57 / 86
子育て編
episode10
しおりを挟む
あのあと俺達は病院に行ってお互い検査をしたがどちらとも体に目立った異常は見られず抑制剤を服用し様子を見るしかないと言う結果になった。
「じゃあ仕事に行ってくるから何かあったら電話しろよ」
「うん、行ってらっしゃい」
仕事に出掛けてしまう直樹の背中はいつも以上に心細く、その背中に飛び付き「行かないで」そう叫びたい衝動をぐっと堪えた。
「おかしゃん、あしょぼう」
「待っててお皿洗いしてからね」
「あーい!」
旭飛の太陽のような笑顔に励まされ、俺は発情期に負けるもんか、そう強く決心した。
皿洗いや部屋の掃除を終えると、旭飛の遊びに付きっきりだった。
「おかしゃん、早く」
「分かったから」
俺は小さなソフトボールを投げると、旭飛はニコニコしながらそれを拾い力一杯投げた。
「上手だね、旭飛」
「うん!もっとあしょぶ」
俺はもう一度ボールを投げようとした瞬間
体が一気に熱くなり、呼吸は荒れ、ボールを落とした。
「はあっ・・・・・はあっ」
「おかしゃん?」
俺は丸くなるようにうずくまると、泣きそうな顔をした旭飛が、寄ってきた。
「おかしゃん?」
「はあっ・・・・・・・苦しい」
「???」
旭飛が、俺にいきなりバグをすると鼻をクンクンさせた。
「おかしゃん甘い・・・いい匂い」
「近寄るな!」
その瞬間俺は誰かに操られているかのように旭飛の顔に平手打ちをした。その衝撃で旭飛は転び床に頭を打ち付けた。
「いたいよ、あたまヒリヒリしゅる」
旭飛の泣き叫ぶ声に我を戻すと、ぎゅっと抱き締めた。
「ごめんね、ごめんね、痛かったよねお母さん酷いことしてごめん」
「おかしゃんなんて、キライあっちいって!」
手足をバタつかせ、晴の手の中からスルッと抜ける寝室にこもってしまった。
「ただいま」
俺が家の扉を開けると下駄箱に身を寄せうつむいた晴がいた。
「晴どうした?こんなところにいると風邪引くぞ」
俺はうつむく晴の顔をあげると何度も涙を流していた。
「直樹どうしょう、薬効かないよ」
「じゃあ仕事に行ってくるから何かあったら電話しろよ」
「うん、行ってらっしゃい」
仕事に出掛けてしまう直樹の背中はいつも以上に心細く、その背中に飛び付き「行かないで」そう叫びたい衝動をぐっと堪えた。
「おかしゃん、あしょぼう」
「待っててお皿洗いしてからね」
「あーい!」
旭飛の太陽のような笑顔に励まされ、俺は発情期に負けるもんか、そう強く決心した。
皿洗いや部屋の掃除を終えると、旭飛の遊びに付きっきりだった。
「おかしゃん、早く」
「分かったから」
俺は小さなソフトボールを投げると、旭飛はニコニコしながらそれを拾い力一杯投げた。
「上手だね、旭飛」
「うん!もっとあしょぶ」
俺はもう一度ボールを投げようとした瞬間
体が一気に熱くなり、呼吸は荒れ、ボールを落とした。
「はあっ・・・・・はあっ」
「おかしゃん?」
俺は丸くなるようにうずくまると、泣きそうな顔をした旭飛が、寄ってきた。
「おかしゃん?」
「はあっ・・・・・・・苦しい」
「???」
旭飛が、俺にいきなりバグをすると鼻をクンクンさせた。
「おかしゃん甘い・・・いい匂い」
「近寄るな!」
その瞬間俺は誰かに操られているかのように旭飛の顔に平手打ちをした。その衝撃で旭飛は転び床に頭を打ち付けた。
「いたいよ、あたまヒリヒリしゅる」
旭飛の泣き叫ぶ声に我を戻すと、ぎゅっと抱き締めた。
「ごめんね、ごめんね、痛かったよねお母さん酷いことしてごめん」
「おかしゃんなんて、キライあっちいって!」
手足をバタつかせ、晴の手の中からスルッと抜ける寝室にこもってしまった。
「ただいま」
俺が家の扉を開けると下駄箱に身を寄せうつむいた晴がいた。
「晴どうした?こんなところにいると風邪引くぞ」
俺はうつむく晴の顔をあげると何度も涙を流していた。
「直樹どうしょう、薬効かないよ」
0
お気に入りに追加
227
あなたにおすすめの小説
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
夢見がちオメガ姫の理想のアルファ王子
葉薊【ハアザミ】
BL
四方木 聖(よもぎ ひじり)はちょっぴり夢見がちな乙女男子。
幼少の頃は父母のような理想の家庭を築くのが夢だったが、自分が理想のオメガから程遠いと知って断念する。
一方で、かつてはオメガだと信じて疑わなかった幼馴染の嘉瀬 冬治(かせ とうじ)は聖理想のアルファへと成長を遂げていた。
やがて冬治への恋心を自覚する聖だが、理想のオメガからは程遠い自分ではふさわしくないという思い込みに苛まれる。
※ちょっぴりサブカプあり。全てアルファ×オメガです。
完結・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王に味見されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる