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18話
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翌日学園に行くと、ナンシーは来なかった。
それはそうよね、引っ越してしまったんだから来るはずがないわ。
でもどうして? 婚約者もいるのに引っ越しなんて、婚約者も一緒に行ったのかしら。
「今日もナンシーは休みなのか?」
「いいえ……引っ越しをするそうです」
「引っ越し!? なぜだ? そんなこと一言も言ってなかったじゃないか!」
バート様も理由は知らないみたい。
というより引っ越したこと自体を知らないのね。
そういえば昨晩、ごめんなさいって言ってたけど、どういう事かしら。
それに気が付かなかったって……何があったっていうの?
その日からあるウワサが学園内に流れた。
私がナンシーをイジメて王都から追い出した、と。
それからは教室では誰も話をしてくれず、時々物が無くなるようになった。
必死に知らないと説明をしたけど、誰も聞く耳を持たない。
おかしい、いくら何でもここまで話を聞いてくれないなんて……婚約破棄された時や、ジャネットが来た時でさえここまで酷くは無かった。
でも理由は直ぐに判明した。
ウワサは1年生から流れ、バート様と仲のいい私が気に食わない上級生が学園中に広めたのだ。
1年生……ジャネットかしら。
ウワサの内容としては『アシュリーは婚約者を妹に奪われ、腹いせに結婚を認めないどころか友人のナンシーにも嫌がらせをしている』だった。
そして今日聞いた新しい噂として『邪魔なナンシーを追いやって、バート王子に色仕掛けをしている』だ。
妹に婚約者を奪われたこと以外、全部間違ってる。
私、何か悪い事をしたかしら。
いつからだろう、両親やジャネットに酷い事をされるようになったのは。
小さい時……昔の楽しかった思い出がないわね。
そうね、学園を卒業だけさせてもらって、後は仕事を探して家を出よう。
きっと私は気が付かない内に悪い事をしていたんだ。
1年が過ぎて3年生になった。
2年生はほぼ1人で過ごしたわ。
時々バート様が話かけてくるけど、私とバート様がウワサになっているのを知ってか、ほとんど会話をしなかった。
でもそのお陰で、成績は学年1位になれたわ。
勉強しか……する事がないもの。
物が無くなる事は無くなった。
全部持ち歩けばいいから。
時々人がぶつかってきたり、足をかけられたりするけど、我慢すればいい。
そんなある日、私は学園長に呼び出された。
何かしら、まさか学園を追い出されるなんて事は無いわよね?
「こんにちはアシュリーさん。今日呼び出された理由は分かりますか?」
学園長さんは50歳くらいのおじいさんで、口の周りに髭を生やしている。
「……分かりません」
「そうですか。あるウワサについて聞きたいのだがね」
それはそうよね、引っ越してしまったんだから来るはずがないわ。
でもどうして? 婚約者もいるのに引っ越しなんて、婚約者も一緒に行ったのかしら。
「今日もナンシーは休みなのか?」
「いいえ……引っ越しをするそうです」
「引っ越し!? なぜだ? そんなこと一言も言ってなかったじゃないか!」
バート様も理由は知らないみたい。
というより引っ越したこと自体を知らないのね。
そういえば昨晩、ごめんなさいって言ってたけど、どういう事かしら。
それに気が付かなかったって……何があったっていうの?
その日からあるウワサが学園内に流れた。
私がナンシーをイジメて王都から追い出した、と。
それからは教室では誰も話をしてくれず、時々物が無くなるようになった。
必死に知らないと説明をしたけど、誰も聞く耳を持たない。
おかしい、いくら何でもここまで話を聞いてくれないなんて……婚約破棄された時や、ジャネットが来た時でさえここまで酷くは無かった。
でも理由は直ぐに判明した。
ウワサは1年生から流れ、バート様と仲のいい私が気に食わない上級生が学園中に広めたのだ。
1年生……ジャネットかしら。
ウワサの内容としては『アシュリーは婚約者を妹に奪われ、腹いせに結婚を認めないどころか友人のナンシーにも嫌がらせをしている』だった。
そして今日聞いた新しい噂として『邪魔なナンシーを追いやって、バート王子に色仕掛けをしている』だ。
妹に婚約者を奪われたこと以外、全部間違ってる。
私、何か悪い事をしたかしら。
いつからだろう、両親やジャネットに酷い事をされるようになったのは。
小さい時……昔の楽しかった思い出がないわね。
そうね、学園を卒業だけさせてもらって、後は仕事を探して家を出よう。
きっと私は気が付かない内に悪い事をしていたんだ。
1年が過ぎて3年生になった。
2年生はほぼ1人で過ごしたわ。
時々バート様が話かけてくるけど、私とバート様がウワサになっているのを知ってか、ほとんど会話をしなかった。
でもそのお陰で、成績は学年1位になれたわ。
勉強しか……する事がないもの。
物が無くなる事は無くなった。
全部持ち歩けばいいから。
時々人がぶつかってきたり、足をかけられたりするけど、我慢すればいい。
そんなある日、私は学園長に呼び出された。
何かしら、まさか学園を追い出されるなんて事は無いわよね?
「こんにちはアシュリーさん。今日呼び出された理由は分かりますか?」
学園長さんは50歳くらいのおじいさんで、口の周りに髭を生やしている。
「……分かりません」
「そうですか。あるウワサについて聞きたいのだがね」
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