53 / 115
七章 戸惑いと本気の恋
53話
しおりを挟む
「アールグレイと洋菓子を用意しました。貴方の口に合えば幸いです」
コトっとテーブルに置く会長。ティーカップも高級そうで、アフタヌーンティースタンドにマドレーヌやマカロンなどの洋菓子が綺麗に並べられていた。
「美味しそう! いただきます」
さすがにこんな可愛くて美味しそうなものを置かれると、つい味が気になってしまう。
「ん~、美味しい!」
私はマカロンを口に頬張る。文句なしにめちゃくちゃ美味しい。会長さんって普段からこんな美味しいものを口にしてたりするのかな。なんてことを頭の隅で考えながらも色んな洋菓子を食べる私。
「会長さん、どれもすっごく美味しいです」
「それは良かったです。女性を招待するのは初めてなので迷いましたが貴方が気に入ってくれたようで安心しました」
「あの、それって私のために用意してくれたってことですか」
「はい。本当は手作りしたものを出したかったのですが自分は残念ながら料理があまり得意なほうではないので」
そこまで私のことを想ってくれてるんだ。その気遣いも気持ちも凄く嬉しいんだけど……なんだかそれと同時に申し訳ない気持ちになってしまった。
(これが、ただの先輩と後輩なら良かったのにな)
と考えたりもしたけど、そんなことを思うと私を好きになってくれた会長さんの気持ちを踏みにじるようで。でも、好きな人のためにここまでする会長さんなら私以外でも……。
「食べながらでいいので聞いてください。自分のことを話すと言ったので……とりあえずコレを見ていただければわかると思います」
そういって差し出されたのは複数の漫画本で、中にはライトノベルなどもあった。 そこには著者『神崎紅』と書かれていた。
あれ、神崎紅ってどこかで聞いたことがある。
あぁ、そうだ。前に黒炎くんの家に泊まりに行った時に見たんだ。中高生に人気の少女漫画。でも、こんなものをなんで私に?
「この本は全て自分が書いたものです。幸い、この家は二人で住んでも余裕があります。高校卒業をしたらここに住みませんか。……僕は貴方を養える自信があります」
「え……って、えぇぇ!?」
ヤバい、いろんなことをいきなり言われすぎて頭がパンクしそう。つまり神崎紅先生の正体は会長さんで、私が高校を卒業したら会長さんの家に住まないか、と。これって、もしかしてプロポーズ? 本気で口説かれてるんだよね、私。
「会長さん、養うとか養われるとか私には先のことすぎて……! まだ高校に入学して半年しか経ってないわけで、そのいろいろ心の準備っていうか」
アワアワと動揺を隠せない私に会長さんはさらに言葉を続ける。
コトっとテーブルに置く会長。ティーカップも高級そうで、アフタヌーンティースタンドにマドレーヌやマカロンなどの洋菓子が綺麗に並べられていた。
「美味しそう! いただきます」
さすがにこんな可愛くて美味しそうなものを置かれると、つい味が気になってしまう。
「ん~、美味しい!」
私はマカロンを口に頬張る。文句なしにめちゃくちゃ美味しい。会長さんって普段からこんな美味しいものを口にしてたりするのかな。なんてことを頭の隅で考えながらも色んな洋菓子を食べる私。
「会長さん、どれもすっごく美味しいです」
「それは良かったです。女性を招待するのは初めてなので迷いましたが貴方が気に入ってくれたようで安心しました」
「あの、それって私のために用意してくれたってことですか」
「はい。本当は手作りしたものを出したかったのですが自分は残念ながら料理があまり得意なほうではないので」
そこまで私のことを想ってくれてるんだ。その気遣いも気持ちも凄く嬉しいんだけど……なんだかそれと同時に申し訳ない気持ちになってしまった。
(これが、ただの先輩と後輩なら良かったのにな)
と考えたりもしたけど、そんなことを思うと私を好きになってくれた会長さんの気持ちを踏みにじるようで。でも、好きな人のためにここまでする会長さんなら私以外でも……。
「食べながらでいいので聞いてください。自分のことを話すと言ったので……とりあえずコレを見ていただければわかると思います」
そういって差し出されたのは複数の漫画本で、中にはライトノベルなどもあった。 そこには著者『神崎紅』と書かれていた。
あれ、神崎紅ってどこかで聞いたことがある。
あぁ、そうだ。前に黒炎くんの家に泊まりに行った時に見たんだ。中高生に人気の少女漫画。でも、こんなものをなんで私に?
