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本編

いきなり異世界転生した俺

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ああ、楽しかった。

ありがとう。明日、俺がいなくなっても誰も泣かないで。

静かな夜、病室の白い天井を見つめてゆっくりと息を吸う。

そして、俺はそっと目を閉じた。
99歳になる前に、こうして命を終えた。

もしかして天国に行けるかな?
別に悪いことはしてないし、そこそこ良い人間だったつもりなので、地獄には行かないと思いたい。





オギャー。

オギャー?赤ちゃんの鳴き声で俺は泣いている。
小さい手足、バタバタと走るメイドのような格好の女の人たち…。そして美しい女性が息も絶え絶えになって真っ青な顔をしている。でも、俺を見ている口許は微笑んでいた。

教会の鐘が鳴り、男の人が赤ん坊の俺を抱いて喪服を着ている。

お母様は俺の命と引き換えに旅立ってしまったらしい。

この国でもかなり高位の公爵だったお父様は、俺を置いて遠い領地へと行ってしまった。俺は公爵家の御曹司、王子の遊び相手として乳母と王宮に送られる。王族の婚約者として最高の教育を与えられて育つことになる。

この国は同性の結婚ありの世界らしい。俺は王子の婚約者となった。

俺は魔法の存在するファンタジーな異世界に転生したようで、まさか男に嫁ぐなんて思わなかったけれど。

18才になった。

「はい、よろしくね」

侍女が目を丸くする。
俺の手にはキャンディが入った小さな袋が載せられている。新入りの侍女にはプチプレゼントを必ずあげているのだ。

「またレイは侍女と親密になって!浮気か?浮気するのか!?」

男性が怒鳴る声がした。
レイとは俺のことだ。

怒鳴ってきたのは婚約者の第一王子、ウッド。
はっきり言って大嫌い。自分勝手で浅はかなお坊っちゃまの彼はいつも俺にどなり散らす。

でも、こいつと結婚しなければならないのだ。

「ちょっと来い、レイ」

彼は俺をベッドに組み敷くなり、乱暴なキスをした。婚前交渉などはとっくに済まされていていて、散々な目に遭わされている。俺にどんなこともやりたい放題の最低の男なのだ。

ここからどうやったら逃げられるか、それだけを考えていた。

















    
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