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勇気と決断編
episode520
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「それよりリュー、ホントに何しに来たんだ?」
「さっきも言ったでしょ、あーたたち仕事をほっぽり出して帰ってきてるって。今日はシ・アティウスが旧ソレル王国から帰ってきてるから、報告がてら打ち合わせするってことになってたでしょ」
「あー……」
忘れてた、と口パクで言って、ベルトルドは頭を掻いた。
「全くどーしようもないわね、小娘のことになると」
キュッリッキが皇王との対面を済ませた翌日から、皇王の指示で陰ながら護衛がすでにキュッリッキには付けられている。それを一括管理する責任はベルトルドが担当なので、護衛官たちからの報告を逐一受けていた。それでメルヴィンと一緒に出かけたのを知って、アルカネットと共に仕事を放り出して帰ってきたのである。
「今から戻るのもなんだし、シ・アティウスにはこっちへ来てもらうように言ってあるわ。もうそろそろくるんじゃない」
「お前らの晩飯までは用意してないだろうし、適当に何か食えるものを用意させるから、俺たちが食べ終わるまで待ってろ」
「そうさせてもらうわ」
ベルを鳴らして使用人を呼ぶと、そのことを指示する。
「さて、俺たちも着替えてくるか」
「お着替え、手伝ってあげるわよん?」
唇を舐めずりながら言われ、ベルトルドはゾゾッとそそけだった。
「お前は俺の部屋に、絶対くんなっ!!」
「あーら、あーたのお尻の処女をもらった身としては、ついつい世話を焼きたくなるものなのよ」
あの時のことを思い出し、ベルトルドは顔を真っ青にした。
「このド変態!!」
モナルダ大陸での代理知事への引き継ぎを全部リュリュに押し付け、速攻とんずらを決め込んだベルトルドにぶちキレたリュリュは、すさまじい行動にでた。
ハーメンリンナに戻ってくるやいなや、会議室へ乗り込み、目を丸くしているベルトルドのズボンと下着をずりおろして、全力で抵抗を抑え込みブチ込んだのである。
その場に居合わせた行政官たちは、あまりの凄まじい光景に魂を抜かれる勢いだった。もはや会議どころではない。
本来こうしたゴシップは、噂にして垂れ流すのが得意な行政官たちも、こればかりは触らぬ神になんたらで、墓まで持っていく覚悟で黙っていた。
「数日トイレが辛かったんだぞ!」
「毎日ヤってれば慣れるわよ」
「二度とヤらんわ!!」
「着替えにいきましょうか」
「やーん」
アルカネットに首根っこを掴まれたベルトルドは、問答無用でずるずると引きずられて応接室を出て行った。
それと入れ替わるように、シ・アティウスが応接室に入ってきた。
「あら、早かったわね」
「静かな怒りの剣幕のアルカネットにしょっ引かれてましたね。また、何かやらかしたんですか? ベルトルド様は」
「また」の部分を強調して言う。
「小娘が明日、エルダー街へ帰っちゃうから、面白くないのよ、アルカネットは」
「ほほう。では、無事立ち直ったんですね、キュッリッキ嬢は」
「ええ。メルヴィンとキスまでしたようよ」
「それは良かった」
優しい笑顔でシ・アティウスが頷くと、リュリュはちょっと不思議そうにシ・アティウスを見た。普段能面のように表情を出すことが滅多にない男が、優しい笑顔になるなど殆ど見たことがないからだ。
「さて、っと。書斎へ行きましょうか。――ここでは話しづらい内容ナンデショ、例の報告」
「ええ」
無表情に戻ったシ・アティウスが頷く。
「ベルたちこれからご飯だから、くるまで一杯引っ掛けてましょ」
「そうですね」
「さっきも言ったでしょ、あーたたち仕事をほっぽり出して帰ってきてるって。今日はシ・アティウスが旧ソレル王国から帰ってきてるから、報告がてら打ち合わせするってことになってたでしょ」
「あー……」
忘れてた、と口パクで言って、ベルトルドは頭を掻いた。
「全くどーしようもないわね、小娘のことになると」
キュッリッキが皇王との対面を済ませた翌日から、皇王の指示で陰ながら護衛がすでにキュッリッキには付けられている。それを一括管理する責任はベルトルドが担当なので、護衛官たちからの報告を逐一受けていた。それでメルヴィンと一緒に出かけたのを知って、アルカネットと共に仕事を放り出して帰ってきたのである。
「今から戻るのもなんだし、シ・アティウスにはこっちへ来てもらうように言ってあるわ。もうそろそろくるんじゃない」
「お前らの晩飯までは用意してないだろうし、適当に何か食えるものを用意させるから、俺たちが食べ終わるまで待ってろ」
「そうさせてもらうわ」
ベルを鳴らして使用人を呼ぶと、そのことを指示する。
「さて、俺たちも着替えてくるか」
「お着替え、手伝ってあげるわよん?」
唇を舐めずりながら言われ、ベルトルドはゾゾッとそそけだった。
「お前は俺の部屋に、絶対くんなっ!!」
「あーら、あーたのお尻の処女をもらった身としては、ついつい世話を焼きたくなるものなのよ」
あの時のことを思い出し、ベルトルドは顔を真っ青にした。
「このド変態!!」
モナルダ大陸での代理知事への引き継ぎを全部リュリュに押し付け、速攻とんずらを決め込んだベルトルドにぶちキレたリュリュは、すさまじい行動にでた。
ハーメンリンナに戻ってくるやいなや、会議室へ乗り込み、目を丸くしているベルトルドのズボンと下着をずりおろして、全力で抵抗を抑え込みブチ込んだのである。
その場に居合わせた行政官たちは、あまりの凄まじい光景に魂を抜かれる勢いだった。もはや会議どころではない。
本来こうしたゴシップは、噂にして垂れ流すのが得意な行政官たちも、こればかりは触らぬ神になんたらで、墓まで持っていく覚悟で黙っていた。
「数日トイレが辛かったんだぞ!」
「毎日ヤってれば慣れるわよ」
「二度とヤらんわ!!」
「着替えにいきましょうか」
「やーん」
アルカネットに首根っこを掴まれたベルトルドは、問答無用でずるずると引きずられて応接室を出て行った。
それと入れ替わるように、シ・アティウスが応接室に入ってきた。
「あら、早かったわね」
「静かな怒りの剣幕のアルカネットにしょっ引かれてましたね。また、何かやらかしたんですか? ベルトルド様は」
「また」の部分を強調して言う。
「小娘が明日、エルダー街へ帰っちゃうから、面白くないのよ、アルカネットは」
「ほほう。では、無事立ち直ったんですね、キュッリッキ嬢は」
「ええ。メルヴィンとキスまでしたようよ」
「それは良かった」
優しい笑顔でシ・アティウスが頷くと、リュリュはちょっと不思議そうにシ・アティウスを見た。普段能面のように表情を出すことが滅多にない男が、優しい笑顔になるなど殆ど見たことがないからだ。
「さて、っと。書斎へ行きましょうか。――ここでは話しづらい内容ナンデショ、例の報告」
「ええ」
無表情に戻ったシ・アティウスが頷く。
「ベルたちこれからご飯だから、くるまで一杯引っ掛けてましょ」
「そうですね」
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