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わくわくのダンジョン研修

第44話 わくわくのダンジョン研修 18

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 ゾンビというゾンビが見える度に、弾君の撃ちだす弾丸がゾンビ達を撃ち貫き消滅させていきます。

「そうなんですか、お二人は同じ学校のクラスメートなんですね」
「そうなんです。ゆかなは普段別のダンジョンにいたのですが、弾君がダンジョンに連れてってくれと珍しい事を言ったんです。だからここに来たです」

 何度も何度も銃弾の音が響く廃墟で、私はゆかなさんと一緒に弾君の後ろを歩きながら世間話に勤しんでいます。

「弾君は…拳銃を用いているということは」
「そうです、弾はHEROです!」
「そうなんですね」

 正直HEROなんて上腕二頭筋とか胸筋に特徴がないと見てもわかりません。

「ああ、でも顔を隠してるのです!」
「俺がHERO活動してることは秘密っつったよな! なにバラしてんだよ!」
「授業中に駆け足で早退する人は大体HEROしてるです!」
「なん…だと?」
「レイジとかマシロとかコウとかもです」

 事件はHEROの都合に合わせて『起こしたり』しませんからね。

「や、でも。え…あいつら? レイジは知ってたけど…マジ?」
「むしろなんで気づかないんです?」
「なんでって、あいつら腹いたいとか頭痛いとかいつも言って早退してたじゃ…」
「あんなに運動が出来るのにそんなわけないです。週に1、2回同じタイミングで早退したら普通わからないですか?」
「わかるのかよ!」
「その日の夕方にニュース見ると大体宇宙人の侵略を誰々が止めたとかのニュースが流れるです。弾が早退した日は人間が怪人になって暴れたってニュースが多いです」
「ぐっ!」
「しかも最近二人がかりで敵を倒したってニュースが流れたです、その日から弾の機嫌も悪かったです」
「ぐぐぐっ!」
「そんでもって、ダンジョンのお誘いです。どうせ一人で勝てなかった事で悩んでるです」
「ぐふうっ」
「あはははは」

 弾君がダメージを受けてます。何処のHEROかはわかりませんが壁にぶつかっている様子です。

「一人でこようとは思わなかったんですか?」
「ん、まあ思ったんだが…」
「途中で勝てなくなって泣きついてきたです」
「おい!」

 弾君が勝てない、ということは拳銃が通じない相手でしょうか?
 銃は筋肉と違って自分を鍛えれば強くなるものでもないですから、応援を呼ぶしかないですもんね。この人線が細いですから女の子に泣きつくことしか出来なかったようです。

「仕方ないですよね。銃ですし」
「どういう意味!? てか銃はダメなの!?」
「え? だって鍛えても威力上がらないじゃないですか。引き金引くだけですし、筋肉に負けるのはしょうがないんじゃないですか?」
「筋肉!?」
「ほら、敵出てきてますよ。撃ってください、露払いお願いします」
「ああクソ!」

 私とゆかなさんはゴールド、このダンジョンでいうところの50層まで敵になる相手はいませんので初心者の弾君に敵は任せてます。というか、敵が近づく前に倒せる弾君何気に便利です。こういう雑魚戦では銃もありなんですね、勉強になります。
 既に30層です、21~25層までと違って敵も散発的ですね。

「優はどこのダンジョンに篭ってたです? ずいぶん前に潜るのをやめたっていう話ですが」
「私は浦安のダンジョンですよ」
「ほえー、一緒です。ゆかなも浦安の大地ダンジョンに普段篭ってますです。3年くらい前からほぼほぼ週一です」
「ずいぶん熱心ですね。私が篭っていたのは海のダンジョンです、親にとあるアイテムを手に入れるまで帰ってくるなって言われてずっとソロで潜ってました。最終的には深い階層ボスと戦わないとそのアイテムは手に入らないって事でしたのでパーティを組みましたけど」
「じゃあほとんどソロでゴールドまで上り詰めたです? すごいです!」
「4,5年前って…子供の頃にしても幼すぎだろ」
「母がスパルタでしたので…まあそのアイテムも私に必要なものだったんですが、当時は知らなかったですけど」
「あ、扉です」

 弾君は前回も来たことあるとの事で、ここまで迷いも無く道案内兼露払いに勤しんでました。ですからそこまで時間もかからずにここまで無事にたどり着けました。
 廃ビルの一つ、地下室にその扉は隠されていました。
 ボス前の休息所でポータルを更新し、30層のボス戦の開始です。
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