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九章 ハロウィンはドキドキがいっぱいで

74話

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「そ、そうですね。会長さんは元気にしてましたか」

「どうやら嫌味ではなく、本当に心配しているようですね。体調はいつも通りとだけお伝えしておきます。貴方は告白が成功したみたいですね」

「な、な……なんでわかるんですか!?」

良かった。前みたいに会長さんとお話出来てる……と安堵の声を漏らそうと思った矢先、いきなりそんなことを言われた。

「その高級ドレスに髪型、靴まで……人柄を知るには足元から見ると良いとされています。今の貴方を見て、誰も貴方が一般家庭とは思いませんよ。それはおそらく彼のお陰だと自分は推測します。そこまでのことをするということは交際しているんでしょう」

相変わらず会長さんの言葉は堅苦しい。けど、私のセンスではないことは確かだ。ここまでしっかりとしたコーディネートは不可能に近い。でも、今の私は会長さんの言う通り、お金持ちのお嬢様に見えてたりするのかな?

「ただし、さきほどの食べ方を見る限りボロは出ているみたいですが」

「うっ」

「でも、貴方らしくて安心しました。それと良かったですね……ただ気をつけてくださいね」

「ありがとうございます。それ、どういう意味ですか?」 

怪我をしないように、黒炎くんと仲良くしろという意味のわりになんだか会長さんの今の言葉はズシリと重い。なんだろう、そんな単純なことを心配してるんじゃない。

「良かったら自分ともダンスを……と、思いましたがそれは貴方の恋人が怒りそうなのでやめておきます」

「え、それって」

後ろを向くと、黒炎くんがいた。なんだか、すごく疲れてる気がする。

「会長。俺の大切な人に変なことしませんでしたか」

「してませんよ。心からの祝福をしていただけです。それでは自分はこれで失礼します」

会長さんはそういうと軽くお辞儀をして、どこかに行ってしまった。

「また遅くなって悪い」

「大丈夫だけど……なにかあったの?」

「あー……いろんな人につかまっててな。挨拶とかしてたら来るのが遅くなった」
 
挨拶……? 女の子に声でもかけられたのかな。それとも奥様方とか。
 
「やっぱり、そのドレスにして正解だったな。先週も見たけど改めて見るとやっぱり綺麗だ。今日は以前とは違って軽くメイクもしてもらったんだな」

「ありがとう」

メイクのこと気付いてくれた! ナチュラルメイクなのにそこに気付ける黒炎くんは私のことをよく見てるんだな。
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