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七章 戸惑いと本気の恋

53話

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「アールグレイと洋菓子を用意しました。貴方の口に合えば幸いです」

コトっとテーブルに置く会長。ティーカップも高級そうで、アフタヌーンティースタンドにマドレーヌやマカロンなどの洋菓子が綺麗に並べられていた。

「美味しそう! いただきます」

さすがにこんな可愛くて美味しそうなものを置かれると、つい味が気になってしまう。

「ん~、美味しい!」

私はマカロンを口に頬張る。文句なしにめちゃくちゃ美味しい。会長さんって普段からこんな美味しいものを口にしてたりするのかな。なんてことを頭の隅で考えながらも色んな洋菓子を食べる私。

「会長さん、どれもすっごく美味しいです」

「それは良かったです。女性を招待するのは初めてなので迷いましたが貴方が気に入ってくれたようで安心しました」

「あの、それって私のために用意してくれたってことですか」

「はい。本当は手作りしたものを出したかったのですが自分は残念ながら料理があまり得意なほうではないので」

そこまで私のことを想ってくれてるんだ。その気遣いも気持ちも凄く嬉しいんだけど……なんだかそれと同時に申し訳ない気持ちになってしまった。

(これが、ただの先輩と後輩なら良かったのにな)

と考えたりもしたけど、そんなことを思うと私を好きになってくれた会長さんの気持ちを踏みにじるようで。でも、好きな人のためにここまでする会長さんなら私以外でも……。

「食べながらでいいので聞いてください。自分のことを話すと言ったので……とりあえずコレを見ていただければわかると思います」

そういって差し出されたのは複数の漫画本で、中にはライトノベルなどもあった。 そこには著者『神崎紅』と書かれていた。

あれ、神崎紅ってどこかで聞いたことがある。
あぁ、そうだ。前に黒炎くんの家に泊まりに行った時に見たんだ。中高生に人気の少女漫画。でも、こんなものをなんで私に?

「この本は全て自分が書いたものです。幸い、この家は二人で住んでも余裕があります。高校卒業をしたらここに住みませんか。……僕は貴方を養える自信があります」

「え……って、えぇぇ!?」

ヤバい、いろんなことをいきなり言われすぎて頭がパンクしそう。つまり神崎紅先生の正体は会長さんで、私が高校を卒業したら会長さんの家に住まないか、と。これって、もしかしてプロポーズ? 本気で口説かれてるんだよね、私。

「会長さん、養うとか養われるとか私には先のことすぎて……! まだ高校に入学して半年しか経ってないわけで、そのいろいろ心の準備っていうか」

アワアワと動揺を隠せない私に会長さんはさらに言葉を続ける。
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