも言えない気持ちだ。だけど、親友になった今では素直に何よりも嬉しい。
わあっ、という歓声と共に部屋の扉が開いた。
白い、グリン王国の礼装に身を包んだジュリアンが現れた。
…めっちゃ可愛い…。ヤバい、いつも以上にときめいてしまって俺は呆然とした。
リアンに連れられてゆっくりと俺に向かって歩いてくるジュリアンのかわいらしいこと。俯いてるその睫毛一本一本まで撫でたい。うわ、キスしたい。
「シェン、顔がヤバくなってるよ…」
レアルに指摘されて俺は慌てて真顔に戻した。
今日、ジュリアンは公私共に俺のものになる。
ジュリアンがとうとう俺の目の前に来た。
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