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第三章 決闘を前に

第四十話(キャラクター紹介話)

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「ボクは三回生で召喚士をやっているベリンダ・クラウンだ。チャームポイントは頭のアンテナ毛と一本にまとめた三つ網っ。ちなみに生徒会長なんてものをやっていたりするぞ」

光とミルフェスに対してしっかりとした挨拶をベリンダがする。
「会長と呼ばれたりベルって呼ばれたり、まあ好きに呼んでくれ。ほい、次はレオ」
「えっ?オレですか・・・オレは前にやったんだけどなあ」
「いいからいいから、こういうのはノリでいくもんさ。せっかくだから全員やろうよ」
「はあ、わかりました。レオパルド・ブレイブハートです、二回生で魔装士やってます。武器はこの通りの両手剣。一応生徒会副会長やってるけど・・・・基本給仕させられてます」

金髪で長身の美少年は、ダバーっと両目から滝のように涙を流しながらしめくくった。

『紅茶を美味しく入れるのが彼の特技だ』
「うれしくないよ」
「紅茶にあったお菓子を用意する才能も抜群だね」
「うれしくないって」
「気が利く、いい子」
「だからうれしくないですっ!」

うれしそうだ。

「はあ、もういいです。次は美鈴先輩お願いします」

少しだけ頬を赤らめながら美鈴にバトンを渡す。

「ん、七井美鈴」

返事をしながら黒髪のツインテールの美鈴が、光達に顔を向けた。

「三回生、魔装士」

腰から小太刀を抜いて、二人に見せる。中肉中背の体つきだが、抜いた瞬間の小太刀の動作のなめらかさは見た目以上に体を鍛えている表れだ。

「生徒会には、入ってない」

一言一言、間を空けながら美鈴が挨拶をする。

「次、セシル」
『応!』

低く、周りに響く野太い返事と同時に鎧が金属音を響かせる。

『我はセシル!セシルである!見ての通りの魔装士だ』
自分自身に親指で指をさし、重厚な鎧をガチャガチャ言わせながらの挨拶は昨日見たとおりだ。

『ユグドラ生徒会書記もつとめている、ちなみに鎧の名前は[クロス・オブ・サンダー]である』
「鎧の名前は定期的に変わります」
「技の名前も定期的にかわります」
「ちなみに鎧もかわります」

レオ・シルフィ・ベルの順番でツッコみが入る。
『変わらんっ今度こそ変わらんっ!あと会長!鎧は変わってないっ少々デザインが変わるだけだっ』
「たまに形が別物になってたりするじゃない」
『ほんっっっっとうにたまにですっ』

判断しにくい言い合いが始まりそうだ。

『まあ冗談はこれくらいにして』
「ノリが古いぞー」
『我の自己紹介はこのくらいにしておこう。次はシルフィお前だ』

なんというか、とりあえず尊厳をもって話さなければ気がすまないようだ。
パスされたシルフィも苦笑いしながらセシルの言うとおりに自己紹介を始めた。

「シルフィ・レラト・ヴォンブルよ。シルフィで良いわ」

女性らしく起伏のとんだ体付き、特に大きな胸に目が惹かれてしまう。
褐色肌のシルフィは足元においてあったジェラルミンケースを開けて光達に見せた。

「私も魔装士、でも遠距離型のね」

中から出てきたのは組み立てられる前のスナイパーライフルというやつだ。
磨き上げられた銀色の砲身が光を反射している。

「学年は二回生で生徒会では書記補佐をやってるわ。、特技は狙撃。狙い撃つわよ?ってね」

指で鉄砲の形を作って光とミルフェスに向けて撃つようなモーションをする。
その顔は笑顔に満ちていた。

「このメンバーに加えて、そこのプレハブ小屋の地下で作業している錬金科の二人。あと現在就職活動中の四回生が三人。それと君たち二人の合計十二人が現在のSクラスメンバーになるわけだ。ではでは、お二人とも自己紹介をどうぞ」

にこにこしながらベルが新入生に促した。
光とミルフェスはお互いの顔を合わせると、ミルフェスがうなずきながら前に一歩でた。

「ミルフェス・ライブラルです、召喚士をしております。この子はベヒモス、幻獣です」

ミルフェスがベヒモスを持ち上げて全員に見せた。

「可愛いわね」
『うむ』
「やっぱり、力は感じないですねえ」

見た目の感想をシルフィとセシルが、中身の感想をレオがそれぞれ言う。

「今は封じ込められているね。というかアレだよ、何かが封じられているくらいならわからないかい?」

「んー・・・言われるとなんとなく・・・わかるようなわからないような」

両手でベヒモスを持ち上げながら、ジト目でシルフィがベヒモスを見つめる。

「会長にはわかったんですか」
「なんとなくだけどね。で、興味を持ったわけ」
「おなか、ぷにぷに」
「美鈴先輩、くすぐったそうですからやめてあげないと」
「・・・おなか、ぷにぷに」

美鈴の攻撃にベヒモスは耐え切れなくなり、シルフィの手から暴れて開放されるとミルフェスの足元に逃げ込んだ。

「あははは、まあお手柔らかにお願いします」
「興味を持ったからちょっと本気を出してってお願いしたんだ」
「お願いですか」
「お願いだよね」
「お願いっていうか・・・」
「お願いだよー」
「ベルは、しつこいから」
「ええ・・・、そんな感じでした、はい」

苦笑いを浮かべながらミルフェスが答える。

「そしたら一発合格!もう満場一致でSクラス入りだよね」
『ふと、気になったのだが』

セシルが手を上げて質問をする。

『ライブラルとは、あの魔道結社のライブラルのことか?』
「あ、はい。うちの家業です」
『なるほど、それならば合点がいく。英国本土の南部では名の知れた結社で・・・』
「というか国内では五本の指に入るくらいのビックネームじゃない!」

シルフィが声を上げた。

「ライブラル・・・そういえば、確かに。あそこのお嬢様でしたか」
「ライブラルという組織が、そもそもここの学園長から支援を受けて作った組織らしくてですね。関係者に魔道士が生まれたら入学させるようにしているらしいんです」

補足するようにミルフェスが付け加える。関係者の中にはラザロも含まれているのだろう。

「そういえば毎年、ライブラルには推薦枠が用意されていたような」
「ライブラルの関係者で、卒業後に就職が決まっている人たちが前もってスカウトしていくんですよね」
「三年も四年もかけて一緒に生活をしていれば、色々わかってくるからねえ」
「でも逆に、ウチに就職しないでよそにいっちゃう人もいるんですけどね」
『難しいところだな、通常なら禁止しそうなものだが』
「まあ学費とかうちで払っているわけでもないので」
『そういうものなのか』
「昔は厳しかったみたいですけど、最近は結構自由です」
『ほう』
「つまりミルフェス君、君の連れているベヒモスはあのベヒモスなのかい?」

レオが疑問を口にした。

「んーっと、たぶん・・・」

困ったように笑いながらミルフェスは曖昧に答えた。

「まあ家のことは気にしないでください。よろしくお願いします」

パチパチパチパチ。

「最後は光さんね」

こくん。

「ああ、ちょっと待ってて」

レオが一言声をかけるとプレハブ小屋の中に入っていった。
ほどなくして大きなホワイトボードをもって出てくると、光の横に設置した。
本当にこの先輩は世話好きのようだ。

「さすがレオだね」
「レオ、えらい」

ぺこりぺこり。
光も頭を何度も下げた。
そんな姿と賛辞を受けたレオは、照れたようで顔を背けていた。

―仙波光です。魔装士です―

光はホワイトボードに丁寧に英語で自己紹介を書いた。
身長が足りないせいで上のほうには書けないが、少しでも大きく書こうと背伸びをしながらホワイトボードに書いていく。

「微笑ましいね」
「うんうん」

逆に好評だったようだ。

―正式には決闘で勝利したらSクラス入りとのことですが、勝ちます―

「決闘?」

ミルフェスが驚いて声を出した。
ここにきて美鈴が三度目の光の決闘の説明を、というか途中からレオが説明を代わって美鈴よりも上手に説明をしなおした。

「へえ」

あらためてホワイトボードの勝利宣言を見つめる。
光の自信に、ベルは感嘆の声を上げた。

「相手はクレア嬢だろう?二回生の魔装士ではSクラス入りの可能性があるのは彼女くらいのものだったと思うよ。結構な実力者を相手にするとは思うのだけど」
「光は、負けない」

答えたのは光自身ではなく、美鈴の方だった。
光もその言葉に力強く頷く。

―負けません―

ちょっと太めに書いてみた。
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