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エルアーラ遺跡編
episode451
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炎がおさまると、そこには無傷のヒューゴが、汗ばんだ顔をにっこりとさせて立っていた。
「さすがに熱いね~」
「きぃいいい!!」
笑顔が癪に触りまくり、地団駄を踏んで悔しがるハーマンの、その背中をぽてぽて叩きながらシビルが同情する。力が大きすぎて暴走させやすいハーマンにしては、ナイスコントロールなギガス・フランマだったのだ。
「おっし! オレ様がテメーをぶっ飛ば~~~す!!」
掌に拳をバチンと叩きつけ、ヴァルトは床を蹴って前に飛び出した。
「抜けがけすんなや!」
魔剣シラーを担ぎ直して、ギャリーも飛び出した。
2人に続いて、メルヴィン、タルコット、ガエルも飛び出し、ザカリーがバーガットで魔弾を放つ。しかし魔弾はヒューゴに届かずシントパピンの防御壁で防がれた。
「ハアステ、護衛たち召喚」
ヒューゴが左手を前方にかざすと、彫像の一体が新たに青い光を放ち、前方に向いて少し前に出た。
「幾千の怪物を頼みとし
これを率いて進み来たりていでよ
ドラコデンス・ストラティオス 召喚」
ハアステが呪文を詠唱し、捧げ持っていたレイピアを前方にかざす。すると、床から5体の兵士が姿を現した。そのどれもがドラゴンの頭を持ち、胴は屈強な人間の男の肉体を有し、大きな手には鋭い大剣を構えていた。
「オエッ、バケモノかよ!」
勢い込んで思いっきり突っ込んだ相手に、ヴァルトは顔を歪めて腕を交差させる。普通にそのまま突っ込んでいたら、間違いなく抱きついていたところである。化物相手にそれは勘弁だ。
一人につき一体が、それぞれ相手について進行を阻まれた。そしてノイタとソトリの攻撃も再開される。
「ふむ……」
腕を組んで状況を観察していたベルトルドは、なるほど、といったように眉間を寄せた。
7つの力を駒にしたと言っていたが、ヒューゴのアレは、そういうことではないのだとベルトルドは気づいていた。残りの彫像がどんな力を有しているかは、見なくてもおおよその見当はついている。
「大見得きっていたわりには、大したことないな。興ざめだ」
タネが判ってしまえばなんのことはない。ベルトルドは不敵な笑みを浮かべ、組んでいた腕を解いた。
「貴様ら、普段”俺様強えぇ”モードでご近所に幅を利かせてるわりには、その程度の雑魚攻撃に苦戦するとか無様だぞ!」
尊大さが滲みまくる声でハッキリと断言され、ライオン傭兵団のプライドに霜が降りた。「そんな大声で核心をズバリどつかなくてもっ!」と、心で滝の涙を流す。そして「ご近所相手に威張ってるのはヴァルトだけだ!!」そうヴァルト以外は皆キッパリと否定した。
「そのドラコデンス・ストラティオスとかいうのはすぐに始末しろ。あとは俺の慈悲最大出力をもって残りは片付けてやるから、あとで土下座して額を地面に擦りつけながら思う存分感謝しまくれ」
両手を腰にあて、ふてぶてしさが際立つ笑みを浮かべたベルトルドは、前方のヒューゴを睥睨する。
「貴様の茶番劇も、もうここまでにしてもらおうか? 亡国の騎士」
ヒューゴは怪訝そうに僅かに首をかしげた。
「7つの能力、なるほど。見ていればそうと見えるが、貴様は思い違いをしたまま死んだようだな」
「言っている意味を、測りかねますが……」
「俺たちの生きるこの時代ではな、突出した能力は一つだけ授かって生まれてくる。とくに魔法だのサイ《超能力》だのという能力はレアもんだ。その2つをあわせもって生まれてくることなどまず有り得ない。が、1万年前はそうでもなかったのかと思ったが、貴様のその自慢の能力、それはただの魔法だ」
