20 / 28
20 カマかけ
しおりを挟む
「これは確認しないといけないわね」
かといって馬鹿正直に聞いても、誰も話してはくれ無いだろう。
なので知ってて当然というフリをして、フィリップ王太子に話を聞きに行こう。
「こんにちはフィリップ王太子。三国同盟は順調そうですね」
廊下で待ち伏せして、偶然出会った感じで声をかけた。
「イングリッドさん。ええ、お陰様で順調です」
「お力になれてよかったです。急がないといけませんからね」
「ええ、時間をかけて手遅れになっては元も子もありません。良い事は直ぐに取り掛かりませんと」
「最低限防衛が間に合うタイミングじゃないとダメですもんね」
「本当にそうです。今なら相互にやり取りをして、防衛は問題ないでしょう」
「良かった。でも攻めるにしては戦力不足でしょうか」
「う~ん、相手が相手ですからね、各国だけでは無理ですし、せめて合同訓練はしないと無理でしょう」
「リシア連邦ですもんね」
「いえ、同盟国も賛同をして……ん? ひょっとしてイングリッドさん、カマを掛けましたか?」
「バレましたか」
「これはしてやられましたが、え? 婚姻話の時にお聞きでは無かったのですか?」
「有無を言わせず送られましたので。それに以前の私は世俗に興味がなく、閉じこもっていましたから」
「そうでしたね。目が覚めてくれたのは嬉しい限りですが、ちなみにどの段階で?」
「気が付いたのは昨晩です。今になって父が、軍備に優れる国に私を嫁がせようとした理由を考えて、あ、と」
「そうでしたか。まぁ今になって隠しても仕方がありません。リシア連邦とシチーナ共和国ですよ。あの国は常に敵を探していますし、強気な姿勢を崩す事もありません」
シチーナ共和国もだったんだ。あの国はなぜか妙に強気に出るわね。
確かに人口は多いし、経済も急発展を遂げている。でもあちこちにちょっかいを出しまくり、どの国とも問題を抱えている。
それがリシア連邦と手を組んで、遂に動き出したのね。
「あの2国が手を組んだのなら、確かに3国同盟はうってつけですね。南下を開始しても、一枚岩となって対応できますから」
「それを知らずに成し遂げてしまうとは、イングリッドさんは恐ろしい人だ」
「それは……単なる偶然ですね」
本当に偶然。
私が嫁がなくても良いように、祖国に武器を輸出できる方法を考えた結果だから。
でもよかった、結果論だけど、国を守る事に繋がったみたい。
「ちなみにイングリッドさん、同盟が増えそうになる場合はどうしますか?」
「そのまま増やして良いと思います。機を見て情報は流すつもりでしたし、あの国ならもう知っててもおかしくありませんし」
「情報が強みの国ですからね」
イースター国とシュタット国の間にある国、きっと向こうからアクションがあると思うから、その時に対応しても大丈夫だと思う。
「あの、詳しい情報を教えて頂く事は……」
「残念ながらできません。自国の能力を全て晒す事になりますから」
「そうですよね、すみません変な事を言って」
「いえ、でも方法はありますよ?」
「それはなんですか!?」
「私と夫婦になれば、国の機密にも触れられます」
「あ~……今は御免なさい」
「それは残念」
ヘンな事を言っちゃった。このままだと藪蛇になりそうだから、ここは退散しよう。
それにしてもイケナイわね、私は自分の意思で相手を選ぶために3国同盟を考えたのに、別の方向に話が進んじゃってる。
悪くは無いけど、戦争になりそうとなると、もっと別の事も考えないといけない。
そう、私は自分のやりたい事をやるの。戦争なんかに妨害されるなんて御免だわ。
戦争回避の方法を考えよう。
それにはまず情報収集だけど、私がこの国に居る限り、大した情報は入ってこないだろう。
ん~、どうにかして私の手足となる人物を見つけないと。
一番いいのは一度国に戻る事だけど、多分戻させてはくれない。
何とかこの国で情報を集める当てを見つけないと。
自分の国だったら情報屋とかが使えるのにな、やっぱり他国は制限が多すぎる。
アレを……やるしかないかしら。
かといって馬鹿正直に聞いても、誰も話してはくれ無いだろう。
なので知ってて当然というフリをして、フィリップ王太子に話を聞きに行こう。
