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第五章 ゴーレムの後ろ姿
第四十六話 拳を振るうゴーレム
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今日は、水路の調整だ。
街の通りや、細い路地などにある大きな障害物は概ね撤去が済み、今は街中にはりめぐらされていた水路から瓦礫をどかしていた。
中層、下層での作業は終わったが一向に水は降りて来ない。
話を聞くに、上層の水路も同様に瓦礫が詰まっているらしい。
何よりも、近くの山から下りてきている川の水を街に引き込んでいる最初の地点は上層にある。その施設が完全に壊れてしまっているのだ。
おかげで水が街の手前でぶつかり、横にそれて周りの平原に流れ込み平原は湿地帯に様変わりしてしまった。
近年雨が多く、水害も発生しているらしい。また、農耕地帯も被害を受けてしまっている。
雨はオレのせいじゃないからな!
そんなこんなでゴートさんがアイを使って上層へ入る許可を取ってきた。
上層の人間は『国崩し』には任せられない大仕事だったらしいが、中・下層も水問題が深刻化しつつあったため取り掛かることになった。
水が流れてこないと、衛生面も良くなくなるからね。
オレは上層の水路の中を歩いて瓦礫や廃材を水路からどかした。
下層までは遠いから適当に砕いて置いておけばいいとのこと、ゴートさんの指示だ。本当に上層の人たちを嫌っているらしい。
ちなみに上層と呼ばれているが、そこまで極端に高いところにある訳ではない。
多少高い位置にあるが、中層にも同じ高さの場所がある。単純に城に近い地点だから上層なのだそうだ。
上層と中層をまたいで大きな貯水湖がある。そこから水が上層-中層―下層の順番に流れるように水路が張り巡らされている。
1週間ほどかけて、上層の水路を綺麗にする。とうとう貯水湖の水の出入り口を開通させる時が来た。
水の量を調整するダムの役割をしていた部分が壊れて完全に穴を塞いでいた。しかもその部分を破壊しているのは大きな岩だ。城壁が抉られて落下してきたものが水に押されてここまで移動してきたらしい。
これは直しながら穴を開けるのは無理じゃないか?オレはゴート親方の方に視線を向ける。
「水路周りは全部避難命令を出してある。構わねえ!ぶっ壊せ!」
雑なアドバイスありがとうございます!
オレは大きく振りかぶって拳を叩きこむことにした!
『ズガンッ!』
辺りが大きく振動する。
慌てて兵士たちが水路から離れる。
避難出来てねえじゃん!
「やっちまえー!」
「ぶっこわせー!」
「どうした国崩し!その程度かー!」
なんか変な盛り上がり方してるなあ。まあいいや、このまま拳を叩きこもう。
『ズガンッ!』
再度の衝撃。
『ズガンッ』
少し水が流れて来た。
『ズガンッ!!!!』
『ブシュ、ブシュシュ・・・』
隙間から水が溢れだしてきた。
あれ?これやばいパターンじゃ・・・。
途端にせき止められていた水が、瓦礫と土砂を巻き込んでオレの体を包み込んだ!
やっぱりね!そんなことだろうと思ったよちくしょう!
足を踏ん張りながら、重力魔法で体を押しとどめて流されないように我慢をした。
水の力ってつえー。
「おおー!来たー!!!!!」
周りから、いや。街中から歓声が上がったらしい。
水の流れる轟音と瓦礫がぶつかり砕ける音でオレには、まったく聞こえなかったけどね!
溺れるわ!あ、溺れません、息してないですから。
「よお、大丈夫か?」
水に流されながらなんとか浮上したオレを迎えたのは、ゴートさんの笑った顔だった。
オレが水から上がると、拍手が巻き起こった。
多少嫌な顔をしている人もいるが、大体が喜びと感謝の表情だ。
オレがいた世界では水道を捻れば水が出て来た。
しかしこの世界は違う。水を確保するのに井戸から水をくみ上げなければならない。
井戸の周りには行列ができていた。
ここが解放されることにより、それが一気に緩和されるらしい。
この国が救われた、立ち直ったと涙を流す者もいる。
オレがもたらした災いなのに、オレが直して感謝される・・・か。
胸が痛みました。
「これで平原も元に戻れば食糧難も解決ですね」
「農耕地帯も山から流れた水のおかげで一新しますから、来年の収穫が楽しみです」
ああ、食料も足りてなかったんだね。
オレご飯食べないから気づかなかったよ。
「また腹いっぱい食べれる日が来るんだな!」
「穀物もだが肉だよ肉!湿地帯が原因で大型の獣や魔獣は山の方にいっちまってるからな」
肉、肉ねえ。いいなあご飯。口ないから噛めもしないけど。
ああ、仮に食えても出せないな。尻もないや・・・下品ですね、ごめんなさい。
「肉、肉か・・・肉。食うか肉!」
ゴートさんが何かひらめいたようだ。
やはりニヤニヤしながらこっちを向いている。
何?獣でも狩ってくればいいんですか?流石に国中の人の腹を満たせるほどの数はきついっすよ親方。
「よし!今日腹いっぱい食いたい奴は有り金もって西の下層に来い!水が戻った祝いだ!がっつりいくぜ!」
『おおおーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!』
ゴートさんの号令の元、兵士たちが雄叫びを上げた!
や、ちょっと待って!狩りはいいけど今日?!今から狩りにいっても城下町を出るころには日が傾いちゃいますからね?!
街の通りや、細い路地などにある大きな障害物は概ね撤去が済み、今は街中にはりめぐらされていた水路から瓦礫をどかしていた。
中層、下層での作業は終わったが一向に水は降りて来ない。
話を聞くに、上層の水路も同様に瓦礫が詰まっているらしい。
何よりも、近くの山から下りてきている川の水を街に引き込んでいる最初の地点は上層にある。その施設が完全に壊れてしまっているのだ。
おかげで水が街の手前でぶつかり、横にそれて周りの平原に流れ込み平原は湿地帯に様変わりしてしまった。
近年雨が多く、水害も発生しているらしい。また、農耕地帯も被害を受けてしまっている。
雨はオレのせいじゃないからな!
そんなこんなでゴートさんがアイを使って上層へ入る許可を取ってきた。
上層の人間は『国崩し』には任せられない大仕事だったらしいが、中・下層も水問題が深刻化しつつあったため取り掛かることになった。
水が流れてこないと、衛生面も良くなくなるからね。
オレは上層の水路の中を歩いて瓦礫や廃材を水路からどかした。
下層までは遠いから適当に砕いて置いておけばいいとのこと、ゴートさんの指示だ。本当に上層の人たちを嫌っているらしい。
ちなみに上層と呼ばれているが、そこまで極端に高いところにある訳ではない。
多少高い位置にあるが、中層にも同じ高さの場所がある。単純に城に近い地点だから上層なのだそうだ。
上層と中層をまたいで大きな貯水湖がある。そこから水が上層-中層―下層の順番に流れるように水路が張り巡らされている。
1週間ほどかけて、上層の水路を綺麗にする。とうとう貯水湖の水の出入り口を開通させる時が来た。
水の量を調整するダムの役割をしていた部分が壊れて完全に穴を塞いでいた。しかもその部分を破壊しているのは大きな岩だ。城壁が抉られて落下してきたものが水に押されてここまで移動してきたらしい。
これは直しながら穴を開けるのは無理じゃないか?オレはゴート親方の方に視線を向ける。
「水路周りは全部避難命令を出してある。構わねえ!ぶっ壊せ!」
雑なアドバイスありがとうございます!
オレは大きく振りかぶって拳を叩きこむことにした!
『ズガンッ!』
辺りが大きく振動する。
慌てて兵士たちが水路から離れる。
避難出来てねえじゃん!
「やっちまえー!」
「ぶっこわせー!」
「どうした国崩し!その程度かー!」
なんか変な盛り上がり方してるなあ。まあいいや、このまま拳を叩きこもう。
『ズガンッ!』
再度の衝撃。
『ズガンッ』
少し水が流れて来た。
『ズガンッ!!!!』
『ブシュ、ブシュシュ・・・』
隙間から水が溢れだしてきた。
あれ?これやばいパターンじゃ・・・。
途端にせき止められていた水が、瓦礫と土砂を巻き込んでオレの体を包み込んだ!
やっぱりね!そんなことだろうと思ったよちくしょう!
足を踏ん張りながら、重力魔法で体を押しとどめて流されないように我慢をした。
水の力ってつえー。
「おおー!来たー!!!!!」
周りから、いや。街中から歓声が上がったらしい。
水の流れる轟音と瓦礫がぶつかり砕ける音でオレには、まったく聞こえなかったけどね!
溺れるわ!あ、溺れません、息してないですから。
「よお、大丈夫か?」
水に流されながらなんとか浮上したオレを迎えたのは、ゴートさんの笑った顔だった。
オレが水から上がると、拍手が巻き起こった。
多少嫌な顔をしている人もいるが、大体が喜びと感謝の表情だ。
オレがいた世界では水道を捻れば水が出て来た。
しかしこの世界は違う。水を確保するのに井戸から水をくみ上げなければならない。
井戸の周りには行列ができていた。
ここが解放されることにより、それが一気に緩和されるらしい。
この国が救われた、立ち直ったと涙を流す者もいる。
オレがもたらした災いなのに、オレが直して感謝される・・・か。
胸が痛みました。
「これで平原も元に戻れば食糧難も解決ですね」
「農耕地帯も山から流れた水のおかげで一新しますから、来年の収穫が楽しみです」
ああ、食料も足りてなかったんだね。
オレご飯食べないから気づかなかったよ。
「また腹いっぱい食べれる日が来るんだな!」
「穀物もだが肉だよ肉!湿地帯が原因で大型の獣や魔獣は山の方にいっちまってるからな」
肉、肉ねえ。いいなあご飯。口ないから噛めもしないけど。
ああ、仮に食えても出せないな。尻もないや・・・下品ですね、ごめんなさい。
「肉、肉か・・・肉。食うか肉!」
ゴートさんが何かひらめいたようだ。
やはりニヤニヤしながらこっちを向いている。
何?獣でも狩ってくればいいんですか?流石に国中の人の腹を満たせるほどの数はきついっすよ親方。
「よし!今日腹いっぱい食いたい奴は有り金もって西の下層に来い!水が戻った祝いだ!がっつりいくぜ!」
『おおおーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!』
ゴートさんの号令の元、兵士たちが雄叫びを上げた!
や、ちょっと待って!狩りはいいけど今日?!今から狩りにいっても城下町を出るころには日が傾いちゃいますからね?!
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