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番外編1
写真・1
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いつも読んでくださる皆様、はじめましての皆様、閲覧やお気に入りなど、本当にありがとうございます。
前作【ALCHERA-片翼の召喚士- 】では、番外編をいくつか執筆していました。
番外編の内容は、本編のパラレル的なものと、過去のお話などがあります。本編の進行に合わせて、リメイクして今後いくつか挟んでいきたいと思います。
話が進んでいくにつれ、皆様のキャラに対する印象が変わるかも…? しれないので、あまり違和感がひどくない時点で公開していくようにしていきますね。
本編ともども、番外編もよろしくお願いします。
* * * *
「マリオン、いる~?」
コンコン、とドアをノックして、キュッリッキは声をかけた。
「あーい、あいてるから入っておいで~」
外開きのドアを開けると、相変わらずのゴミ山に、キュッリッキは口の端が引きつる。今日も厚化粧バッチリのマリオンが、笑顔でビール瓶を掲げた。昼日中から酒を飲料水がわりにしている。
「ちゃんと片付けないと、キリおばちゃんに怒られちゃうよ」
「あはは~。まーそのうちネぇ」
ゴミの大半は酒瓶である。
「ねえ、またアレ見せて」
「あいあい」
酒瓶の乱立する中に置かれた椅子に座って、ビールを煽っていたマリオンは、文机の上に立て置かれた本の中から、一冊のアルバムを取る。
「はい、どうぞぉ」
「ありがとう」
アルバムを受け取り、酒瓶の隙間をつま先立てて歩きながら、ベッドの上に飛び乗るった。着いてきたフェンリルは、マリオンの膝の上に飛び乗る。
キュッリッキは時々マリオンの部屋に遊びに来て、必ず広げるものがある。それが見たくて、押しかけてくるのだ。
ベッドにうつ伏せに寝転がりながら、嬉しそうにマリオンのアルバムをめくる。
ライオン傭兵団の仲間たちや、かつての同僚たちと写した写真をおさめたアルバムでだ。
マリオンのかつての職場は、ハーメンリンナにある皇王の居城、グローイ宮殿の楽士隊だった。
宮殿付きの楽士隊は、あらゆる楽器演奏のスキル〈才能〉を持った超エリートたちで編成されている。しかしマリオンの持つスキル〈才能〉は、サイ《超能力》である。楽器とは無縁のスキル〈才能〉だ。
「畑違いのところへ入れろーっていうんだからぁ、そりゃあね、いっぱ~い練習したよ~」
「でも練習したら、スキル〈才能〉持ちと同じくらい、うまくなるものなの?」
「アハッ。それはさすがに難しいねえ。でもね、アタシにはサイ《超能力》があるでしょお。実はこれがあるから、採用されたとも言えるのよねぇ」
膝の上のフェンリルの背を撫でながら、マリオンはニヤリと笑う。キュッリッキは不思議そうに首をかしげた。
「アタシさあ、どぉしても楽士隊に入りたかったの。だってえ、制服がカッコイイんだもん」
「うひ…」
「同じ働くなら、制服カッコイイほうがいいじゃ~ん。やる気も出るしぃ」
制服に憧れ、その職業に就くのは珍しくない。ただ、この世界にはスキル〈才能〉というものが存在し、専門職になると、該当スキル〈才能〉持ちが最優先されるのだ。
マリオンのように楽士隊に憧れ、何かの楽器の演奏に長けるために猛練習を積んだとしても、元からスキル〈才能〉を持つ者に比べれば劣ってしまう。当然採用は論外だった。
「結構粘ったんだよねえ~。来る日もぉ、来る日もぉ、楽士隊に入りたい、入れて、お願いっ! みたいにさあ。そしたらあ、拾ってくれたのがベルトルドのおっさんだったんだあ」
「ベルトルドさんが?」
「そっ」
その頃のことを、マリオンは思い起こす。
前作【ALCHERA-片翼の召喚士- 】では、番外編をいくつか執筆していました。
番外編の内容は、本編のパラレル的なものと、過去のお話などがあります。本編の進行に合わせて、リメイクして今後いくつか挟んでいきたいと思います。
話が進んでいくにつれ、皆様のキャラに対する印象が変わるかも…? しれないので、あまり違和感がひどくない時点で公開していくようにしていきますね。
本編ともども、番外編もよろしくお願いします。
* * * *
「マリオン、いる~?」
コンコン、とドアをノックして、キュッリッキは声をかけた。
「あーい、あいてるから入っておいで~」
外開きのドアを開けると、相変わらずのゴミ山に、キュッリッキは口の端が引きつる。今日も厚化粧バッチリのマリオンが、笑顔でビール瓶を掲げた。昼日中から酒を飲料水がわりにしている。
「ちゃんと片付けないと、キリおばちゃんに怒られちゃうよ」
「あはは~。まーそのうちネぇ」
ゴミの大半は酒瓶である。
「ねえ、またアレ見せて」
「あいあい」
酒瓶の乱立する中に置かれた椅子に座って、ビールを煽っていたマリオンは、文机の上に立て置かれた本の中から、一冊のアルバムを取る。
「はい、どうぞぉ」
「ありがとう」
アルバムを受け取り、酒瓶の隙間をつま先立てて歩きながら、ベッドの上に飛び乗るった。着いてきたフェンリルは、マリオンの膝の上に飛び乗る。
キュッリッキは時々マリオンの部屋に遊びに来て、必ず広げるものがある。それが見たくて、押しかけてくるのだ。
ベッドにうつ伏せに寝転がりながら、嬉しそうにマリオンのアルバムをめくる。
ライオン傭兵団の仲間たちや、かつての同僚たちと写した写真をおさめたアルバムでだ。
マリオンのかつての職場は、ハーメンリンナにある皇王の居城、グローイ宮殿の楽士隊だった。
宮殿付きの楽士隊は、あらゆる楽器演奏のスキル〈才能〉を持った超エリートたちで編成されている。しかしマリオンの持つスキル〈才能〉は、サイ《超能力》である。楽器とは無縁のスキル〈才能〉だ。
「畑違いのところへ入れろーっていうんだからぁ、そりゃあね、いっぱ~い練習したよ~」
「でも練習したら、スキル〈才能〉持ちと同じくらい、うまくなるものなの?」
「アハッ。それはさすがに難しいねえ。でもね、アタシにはサイ《超能力》があるでしょお。実はこれがあるから、採用されたとも言えるのよねぇ」
膝の上のフェンリルの背を撫でながら、マリオンはニヤリと笑う。キュッリッキは不思議そうに首をかしげた。
「アタシさあ、どぉしても楽士隊に入りたかったの。だってえ、制服がカッコイイんだもん」
「うひ…」
「同じ働くなら、制服カッコイイほうがいいじゃ~ん。やる気も出るしぃ」
制服に憧れ、その職業に就くのは珍しくない。ただ、この世界にはスキル〈才能〉というものが存在し、専門職になると、該当スキル〈才能〉持ちが最優先されるのだ。
マリオンのように楽士隊に憧れ、何かの楽器の演奏に長けるために猛練習を積んだとしても、元からスキル〈才能〉を持つ者に比べれば劣ってしまう。当然採用は論外だった。
「結構粘ったんだよねえ~。来る日もぉ、来る日もぉ、楽士隊に入りたい、入れて、お願いっ! みたいにさあ。そしたらあ、拾ってくれたのがベルトルドのおっさんだったんだあ」
「ベルトルドさんが?」
「そっ」
その頃のことを、マリオンは思い起こす。
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