「こんにちはフィリップ王太子。三国同盟は順調そうですね」
廊下で待ち伏せして、偶然出会った感じで声をかけた。
「イングリッドさん。ええ、お陰様で順調です」
「お力になれてよかったです。急がないといけませんからね」
「ええ、時間をかけて手遅れになっては元も子もありません。良い事は直ぐに取り掛かりませんと」
「最低限防衛が間に合うタイミングじゃないとダメですもんね」
「本当にそうです。今なら相互にやり取りをして、防衛は問題ないでしょう」
「良かった。でも攻めるにしては戦力不足でしょうか」
「う~ん、相手が相手ですからね、各国だけでは無理ですし、せめて合同訓練はしないと無理でしょう」
「リシア連邦ですもんね」
「いえ、同盟国も賛同をして……ん? ひょっとしてイングリッドさん、カマを掛けましたか?」
「バレましたか」
「これはしてやられましたが、え? 婚姻話の時にお聞きでは無かったのですか?」
「有無を言わせず送られましたので。それに以前の私は世俗に興味がなく、閉じこもっていましたから」
「そうでしたね。目が覚めてくれたのは嬉しい限りですが、ちなみにどの段階で?」
「気が付いたのは昨晩です。今になって父が、軍備に優れる国に私を嫁がせようとした理由を考えて、あ、と」
「そうでしたか。まぁ今になって隠しても仕方がありません。リシア連邦とシチーナ共和国ですよ。あの国は常に敵を探していますし、強気な姿勢を崩す事もありません」
シチーナ共和国もだったんだ。あの国はなぜか妙に強気に出るわね。
確かに人口は多いし、経済も急発展を遂げている。でもあちこちにちょっかいを出しまくり、どの国とも問題を抱えている。
それがリシア連邦と手を組んで、遂に動き出したのね。
「あの2国が手を組んだのなら、確かに3国同盟はうってつけですね。南下を開始しても、一枚岩となって対応できますから」
「それを知らずに成し遂げてしまうとは、イングリッドさんは恐ろしい人だ」
「それは……単なる偶然ですね」
本当に偶然。
私が嫁がなくても良いように、祖国に武器を輸出できる方法を考えた結果だから。
でもよかった、結果論だけど、国を守る事に繋がったみたい。
「ちなみにイングリッドさん、同盟が増えそうになる場合はどうしますか?」
「そのまま増やして良いと思います。機を見て情報は流すつもりでしたし、あの国ならもう知っててもおかしくありませんし」
「情報が強みの国ですからね」
イースター国とシュタット国の間にある国、きっと向こうからアクションがあると思うから、その時に対応しても大丈夫だと思う。
「あの、詳しい情報を教えて頂く事は……」
「残念ながらできません。自国の能力を全て晒す事になりますから」
「そうですよね、すみません変な事を言って」
「いえ、でも方法はありますよ?」
「それはなんですか!?」
「私と夫婦になれば、国の機密にも触れられます」
「あ~……今は御免なさい」
「それは残念」
ヘンな事を言っちゃった。このままだと藪蛇になりそうだから、ここは退散しよう。
それにしてもイケナイわね、私は自分の意思で相手を選ぶために3国同盟を考えたのに、別の方向に話が進んじゃってる。
悪くは無いけど、戦争になりそうとなると、もっと別の事も考えないといけない。
そう、私は自分のやりたい事をやるの。戦争なんかに妨害されるなんて御免だわ。
戦争回避の方法を考えよう。
それにはまず情報収集だけど、私がこの国に居る限り、大した情報は入ってこないだろう。
ん~、どうにかして私の手足となる人物を見つけないと。
一番いいのは一度国に戻る事だけど、多分戻させてはくれない。
何とかこの国で情報を集める当てを見つけないと。
自分の国だったら情報屋とかが使えるのにな、やっぱり他国は制限が多すぎる。
アレを……やるしかないかしら。
15
お気に入りに追加
1,689
あなたにおすすめの小説
お父様お母様、お久しぶりです。あの時わたしを捨ててくださりありがとうございます
柚木ゆず
恋愛
ヤニックお父様、ジネットお母様。お久しぶりです。
わたしはアヴァザール伯爵家の長女エマとして生まれ、6歳のころ貴方がたによって隣国に捨てられてしまいましたよね?
