霊能者クリフのドタバタ放浪記―ボーイズ・ラブ国家の真実―

プロローグ

教会の中で、それは始まった。


星空に浮かぶ３つの満月が、明るく地上を照らし出すある晩のこと。
　
教会の中には、青白い光がさしていた。

その光に照らし出されたステンドグラスが、月明かりで全体的に淡い青の輝きを放っている。
 
青白い光さす教会の礼拝堂の中、シスター見習いのマメリアは、１人奥へ隠れ、密かに目の前の「光景」に見入っていた。


突如、女性がセクシーな声で喘ぎ声をあげ、悶えた。

まさか、女性がこのような声をあげ、もだえるとは……。

実に驚きだと言わんばかりに、マメリアは、目を丸くしてその光景に、見入っていた。

それは、青白い月明かりさす、夜の教会の礼拝堂の中での出来事だった。


逞しい体の男性の手が女性の体に触れると、女性はセクシーな声をあげ、それから男性の体が女性の体の上に乗っかった。

２人の男女の裸体は、月明かりに照らし出され、青白い輝きを放っている。

その中で、男女の行為が繰り広げられている。

16歳になるシスター見習いのマメリアは、初めて女性が、興奮の絶頂で爆裂的にセクシーになる、まさにその瞬間を目にした。

彼女は、自分では経験の無いその出来事に、しばしの間、ポカンとしていたのであった。

だが、女性がこちらを振り向きそうになった瞬間、自分の存在を知られぬよう、素早くこの場を去った。

まるで最初から誰もいなかったかのように、気配も全て消し去って。
　

それは、妖艶な輝きに世界が包まれている満月の晩。

突如、マメリアは、教会の中で性行為をする男女の姿を、目にしてしまったのだ。

それにより、16歳の修道女見習いのマメリアは、まるで全身を雷で貫かれたかのような強い衝撃を覚えた。
　
その時マメリアは、まるで、体中を溶岩が貫いていくかのような、強い興奮状態に陥った。


教会という清らかな場所にて男女の性行為を目にしてしまったマメリアは、数日間の間、ただの一睡もする事ができずにいた程であった。
　
夜になると、男女の熱を帯びた行為が瞼の裏に思い浮かび、彼女の眠りを妨げる。

あの衝撃的なシーンが、何度も何度も狂ったように、頭の中に思い浮かぶ日々が続いていた。


マメリアの頭の中は、男女の行為のシーンでいっぱいになっていたので、教会での祈りも集中できない。

そのせいで、先輩のシスターにずっと、怒られっぱなしの日々が続いた。

だが、いくら先輩に怒られても、マメリアは、あのシーンを忘れる事はできなかった。

あれ・・を思い出す度に高揚感に包まれるものだから、自分の体というものは、本当に不思議だとさえ思えていたのだ。

それは、アルカタの都での小さな修道院での出来事だった。
　
マメリアが、あまりにもセクシーすぎるその光景を目にしてから、数百年もの歳月が経過していた。