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伝説のゆくえ

秘宝が増えた

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とても寂しそうに俺を見るオスカー。そんな悲しげな目で俺を見ないで…!何だか申し訳なくなっちゃう。

「シン…!シン!」

頬擦りをして、潰れるかと思うほどきつく抱き締められた。フィリックスも俺の手を握り、背中から抱き締める。俺はしばらく二人の腕の中でうっとりと夢心地になった。

寂しげにそれを見るオスカーに気づき、エリアスとフィリックスは敵意丸出しで彼を睨み付ける。俺は彼らを止めた。

「あのっ、オスカーはもう戦わないよ!」
「オスカー…?こいつの名前か?」

エリアスが訝しげにオスカーに向き直った。

「あの、彼を王宮に連れて帰ってもいい?」
「「んなっ!?正気かシン?!」」

エリアスとフィリックスが大声で叫んだ。まあ、そりゃそうだ…。

「は?何いってんのシン?」

その声はラースだ。抗議の目を向けるラースを俺は説得しようとする。走り寄って抱きついて眉間にキスをした。

「そりゃ、ラースが一番だよ?でも、オスカーは友達になってくれるって!俺、友達が一人もいなかったから…ラースは家族だもん」

しょぼーんとした俺を周囲が見て、ラースがため息をついた。

「魔を友達にするとは正気なのシン…」
『残念ながら俺は魔ではない。人間が勝手にそう思ってるだけだ』
「お前がこちら側についたとして、この莫大なモンスターはどうする?」

エリアスが不信感丸出しの表情をしながらオスカーに尋ねると、彼はしれっと答えた。

『こいつらは流れてきた俺の仲間だ。大人しくさせることはできる。まあ、それを使ってシンを手に入れようとはしたが…。だが俺がやめてもまた王宮を別のモンスターが狙うぞ』
「へ?」

俺たちはすっとんきょうな声を上げてしまった。何で?

『今回はシンを狙うのが俺だけではないことを知って、焦って手を出した。俺が手に入れて地底で暮らせばあいつらの目を欺けると思った』

オスカーが俺を見つめて首を振った。エリアスとフィリックスがますます険しい表情をした。俺だって事態が飲み込めていない。

「シンを誰が狙ってる?」

エリアスがオスカーをますますキツい目で睨み付けながら詰問した。

『…魔族』

魔族?誰?何?

「魔…族?」
『ドラゴン族とは対をなす、魔界の住人、闇の世界の者。ハーフドラゴンの体を手に入れればドラゴン族と対決さえ出来る程の魔力が手に入るからな。ここにいるモンスターは魔界から逃げた者が住んでるだけ。お前ら、何度かは魔界から直接攻撃されてるぞ』

しれっと髪をかきあげながら言うオスカーの話に俺は、全く別の世界の話に聞こえるほど実感がない。

「魔界…天界とか…どこかにあるのは知ってるが、そシンを狙ってくるとは…ハーフドラゴンな…道理でドラゴンの秘宝ガラや魔剣が味方するわけだ。伝説の竜騎士でないのなら、そこの疑問が今解けた。」

エリアスが納得したように言う。

はぁ?俺の体がなんだって?

「俺にはそんな魔力はございませんけれど…」

俺は小さな声でオスカーにそう言うと彼は笑って答えた。

『知ってる』
「何それ失礼…」
『なんだ?自分で言っといて…お前の血肉、体液、全てが魔力の源だ。そこのお前ら、シンを抱いてなんともなかったか?』

オスカーがエリアスとフィリックスに顎をクイっと向けて笑いかける。腕を組んでうーんと考えたエリアスとフィリックスが、思い出したように言った。

「そーいやシンを抱いてから安眠できるようになったかな…」
「ああ、炎の威力が増した気がする」

おかしくない?一人はただの社畜の睡眠不足が治っただけだよね?もう一人は伝説の竜騎士になったからだよね?大真面目にボケですか?

「おお!そういえば!」

エリアスがぽんと手を叩いてもう一つすごく思い出したように言った。

「肌荒れしなくなった!」

睡眠不足治ったからだよね?

『今回は、俺はシンの友達になる。そうだ、指輪に身を変えてシンといつでも一緒にいよう。俺はシンを護ることにした。未来を共に生きることには変わりない。治癒の魔法が必要ならば俺を使うといい。竜騎士ども、命を懸けてシンを守れよ』
「お前に言われるまでもない」
「同感だ」

オスカーはシュン!と煙のようなものに包まれた。そこには黒い石の入った大きな指輪になり、俺の手のひらに飛んできた。
フィリックスがそれをつまんで裏返して何度か疑わしそうに眺め、俺の中指へそれをはめてくれる。でも、フィリックス絶対信用してないよな!

「…承知した。今のところは信じてやる」
「だがもし、シンの嫌がることをすればぶっ潰すからな!」

エリアスとフィリックスは俺の指にはまったオスカーにそう凄んだ。

俺は…またドラゴンの秘宝を手に入れてしまった。今度はガチのドラゴン族だ。

「シン」
「ん?」

名前を呼ばれて顔を上げた俺の頬にさらりと金髪がかかってきて、唇にやわらかい感触。

「ん…」

小さくちゅっ、と音を立ててエリアスが唇を離して抱き締めた。

「無事で…生きた心地がしなかった」
「ごめんなさい…」

謝る俺の髪を後ろから撫でられると、背中からフィリックスが微笑んで俺を見下ろしている。

顎に手をかけて振り向かされ、唇が奪われる。

「ふ…ぅっ…ん…」

ちゅっちゅっとこちらは少々熱いキスだ。フィリックスの唇が少しだけどう猛…。

「ンン!長い!フィリックス!」

エリアスが咳払いをして俺たちはゆっくりと唇を離す。フィリックスが弾けたような笑顔になった。エリアスもそれを見て笑う。

二人の笑顔を見て、何だか安心した俺はラースのもとへ駆け寄って思い切り抱きついた。

「帰るぞ」

エリアスの掛け声でドラゴン達が一斉に大きな翼を広げた。

























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