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14 5本勝負
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「それでは私が審判を務めさせていただきます。よろしいですかな? お二人とも」
「よかろう!」
「異存はない」
なぜかシュタット国の執事さんが審判を務め、フィリップ王太子とリチャードの5本勝負が始まった。
あれ? まさかこれに勝った方が私と結婚するって流れになってる?
しかも手際よく森まで案内されて、馬も犬も用意されてるし、観客まで居る。
「それでは1本目は『キツネ狩り』です!」
キツネ狩り、元々はキツネを矢で射抜いていたけど、最近はスポーツとしての色が濃くなり、馬に乗ってキツネを追いかけ回し、特定の場所に追い込む時間を競う競技となっている。
犬を10匹使えるけど、リチャードはキツネ狩り用の犬を持ってきてないだろうから、犬との連携が取れなくて不利になるんじゃないかしら。
「それでは最初はフィリップ王太子からお願いします!」
「よし、では私の腕前を披露しよう。イングリッド王女、よく見ていてくれ!」
「え? あ、はい」
フィリップ王太子は見た目は運動が得意そうじゃないけど、キツネ狩りが得意なのかしら。
すごく自信がありそうだけど。
キツネが檻から放たれると、フィリップ王太子は颯爽と馬にまたがり、10匹の犬を操る。
お、おお~、なんだかさまになってるわね。
これは得意なのかもしれないわ。
結果、リチャードの圧勝だった。
フィリップ王太子はやっぱり見た目通り、運動は得意ではなさそうね。
「く……こんなはずでは……」
「はっはっは、俺はキツネ狩りが得意だからな。負けるはずがないと思っていた」
両手を地面について悔しがるフィリップ王太子と、両手を腰に当てて笑っているリチャード。
女性に対しては苦手意識があるリチャードだけど、男性相手なら容赦がないみたい。
「それでは2本目の試合を発表します。2本目の試合は……『チェス』です!
次はチェス? 私はチェスをやった事無いけど、男の人ってチェス好きよね。
なんだかルールが難しくて覚えられないし。
そして城の中に移動して、案内された場所には……すでにチェスの用意がされていた。
え~っと? なんだか手際が良すぎないかしら???
2人が向かい合ってイスに座り、白い駒のフィリップ王太子から駒を進める。
「ふっふっふ、私はチェスは得意なんだ。キツネ狩りは負けたが、今度は勝たせてもらおう!」
「奇遇だな、私もチェスは得意だ。引き分けなどと言う甘い結果は無いと思うがいい」
お、おお~2人ともスゴイ自信だ! これは接戦になりそうね!
結果、フィリップ王太子の圧勝だった。
「ク……こんなはずでは……」
「はっはっは、私はチェスは得意だからな。必ず勝てると思っていた」
何故かしら、とてもデジャビュを感じるわ。
それにしてもあっさり勝負がついたわね。
その後、3本目のテニスはリチャードが勝ち、4本目のオセロはフィリップ王太子が勝った。
2対2の引き分けで迎えた5本目。
「さあこれが最後の勝負になります! 5本目の勝負は……『イングリッド様褒めちぎり』です!」
……へ? 何よその勝負は。
一体それのどこが勝負になるのか理解できないけど、何故か2人はとてもやる気を出している。
「ふはっはっは! これは負ける気がしないな! だてにほぼ毎日会っていたわけではないぞ!」
「ふん。毎日会っていては当たり前になり過ぎて、良い所が分からなくなるのではないか?」
「まずはフィリップ様からどうぞ!」
「ああイングリッド王女よ! あなたは聡明で心優しく、まるで女神さまの様な人だ」
「次はリチャード様!」
「イングリッドよ! 君は努力を怠らず常に前進し、さらに美しい!」
い、い、い、いや~~~~~!!! なにコレなにコレ! ちょ、ちょっとやめて!
これはどんなプレイ!?
「王女はスタイルも良く化粧も上手い、サラサラの髪は一日中でも撫でていたいくらいだ!」
「イングリッドの細い腕から作られる料理は絶品だ! 毎日食べても飽きがこない!」
「ちょ、まって、まってぇ~~」
「イングリッド王女の声はまるで妖精の様に耳に優しく、心癒される」
「イングリッドの瞳は太陽よりも光り輝いている。その瞳でずっと照らされていたい」
「王女の顔は……」
「イングリッドの……」
それから私はひたすら褒められ続けた。
もう、もう! なによこれぇ! 恥ずかしい! けど嬉しい……両手で顔を覆ってるけど、顔が真っ赤になってるのが自分でもわかる。
「ば、ばかぁー!」
私はその場から逃げ出した。
「ああイングリッド王女様!? これは致し方ありませんな。勝負は引き分けとします!」
部屋から逃げ出して、廊下で壁に向かってしゃがみ込んでいる。
はぁ~、はぁ~、もうぉ~、なによアレ~。
恥ずかしさ40% 嬉しさ60%。
でも顔がニヤけてる。嬉しいけど……イケメン2人に褒められて嬉しいけど!