「この本は全て自分が書いたものです。幸い、この家は二人で住んでも余裕があります。高校卒業をしたらここに住みませんか。……僕は貴方を養える自信があります」
「え……って、えぇぇ!?」
ヤバい、いろんなことをいきなり言われすぎて頭がパンクしそう。つまり神崎紅先生の正体は会長さんで、私が高校を卒業したら会長さんの家に住まないか、と。これって、もしかしてプロポーズ? 本気で口説かれてるんだよね、私。
「会長さん、養うとか養われるとか私には先のことすぎて……! まだ高校に入学して半年しか経ってないわけで、そのいろいろ心の準備っていうか」
アワアワと動揺を隠せない私に会長さんはさらに言葉を続ける。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
えっと、幼馴染が私の婚約者と朝チュンしました。ドン引きなんですけど……
百谷シカ
恋愛
カメロン侯爵家で開かれた舞踏会。
楽しい夜が明けて、うららかな朝、幼馴染モイラの部屋を訪ねたら……
「えっ!?」
「え?」
「あ」
モイラのベッドに、私の婚約者レニー・ストックウィンが寝ていた。
ふたりとも裸で、衣服が散乱している酷い状態。
「どういう事なの!?」
楽しかった舞踏会も台無し。
しかも、モイラの部屋で泣き喚く私を、モイラとレニーが宥める始末。
「触らないで! 気持ち悪い!!」
その瞬間、私は幼馴染と婚約者を失ったのだと気づいた。
愛していたはずのふたりは、裏切り者だ。
私は部屋を飛び出した。
そして、少し頭を冷やそうと散歩に出て、美しい橋でたそがれていた時。
「待て待て待てぇッ!!」
人生を悲観し絶望のあまり人生の幕を引こうとしている……と勘違いされたらしい。
髪を振り乱し突進してくるのは、恋多き貴公子と噂の麗しいアスター伯爵だった。
「早まるな! オリヴィア・レンフィールド!!」
「!?」
私は、とりあえず猛ダッシュで逃げた。
だって、失恋したばかりの私には、刺激が強すぎる人だったから……
♡内気な傷心令嬢とフェロモン伯爵の優しいラブストーリー♡
【R18】悪役令嬢を犯して罪を償わせ性奴隷にしたが、それは冤罪でヒロインが黒幕なので犯して改心させることにした。
白濁壺
恋愛
悪役令嬢であるベラロルカの数々の悪行の罪を償わせようとロミリオは単身公爵家にむかう。警備の目を潜り抜け、寝室に入ったロミリオはベラロルカを犯すが……。
20年かけた恋が実ったって言うけど結局は略奪でしょ?
ヘロディア
恋愛
偶然にも夫が、知らない女性に告白されるのを目撃してしまった主人公。
彼女はショックを受けたが、更に夫がその女性を抱きしめ、その関係性を理解してしまう。
その女性は、20年かけた恋が実った、とまるで物語のヒロインのように言い、訳がわからなくなる主人公。
数日が経ち、夫から今夜は帰れないから先に寝て、とメールが届いて、主人公の不安は確信に変わる。夫を追った先でみたものとは…
恋より友情!〜婚約者に話しかけるなと言われました〜
k
恋愛
「学園内では、俺に話しかけないで欲しい」
そう婚約者のグレイに言われたエミリア。
はじめは怒り悲しむが、だんだんどうでもよくなってしまったエミリア。
「恋より友情よね!」
そうエミリアが前を向き歩き出した頃、グレイは………。
本編完結です!その後のふたりの話を番外編として書き直してますのでしばらくお待ちください。
【完結】今夜さよならをします
たろ
恋愛
愛していた。でも愛されることはなかった。
あなたが好きなのは、守るのはリーリエ様。
だったら婚約解消いたしましょう。
シエルに頬を叩かれた時、わたしの恋心は消えた。
よくある婚約解消の話です。
そして新しい恋を見つける話。
なんだけど……あなたには最後しっかりとざまあくらわせてやります!!
★すみません。
長編へと変更させていただきます。
書いているとつい面白くて……長くなってしまいました。
いつも読んでいただきありがとうございます!
浮気夫に平手打ち
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。聖騎士エイデンが邪竜を斃して伯爵に叙爵されて一年、妻であるカチュアはエイデンの浪費と浮気に苦しめられていた。邪竜を斃すまでの激しい戦いを婚約者として支えてきた。だけど、臨月の身でエイデンの世話をしようと実家から家に戻ったカチュアが目にしたのは、伯爵夫人を浮気する夫の姿だった。
【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います
菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。
その隣には見知らぬ女性が立っていた。
二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。
両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。
メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。
数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。
彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。
※ハッピーエンド&純愛
他サイトでも掲載しております。
【完結】貴方の望み通りに・・・
kana
恋愛
どんなに貴方を望んでも
どんなに貴方を見つめても
どんなに貴方を思っても
だから、
もう貴方を望まない
もう貴方を見つめない
もう貴方のことは忘れる
さようなら
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる