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竜騎士になったよ

みんなでごはん

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夜になり、食事は王宮の食堂で済ませることになり、トゥルキとハムザを除いた三人で食堂に連れていってもらうことになった。

そこは豪華なレストランだった。王宮の人はこんなとこでごはんを食べるのかと思い、田舎者の俺は気後れしてしまう。
上品なウェイターさんが椅子を引いてくれて、真っ白いテーブルクロスの前に座る。こんなところ初めてで緊張してしまった俺はカチカチになった。

あっ、そう言えばラースのごはんの時間を忘れていた。ラースは食事の時間が決まっている。他のドラゴンはしらないけれど、小さいラースには定期的に食事を摂取させなければ体がもたないのだ。

ガターンと席を立つ。

「ごめん、ラースの用を思いだしちゃった。すぐ戻るから先に食べてて」
「じゃあ、こっちで決めとくぜ」
「うん、お願い」

エリアスがメニューを片手に俺にそう言い、俺は店を後にした。

「ごめんラース、お腹すいたね」
「ギャウ!」

ドラゴン舎では嬉しそうにラースが俺にすり寄った。さっきフィリックスに聞いた、ここで食べさせているドラゴンのご飯を倉庫から出してラースに用意する。ついでにみんなにも用意をした。他のドラゴンのご飯の量が半端なくて、ワゴンに積んで何往復もかかったけれど、なんとか一人で五匹分の食事ができた。その頃には俺は多少汚れてしまっていたけれど、ドラゴンの世話は大好きだから気にならない。

時間が思ったよりかかってしまって、俺は急いでレストランへ戻った。

「ご入店はお断りいたします」
「え、さっき入ったんだけど…」

俺はなんと、フロント係の店員さんからブロックされてしまったのだった。
まあ、汚れてしまったし、王宮に来て間もないから俺が竜騎士なのは知らないか。

仕方ないな。店は全部個室なのでフィリックスとエリアスを呼びようもなく、俺は店を諦めて後にしようとした。

「汚いガキだな」

嘲るような声がして、振り向くと、店外の通路で人相の悪い騎士のような出で立ちの男が三人、俺を見て笑っている。

「お前、見ない顔だな、新入りか?ここは上級クラスの騎士専用のレストランなんだよ、ここへ入れるわけないだろう?俺らだって入ったこともないわ」
「へえ…そうなんだ。教えてくれてありがとう」

上級の騎士専用なんだここ。すごいなぁ、俺はただただ感心していた。

「なめてんのか?ヘラヘラしやがってムカつくわ。どこの所属だ?」

一人がキレたように俺につかみかかろうとしたそのとき、

「俺んとこ」
「っ!ガァっ!」

いきなり俺に凄んだ騎士の顎が不自然な早さで上がる。いつのまにか近づいていたフィリックスが騎士の頭を鷲掴みにして後ろへ下げたのだった。フィリックスの人差し指と中指が騎士の両目を押さえてる!うわあ…。

「りゅ、竜騎士…!フィリックス!」

フィリックスがキッと騎士たちを睨む。

「…さん」

一人が震えながら敬称を付け加えた。フィリックスってそんな位置なの?見たこともないほどの冷酷な表情で騎士を睨んでいる。

「おーおー、うちの新入りに何か用か?騎士のみなさん」

エリアスが笑いながら近づいてきた。目は全く笑っていない。

「げっ!竜騎士団長エリアス!」
「あぁ?」

エリアスがギロリと睨む。

「…さん」
「様だろ」

あっ、騎士のみなさんダメ出しくらってる。

「何やってんだシン、待ってたのに」
「うん、入っちゃいけないんだって止められた」
「ああ!?」

エリアスにそう説明すると、彼はブチギレした表情で店員を睨み付ける。恐縮した店員はもう倒れそうなくらい蒼白になっている。

「いーのいーの!だって仕方ないよ!それにフィリックス、その人離してあげて?」

俺はケラケラと笑って二人を止めた。
フィリックスが騎士を離すと悔しげに睨み付けて走って逃げていく。

「いくぞシン、腹へった。こいつ入ってもいいよな?」
「はっ、はい!勿論でございます!」

エリアスが店員にそう言うと、店員は地面にめり込むくらいの勢いで頭を下げた。

お陰でものすごく美味しい晩御飯が食べられたよ!すごく豪華で盛り付けも綺麗で、二人に作ってあげられたらいいなと思いながら美味しく頂きました。


◆◆◆◆◆

ここはドラゴン舎。

三人の男が入り口から遠巻きにドラゴンを見ている。

「こいつか…さっきの新入りの竜騎士ドラゴンは!ハッ!ちっさ!弱そうだなあ、さっきの仕返しに少々痛め付けてやろうぜ」

男たちの一人がナイフを片手にドラゴン舎に入ってラースの前に立った。
ラースは首を傾げて男達を見ている。

「お前に恨みはないが、飼い主がムカつくんだよ!こいつら全部雄って話、本当だろうな?」
「一見わからないように傷つけろよ!竜騎士にバレたら面倒だからな。大丈夫だ、汎用ドラゴンに乗ってる騎士の友達によると、雄ドラゴンは普通、他の雄のドラゴンに興味ねえから庇ったりはしないんだって」

男がナイフでラースに斬りつけようとした瞬間、ラースの背後で大きな4つの目がギラリと光った。


◆◆◆◆◆◆

お腹いっぱいになってドラゴン舎に戻ると、警護隊が来ていて人だかりができていた。王宮内の警察だ。

「何だ?」

フィリックスとエリアスが慌ててドラゴン舎へ走っていく。俺も心配になって行くと。

「何があった?」

フィリックスが警護隊に尋ねると、隊員が答えてくれた。

男が3人、ドラゴン舎に無断侵入し、ドラゴン達に手酷い目に遭ったそうだ。騎士としては再起不能かもしれない。誰であろうと竜騎士のドラゴン舎に入ることは許されないので男達が百%悪いことは明白だった。

「竜騎士のドラゴン舎に入るバカがいるとは思わなかったな…」

フィリックスがぽつりと呟き、エリアスがうんうんと頷いた。

「竜騎士のドラゴンは普通の騎士達が使う汎用ドラゴンとは全く違って高度な知能と意思を持つ。人にだって容赦なく攻撃する超危険な奴なんだよ。汎用ドラゴンと同じだと思ってたら痛い目を見るぜ」

エリアスが、そう説明してくれた。

ラースはカイザー号とオリオン号に大切そうに抱えられ、すやすやと3匹仲良く眠っていた。
































    
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