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ナルバ山の遺跡編
episode93
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キュッリッキは座り直し、ひたと前方に視線を向けた。
「召喚はね、アルケラっていう神様たちの世界からしか、呼び出すことはできないの。呼び出せるのは、アルケラに住んでいる全ての住人たち。名もない不思議な生き物から、偉い神様まで全部」
「なんと…」
ブルニタルはペンを走らせ、一言一句漏らさず書き留める。
「そして、まずは、この目でアルケラを視る」
キュッリッキは人差し指で、自分の目を指差す。黄緑色の瞳には、虹色の光彩の微粒子が常にまとわりついている。普段はあまり気にならないが、今は光彩が強い光を放ち始め、3人は身を乗り出し見入った。
「アルケラの至るところを視て、目的に合う子達を探すの。アタシが何を呼び出したいかある程度ハッキリしてると、勝手に向こうからアタシを見つけてくれたりするんだよ」
「ほうほう」
次第に光が強まり、キュッリッキは手を前方へと伸ばした。
「目的の子が見つかると、その子とアタシが目を合わせる。こちらへ招き寄せるためには、絶対に目を合わせる必要があるのね。目のない子もいるんだけど、そういうときは、気持ちを合わせるの。んで、目が合ったら、おいでって声をかけてあげると、次元を超えてこちらへとやってくる」
突然、室内の空気に振動が走った。
「なんですか…」
ちょうど3人が向かい合って挟んでいるテーブルの上に、透明な波紋が広がり、目にも見えてくる。
「おいで」
すると、波紋の中心から、2羽の小鳥が飛び出してきて、部屋の中をパタパタ飛び回り始めた。黄色と黄緑色の小鳥である。そして、カーティスの肩にとまっていた赤い小鳥も、嬉しそうにピーピー鳴きながら、2羽の小鳥に続く。
「こっちへいらっしゃい!」
キュッリッキがちょっと怒ったように言うと、黄色と黄緑色の小鳥はキュッリッキの頭の上に留まり、赤い小鳥はカーティスの肩に戻った。
「もう、いたずらっ子なんだから」
しょうがないわね、とキュッリッキは肩をすくめた。小鳥たちは反省の色なく、嬉しそうに鳴いた。
「これが召喚だよ」
キュッリッキはブルニタルに顔を向けるが、ブルニタルは固まっていた。
「魔法よりアクションが地味だから、呆れちゃった?」
小首を傾げて残念そうに言うと、ブルニタルはハッとなって瞬きした。
「い、いえ、そんなことはありません。――初めて見たものですから、驚きと感動で硬直しちゃいました」
「ホントですね…。以前ソープワート戦で呼び出していた大きなものから、こんな小鳥まで、様々なんですね」
ソープワート戦のときの召喚は、ルーファスが中継してくれたものを念話で見ただけだったが、こうして直接見ると感動してしまう。メルヴィンは感極まって、顔をほころばせた。
「場所はどこでも大丈夫だし、暗くても平気。ただ、目隠しされちゃうとダメだけど、手足が縛られたりしてても大丈夫だよ」
「素晴らしいです」
メモ帳にびっしり書きながら、ブルニタルは何度も大きく頷いた。
「召喚はね、アルケラっていう神様たちの世界からしか、呼び出すことはできないの。呼び出せるのは、アルケラに住んでいる全ての住人たち。名もない不思議な生き物から、偉い神様まで全部」
「なんと…」
ブルニタルはペンを走らせ、一言一句漏らさず書き留める。
「そして、まずは、この目でアルケラを視る」
キュッリッキは人差し指で、自分の目を指差す。黄緑色の瞳には、虹色の光彩の微粒子が常にまとわりついている。普段はあまり気にならないが、今は光彩が強い光を放ち始め、3人は身を乗り出し見入った。
「アルケラの至るところを視て、目的に合う子達を探すの。アタシが何を呼び出したいかある程度ハッキリしてると、勝手に向こうからアタシを見つけてくれたりするんだよ」
「ほうほう」
次第に光が強まり、キュッリッキは手を前方へと伸ばした。
「目的の子が見つかると、その子とアタシが目を合わせる。こちらへ招き寄せるためには、絶対に目を合わせる必要があるのね。目のない子もいるんだけど、そういうときは、気持ちを合わせるの。んで、目が合ったら、おいでって声をかけてあげると、次元を超えてこちらへとやってくる」
突然、室内の空気に振動が走った。
「なんですか…」
ちょうど3人が向かい合って挟んでいるテーブルの上に、透明な波紋が広がり、目にも見えてくる。
「おいで」
すると、波紋の中心から、2羽の小鳥が飛び出してきて、部屋の中をパタパタ飛び回り始めた。黄色と黄緑色の小鳥である。そして、カーティスの肩にとまっていた赤い小鳥も、嬉しそうにピーピー鳴きながら、2羽の小鳥に続く。
「こっちへいらっしゃい!」
キュッリッキがちょっと怒ったように言うと、黄色と黄緑色の小鳥はキュッリッキの頭の上に留まり、赤い小鳥はカーティスの肩に戻った。
「もう、いたずらっ子なんだから」
しょうがないわね、とキュッリッキは肩をすくめた。小鳥たちは反省の色なく、嬉しそうに鳴いた。
「これが召喚だよ」
キュッリッキはブルニタルに顔を向けるが、ブルニタルは固まっていた。
「魔法よりアクションが地味だから、呆れちゃった?」
小首を傾げて残念そうに言うと、ブルニタルはハッとなって瞬きした。
「い、いえ、そんなことはありません。――初めて見たものですから、驚きと感動で硬直しちゃいました」
「ホントですね…。以前ソープワート戦で呼び出していた大きなものから、こんな小鳥まで、様々なんですね」
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「場所はどこでも大丈夫だし、暗くても平気。ただ、目隠しされちゃうとダメだけど、手足が縛られたりしてても大丈夫だよ」
「素晴らしいです」
メモ帳にびっしり書きながら、ブルニタルは何度も大きく頷いた。
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