恥ずかしい!
「よかろう!」
「異存はない」
なぜかシュタット国の執事さんが審判を務め、フィリップ王太子とリチャードの5本勝負が始まった。
あれ? まさかこれに勝った方が私と結婚するって流れになってる?
しかも手際よく森まで案内されて、馬も犬も用意されてるし、観客まで居る。
「それでは1本目は『キツネ狩り』です!」
キツネ狩り、元々はキツネを矢で射抜いていたけど、最近はスポーツとしての色が濃くなり、馬に乗ってキツネを追いかけ回し、特定の場所に追い込む時間を競う競技となっている。
犬を10匹使えるけど、リチャードはキツネ狩り用の犬を持ってきてないだろうから、犬との連携が取れなくて不利になるんじゃないかしら。
「それでは最初はフィリップ王太子からお願いします!」
「よし、では私の腕前を披露しよう。イングリッド王女、よく見ていてくれ!」
「え? あ、はい」
フィリップ王太子は見た目は運動が得意そうじゃないけど、キツネ狩りが得意なのかしら。
すごく自信がありそうだけど。
キツネが檻から放たれると、フィリップ王太子は颯爽と馬にまたがり、10匹の犬を操る。
お、おお~、なんだかさまになってるわね。
これは得意なのかもしれないわ。
結果、リチャードの圧勝だった。
フィリップ王太子はやっぱり見た目通り、運動は得意ではなさそうね。
「く……こんなはずでは……」
「はっはっは、俺はキツネ狩りが得意だからな。負けるはずがないと思っていた」
両手を地面について悔しがるフィリップ王太子と、両手を腰に当てて笑っているリチャード。
女性に対しては苦手意識があるリチャードだけど、男性相手なら容赦がないみたい。
「それでは2本目の試合を発表します。2本目の試合は……『チェス』です!
次はチェス? 私はチェスをやった事無いけど、男の人ってチェス好きよね。
なんだかルールが難しくて覚えられないし。
そして城の中に移動して、案内された場所には……すでにチェスの用意がされていた。
え~っと? なんだか手際が良すぎないかしら???
2人が向かい合ってイスに座り、白い駒のフィリップ王太子から駒を進める。
「ふっふっふ、私はチェスは得意なんだ。キツネ狩りは負けたが、今度は勝たせてもらおう!」
「奇遇だな、私もチェスは得意だ。引き分けなどと言う甘い結果は無いと思うがいい」
お、おお~2人ともスゴイ自信だ! これは接戦になりそうね!
結果、フィリップ王太子の圧勝だった。
「ク……こんなはずでは……」
「はっはっは、私はチェスは得意だからな。必ず勝てると思っていた」
何故かしら、とてもデジャビュを感じるわ。
それにしてもあっさり勝負がついたわね。
その後、3本目のテニスはリチャードが勝ち、4本目のオセロはフィリップ王太子が勝った。
2対2の引き分けで迎えた5本目。
「さあこれが最後の勝負になります! 5本目の勝負は……『イングリッド様褒めちぎり』です!」
……へ? 何よその勝負は。
一体それのどこが勝負になるのか理解できないけど、何故か2人はとてもやる気を出している。
「ふはっはっは! これは負ける気がしないな! だてにほぼ毎日会っていたわけではないぞ!」
「ふん。毎日会っていては当たり前になり過ぎて、良い所が分からなくなるのではないか?」
「まずはフィリップ様からどうぞ!」
「ああイングリッド王女よ! あなたは聡明で心優しく、まるで女神さまの様な人だ」
「次はリチャード様!」
「イングリッドよ! 君は努力を怠らず常に前進し、さらに美しい!」
い、い、い、いや~~~~~!!! なにコレなにコレ! ちょ、ちょっとやめて!
これはどんなプレイ!?
「王女はスタイルも良く化粧も上手い、サラサラの髪は一日中でも撫でていたいくらいだ!」
「イングリッドの細い腕から作られる料理は絶品だ! 毎日食べても飽きがこない!」
「ちょ、まって、まってぇ~~」
「イングリッド王女の声はまるで妖精の様に耳に優しく、心癒される」
「イングリッドの瞳は太陽よりも光り輝いている。その瞳でずっと照らされていたい」
「王女の顔は……」
「イングリッドの……」
それから私はひたすら褒められ続けた。
もう、もう! なによこれぇ! 恥ずかしい! けど嬉しい……両手で顔を覆ってるけど、顔が真っ赤になってるのが自分でもわかる。
「ば、ばかぁー!」
私はその場から逃げ出した。
「ああイングリッド王女様!? これは致し方ありませんな。勝負は引き分けとします!」
部屋から逃げ出して、廊下で壁に向かってしゃがみ込んでいる。
はぁ~、はぁ~、もうぉ~、なによアレ~。
恥ずかしさ40% 嬉しさ60%。
でも顔がニヤけてる。嬉しいけど……イケメン2人に褒められて嬉しいけど!
恥ずかしい!
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