片翼の召喚士-Rework-

ユズキ

文字の大きさ
上 下
549 / 882
番外編・2

コッコラ王国の悲劇・4

しおりを挟む
 この世界は太陽を中心に取り囲むように、3つの惑星で成り立っている。

 身体的特徴を持たない人間、ヴィプネン族が治める惑星ヒイシ。

 背に翼を持ち容姿に優れた人間、アイオン族が治める惑星ペッコ。

 動物の外見と能力を兼ね備える人間、トゥーリ族が治める惑星タピオ。

 ヴィプネン族が治める惑星ヒイシは、現在ハワドウレ皇国というヴィプネン族の種族統一国家が君臨し、惑星全土を治めていた。

 およそ千年前、惑星ヒイシには小国が複数乱立するのみだった。1万年前もの昔は種族統一国家があったというが、何らかの事象に巻き込まれその統一国家は失われている。

 各国は領土を広げ国を奪い合い、覇権争いが絶えず、難民を生みながら長く悲惨な時代が続いた。

 当時ハワドウレ国という小さな都市国家を治めていたワイズキュール家が、戦乱の世を憂いて立ち上がり、平和な世を望む人々の力を借りて、種族統一国家の樹立を目指した。

 自国のあるワイ・メア大陸をはじめ、モナルダ大陸、ウエケラ大陸、シェフレラ群島、フロックス群島にある国々を併呑し、ついにハワドウレ皇国という種族統一国家を成し得て、戦乱の世にピリオドをうった。

 広い領土は共に戦った戦友たちに統治を任せ、それらを取りまとめてワイズキュール家が君臨する。

 長い戦いの歴史に疲れきっていた人々は、新しい国を受け入れ賛美した。しかし数十年の歳月を経て世界が豊かに平和になってくると、独自に国を興して離反する者たちが現れた。

 再び剣をとる者、表面上は平和的外交により独立を勝ち取ろうとするもの、方法は様々だったが、離反していく者たちを止めることが出来なかったワイズキュール家は、属国という形での独立は許すことになった。

 不承不承ではあるがその条件を飲んだのは18の小国と、3種族の間で不可侵が定められている、国ではないが自治権を持つ自由都市が5つである。

 完全なる独立ではなかったが、自分たちの国を得たことで、再び平和な時代が長く続くことになった。

 18の小国の間では、小競り合いか、あまりおおごとにならぬ程度の戦争は頻繁に行われていたが、ハワドウレ皇国に弓を引こうとする国はなかった。

 それが突然、謀反の噂が実しやかに皇国内に流れ出し、きな臭さを漂わせる国があった。

 コッコラ王国である。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

淫らなお姫様とイケメン騎士達のエロスな夜伽物語

瀬能なつ
恋愛
17才になった皇女サーシャは、国のしきたりに従い、6人の騎士たちを従えて、遥か彼方の霊峰へと旅立ちます。 長い道中、姫を警護する騎士たちの体力を回復する方法は、ズバリ、キスとH! 途中、魔物に襲われたり、姫の寵愛を競い合う騎士たちの様々な恋の駆け引きもあったりと、お姫様の旅はなかなか困難なのです?!

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

処理中です...