お前と番になってたまるか!

yufa

文字の大きさ
上 下
35 / 86

35

しおりを挟む
「もしもし、こんな時間からなんだよ」

俺は晴と抱き締めあって体の温もりを分かち合って寝ていたところスマホから着信音が流れ晴を起こさないように裸のままリビングを出て、画面を見直すと相手はタッキーだった。

「なんだよタッキーこんな時間に」

「こんな時間って!もう夜の八時だよ」

「えっ?」


そう言われ不意に時計を見ると八時の針を刺していた。


「今まで何やってたの?ずっと電話繋がらないし」


「悪かったって、色々あってさあ」


俺は、そのまま椅子に座ると鼓膜が震えるくらいのタッキーに怒鳴られていた。


「ちゃんと説明してよ!晴ちゃんはどうなったの?友達なんだから凄く心配なんだよ」


「命には別状は無いし、もう退院もしてる」

「じゃあ何で連絡してなかったの?俺だって晴ちゃんに会いたいよ」


「今は、会わせられない」


「どうして?」


一瞬その言葉の答えに戸惑った、そのまま理由を言うか、嘘を告げるか
迷いながらも弱々しい声で電話に話しかけた


「晴は記憶喪失なんだ」

「嘘でしょ」


電話からも分かるくらいにタッキーの声は震えるくらい動揺していた。



「何か方法は無いの?」

「色々やってるよ、思い出の場所に行ったり、セックスだってしたけどあいつの記憶はまだ治らないんだ」

「晴ちゃんはもう戻らないの?治る方法はないの?」


その言葉に俺の何かが切れた


「そんなの俺が知りたいくらいだよ!」

俺は、電話を通してタッキーを怒鳴り付けたが口は止まることなくタッキーを攻め続けた


「俺だって頑張ってるつもりだ、それでも晴の記憶は戻らない、これ以上俺にどうしろって言うんだよ!」


俺のストレスは爆発しタッキーに当たり続けた。


「頼むから、教えてくれよ、晴の記憶はどうすれば戻るんだ?もう一度見たいんだ晴の笑顔を」


俺の怒りはピークを達し、ブチギレるどころかあまりの辛さに涙が何度も溢れ落ちてしまう。


ガタンッ


「何?今の音?」


電話越しからも聞こえた玄関から聞こえる物音にタッキーは驚いていた。


「分からない」

俺は、恐る恐る玄関に向かうと別にこれと言った物が落ちてる訳ではなかった


「何か落ちたの?」

「いや、特には」


俺が周りを見回すと玄関の鍵が解錠されていた、それが意味することを直ぐに理解した俺は、急いで寝室に戻った。


「晴!」

先ほどまですやすやと寝息を立てていた晴の姿は何処にも無かった。俺は直ぐにタンスから服を取り出し着替えると通話中のタッキーが話しかけてきた。


「どうしたの?晴ちゃんに何か会ったの?」


「晴がいなくなった、多分さっきの話を聞いていたんだ」


「そんな!」

「これから晴を探す、見つけたらまた掛け直すから」

「うん」

俺は、スマホの通話ボタンをきると部屋のドアを開け、そのまま鉄板の階段を急いで降りると辺りを見回した。



「くっそまだ遠くには行ってないはず」



俺は、再びを辺りを見回しながらアスファルトを強く踏みながら晴の無事を祈りながら暗闇の中、晴!と声が枯れるほど叫び続けた。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

完結・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王が甘やかしてくれました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

夢見がちオメガ姫の理想のアルファ王子

葉薊【ハアザミ】
BL
四方木 聖(よもぎ ひじり)はちょっぴり夢見がちな乙女男子。 幼少の頃は父母のような理想の家庭を築くのが夢だったが、自分が理想のオメガから程遠いと知って断念する。 一方で、かつてはオメガだと信じて疑わなかった幼馴染の嘉瀬 冬治(かせ とうじ)は聖理想のアルファへと成長を遂げていた。 やがて冬治への恋心を自覚する聖だが、理想のオメガからは程遠い自分ではふさわしくないという思い込みに苛まれる。 ※ちょっぴりサブカプあり。全てアルファ×オメガです。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

キンモクセイは夏の記憶とともに

広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。 小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。 田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。 そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。 純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。 しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。 「俺になんてもったいない!」 素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。 性描写のある話は【※】をつけていきます。

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版)

Ωの不幸は蜜の味

grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。 Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。 そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。 何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。 6千文字程度のショートショート。 思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。

処理中です...