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16 冒険仲間 弱点?
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「お前達と一緒に冒険をしろだと?」
「はい。それならば、双方の希望通りに事が進むと思うのですが、いかがでしょうか」
レッド・ローズさんは私と高みを目指し、私はマット・ロビー・ケイと共に冒険が出来ます。
3人も一緒に高みを目指せるのなら、それは良い事でしょう。
「お前は……ふざけている訳では、無い様だな」
「はい。私は本気で言っています」
下を向いて、何かを考えた後でコーヒーを飲み、ため息を一つ付いて口を開きました。
「どうやらお前は、俺が思っている以上に我が強い様だな」
「そうでしょうか。私は、私の思う最善を選択しているだけです」
「お前の最善を人に押し付けているんだ。やはり我が強いな。まあいい、今回はお前の思う最善に付き合ってやる。それが一番手っとり早い様だ」
「ありがとうございます。それではこれから先、よろしくお願い致します」
「ああ」
丁寧に頭を下げます。これで、今回レベルの危機は回避が可能でしょう。
旅の安全性が上がりましたが、これ以上の危機に襲われた時、その時こそが私達の成長速度にかかってきます。
あまりにも成長が遅くて、呆れられないように努力をしなければ。
「ご飯できたよ~」
テーブルに料理を並べながら、ケイが私達を呼んでいます。
ケイの料理はおいしいので、きっとレッド・ローズさんも喜んでくれるでしょう。
夜の見張りは交代でする、と言ったのですが、レッド・ローズさんはいう事を聞かず、ずっと一人で見張りをしてしまいました。
この方にとっては当たり前なのでしょうか。それとも別の意図があるのでしょうか。
しかしお陰でゆっくり休め、盗賊に襲われた疲れが無くなりました。
翌朝になり馬車を進めます。4人から5人になり、馬車は狭くなるかと思いましたが、元々大人4人が入れる馬車ですので、子供3人と私、大人のレッド・ローズさんならば問題はありませんでした。
それにしてもレッド・ローズさんは無口で、聞いた事にしか答えてくれません。
しかし逆に言えば、聞いた事には答えてくれます。
なので戦いのときの心構えや戦い方、依頼を受ける時の注意点なども教わりました。
やはりこの方は経験が豊富ですね。
「なぁおっちゃん。おっちゃんはフランをナンパしに来たのかと思ったけど、違ったんだな」
「……俺はおっちゃんではない。まだ23だ」
馬車の御者席ではマットとレッド・ローズさんが会話をしていますが……ハラハラします。
マットがレッド・ローズさんをおっちゃん呼ばわりするとは。
確かに子供のマットからしたらおっちゃんなのかもしれませんが。
「23ならおっちゃんじゃん。俺なんて13だぜ」
「それはお前がガキなだけだ」
少々眉がヒク付いていますが、何とか平静を保っているようです。
「俺はガキじゃねーよ! おとなだ!」
「ふん。大人はこんな事で取り乱したりしない」
「な!? べ、別に怒ってねーし?」
どうやらレッド・ローズさんの方が上手ですね。
しかしこの2人、良いコンビなのではないでしょうか。
その後は半分ケンカ腰のマットと、冷静を装うレッド・ローズさんとのやり取りが面白く、3人で笑っていました。
意外な副作用がある物ですね。
「話づかれた……」
「うるさい、もうしゃべるな」
そろそろ街の城壁が見えてきました。
あれから盗賊にも魔物にも襲われず、平和に到着できそうです。
確か次の街は鍛冶が盛んな街・ロジー・アーンでしたね。
やはり聖都に近いだけあり、武器や防具が沢山必要なのでしょうか。
門で受付をし、冒険者ギルドに顔を出します……が、ここでも同じ事が起こりました。
「ようこそいらっしゃいました聖女様! ロジー・アーンへよこそ!」
受付嬢のその言葉の後、私達は沢山の人に囲まれてしまいます。
嫌ではありませんが、その、勧誘合戦はやめて欲しいのです。
なので急いでギルドを後にし、宿を決めて街に逃げ込みました。
「うっひゃ~、なんだなんだ? あっちこっち鍛冶屋だらけじゃんか!」
「本当だね。鍛冶の街とは聞いてたけど、ここまで多いんだね」
「トンカチの音がうるさい~」
確かに金属を叩く音が常に鳴り響いています。
しかし街の人達は平気そうな顔なので、これも慣れという物でしょうか。
ですが慣れていない人が約一名、顔色が悪くなっています。
「大丈夫ですかレッド・ローズさん。音がうるさいのなら、宿で待っていても良いのですよ?」
「……違う。ギルドで囲まれた……人が沢山……有象無象に囲まれた……」
どうやら音にではなく、ギルドで囲まれた事が嫌だったようです。
きっと人ごみが苦手な人なのでしょう。
「人が多くても……俺を見ていなければ大丈夫だ。もう少しで……回復する」
