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美人コンテスト編
episode562
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「美人コンテスト?」
「うんむ!」
カーペットの上にペタリと座って、キュッリッキは床に広げたポスターを見つめる。
重要な話がある、とベルトルドから念話で呼び出されたキュッリッキは、宰相府のベルトルドの執務室にいた。
「ライオン傭兵団の代表として、リッキーがコンテストに出るんだ。優勝するのは当然確定だがな!」
「リッキーさんの美貌を凌ぐ者など皆無です。絶対優勝間違いなしですからね」
ドヤ顔のベルトルドと、優しい微笑みを浮かべるアルカネットに断言され、キュッリッキは小さく首をかしげた。
普段から他人と容姿を比べることもしないので、美人コンテストと言われても、キュッリッキはイマイチぴんとこない。
メルヴィンが気に入っていればそれで良く、他人がどう思おうがキュッリッキには関係ないのだ。
「うーん、優勝すると、なんかイイことでもあるの?」
「モチロンあるとも!」
ガバッとチェアから立ち上がり、ベルトルドは握り拳を高らかに掲げた。
「惑星ヒイシ随一の温泉保養地、ケウルーレの超最高級温泉宿ユリハルシラを、2泊3日貸切れる招待券が手に入る!!」
どの国にも属さない自由都市のひとつ、コケマキ・カウプンキにケウルーレはある。最高の泉質だという温泉が有名で、温泉保養地の中ではトップワンだ。
「自由都市にあるため、皇国の権威も圧力も効きませんから、中々予約がとれないのですよ」
「予定は合わない、予約がとれない、暇がないの三本立てで、俺たちでも未だに泊まったことがないからなあ。よくも傭兵ギルドごときが招待券を手に入れたもんだ」
「傭兵世界の伝手も侮れませんね」
「でも、温泉だったら、別にドコでもいいんじゃない?」
「ダメだ!」
「ダメです!」
「うっ…」
2人のキッパリした迫力に、キュッリッキは仰け反った。
(そんなにケウルーレに行きたいなら、コンテスト関係なく行けばいいのに…)
胸中でボヤいて、キュッリッキはコッソリため息をついた。
「そういえば、これは毎年行われているようですが、リッキーさんは美人コンテストに出たことがないのですか?」
「うん。このコンテストがある時って、仕事サボりたい傭兵が多いから、良い仕事回してもらえるの。稼ぎ時ってやつだよね」
朗らかに笑顔を浮かべるキュッリッキに、ベルトルドとアルカネットは同情を満面に浮かべた。
「リッキー…」
ベルトルドは飛びつくようにキュッリッキを抱きしめると、優しく頬ずりした。
「娯楽も満足に興じれなかったのだな。可哀想に可哀想に」
その様子にムッとしながらも、アルカネットは大きなハンガーラックを押してきた。
カバーが取り払われると、目にも色鮮やかなドレスがズラリとかけられている。
「さあリッキーさん、お衣装を選びましょうか」
「ほえ?」
「うんむ!」
カーペットの上にペタリと座って、キュッリッキは床に広げたポスターを見つめる。
重要な話がある、とベルトルドから念話で呼び出されたキュッリッキは、宰相府のベルトルドの執務室にいた。
「ライオン傭兵団の代表として、リッキーがコンテストに出るんだ。優勝するのは当然確定だがな!」
「リッキーさんの美貌を凌ぐ者など皆無です。絶対優勝間違いなしですからね」
ドヤ顔のベルトルドと、優しい微笑みを浮かべるアルカネットに断言され、キュッリッキは小さく首をかしげた。
普段から他人と容姿を比べることもしないので、美人コンテストと言われても、キュッリッキはイマイチぴんとこない。
メルヴィンが気に入っていればそれで良く、他人がどう思おうがキュッリッキには関係ないのだ。
「うーん、優勝すると、なんかイイことでもあるの?」
「モチロンあるとも!」
ガバッとチェアから立ち上がり、ベルトルドは握り拳を高らかに掲げた。
「惑星ヒイシ随一の温泉保養地、ケウルーレの超最高級温泉宿ユリハルシラを、2泊3日貸切れる招待券が手に入る!!」
どの国にも属さない自由都市のひとつ、コケマキ・カウプンキにケウルーレはある。最高の泉質だという温泉が有名で、温泉保養地の中ではトップワンだ。
「自由都市にあるため、皇国の権威も圧力も効きませんから、中々予約がとれないのですよ」
「予定は合わない、予約がとれない、暇がないの三本立てで、俺たちでも未だに泊まったことがないからなあ。よくも傭兵ギルドごときが招待券を手に入れたもんだ」
「傭兵世界の伝手も侮れませんね」
「でも、温泉だったら、別にドコでもいいんじゃない?」
「ダメだ!」
「ダメです!」
「うっ…」
2人のキッパリした迫力に、キュッリッキは仰け反った。
(そんなにケウルーレに行きたいなら、コンテスト関係なく行けばいいのに…)
胸中でボヤいて、キュッリッキはコッソリため息をついた。
「そういえば、これは毎年行われているようですが、リッキーさんは美人コンテストに出たことがないのですか?」
「うん。このコンテストがある時って、仕事サボりたい傭兵が多いから、良い仕事回してもらえるの。稼ぎ時ってやつだよね」
朗らかに笑顔を浮かべるキュッリッキに、ベルトルドとアルカネットは同情を満面に浮かべた。
「リッキー…」
ベルトルドは飛びつくようにキュッリッキを抱きしめると、優しく頬ずりした。
「娯楽も満足に興じれなかったのだな。可哀想に可哀想に」
その様子にムッとしながらも、アルカネットは大きなハンガーラックを押してきた。
カバーが取り払われると、目にも色鮮やかなドレスがズラリとかけられている。
「さあリッキーさん、お衣装を選びましょうか」
「ほえ?」
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