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番外編・2
コッコラ王国の悲劇・25
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更に皇国軍を預かるブルーベル将軍は、ガエルとは伯父と甥という血縁関係にあり、普通なら敵対しようとはしないものだったが。
ライオン傭兵団にそんな躊躇いも迷いも感傷もない。すでに辞めている場所なのだから。
迷いのない彼らの動きは、皇国に勤めていた頃よりも、遥かに勢いがあり、力があった。
規律に束縛されない自由、それは彼らの持っている本来の実力を、最大限に発揮させる。
「手合わせしたかった連中が、ゴロゴロいるんだよ。片っ端から遠慮しねーぜ!」
魔剣シラーを背負いながら、ギャリーは皇国軍に聞こえるよう、わざと大声で言い放った。
もとから厳つい風貌に、挑発じみたふてぶてしい笑みが混ざって、ギャリーの顔を見た皇国兵士たちは尻込みして後じさった。
ライオン傭兵団は第六正規部隊と、第五正規部隊が入り混じる只中に乗り込んでいる。
彼らが所属していた部隊ではなかったが、軍を辞めてまだ2年しか経っていない。顔も名前も覚えている者たちも多かった。
「オイコラ! ギャリーばっか目立ってんじゃねーぞ!!」
自分に向けられる注目がいまいち薄いと感じていたヴァルトが、喚きながらギャリーに詰め寄った。
「おめーも十分目立ってるから安心しろや……」
ヴァルトの場合はその綺麗な容姿もさることながら、大声のバカ丸出し発言に加え、とにかく派手な白く大きな翼を広げて飛び回っているから、目立たないほうがおかしい。
「アンタたちぃ~、漫才で目立ってもしゃーないから、早くヤッちゃえ~~」
マリオンが腰を振りながらのほほんと指摘すると、ギャリーとヴァルトが噛み付きそうな顔をマリオンに向け、マリオンはぺろっと舌を出して肩をすくめた。
それを合図にするようにして、タルコットとメルヴィンが構える。
「いくよ」
タルコットは大鎌の刃先を皇国軍に向けると、地面を蹴って前に飛び出した。
「口より行動で目立ってください」
苦笑しながらメルヴィンが続く。
タルコットは10人ほど固まっている兵士たちの中に突っ込むと、走り込みながら大鎌スルーズを大きく振りかぶって、力いっぱい薙ぎ払った。鎌の刃は唖然とする皇国兵士たちの首をザックリ刈り取る。悲鳴を上げることもできなかった首は、宙を跳ねボトボトと重たい音を響かせながら地面に落ちて転がった。
その表情は恐怖の瞬間を貼り付けたままだ。首を失った胴はその場に立ち尽くし、鮮血の噴水を大量に吹き上げ、辺りを血の色に染め上げた。
崩れ落ちていく首なしの死体を涼しい顔で見下ろし、刃についた血を払うと、タルコットは次の獲物を探すべく視線を巡らせた。漆黒の髪と鎧の中に、妖艶な白い顔がうっすらと笑みを浮かべる。
そのすぐ近くで、メルヴィンは爪竜刀を刃の太い長剣に形態を変化させると、惚けている3人の皇国兵士に斬りかかった。爪竜刀はメルヴィンの意思に呼応して、その形状を自在に変化させることができる。武器を持ち替えなくても、戦場の状況に応じて形を変えられるのだ。
「あんにゃろー、俺様より目立つとかゆるさん!!」
ヴァルトは翼をバサバサと羽ばたかせると、
「とーーーうっ!」
片手を空へ向けて伸ばし、華麗に飛び上がった。
「そのまま撃ち落とされちまえ……」
げっそりとした表情で悪態をつき、飛び上がるヴァルトを見送ると、ギャリーは首をポキポキ鳴らして魔剣シラーを構えた。
ライオン傭兵団にそんな躊躇いも迷いも感傷もない。すでに辞めている場所なのだから。
迷いのない彼らの動きは、皇国に勤めていた頃よりも、遥かに勢いがあり、力があった。
規律に束縛されない自由、それは彼らの持っている本来の実力を、最大限に発揮させる。
「手合わせしたかった連中が、ゴロゴロいるんだよ。片っ端から遠慮しねーぜ!」
魔剣シラーを背負いながら、ギャリーは皇国軍に聞こえるよう、わざと大声で言い放った。
もとから厳つい風貌に、挑発じみたふてぶてしい笑みが混ざって、ギャリーの顔を見た皇国兵士たちは尻込みして後じさった。
ライオン傭兵団は第六正規部隊と、第五正規部隊が入り混じる只中に乗り込んでいる。
彼らが所属していた部隊ではなかったが、軍を辞めてまだ2年しか経っていない。顔も名前も覚えている者たちも多かった。
「オイコラ! ギャリーばっか目立ってんじゃねーぞ!!」
自分に向けられる注目がいまいち薄いと感じていたヴァルトが、喚きながらギャリーに詰め寄った。
「おめーも十分目立ってるから安心しろや……」
ヴァルトの場合はその綺麗な容姿もさることながら、大声のバカ丸出し発言に加え、とにかく派手な白く大きな翼を広げて飛び回っているから、目立たないほうがおかしい。
「アンタたちぃ~、漫才で目立ってもしゃーないから、早くヤッちゃえ~~」
マリオンが腰を振りながらのほほんと指摘すると、ギャリーとヴァルトが噛み付きそうな顔をマリオンに向け、マリオンはぺろっと舌を出して肩をすくめた。
それを合図にするようにして、タルコットとメルヴィンが構える。
「いくよ」
タルコットは大鎌の刃先を皇国軍に向けると、地面を蹴って前に飛び出した。
「口より行動で目立ってください」
苦笑しながらメルヴィンが続く。
タルコットは10人ほど固まっている兵士たちの中に突っ込むと、走り込みながら大鎌スルーズを大きく振りかぶって、力いっぱい薙ぎ払った。鎌の刃は唖然とする皇国兵士たちの首をザックリ刈り取る。悲鳴を上げることもできなかった首は、宙を跳ねボトボトと重たい音を響かせながら地面に落ちて転がった。
その表情は恐怖の瞬間を貼り付けたままだ。首を失った胴はその場に立ち尽くし、鮮血の噴水を大量に吹き上げ、辺りを血の色に染め上げた。
崩れ落ちていく首なしの死体を涼しい顔で見下ろし、刃についた血を払うと、タルコットは次の獲物を探すべく視線を巡らせた。漆黒の髪と鎧の中に、妖艶な白い顔がうっすらと笑みを浮かべる。
そのすぐ近くで、メルヴィンは爪竜刀を刃の太い長剣に形態を変化させると、惚けている3人の皇国兵士に斬りかかった。爪竜刀はメルヴィンの意思に呼応して、その形状を自在に変化させることができる。武器を持ち替えなくても、戦場の状況に応じて形を変えられるのだ。
「あんにゃろー、俺様より目立つとかゆるさん!!」
ヴァルトは翼をバサバサと羽ばたかせると、
「とーーーうっ!」
片手を空へ向けて伸ばし、華麗に飛び上がった。
「そのまま撃ち落とされちまえ……」
げっそりとした表情で悪態をつき、飛び上がるヴァルトを見送ると、ギャリーは首をポキポキ鳴らして魔剣シラーを構えた。
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