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私立 悪役学園へようこそ!

第2話 私立 悪役学園へようこそ! 2

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 私の名前は佐々木優(ささきゆう)。この度、無事に私立悪役学園に入学を果たした悪役の幹部候補生です。男性です。
 突然で申し訳ありませんが、私は自分の容姿が嫌いです。大嫌いです。

 薄い桃色の髪の毛に大きくて丸く、青色の瞳。思いっきり母親似の顔をしています。
 いっそ丸坊主にでもしてやろうとして母に殺されかけました。それ以降私の髪型は母によって決められてしまっている為、今は一般的な男性よりも長いです。でも母には逆らえません。

まだ命は惜しいですから。

 同学年と比較して圧倒的に低い身長も大嫌いです。

 目標でもある2メートルの身長まであと60センチ近く足りません…控え目に言いました、70センチ近く足りりてません。
 圧倒的に足りていないのです。
 毎日牛乳を飲んでいます。生まれてこの方18年、ムキムキの筋肉を手に入れると心に決めた幼稚園児の頃から毎日欠かさず1リットル飲んでいます。ご飯も人一倍食べているつもりですが、伸びません。

 この華奢な体付きも嫌いです。筋トレは欠かしていませんが、鍛えれば鍛える程シャープになるこの肉体。
 筋肉はちゃんとつくものの、その筋肉は一定の量を超えると膨れ上がらないのです。というか見た目で言えば細身の女の子のソレと変わりません。嫌いです。

 こんな容姿のせいで、男らしい服が似合わないのも嫌です。
 本当に嫌です。

 私は男の服装といえばタンクトップだと思っています。ですが私がハーフパンツにタンクトップ姿で外を出歩いていたら、クソ変態どもに群がられて最終的には警察が出て来ました。

 男の子でも構わないとか言われた時の私の表情を是非みんなにも見せてやりたいモノですね。
 こんな事件が何度も続いたせいで、母がキレました。

 おかげで私の服は現在母が用意しているものばかり。タンクトップは捨てられてしまいました。
流石にスカートを用意された時には喧嘩になりました。母にボコボコに殴られて無理矢理着させられて写真を撮られましたが、外に行くときには着ないと泣いて訴えたら許して貰えました。

 声も嫌いです。男の声と言えば野太く、力強いものがいいに決まっていますよね。なのに未だに声変りが来ません。
 喉仏が出てこないんです。

 これに関しては今後の成長に期待ですね。きっと成長して声変りがくれば今のハスキーボイスからおさらばして立派なダミ声が手に入るでしょう。声変りは誰にでもありますから。

 同年代の友達たちは身長が150センチを超えた辺りからそうなって来たと言っていました。
 5年位前の話ですが、私にもそろそろその時期が来るはずでしょう。

 間違いありません。

 幼少の頃に、ムキムキなHEROにあこがれて筋トレや食事改善を行い続け懸命に努力していたがとあるHEROにその努力を否定されました。
 そんな失意のどん底に落ちた私に、父が救いの手を差し伸べてくれたのです。

『悪役キャラの方がムキムキなヤツが多くないか?』

 目から鱗が落ちました。
 ぽろんと。

 確かに、現在のHERO達は容姿端麗でスリムな体系のHEROが多いです。

 筋肉ムキムキのHEROの主役級は多くない。アメコミ系のHEROとかプロレス畑のHEROなどが少々いる程度。

 それに対して悪役達はどうでしょう?

 確かにスリムな悪役も多いが、筋力にモノを言わせたキャラの方が圧倒的に多いのではないでしょうか?
 HEROのサポーター達にはそういったムキムキマッチョマンもいますが、悪役の方が圧倒的に多いではないですか!

 この父の言葉に私は確信しました。
 悪役になれば、ムキムキの筋肉が手に入るに違いない。
 否、悪役になれれば筋肉は手に入るも同然!

 だが量産型戦闘員にムキムキは少ないです。
 一部の悪役レスラー軍にしかいないくらいですね。
 ならば戦闘怪人や、ボス級幹部になるしかないでしょう!
 ムキムキの筋肉を。『本当の』筋肉を手に入れる為、私は悪役学園への入学を決意しました。

 母の務めている学校からも推薦状が来ましたが、丁重に辞退しました。
 母と(物理的に)揉めて三度ほど入退院を繰り返して、ようやく母は折れてくれました。

 私の骨も折れましたが。

 その日以降、父の姿を見ていないですがきっと無事でしょう。
 晴れて私は悪役学園に入学することが出来たのです。

「はあ……」

 こんな思考をしているとため息が出て来ます。
 入学式も終わり、悪役学園で割り振られたクラスで座っていた私がため息をつくと、遠巻きに座っている統一された黒い全身タイツコスチュームを着た戦闘員達が幸せそうなオーラを出していた。
 何か良い事があったのだろうか?
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