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混迷の遺跡編
episode180
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「さすがにサイ《超能力》を使いすぎたな。それも繊細な使い方で、だ」
ブランデーを一口含み、そしてコロンっベッドに倒れこむ。
「物を壊す方が、よほどラクな使い方だ。加減にも気を使わなくてすむしな」
「全くですね」
同意しながらルーファスは苦笑する。こればかりは、サイ《超能力》使いじゃないと理解出来ない疲れだ。
あれだけの強固な防御を張り続け、転送の際にも細心の注意をはらい、キュッリッキへの負担を寸分も与えないよう努めていたのは見ていて判る。
皆を浮かせて飛んだり、鉄の船を移動させたりなどは、ベルトルドにとっては塵を払うようなもの。力を使ったうちにも入らない。しかし、移動中ずっとキュッリッキのために力を割いていたのだから、その疲労度は計り知れないものがあった。
表情に疲労の色が濃く滲んでおり、傲然とも言える空気は鳴りを潜めていた。
「言っておくが、歳のせいじゃないぞ」
むすっとした表情で釘を刺す。誰もツッコんでないようなと、メルヴィンは心の中でため息をついた。
「お話があるのでは~?」
ルーファスが促すと、ベルトルドはグラスを空にして、再びベッドに寝転がった。
「リッキーの看病や世話は使用人たちがやってくれるが、日中は出来るだけそばに付いていてやれ」
「夜はいいんですか?」
「夜は俺がずっと添い寝する」
2人は「えっ!?」と声を揃えた。
「いくら俺でも怪我人に襲いかかるほど女に不自由はしてないぞ。ちゃんと自制出来るから問題ない」
ドヤ顔でビシッと親指を立てる。
もろ問題大有りじゃね!? とルーファスは胸中で叫んだ。メルヴィンは物言いたげな視線をじわじわ送る。
「アルカネットさんが帰ってきたら、添い寝は難しいのでは…」
メルヴィンのその言葉に、ベルトルドの眉がひくついた。
「あいつはな……俺が気づいてないと思っているのか、判ってて知らん顔しているのか、リッキーに口移しで薬を飲ませたという事実を、俺はちゃんと知っているぞ!」
寝転がったままベルトルドは拳をグッと握る。
「オマケに舌まで入れたとか……しかもリッキーのファーストキスだぞ! 先を越された俺の悔しさが、お前たちに判るか!」
俯いて拳でベッドをドスドス叩く。悔しさのオーラが全身から滲み出していた。
唇を奪われたキュッリッキが悔しがるなら理解出来るが、何故アンタが…と、ルーファスは口元を歪めた。どんだけ悔しかったんだと。
「……記憶、勝手に読みましたね」
メルヴィンが呆れて言った。
ガバッと顔を上げて、ベルトルドは真剣な眼差しできりっと断言する。
「俺はもうアルカネットに遅れを取る気はない!」
「ちょ、相手はまだ18歳の女の子ですよっ! なに息巻いてるんっすかぁ」
ルーファスがツッコむが、ベルトルドは歯牙にもかけない。
「年の差なんざ関係ない! 初めてのときはトラウマになりやすいからな、俺のように上手な大人が手とり足とり股間とり教えたほうが、リッキーのためだ」
「なんて邪な家族計画立ててるんですかアンタっ!」
聞いちゃいないベルトルドは、特大真面目だった。
ブランデーを一口含み、そしてコロンっベッドに倒れこむ。
「物を壊す方が、よほどラクな使い方だ。加減にも気を使わなくてすむしな」
「全くですね」
同意しながらルーファスは苦笑する。こればかりは、サイ《超能力》使いじゃないと理解出来ない疲れだ。
あれだけの強固な防御を張り続け、転送の際にも細心の注意をはらい、キュッリッキへの負担を寸分も与えないよう努めていたのは見ていて判る。
皆を浮かせて飛んだり、鉄の船を移動させたりなどは、ベルトルドにとっては塵を払うようなもの。力を使ったうちにも入らない。しかし、移動中ずっとキュッリッキのために力を割いていたのだから、その疲労度は計り知れないものがあった。
表情に疲労の色が濃く滲んでおり、傲然とも言える空気は鳴りを潜めていた。
「言っておくが、歳のせいじゃないぞ」
むすっとした表情で釘を刺す。誰もツッコんでないようなと、メルヴィンは心の中でため息をついた。
「お話があるのでは~?」
ルーファスが促すと、ベルトルドはグラスを空にして、再びベッドに寝転がった。
「リッキーの看病や世話は使用人たちがやってくれるが、日中は出来るだけそばに付いていてやれ」
「夜はいいんですか?」
「夜は俺がずっと添い寝する」
2人は「えっ!?」と声を揃えた。
「いくら俺でも怪我人に襲いかかるほど女に不自由はしてないぞ。ちゃんと自制出来るから問題ない」
ドヤ顔でビシッと親指を立てる。
もろ問題大有りじゃね!? とルーファスは胸中で叫んだ。メルヴィンは物言いたげな視線をじわじわ送る。
「アルカネットさんが帰ってきたら、添い寝は難しいのでは…」
メルヴィンのその言葉に、ベルトルドの眉がひくついた。
「あいつはな……俺が気づいてないと思っているのか、判ってて知らん顔しているのか、リッキーに口移しで薬を飲ませたという事実を、俺はちゃんと知っているぞ!」
寝転がったままベルトルドは拳をグッと握る。
「オマケに舌まで入れたとか……しかもリッキーのファーストキスだぞ! 先を越された俺の悔しさが、お前たちに判るか!」
俯いて拳でベッドをドスドス叩く。悔しさのオーラが全身から滲み出していた。
唇を奪われたキュッリッキが悔しがるなら理解出来るが、何故アンタが…と、ルーファスは口元を歪めた。どんだけ悔しかったんだと。
「……記憶、勝手に読みましたね」
メルヴィンが呆れて言った。
ガバッと顔を上げて、ベルトルドは真剣な眼差しできりっと断言する。
「俺はもうアルカネットに遅れを取る気はない!」
「ちょ、相手はまだ18歳の女の子ですよっ! なに息巻いてるんっすかぁ」
ルーファスがツッコむが、ベルトルドは歯牙にもかけない。
「年の差なんざ関係ない! 初めてのときはトラウマになりやすいからな、俺のように上手な大人が手とり足とり股間とり教えたほうが、リッキーのためだ」
「なんて邪な家族計画立ててるんですかアンタっ!」
聞いちゃいないベルトルドは、特大真面目だった。
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