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第二章 始まる学校生活
第三十五話
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「納得出来ません!」
二回生から声があがった、一人の少女が敵意を剥き出しにしている。
「なんでこんな子がいきなりSクラス入りなんですか!?」
「・・・実力は見た通りだ、お前もやられていたじゃないか?」
李が慎重に答える。光に鎖でグルグル巻きにされていた生徒だ。
「あんなの体術じゃないですか!ここは魔道士の学校じゃないんですか!?魔力をほとんど見せてない子がいきなりSクラス入りだなんて許されるわけないじゃないですか」
「やあ、最高責任者も許可出してますから。それに彼女、強いですよ?」
李が頭をかきながら学園長の名前をだした・・・がいつのまにか学園長は姿を消していた。
「あれ?」
「クラウド先生でしたら『召喚士の方にも面白そうなのがいるな』って言いながら飛んでいきましたけど」
レアが飛んでいった方へ指をさす。遠くで点と化しているクラウドの後姿がみえてはいるが既に遠くにいってしまったようだ。
「薦めたのは、私」
美鈴が少女に言った。
「私の推薦じゃ、不満?」
「日本人同士で身内贔屓なんじゃないんですか?私が以前みた美鈴先輩の戦いはもっと壮絶に見えましたし。手加減してたんじゃないんですか!?」
「そんなこと、しない」
ムっとしたように美鈴が答えた。
「実力は、ある」
美鈴が光に視線を向ける。
「貴女のことを言っているのよ!なんか言いなさいよ!」
美鈴に視線を受けてもなお、静観する光に苛立ちの声と鎖の先端が飛んでくる。
ジャラジャラジャラと、金属音を鳴らしながら円月輪が光の足元に突き刺さった。
「・・・」
「ちょっとあんた!」
上級生の一言にラザロが文句を言いに前に出てくる、光はそれを手で制した。
「・・・」
その手を前に出し、光は虚空から刀を取り出した。
分(ぶん)剣(けん)複(ふく)牙(が)。光の持つ八房の特性の一つだ。光は刀のコピーを複数本呼び出して使うことが出来る。
光の冷めた視線を受けて、上級生は数歩後ろに下がった。
だが鋭い目つきで睨み返してくると、先ほど持っていた鎖のついた両手剣を構える。
「仙波、やめないか。クレアも武器を使うんじゃない。それと謝罪しなさい、彼女はしゃべらないのではなくてしゃべれない」
李は光に注意をすると、上級生にも叱責を飛ばす。
李の言葉に上級生はばつ悪そうな表情をみせた。
「クレア=レッドフォード!」
「・・・言葉については謝ります。ですがやはり彼女がいきなりSクラス入りになるだなんて納得は出来ませんわ」
「だったら、試せばいい」
機嫌の悪そうな声を美鈴が出した。
「疑うのなら、戦えばいい」
冷めた視線を相手に送りながら、美鈴が声を発する。
「私を疑うのなら、私が相手になってもいい」
徐々にだが、美鈴の声は迫力を増していく。
「加減などしていない、七井の剣にかけて!」
辺りの空気を完全に支配している、そこまでの迫力を美鈴は持っていた。
周りの生徒達からも唾を飲み込む音が聞こえてきた。
二回生から声があがった、一人の少女が敵意を剥き出しにしている。
「なんでこんな子がいきなりSクラス入りなんですか!?」
「・・・実力は見た通りだ、お前もやられていたじゃないか?」
李が慎重に答える。光に鎖でグルグル巻きにされていた生徒だ。
「あんなの体術じゃないですか!ここは魔道士の学校じゃないんですか!?魔力をほとんど見せてない子がいきなりSクラス入りだなんて許されるわけないじゃないですか」
「やあ、最高責任者も許可出してますから。それに彼女、強いですよ?」
李が頭をかきながら学園長の名前をだした・・・がいつのまにか学園長は姿を消していた。
「あれ?」
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レアが飛んでいった方へ指をさす。遠くで点と化しているクラウドの後姿がみえてはいるが既に遠くにいってしまったようだ。
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美鈴が少女に言った。
「私の推薦じゃ、不満?」
「日本人同士で身内贔屓なんじゃないんですか?私が以前みた美鈴先輩の戦いはもっと壮絶に見えましたし。手加減してたんじゃないんですか!?」
「そんなこと、しない」
ムっとしたように美鈴が答えた。
「実力は、ある」
美鈴が光に視線を向ける。
「貴女のことを言っているのよ!なんか言いなさいよ!」
美鈴に視線を受けてもなお、静観する光に苛立ちの声と鎖の先端が飛んでくる。
ジャラジャラジャラと、金属音を鳴らしながら円月輪が光の足元に突き刺さった。
「・・・」
「ちょっとあんた!」
上級生の一言にラザロが文句を言いに前に出てくる、光はそれを手で制した。
「・・・」
その手を前に出し、光は虚空から刀を取り出した。
分(ぶん)剣(けん)複(ふく)牙(が)。光の持つ八房の特性の一つだ。光は刀のコピーを複数本呼び出して使うことが出来る。
光の冷めた視線を受けて、上級生は数歩後ろに下がった。
だが鋭い目つきで睨み返してくると、先ほど持っていた鎖のついた両手剣を構える。
「仙波、やめないか。クレアも武器を使うんじゃない。それと謝罪しなさい、彼女はしゃべらないのではなくてしゃべれない」
李は光に注意をすると、上級生にも叱責を飛ばす。
李の言葉に上級生はばつ悪そうな表情をみせた。
「クレア=レッドフォード!」
「・・・言葉については謝ります。ですがやはり彼女がいきなりSクラス入りになるだなんて納得は出来ませんわ」
「だったら、試せばいい」
機嫌の悪そうな声を美鈴が出した。
「疑うのなら、戦えばいい」
冷めた視線を相手に送りながら、美鈴が声を発する。
「私を疑うのなら、私が相手になってもいい」
徐々にだが、美鈴の声は迫力を増していく。
「加減などしていない、七井の剣にかけて!」
辺りの空気を完全に支配している、そこまでの迫力を美鈴は持っていた。
周りの生徒達からも唾を飲み込む音が聞こえてきた。
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