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25話

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 私はメジェンヌから出られず、セルジュも国から出られないため、国内での調査が始まった……けど、進捗はさっぱりだ。

「やはり難しいものだな」

「今は素直に、ロナウド副団長の帰りを待った方が良いんじゃないかな」

「情報収集は我々の得意とする所ではありませんが……もどかしいですね」

 セルジュもアルバート神官長も思うように進まず、次の手が打てないでいる。
 もちろん私は応援しかしていない。

 どうしようかと3人で考えていると、レオン長官から化学技術庁に来るように言われた。
 ……変な実験でもするのかな。



「よく来たな。まあ座れ」

 椅子をすすめられて腰を下ろすと、レオン長官は向かいの机のイスに座り、机に両肘をついた。

「それでレオン長官。今日は一体何の用だ?」

「それだがな、お前たち調査はどうだ? 進んでいるか?」

「いえ、それが全然進まないんです。これからどうしようか悩んでいた所です」

「聖女の力に相手を洗脳したり、口を軽くする物はないのか?」

「ど、どうでしょうか。私も聖女の力を全て理解している訳では無いので」

 相変わらずレオン長官は突拍子もない事をいう。
 洗脳なんて聖女と関係ないじゃない。

「ひょっとしてレオン長官は、何か手掛かりがつかめたのですか?」

「アルバート、お前は聞いた事が無いか? ツバルアンナの薬を」

「ツバルアンナ……噂では聞いた事がありますが、それが何か?」

 ツバルアンナの薬? 何だろうそれは。

「ヴァリビネ国で使われていると噂される洗脳薬だが、あの国の王太子の症状に似ていると思ってな」

 そう言ってレオン長官は私に問いかけた。

「聖女、あの男はいつからおかしくなったって?」

「えっと、はっきりいつから、とは言えませんが、婚約破棄される少し前からだと思います」

「では婚約破棄された場で、アイツはお前の意見に耳を傾けたか?」

「受け答えは出来ていたはずですが……途中でマーテリー王太子妃が出て来て、話しを中断されました」

「その女はいつから王太子を狙っていた?」

「ど、どうでしょうか、婚約破棄されたひと月ほど前に留学から帰ってきて、色々な嫌がらせをされましたけど、狙っているとは思ってませんでした」

「どこへ留学していた?」

「確か……ヴァリビネの国に……あ!」

「ツバルアンナの薬はヴァリビネ国の軍が所持していると言われている。王族、上級貴族なら入手可能だろう」

「それじゃあマーテリー王太子妃はハロルド王太子に薬を!?」

「あくまでも可能性の話だがな」

 ハロルド王太子は薬で操られているかもしれない……でも薬でそんな事が出来るなんて、どうしてそんな恐ろしい薬を作ろうと思ったんだろう。

「レオン長官、その薬の入手は出来ないのか?」

「無理だな。そもそも存在が噂レベルだ」

「それならば、マーテリー王太子妃がその薬を所持していたら、洗脳されたと確定されるのですね?」

「そうなるな。だが薬を所持しているとは考えにくい。誰かが後ろにいるはずだ」

 更に黒幕まで居るみたい。どうして王太子を狙ったんだろう。
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