当時のわたしにとってお二人は大事な家族で、だからとても辛かった。寂しくて悲しくて、捨てられたわたしは絶望のどん底に落ちていました。
でも。
今は、捨てられてよかったと思っています。
だって、その出来事によってわたしは――。大切な人達と出会い、大好きな人と出逢うことができたのですから。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
子供の言い分 大人の領分
ひおむし
恋愛
第二王子は、苛立っていた。身分を超えて絆を結んだ、元平民の子爵令嬢を苛む悪辣な婚約者に。気持ちを同じくする宰相子息、騎士団長子息は、ともに正義の鉄槌をくださんと立ち上がろうーーーとしたら、何故か即効で生徒指導室に放り込まれた。
「はーい、全員揃ってるかなー」
王道婚約破棄VSダウナー系教師。
いつも学園モノの婚約破棄見るたびに『いや教師何やってんの、学校なのに』と思っていた作者の鬱憤をつめた作品です。
(完)大好きなお姉様、なぜ?ー夫も子供も奪われた私
青空一夏
恋愛
妹が大嫌いな姉が仕組んだ身勝手な計画にまんまと引っかかった妹の不幸な結婚生活からの恋物語。ハッピーエンド保証。
中世ヨーロッパ風異世界。ゆるふわ設定ご都合主義。魔法のある世界。
自己評価底辺令嬢は侯爵に愛されている
桜月雪兎
恋愛
シンシア・グリファスに急な婚約話が持ち上がった。
それは四大侯爵家の一つであるギルディール家の現当主であるアルフォンスだ。
実兄のエドワルド以外と折り合いが悪く、自己評価底辺のシンシアには驚きしかないこの縁談。
どうなるのやら。
悪妃の愛娘
りーさん
恋愛
私の名前はリリー。五歳のかわいい盛りの王女である。私は、前世の記憶を持っていて、父子家庭で育ったからか、母親には特別な思いがあった。
その心残りからか、転生を果たした私は、母親の王妃にそれはもう可愛がられている。
そんなある日、そんな母が父である国王に怒鳴られていて、泣いているのを見たときに、私は誓った。私がお母さまを幸せにして見せると!
いろいろ調べてみると、母親が悪妃と呼ばれていたり、腹違いの弟妹がひどい扱いを受けていたりと、お城は問題だらけ!
こうなったら、私が全部解決してみせるといろいろやっていたら、なんでか父親に構われだした。
あんたなんてどうでもいいからほっといてくれ!
妻が通う邸の中に
月山 歩
恋愛
最近妻の様子がおかしい。昼間一人で出掛けているようだ。二人に子供はできなかったけれども、妻と愛し合っていると思っている。僕は妻を誰にも奪われたくない。だから僕は、妻の向かう先を調べることににした。
一体だれが悪いのか?それはわたしと言いました
LIN
恋愛
ある日、国民を苦しめて来たという悪女が処刑された。身分を笠に着て、好き勝手にしてきた第一王子の婚約者だった。理不尽に虐げられることもなくなり、ようやく平和が戻ったのだと、人々は喜んだ。
その後、第一王子は自分を支えてくれる優しい聖女と呼ばれる女性と結ばれ、国王になった。二人の優秀な側近に支えられて、三人の子供達にも恵まれ、幸せしか無いはずだった。
しかし、息子である第一王子が嘗ての悪女のように不正に金を使って豪遊していると報告を受けた国王は、王族からの追放を決めた。命を取らない事が温情だった。
追放されて何もかもを失った元第一王子は、王都から離れた。そして、その時の出会いが、彼の人生を大きく変えていくことになる…
※いきなり処刑から始まりますのでご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる