71 / 115
第六章 波打ち際のゴーレム
第六十話 ゴーレムとハエトリグサ
しおりを挟む
考えていても仕方ないな。体に登って来られるのも面倒だ。このまま歩いてコボルトの里の様子を見ることにしよう。
足元のコボルトを蹴散らし赤い足跡をを作りながら、オレは下流へと足を向ける。
「これは酷い・・・」
「こんなに増えていたなんて」
「我々が定期的に討伐隊を出していたのに、3年滞っただけでここまでコボルトは増殖できるのか」
コボルトの里はとてつもなく広かった。
いや、これはむしろ里というより国といった方がいいだろうか。
そこら中の地面に穴があり、そこからコボルトが忙しそうに出たり入ったりを繰り返している。この辺り一帯すべてがコボルトの巣だ。
「コボルトは地面を掘って住居を作ります!いま逃げ込んだコボルトたちは皆フォビア化してない連中でしょう」
つまり今、外にいてオレに物を投げ込んでるコボルトがフォビアコボルトか。
フォビア化してなくてもこの数は脅威だ。
「表に出ているコボルトはほんの一部です、土中に掘った巣の中にもっと大量のコボルトが隠れているはずです」
まじか。流石に地面の中までは乗り込めないぞ。
オレでかくはなれるけど小さくはなれないからな。
かといってコボルトは臆病な性格らしい。オレがここで出てくるまで待ってても別の場所に穴を開けて逃げるだろう。
フォビア化してないコボルトはこのまま襲い掛かってくるからいいとして・・・てかそれも面倒臭いな。
そもそもフォビア化してようがしてまいが、村の方にまで来れなくするのがいいのでは?
海に近い地点の川は渡れないだろうから、さっきみたいな上流側に・・・亀じゃないけど魔物を放っておくとか。
・・・召喚魔法、使えないのよね。
くそー。光魔法と闇魔法と召喚魔法と、いかにもな魔法が全滅なのが悔しいぜ。
だからこの匙加減を教えろよ。
うっとうしくなってきたので取りあえず障壁の魔法を張りました。
障壁をカンカン殴ってきている。
少し考えよう。
「森守様!ここはいったん退くべきかと」
ジュードか。考えがあるのか?
「これだけの数を倒すとなれば、我々も相当の覚悟がいります。村の者達に警告を行い、最悪村を放棄して新たな土地を探さなければならないでしょう」
逃げの一手かい。
「隊頭!それは・・・」
「先祖からの土地を捨てるつもりですか!?」
「我とて本位ではない。だが現実問題としてこいつらをどうする?あの亀のような化け物が上流に陣取っていてくれたから村側に来てなかっただけなのだろう。あそこまで数が増えているのであれば、このあたり一帯の食い物はもうあいつらに食いつくされている可能性が高い」
「だから村の近くにまでコボルトが・・・」
「おそらくな。フォビア化したのも危険だとわかっている食べ物を食べなければ死んでしまうかもしれないと思ったからかもしれん。あいつらは鼻が効く、本来であれば病に侵された食料なんぞに手は出さないだろう?」
「そうかもしれませんが」
「こうなっていてはどうにもならん。フォビア化さえしてなければ罠なども有効かもしれんが、凶暴化している連中は逃げてもくれないからな。あれだけの数のコボルトの足を永久に足止めさせる罠なんぞ実現不可能だ」
罠に警戒さえすれば、上流に近寄らないのは確定するんだ?でも警戒しないコボルトは腐るほどいるわけで。
罠といってもフォビアコボルトを永遠に駆逐できるような罠なんて・・・・罠なんて・・・。あ、あれ使えるんじゃね?
オレは歩いて上流側、コボルトでも泳いで渡れるような川の地点の森の木々を足でどかして軽い広間を作る。
さらに土の魔法で地面を競り上げて、そこを通らないと上流に行きにくい環境をつくった。
空いた地面に、魔法の袋から球根を取り出すと一つちぎって地面に投げ込む。
『グモモモモモモモモモ・・・・・・・・』
おお、予想以上の速さで成長したぞ。
そこには5mほどの高さのハエトリグサが1本生えた。こちらにその葉というか歯というか顔を向けてガチンガチン言っている。
さっそくフォビアコボルトがそのハエトリグサに襲い掛かってくれる。
当然コボルトは勝てずハエトリグサの餌に。
コボルトはまだ来ている。ハエトリグサは嬉しそうに体を震わせると、根元からまた顔を増やした。巨大ハエトリグサが増える。
ゴートが言ってた通り、ものすごい速度で成長すると数を増やしていった。
処理するとか言ってたくせに専門家が逃げたあとだったから処理できずに袋に入れっぱなしだったのが幸いしたね!
念のためこいつがいる地点を何か所か作っておこう。
こいつ自体は歩いたり飛んだりできない植物だから近寄らないようにさせれば天然の防壁となり罠となるはず。
「これはすごい!森守様はこのような恐ろしい生き物まで使役していたのですね!」
使役してないっす。近づくとオレも食われるっす。
「しかし、すごい圧迫感だ。あたしたちも食われそうですね」
実際近寄ると食われると思うので近寄らないでね。
「このような生き物がいるなんて・・・」
オレも初めて見たときは驚いたさ、というか今もちょっとびっくりしてる。確かに人間程度なら何人集まっても勝てやしないだろうな。あれを焼く尽くせる火力を捻りだすのは至難の業だろうし。ゴートとかアイならいけるか?
手持ちの球根を全部使って、コボルトの巣の周りから上流側に向かう場所に何本か生やしておくことにする。
どいつもこいつも嬉しそうに成長すると、近寄って来たフォビアコボルトを捕まえては美味しく頂いていました。
すべてが終わると、オレ達は村に戻って来た。
流石に疲労感がある。巨大化魔法はかなりの魔力を消費するらしい。
やっぱMP的なものがあるんだね。
足元のコボルトを蹴散らし赤い足跡をを作りながら、オレは下流へと足を向ける。
「これは酷い・・・」
「こんなに増えていたなんて」
「我々が定期的に討伐隊を出していたのに、3年滞っただけでここまでコボルトは増殖できるのか」
コボルトの里はとてつもなく広かった。
いや、これはむしろ里というより国といった方がいいだろうか。
そこら中の地面に穴があり、そこからコボルトが忙しそうに出たり入ったりを繰り返している。この辺り一帯すべてがコボルトの巣だ。
「コボルトは地面を掘って住居を作ります!いま逃げ込んだコボルトたちは皆フォビア化してない連中でしょう」
つまり今、外にいてオレに物を投げ込んでるコボルトがフォビアコボルトか。
フォビア化してなくてもこの数は脅威だ。
「表に出ているコボルトはほんの一部です、土中に掘った巣の中にもっと大量のコボルトが隠れているはずです」
まじか。流石に地面の中までは乗り込めないぞ。
オレでかくはなれるけど小さくはなれないからな。
かといってコボルトは臆病な性格らしい。オレがここで出てくるまで待ってても別の場所に穴を開けて逃げるだろう。
フォビア化してないコボルトはこのまま襲い掛かってくるからいいとして・・・てかそれも面倒臭いな。
そもそもフォビア化してようがしてまいが、村の方にまで来れなくするのがいいのでは?
海に近い地点の川は渡れないだろうから、さっきみたいな上流側に・・・亀じゃないけど魔物を放っておくとか。
・・・召喚魔法、使えないのよね。
くそー。光魔法と闇魔法と召喚魔法と、いかにもな魔法が全滅なのが悔しいぜ。
だからこの匙加減を教えろよ。
うっとうしくなってきたので取りあえず障壁の魔法を張りました。
障壁をカンカン殴ってきている。
少し考えよう。
「森守様!ここはいったん退くべきかと」
ジュードか。考えがあるのか?
「これだけの数を倒すとなれば、我々も相当の覚悟がいります。村の者達に警告を行い、最悪村を放棄して新たな土地を探さなければならないでしょう」
逃げの一手かい。
「隊頭!それは・・・」
「先祖からの土地を捨てるつもりですか!?」
「我とて本位ではない。だが現実問題としてこいつらをどうする?あの亀のような化け物が上流に陣取っていてくれたから村側に来てなかっただけなのだろう。あそこまで数が増えているのであれば、このあたり一帯の食い物はもうあいつらに食いつくされている可能性が高い」
「だから村の近くにまでコボルトが・・・」
「おそらくな。フォビア化したのも危険だとわかっている食べ物を食べなければ死んでしまうかもしれないと思ったからかもしれん。あいつらは鼻が効く、本来であれば病に侵された食料なんぞに手は出さないだろう?」
「そうかもしれませんが」
「こうなっていてはどうにもならん。フォビア化さえしてなければ罠なども有効かもしれんが、凶暴化している連中は逃げてもくれないからな。あれだけの数のコボルトの足を永久に足止めさせる罠なんぞ実現不可能だ」
罠に警戒さえすれば、上流に近寄らないのは確定するんだ?でも警戒しないコボルトは腐るほどいるわけで。
罠といってもフォビアコボルトを永遠に駆逐できるような罠なんて・・・・罠なんて・・・。あ、あれ使えるんじゃね?
オレは歩いて上流側、コボルトでも泳いで渡れるような川の地点の森の木々を足でどかして軽い広間を作る。
さらに土の魔法で地面を競り上げて、そこを通らないと上流に行きにくい環境をつくった。
空いた地面に、魔法の袋から球根を取り出すと一つちぎって地面に投げ込む。
『グモモモモモモモモモ・・・・・・・・』
おお、予想以上の速さで成長したぞ。
そこには5mほどの高さのハエトリグサが1本生えた。こちらにその葉というか歯というか顔を向けてガチンガチン言っている。
さっそくフォビアコボルトがそのハエトリグサに襲い掛かってくれる。
当然コボルトは勝てずハエトリグサの餌に。
コボルトはまだ来ている。ハエトリグサは嬉しそうに体を震わせると、根元からまた顔を増やした。巨大ハエトリグサが増える。
ゴートが言ってた通り、ものすごい速度で成長すると数を増やしていった。
処理するとか言ってたくせに専門家が逃げたあとだったから処理できずに袋に入れっぱなしだったのが幸いしたね!
念のためこいつがいる地点を何か所か作っておこう。
こいつ自体は歩いたり飛んだりできない植物だから近寄らないようにさせれば天然の防壁となり罠となるはず。
「これはすごい!森守様はこのような恐ろしい生き物まで使役していたのですね!」
使役してないっす。近づくとオレも食われるっす。
「しかし、すごい圧迫感だ。あたしたちも食われそうですね」
実際近寄ると食われると思うので近寄らないでね。
「このような生き物がいるなんて・・・」
オレも初めて見たときは驚いたさ、というか今もちょっとびっくりしてる。確かに人間程度なら何人集まっても勝てやしないだろうな。あれを焼く尽くせる火力を捻りだすのは至難の業だろうし。ゴートとかアイならいけるか?
手持ちの球根を全部使って、コボルトの巣の周りから上流側に向かう場所に何本か生やしておくことにする。
どいつもこいつも嬉しそうに成長すると、近寄って来たフォビアコボルトを捕まえては美味しく頂いていました。
すべてが終わると、オレ達は村に戻って来た。
流石に疲労感がある。巨大化魔法はかなりの魔力を消費するらしい。
やっぱMP的なものがあるんだね。
0
お気に入りに追加
100
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。
なつめ猫
ファンタジー
公爵家令嬢のアリーシャは、我儘で傲慢な妹のアンネに婚約者であるカイル王太子を寝取られ学院卒業パーティの席で婚約破棄されてしまう。
そして失意の内に王都を去ったアリーシャは行方不明になってしまう。
そんなアリーシャをラッセル王国は、総力を挙げて捜索するが何の成果も得られずに頓挫してしまうのであった。
彼女――、アリーシャには王国の重鎮しか知らない才能があった。
それは、世界でも稀な大魔導士と、世界で唯一の聖女としての力が備わっていた事であった。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
私、異世界で監禁されました!?
星宮歌
恋愛
ただただ、苦しかった。
暴力をふるわれ、いじめられる毎日。それでも過ぎていく日常。けれど、ある日、いじめっ子グループに突き飛ばされ、トラックに轢かれたことで全てが変わる。
『ここ、どこ?』
声にならない声、見たこともない豪奢な部屋。混乱する私にもたらされるのは、幸せか、不幸せか。
今、全ての歯車が動き出す。
片翼シリーズ第一弾の作品です。
続編は『わたくし、異世界で婚約破棄されました!?』ですので、そちらもどうぞ!
溺愛は結構後半です。
なろうでも公開してます。
若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました
mabu
ファンタジー
聖女召喚に巻き込まれた普通のオバさんが無能なスキルと判断され追放されるが国から貰ったお金と隠されたスキルでお店を開き気ままにのんびりお気楽生活をしていくお話。
なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。
不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇
感想、ご指摘もありがとうございます。
なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。
読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。
お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる