片翼の召喚士-Rework-

ユズキ

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エルアーラ遺跡編

episode452

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「1万年前の連中はそんなことにも気付かなかったのか? そのほうが驚きだ。7種類もあったと思い込んでいたそれは、魔法なんだ」

「馬鹿な……」

「馬鹿なのは貴様の方だ、たわけ。確かに一風変わったところはある。魔法の発動の仕方が独特だ、なにせ魔具を自ら作り出しているんだからな。しかも扱える魔法ごとに魔具があるんだから笑う」

 ヒューゴの周りに浮いている青い彫像、それを指差しベルトルドは薄く笑った。

「俺の部下に魔法使いが一人いるが、そいつは無詠唱で魔法を発動できる唯一の魔法使いだ。魔法発動時、一見魔具は使用していないように見える。だが、やつもしっかり魔具は使っている。やつの身体、そのものが魔具だからな」

 これにはハーマンたちのほうが仰天した。さりげなくギョッと驚く程のことをサラッと言ってのけている。

 魔具とは魔法使いが魔法を発動するための、媒介道具のことである。

 媒介するものがなくても魔法を発動する事は可能だが、出力が不安定で波が起きやすい。そのため発動する力を安定させるために、魔具を使ってコントロールする。

 魔具は専門店で購入することが出来るが、自ら作り出せる者も若干存在していた。そうした者は、概ね優秀な魔法使いに限られる。

「魔具を作り出すことのできる魔法使いは稀だし優秀だ。とくに貴様は、扱える魔法の種類ごとに魔具を作り出している。細すぎるとも思うけどな」

「この駒たちが、魔具だと…? ボクの能力が魔法だと?」

「ユリディス付きの騎士だとほざいただろ、それで気づいていなかったのか? ハアステの力は召喚ではない。魔法で作り上げる人形をその場に形成したに過ぎん、ゴーレムだ。本来召喚とは、神々の世界アルケラから神や眷属をこの世界に呼んで使役するものだからな」

 愛しい少女が見せてくれた召喚の力。それはこんなセコイものではない。

「扱える魔法の種類ごとに魔具を形成し、そして発動できるんだから器用なものだ。それで能力が7つも備わっていると勘違いしていたのだろうが、貴様のはただの魔法にすぎん」

 ふんぞり返っているベルトルドを見つめながら、ヒューゴの頭の中は混乱に陥っていた。

 自らの力を魔法と断言されたことに、動揺を隠せない。

 あらゆる能力を備え、扱えることに誇りを持っていた。思うように力を発動できないことを悩み、駒を作り出したことで扱えたことに自信を持った。

 それの正体がただの魔法であり、これら駒は魔具だと言う。

 ベルトルドの言葉に打ちのめされていると、目の前の状況が一変してヒューゴは我にかえった。

 ドラコデンス・ストラティオスが全て倒されていたのだ。
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