「!?」
「さすがに熱いね~」
「きぃいいい!!」
笑顔が癪に触りまくり、地団駄を踏んで悔しがるハーマンの、その背中をぽてぽて叩きながらシビルが同情する。力が大きすぎて暴走させやすいハーマンにしては、ナイスコントロールなギガス・フランマだったのだ。
「おっし! オレ様がテメーをぶっ飛ば~~~す!!」
掌に拳をバチンと叩きつけ、ヴァルトは床を蹴って前に飛び出した。
「抜けがけすんなや!」
魔剣シラーを担ぎ直して、ギャリーも飛び出した。
2人に続いて、メルヴィン、タルコット、ガエルも飛び出し、ザカリーがバーガットで魔弾を放つ。しかし魔弾はヒューゴに届かずシントパピンの防御壁で防がれた。
「ハアステ、護衛たち召喚」
ヒューゴが左手を前方にかざすと、彫像の一体が新たに青い光を放ち、前方に向いて少し前に出た。
「幾千の怪物を頼みとし
これを率いて進み来たりていでよ
ドラコデンス・ストラティオス 召喚」
ハアステが呪文を詠唱し、捧げ持っていたレイピアを前方にかざす。すると、床から5体の兵士が姿を現した。そのどれもがドラゴンの頭を持ち、胴は屈強な人間の男の肉体を有し、大きな手には鋭い大剣を構えていた。
「オエッ、バケモノかよ!」
勢い込んで思いっきり突っ込んだ相手に、ヴァルトは顔を歪めて腕を交差させる。普通にそのまま突っ込んでいたら、間違いなく抱きついていたところである。化物相手にそれは勘弁だ。
一人につき一体が、それぞれ相手について進行を阻まれた。そしてノイタとソトリの攻撃も再開される。
「ふむ……」
腕を組んで状況を観察していたベルトルドは、なるほど、といったように眉間を寄せた。
7つの力を駒にしたと言っていたが、ヒューゴのアレは、そういうことではないのだとベルトルドは気づいていた。残りの彫像がどんな力を有しているかは、見なくてもおおよその見当はついている。
「大見得きっていたわりには、大したことないな。興ざめだ」
タネが判ってしまえばなんのことはない。ベルトルドは不敵な笑みを浮かべ、組んでいた腕を解いた。
「貴様ら、普段”俺様強えぇ”モードでご近所に幅を利かせてるわりには、その程度の雑魚攻撃に苦戦するとか無様だぞ!」
尊大さが滲みまくる声でハッキリと断言され、ライオン傭兵団のプライドに霜が降りた。「そんな大声で核心をズバリどつかなくてもっ!」と、心で滝の涙を流す。そして「ご近所相手に威張ってるのはヴァルトだけだ!!」そうヴァルト以外は皆キッパリと否定した。
「そのドラコデンス・ストラティオスとかいうのはすぐに始末しろ。あとは俺の慈悲最大出力をもって残りは片付けてやるから、あとで土下座して額を地面に擦りつけながら思う存分感謝しまくれ」
両手を腰にあて、ふてぶてしさが際立つ笑みを浮かべたベルトルドは、前方のヒューゴを睥睨する。
「貴様の茶番劇も、もうここまでにしてもらおうか? 亡国の騎士」
ヒューゴは怪訝そうに僅かに首をかしげた。
「7つの能力、なるほど。見ていればそうと見えるが、貴様は思い違いをしたまま死んだようだな」
「言っている意味を、測りかねますが……」
「俺たちの生きるこの時代ではな、突出した能力は一つだけ授かって生まれてくる。とくに魔法だのサイ《超能力》だのという能力はレアもんだ。その2つをあわせもって生まれてくることなどまず有り得ない。が、1万年前はそうでもなかったのかと思ったが、貴様のその自慢の能力、それはただの魔法だ」
「!?」
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