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美人コンテスト編
episode598
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浴衣を着せられ、ランドンに付き添われたメルヴィンは、ベッドにぐったりと横になっていた。
(ミ…ミミズ……)
初めて股間のモノを、ミミズと表現された。どういう感性で、ミミズに見えたのだろうか。
恥じらって目を瞑るでもなく、悲鳴を上げるわけでもなく、思いっきり力強く握られ、そして吃驚するほどの力で引っこ抜こうとしてきた。
以前にもベルトルドに同じことをしていた事実を知らないメルヴィンは、キュッリッキの天然パワーに圧倒されて、頭がぐるぐる渦巻いて激しいショックを受けていた。
まさか引っこ抜こうとしてくるとは、普通は思わない。
触られた喜びを感じる以前に、激痛と焦りに支配され、惨めな気持ちに涙が出そうである。30年生きてきて、これは酷い初体験となってしまった。
天然パワー全開のキュッリッキは、床に正座させられ、ファニーからこっぴどく説教を食らって肩を縮めている。
「あんたはどんだけ天然ボケをやらかすのよ! 人間の身体からミミズが生えてくるわけないでしょ!!」
「だってぇ…」
「だってもへったくれもない!! いい加減オトナになりなさいその天然思考回路!」
「ファニー怖いよぅ」
「当たり前でしょ!! あんたがそこまで天然オバカだとは、さすがのあたしも思わなかったわよ。あんたが特殊な環境で育ってきた背景を忖度しても、正しい知識が足らなさすぎよ!」
「確かに。ヴィヒトリ先生から、そのあたりの講義を受けていたはずなのですが…」
頬に手を当て、アリサは上目遣いで記憶を遡る。
そのヴィヒトリが用いた教材――ベルトルド秘蔵の無修正アダルト映像データ――があまりにも過激すぎて、キュッリッキの脳内から綺麗に除去されていることは、アリサも気づいていない。
「と・に・か・く! 今夜はみっちり教育よ! ちゃんと覚えるまで寝かさないからねっ!」
「うっ…うっ…うわーん!」
「ああ、お嬢様ハンカチハンカチ」
ついに泣き出したキュッリッキをアリサが慰めにかかり、ハドリーがファニーをなだめた。
キュッリッキ達の様子を尻目に、アルカネットは仁王立ちして、目の前に正座するライオン傭兵団の面々を睥睨した。
「あなた方のくだらない悪戯にも困ったものです」
ジワリ、ジワリと冷気が這い寄ってきて、ライオン傭兵団はガクブルと震えだす。
「リッキーさんはまだ子供なのですよ? 男女の秘め事は理解などしていません。天然ボケだったことが幸いして、間違いが起こらなかったことは良かったですが」
「アルカネットさんにも天然ボケって言われたあああ」
更にガン泣きされて、アルカネットはハッとなって慌てる。
「いっいえ、違いますよ、言葉の綾です!」
(やっぱりあんたも天然ボケって思ってるんだな……)
ライオン傭兵団は異口同音に、心の中でツッコミを入れていた。
「アルカネットさんの意地悪ぅ~~~」
「ごめんなさいリッキーさん、違うのですよ、誤解ですっ」
説教モードから言い訳モードにチェンジしたアルカネットは、キュッリッキの正面に座して必死に謝った。
「すみません、そんなに泣かないでください。目が腫れてしまいますから」
ガン泣きモードになると、中々泣き止まないのは皆承知の上だ。
(オレら、風呂にでも行こうぜ。アルカネットの野郎、もう説教してこねーだろうし)
(そうしよっかあ。キューリちゃん暫く泣き止まないし、ファニーちゃんもついてるしね)
(メルヴィンはランドンに任せて、温泉入りましょうか)
念話ネットワークで会話をかわし、ライオン傭兵団は立ち上がる。そしてそろーりと忍び足で部屋を出ようとすると、
「誰が、勝手に出て行ってもいいと、許可をしましたか?」
冷ややかな声が、みんなの足を止めた。
「ちゃんと反省するまで、床に正座していなさい」
ライオン傭兵団に向けた、その美しい笑顔。神々しいまでに輝いている。
「申し訳ございません!!」
ビシッと姿勢を正して謝ると、素早く正座をして頭を垂れるライオン傭兵団だった。
(ミ…ミミズ……)
初めて股間のモノを、ミミズと表現された。どういう感性で、ミミズに見えたのだろうか。
恥じらって目を瞑るでもなく、悲鳴を上げるわけでもなく、思いっきり力強く握られ、そして吃驚するほどの力で引っこ抜こうとしてきた。
以前にもベルトルドに同じことをしていた事実を知らないメルヴィンは、キュッリッキの天然パワーに圧倒されて、頭がぐるぐる渦巻いて激しいショックを受けていた。
まさか引っこ抜こうとしてくるとは、普通は思わない。
触られた喜びを感じる以前に、激痛と焦りに支配され、惨めな気持ちに涙が出そうである。30年生きてきて、これは酷い初体験となってしまった。
天然パワー全開のキュッリッキは、床に正座させられ、ファニーからこっぴどく説教を食らって肩を縮めている。
「あんたはどんだけ天然ボケをやらかすのよ! 人間の身体からミミズが生えてくるわけないでしょ!!」
「だってぇ…」
「だってもへったくれもない!! いい加減オトナになりなさいその天然思考回路!」
「ファニー怖いよぅ」
「当たり前でしょ!! あんたがそこまで天然オバカだとは、さすがのあたしも思わなかったわよ。あんたが特殊な環境で育ってきた背景を忖度しても、正しい知識が足らなさすぎよ!」
「確かに。ヴィヒトリ先生から、そのあたりの講義を受けていたはずなのですが…」
頬に手を当て、アリサは上目遣いで記憶を遡る。
そのヴィヒトリが用いた教材――ベルトルド秘蔵の無修正アダルト映像データ――があまりにも過激すぎて、キュッリッキの脳内から綺麗に除去されていることは、アリサも気づいていない。
「と・に・か・く! 今夜はみっちり教育よ! ちゃんと覚えるまで寝かさないからねっ!」
「うっ…うっ…うわーん!」
「ああ、お嬢様ハンカチハンカチ」
ついに泣き出したキュッリッキをアリサが慰めにかかり、ハドリーがファニーをなだめた。
キュッリッキ達の様子を尻目に、アルカネットは仁王立ちして、目の前に正座するライオン傭兵団の面々を睥睨した。
「あなた方のくだらない悪戯にも困ったものです」
ジワリ、ジワリと冷気が這い寄ってきて、ライオン傭兵団はガクブルと震えだす。
「リッキーさんはまだ子供なのですよ? 男女の秘め事は理解などしていません。天然ボケだったことが幸いして、間違いが起こらなかったことは良かったですが」
「アルカネットさんにも天然ボケって言われたあああ」
更にガン泣きされて、アルカネットはハッとなって慌てる。
「いっいえ、違いますよ、言葉の綾です!」
(やっぱりあんたも天然ボケって思ってるんだな……)
ライオン傭兵団は異口同音に、心の中でツッコミを入れていた。
「アルカネットさんの意地悪ぅ~~~」
「ごめんなさいリッキーさん、違うのですよ、誤解ですっ」
説教モードから言い訳モードにチェンジしたアルカネットは、キュッリッキの正面に座して必死に謝った。
「すみません、そんなに泣かないでください。目が腫れてしまいますから」
ガン泣きモードになると、中々泣き止まないのは皆承知の上だ。
(オレら、風呂にでも行こうぜ。アルカネットの野郎、もう説教してこねーだろうし)
(そうしよっかあ。キューリちゃん暫く泣き止まないし、ファニーちゃんもついてるしね)
(メルヴィンはランドンに任せて、温泉入りましょうか)
念話ネットワークで会話をかわし、ライオン傭兵団は立ち上がる。そしてそろーりと忍び足で部屋を出ようとすると、
「誰が、勝手に出て行ってもいいと、許可をしましたか?」
冷ややかな声が、みんなの足を止めた。
「ちゃんと反省するまで、床に正座していなさい」
ライオン傭兵団に向けた、その美しい笑顔。神々しいまでに輝いている。
「申し訳ございません!!」
ビシッと姿勢を正して謝ると、素早く正座をして頭を垂れるライオン傭兵団だった。
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