上 下
10 / 113
竜騎士になったよ

状態異常?

しおりを挟む
俺はラースと奴らを追いかける。

「シン!深追いするな!」

フィリックスが俺を追ってくる。その後にエリアスも追ってきた。

「戻った黄色と緑に指揮は任せた。フィリックス、リーダー捕獲!シン戻れ、危険だ!」
「了解!シン、退け!俺に任せろ」

エリアスとフィリックスが俺を気遣って止めるけれども俺とラースは止まる気がない。

「止まれシン!!」

エリアスが怒鳴る。

「やだ!あんなやつ許せない!」
「気持ちはわかるが俺に任せろって!ラースをバカにされたからってムキになりすぎだ!」

フィリックスが言う。

「違ぁう!それもあるけど!俺は食べ物を粗末にするやつは許せないんだ!食料を作ってくれた人の気持ちを踏みにじる奴は食べ物の神様の天罰が下ればいいんだ!!もったいないオバケがでればいいんだーーーー!」

俺の本気の怒り思い知れえー!


「も…もったいないオバケ…?」
「さすがご老人達に育てられただけあって厳しいな、シン…」

フィリックスとエリアスが面食らっているのも構わず、俺は敵を追った。

リーダーの汎用竜を俺たち三匹が猛ダッシュで追い詰めていくけど、リーダーはドラゴンに乗り慣れているようで左右上下に俺たちをかわしていく。この汎用竜、めちゃくちゃ速くない?
リーダーは低空飛行になり、俺たちも追っていく。次第に岩場になり、先に狭いトンネルが現れると、そこで竜から飛び降りてリーダーが入っていくのが見えた。汎用竜は捨てられる時に無理な制御でバランスを崩し、岩に叩きつけられた。悲鳴を上げて転がる汎用竜。狭いところに入れば俺たちをやり過ごせるとの判断だろうが、それはないだろう!?俺は心の底から怒りが止まらない。

ドラゴンを大事にしないやつはゆるさない!!

トンネルの入口にトップスピードのままラースと突撃しようとした時、エリアスが叫んだ。

「シン!無茶だ!ラースはその穴には入れない!衝突するぞ!」

確かに穴の大きさとラースの翼を広げた大きさはあまり変わらない。それより小さいくらいだ。

でも俺にはわかる。ラースの出す音波で入り口の先が狭くなってないこと。

俺たちには不思議な感覚がある。

俺の視覚とラースの視覚が重なる。全ての感覚をラースと俺の二人で共有できる。


ここは余裕、いける。


「「シン!!!!」」

エリアスとフィリックスが大声で叫んだ瞬間、
俺は姿勢を低くし、ラースが翼を後ろへ倒してトンネルの壁スレスレをロケットのように猛スピードで突っ込んだ。

真っ暗なトンネルの中をまっすぐ進む。暗がりでもラースの目線が俺の中にあるから全てが手に取るように見えた。すぐに出口が見え、明るい円が近づいてくる。すると隠れていたのかリーダーがいきなりラースに躍りかかってきた。

「そのドラゴン、寄越せ!」

ラースの鞍にしがみついて落とそうとしてくる。俺は必死で蹴り落とそうとした。

そしてトンネルを出てしまい、視界が真っ白になって眩しい。

痛い!

と思ったらラースが悲鳴を上げた。リーダーがラースのたてがみを掴んでいるのだ。繋がってる俺の首の後ろも痛い。

俺はカッとなって手のひらからジジイ仕込みの魔法で小さな炎を出すとそれをエリアスのクロスボウに込め、至近距離でリーダーを撃った。燃えながら落ちていくリーダー。

そのとたん、何故か目眩がして俺とラースはぐらりとバランスを崩した。

黒い影が俺を包む。カイザー号がラースを片手で抱き締め、エリアスが俺の腕を引いて自分の鞍に乗せ替えた。

「シン、魔法使えたのか…マズイな」

エリアスが低い声でつぶやいた。

何…体が変…寒い…!中から凍るように寒い。

ガクガクと震えながら俺は無意識にエリアスの体温を求めてしがみついた。

「敵は捕獲しました。エリアス、さっきのシンのは魔法ですか!?」

フィリックスが戻ってきた。オリオン号が鎖にぐるぐる巻きにされ気を失った男をぶら下げている。

「ああ、魔法が使えたようだ…シンは思ったよりいい環境で育ったようだな」
「俺が代わります。シンをこちらへ」
「…断る。今回の状態異常は氷みたいだな。俺にこんなにしがみついてるんだ、俺の方が絶対フィリックスより体温高いから役に立つ!」

エリアスがドやるのを舌打ちしながらフィリックスが睨んだ。

「体温高いとかお子ちゃまかよ…」
「あぁ!?」

フィリックスの呟きにエリアスが凄んだ。

「エ、リアス…せなか、さむい…」

俺はもうカタコトだ。今にも凍りそうだし気を失いそう。とにかく寒い!何が起こってるの?状態異常?なにそれ!

「仕方ねぇな…魔法に反応する異常だから魔法は使えねぇ。フィリックス、こっち来れるか?」

ガクガクと震える俺を抱き締めながらエリアスがフィリックスを呼ぶ。赤いオリオン号が黒いカイザー号にピッタリと横付けされ、フィリックスがカイザー号に乗り移り、エリアスの鞍に乗った。

俺の背中をフィリックスの逞しい胸が包み、そっと抱き締める。
あったかーい…。俺の表情が緩んだ。

「…おい、フィリックス」
「何ですか?」
「シンを挟んでるけど、近すぎてお前を抱いてるみたいで嫌だ。向こう向けよ。それ進行方向と逆だしな」

めちゃくちゃ嫌そうにエリアスが言う。

「ですが、そうなると俺が可愛いシンの背中を抱けなくて嫌です。ならシンを俺の方へ向かせてください」

フィリックスが反撃した。

「…背中も抱っこしてよ…寒くて死ぬ…」

ガチガチと歯を鳴らしながら恥ずかしげもなく半べそをかく俺。

それを見た二人は何故か嬉しそうだった。

もう!寒くて死にそうなのに!















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。 人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください! チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!! ※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。 番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」 「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824

処理中です...