ああ、街中は大丈夫なのですか。
中々に厄介な症状をお持ちのようですね。
「はい。それならば、双方の希望通りに事が進むと思うのですが、いかがでしょうか」
レッド・ローズさんは私と高みを目指し、私はマット・ロビー・ケイと共に冒険が出来ます。
3人も一緒に高みを目指せるのなら、それは良い事でしょう。
「お前は……ふざけている訳では、無い様だな」
「はい。私は本気で言っています」
下を向いて、何かを考えた後でコーヒーを飲み、ため息を一つ付いて口を開きました。
「どうやらお前は、俺が思っている以上に我が強い様だな」
「そうでしょうか。私は、私の思う最善を選択しているだけです」
「お前の最善を人に押し付けているんだ。やはり我が強いな。まあいい、今回はお前の思う最善に付き合ってやる。それが一番手っとり早い様だ」
「ありがとうございます。それではこれから先、よろしくお願い致します」
「ああ」
丁寧に頭を下げます。これで、今回レベルの危機は回避が可能でしょう。
旅の安全性が上がりましたが、これ以上の危機に襲われた時、その時こそが私達の成長速度にかかってきます。
あまりにも成長が遅くて、呆れられないように努力をしなければ。
「ご飯できたよ~」
テーブルに料理を並べながら、ケイが私達を呼んでいます。
ケイの料理はおいしいので、きっとレッド・ローズさんも喜んでくれるでしょう。
夜の見張りは交代でする、と言ったのですが、レッド・ローズさんはいう事を聞かず、ずっと一人で見張りをしてしまいました。
この方にとっては当たり前なのでしょうか。それとも別の意図があるのでしょうか。
しかしお陰でゆっくり休め、盗賊に襲われた疲れが無くなりました。
翌朝になり馬車を進めます。4人から5人になり、馬車は狭くなるかと思いましたが、元々大人4人が入れる馬車ですので、子供3人と私、大人のレッド・ローズさんならば問題はありませんでした。
それにしてもレッド・ローズさんは無口で、聞いた事にしか答えてくれません。
しかし逆に言えば、聞いた事には答えてくれます。
なので戦いのときの心構えや戦い方、依頼を受ける時の注意点なども教わりました。
やはりこの方は経験が豊富ですね。
「なぁおっちゃん。おっちゃんはフランをナンパしに来たのかと思ったけど、違ったんだな」
「……俺はおっちゃんではない。まだ23だ」
馬車の御者席ではマットとレッド・ローズさんが会話をしていますが……ハラハラします。
マットがレッド・ローズさんをおっちゃん呼ばわりするとは。
確かに子供のマットからしたらおっちゃんなのかもしれませんが。
「23ならおっちゃんじゃん。俺なんて13だぜ」
「それはお前がガキなだけだ」
少々眉がヒク付いていますが、何とか平静を保っているようです。
「俺はガキじゃねーよ! おとなだ!」
「ふん。大人はこんな事で取り乱したりしない」
「な!? べ、別に怒ってねーし?」
どうやらレッド・ローズさんの方が上手ですね。
しかしこの2人、良いコンビなのではないでしょうか。
その後は半分ケンカ腰のマットと、冷静を装うレッド・ローズさんとのやり取りが面白く、3人で笑っていました。
意外な副作用がある物ですね。
「話づかれた……」
「うるさい、もうしゃべるな」
そろそろ街の城壁が見えてきました。
あれから盗賊にも魔物にも襲われず、平和に到着できそうです。
確か次の街は鍛冶が盛んな街・ロジー・アーンでしたね。
やはり聖都に近いだけあり、武器や防具が沢山必要なのでしょうか。
門で受付をし、冒険者ギルドに顔を出します……が、ここでも同じ事が起こりました。
「ようこそいらっしゃいました聖女様! ロジー・アーンへよこそ!」
受付嬢のその言葉の後、私達は沢山の人に囲まれてしまいます。
嫌ではありませんが、その、勧誘合戦はやめて欲しいのです。
なので急いでギルドを後にし、宿を決めて街に逃げ込みました。
「うっひゃ~、なんだなんだ? あっちこっち鍛冶屋だらけじゃんか!」
「本当だね。鍛冶の街とは聞いてたけど、ここまで多いんだね」
「トンカチの音がうるさい~」
確かに金属を叩く音が常に鳴り響いています。
しかし街の人達は平気そうな顔なので、これも慣れという物でしょうか。
ですが慣れていない人が約一名、顔色が悪くなっています。
「大丈夫ですかレッド・ローズさん。音がうるさいのなら、宿で待っていても良いのですよ?」
「……違う。ギルドで囲まれた……人が沢山……有象無象に囲まれた……」
どうやら音にではなく、ギルドで囲まれた事が嫌だったようです。
きっと人ごみが苦手な人なのでしょう。
「人が多くても……俺を見ていなければ大丈夫だ。もう少しで……回復する」
ああ、街中は大丈夫なのですか。
中々に厄介な症状をお持ちのようですね。
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