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勇気と決断編
episode514
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唇から全身に波のように広がっていく、甘くとろけるような感覚に、キュッリッキは頭の芯が痺れて恍惚となった。身体の力が抜けて、メルヴィンの両手に支えられながら、ようやく座っていられるほどだ。
メルヴィンの手が身体に触れるものとはまた違う。柔らかで甘美な刺激が、心の奥底をくすぐるようだった。
以前薬を口移しで飲ませてきたアルカネットや、ベルトルドが喜ぶだろうとお礼の気持ちで唇を押し付けた時には、けっしてこんな感覚はわかなかった。
(キスって、相手が違うだけで、こんなにも違うもの……なのかな………)
やがてメルヴィンがそっと唇をはなすと、キュッリッキは急に唇に孤独を感じて、さみしい気分に襲われた。
(もっと、して欲しいのに…)
恍惚の光が揺蕩う瞳が、甘えるようにメルヴィンに向けられる。せがむように、求めるように。それを感じ取り、メルヴィンは再び唇を重ねた。今度はより深く、柔らかな唇を味わうように貪った。
細い肩をさらに抱き寄せ、忍ばせるようにそっと舌を差し入れる。
うっすらと目を開くと、キュッリッキは目を閉じていた。白い頬をほんのりと紅潮させ、全てをメルヴィンに委ねるような、無防備な表情。そして、メルヴィンの舌に応えるように、恐る恐るといったようにキュッリッキの舌が絡んできた。その瞬間、愛おしいと思う気持ちが強く高鳴り、細い背に手を回して抱きしめた。胸の奥が熱くなり、激しくキュッリッキを求める気持ちが全身を襲った。しかし自制心が、徐々にはやる気持ちを鎮めていく。
(焦ってはだめだ……)
まだ、キスを交わしたばかりなのだから。
名残惜しむように2人は唇を離すと、暫く見つめ合い、そしてキュッリッキはメルヴィンの胸に顔をうずめた。
心がキュンっと高鳴るような、生まれて初めてのキス。まだ唇に残るメルヴィンの唇の感触。
恥ずかしいと思う気持ちを上回るほどの、甘美で優しい時間。細胞のひとつひとつにまで刻まれたメルヴィンの想い。
そして、愛していると言ってもらえた。
かつてベルトルドやアルカネットに言われた時とはまた違う。
ベルトルドやアルカネットの愛は、キュッリッキにとって、親の愛情のようなものだった。2人は恋愛感情だと言い張るが、キュッリッキにはそういう感覚はいまだに湧いてこない。たとえ血のつながりはなくても、父親のような存在だから。
しかしメルヴィンは違う。キュッリッキが初めて異性を意識した相手なのだ。
(メルヴィン大好き。とってもとっても大好き、一番大好き!)
メルヴィンの体温を快く感じながら、キュッリッキはいつまでもこの時間が続けばいいのに。そう、心の底から願っていた。
メルヴィンの手が身体に触れるものとはまた違う。柔らかで甘美な刺激が、心の奥底をくすぐるようだった。
以前薬を口移しで飲ませてきたアルカネットや、ベルトルドが喜ぶだろうとお礼の気持ちで唇を押し付けた時には、けっしてこんな感覚はわかなかった。
(キスって、相手が違うだけで、こんなにも違うもの……なのかな………)
やがてメルヴィンがそっと唇をはなすと、キュッリッキは急に唇に孤独を感じて、さみしい気分に襲われた。
(もっと、して欲しいのに…)
恍惚の光が揺蕩う瞳が、甘えるようにメルヴィンに向けられる。せがむように、求めるように。それを感じ取り、メルヴィンは再び唇を重ねた。今度はより深く、柔らかな唇を味わうように貪った。
細い肩をさらに抱き寄せ、忍ばせるようにそっと舌を差し入れる。
うっすらと目を開くと、キュッリッキは目を閉じていた。白い頬をほんのりと紅潮させ、全てをメルヴィンに委ねるような、無防備な表情。そして、メルヴィンの舌に応えるように、恐る恐るといったようにキュッリッキの舌が絡んできた。その瞬間、愛おしいと思う気持ちが強く高鳴り、細い背に手を回して抱きしめた。胸の奥が熱くなり、激しくキュッリッキを求める気持ちが全身を襲った。しかし自制心が、徐々にはやる気持ちを鎮めていく。
(焦ってはだめだ……)
まだ、キスを交わしたばかりなのだから。
名残惜しむように2人は唇を離すと、暫く見つめ合い、そしてキュッリッキはメルヴィンの胸に顔をうずめた。
心がキュンっと高鳴るような、生まれて初めてのキス。まだ唇に残るメルヴィンの唇の感触。
恥ずかしいと思う気持ちを上回るほどの、甘美で優しい時間。細胞のひとつひとつにまで刻まれたメルヴィンの想い。
そして、愛していると言ってもらえた。
かつてベルトルドやアルカネットに言われた時とはまた違う。
ベルトルドやアルカネットの愛は、キュッリッキにとって、親の愛情のようなものだった。2人は恋愛感情だと言い張るが、キュッリッキにはそういう感覚はいまだに湧いてこない。たとえ血のつながりはなくても、父親のような存在だから。
しかしメルヴィンは違う。キュッリッキが初めて異性を意識した相手なのだ。
(メルヴィン大好き。とってもとっても大好き、一番大好き!)
メルヴィンの体温を快く感じながら、キュッリッキはいつまでもこの時間が続けばいいのに。そう、心の底から願っていた。
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